『瓢箪から人生」 夏井いつき・著

ふーむ、なるほど。俳句を作る=自然に親しむだし、酒は十分愛しているし、人生色々行きつ戻りつだし、山頭火終焉の地となった松山在住だし、山頭火と同じく、温泉のあるあったかい地で俳句三昧の日々をすごしてのポックリ往生を目指しているし、まさにピンポン!ではないかと、我ながら納得してしまう。(笑)
『瓢箪から人生』 夏井いつき・著
(「瓢箪から悲喜交々の人生だ」 p326)

夏井いつきさんが『第4回 種田山頭火賞』(2021年)を受賞された時の思いを綴っている。時々観る MBS『プレバト‼︎』俳句コーナーでの夏井いつきさんしか知らないけど、番組でのやり取りを見ていてまさにそうだろうな、と一致する。(ご本人がそうおっしゃっているのだから間違いない)

ブログもそうだが、「書く」「書いて伝える」「心に届く表現」まあ、偉そうに言えないけど、いつもどうしたら上手く書けるのかと思っている。人生の一コマ、出会い、自然の中での発見や気づき、など。そこで「俳句」と言うのが私の中で登場するのだが、どうも得意ではない(下手)( >_<) 。こんな私でもなんかヒントにならないかと読む。が、「やってみないとわからない」と言うのが実際のところ。

夏井いつきさんの波瀾万丈(ストレートで「豪快」と「繊細」の入り混じった)人生は、山頭火賞受賞に充分匹敵する魅力がある。ご一読を。

余談になりますが、

種田山頭火賞の第3回受賞者のピアニスト碓井俊樹さんは、兵庫県豊岡市の音楽祭「子どもたちが豊岡で世界と出会う音楽祭」(おんぷの祭典)の音楽監督。知り合い、お付き合いが始まって8年になる。精力的に世界を飛び回って音楽活動されている。もちろん、お酒(ワイン)もお好きなのは言うまでもない。但馬コネクションでもピアノ演奏もしていただきました。

『ともに生きるための演劇』 平田オリザ・著

『ともに生きるための演劇』 平田オリザ・著

「会話」・・・親しい人同士のおしゃべり
「対話」・・・異なる価値観を持った人とのすり合わせ
そしてまず対話の場合、その大前提として「対等な人間関係」であることが求められます。先にも述べたように、日本はハイコンテクストな社会です。その上、この「対等な人間関係」というものがなかなか成り立たないという背景もありました。そもそも「対話」ができる機会自体が非常に少なかったのです。「対話」を学ぶ場が抜け落ちているという以前に、「対話」という概念が弱かったのかもしれません。
第2章 演劇で「日本語」を捉え直す (「対話と「会話」の違い p 57)

日本は「わかりあう文化」「察しあう文化」という独特の社会を形成してきた。それがアジアの中でいち早く近代化できた、との見解を示す。現代の世界は多様化に向かい、コロナウイルス感染、ロシアのウクライナ侵攻などによって世界は同時に影響を受けながら、一方で多様な価値観が表出してきている、との認識をまず示すところから始まっている。

作家であり、演出家の平田オリザ氏は、日本語に着目して、演技の違和感を指摘し、日常生活の中での「会話」と「対話」の違いからこれからの学校教育を考える。

さらに背景の違うもの同士がどうコミュニケーションを取ったら良いのか、異なる他者との向き合い方を指南する。「シンパシー/同情」と「エンパシー/共感する力」の理解、最後に「ゆるやかなネットワーク社会を作る」ことの大切さと意義を訴える。

印象に残るエピソード(事例)
・中高年男性の入院患者が「若い女性看護師に子供扱いされた」と怒る。それは日本語の歴史の中で、女性が男性に指示する関係は、おそらく母親が子どもに指示する関係しかなかったから。言語としてのボキャブラリーがまだ乏しい。
・自然災害は、家族友人を失い、家や集落が破壊され目に見え「同情できる」。コロナによるパニックは「わかりやすい弱者のいない災害」である。同情をどこに向けるのか?自分?そこから他者への攻撃転化になったのでは?
・「ライフ(life)」は、「命」と「人生」という両方の意味がある。守るのは「命」だけでなく「人生」も。人生は文化を必要としている。

※ハイコンテクスト〜同じ生活習慣、同じ価値観を持つ共同体。言葉で多くを説明しなくても理解できる。コンテクストとは「文脈」「コミュニケーションの基盤」「文化的な背景」。

『行く川の流れは、動的平衡」 福岡伸一・著

行く川の流れは、動的平衡』 福岡伸一・著

あったものがなくなる。なかったものが現れる。動きこそが生命にとって本来の情報である。それによって環境の変化を察知し身構える。情報は常に好意を引き起こすものとしてある。だから同じ匂い、音、味が続いたらそれはもう情報ではない。私たちは自分の唾液を塩っぱいとは感じない(が、キスの味は分かる!)。新しい情報の創出のためには、環境が絶えず更新され、上書きされなければならない。そうでないと変化が見えない。ネット社会の不幸は、消えないこと。小さな棘がいつまでも残る。情報は消えてこそ情報となる。
(「トカゲを振り向かせる方法」 p30)

朝日新聞に連載されていたエッセイ集。日常の出来事、自然界の現象を生物学者としての見識を散りばめながら、その本質を明らかにしていく。当たり前と思っている事象も、なぜ?と疑問を持つと分からないことは結構ある。逆に「腑に落ちない」「納得いかない」などの社会問題、人生経験、人間関係のトラブルなど、生物的に、生命の必然として解き明かしてくれる。

マップラバー(Map Lover)とマップヘイター(Map Hater)の話も面白い。

マップラバーは、地図大好き、何をするにも全体像を把握し、自分の場所を確認してから目的地に向かう人。マップヘイターは、地下鉄の改札を出ても百貨店に入ってもいきなり歩き出す、でも目的地には到達する。

秀才のマップラバーは、密かにマップヘイターを恐れる。マップヘイターの方がより逞しく、危機に強いから。私たちの身体は細胞のマップヘイター的な行動によって形成された。しかし、脳は地図を欲しがってしまう。

あなたはどっち?身体と脳の関係はなぜ?

こんなお話がいっぱい。優しい言葉を使いながら刺激いっぱいの本です。

『ビジョンとともに働くということ」山口周×中川淳

投資はかなりの額が必要になるんです。しかし、儲からない工芸の世界で誰がそれをやるのか。実現はなかなか難しいですよね。そこで思いついたのが、「産業観光」というアイデアでした。垂直統合だけでは投資に見合うリターンがえられないので、プラス・アルファの要素として「観光」を持ち込む、というものです。
ビジョンとともに働くということ』山口周×中川淳
「産業観光と垂直統合が産地の生きる道」 p 217

ここの「垂直統合」とは、様々な製造工程を別々の会社がやっていると、どこかひとつの工程の会社が潰れると製品が造れなくなるので、ひとつの会社で内製化してしまう、という意味。かつてバブル崩壊後の1990年代、外部委託、ファブレス(工場を持たないメーカー)と言った、自社の資産(固定費)を下げて、総資産利益率を上げよう、と言った経営がもてはやされた時代もあった。私もその方針の基に経営を行なった時期もある。

しかし、時代はより変化を加速し、不安定、不確実、予測不能の時代になり、サプライチェーンの崩壊リスクも高まる。自社のアイデア、ブランド構築が優先する時代が到来したと言える。

今やブランドの構築には、自社の経営理念、ビジョンはもちろんのこと、その地域、自然環境、歴史、風土を巻き込んだコンセプトがとても重要になっている。それこそがこれからの「観光」にもとても重要な要素となる。

ビジョン(こうありたい)を追求しなければならない。

『復活への底力』 出口治明・著

僕自身はと言えば、「人生は変化に富んでいるなあ。川に流されるように生きていても、岩にぶつかったりする。思わぬ展開にも一所懸命に対応する方が面白いし」などと作業療法士の方から見れば大変な作業も、とにかくやり続けようと楽観的に考えていました。
『復活への底力』 出口治明・著
(第3章 「リハビリ開始と折れない心」 p72)

私がいつも注目している出口治明氏の闘病期の一コマ。出口氏は2021年1月に突然に脳卒中に見舞われ、右半身麻痺の状態になる。その後復帰するまでの顛末をこの本にされている。

私自身も、2016年に台湾で交通事故(朝ウォーキング中に車に撥ねられる)にあう。突然の事故で「死」と直面した経験がある。3日間集中治療室に入れられ、台湾で入院、帰国後頭部手術、入院と続き、元に戻るのに約2年間を要した。

病気と事故との違いはあれ、突然発生した「変化」(岩にぶつかる)に、私も向き合った。「思わぬ対応」を強いられるが、これも人生の流れと思い、楽観的にいられる自分が不思議でもあった。加害者を憎むわけでもなく、一歩立ち止まって人生を見つめ直す時間を与えられたと感謝する気持ちすら湧いてきた。

・「流れ着いた場所では、運と適応が大切。どんな意欲を持ってどんな世界にしたいと思って動くか、自分の意思次第」
・「生きていくための知恵は、不幸といかに向き合っていくかの知恵とも言える」

出口氏の普段の好奇心、教養、迷った時はやるの決断、ポジティブな生き方は私の目標でもある。

副題の「人生は楽しまなければ損です」に、出口氏の思いが集約されていますね。

『絶対悲観主義』 楠木建・著

繰り返しますが、幸福ほど主観的なものはありません。幸福は、外在的な環境や状況以上に、その人の頭と心が左右するものです。あっさり言えば、ほとんどのことが「気のせい」だということです。自らの頭と心で自分の価値基準を内省し、それを自分の言葉で獲得できたら、その時点で自動的に幸福です。「これが幸福だ」と自分で言語化できている状態、これこそが幸福に他なりません。

第2章 幸福の条件 (p48)

『絶対悲観主義』 楠木建・著

副題の「心配するな、きっとうまくいかないから」は、絶妙の表現ですね。楠木さんお得意の(?)逆説的な考えを上手く表現されている。「きっとうまくいくから」と言うと「上手くいかなきゃならない」と使命感が生じる。「みんな成功したい(上手くやりたい)と思っているのに、大抵は上手くいかないのだから気にするな」と言うところでしょうか。そう思うと緊張を和らげ、失敗してもまたチャレンジしよう、とポジティブな気持ちになれそうだ。絶妙の表現ですね。

東京で何度か講演をお聴きしたり、実際にお会いしてお話をしたことがあります。ユーモアたっぷりのお話は、モノゴトには表裏(本音と建前)があって、逆からみると全く異なった世界(考え)も見えてくることを教えられます。

・高齢化問題(健康、認知症など)に対して「教養」の重要性。
・友達とは、偶然性、反利害性、超経済性という条件を備えた人間関係
・藤沢武夫(本田技研工業(株)創業副社長)の「経営はアート、演出の基本は意外性」

「第12章 痺れる名言」には、歴史上の人物、歴史家、作家、政治家、俳優などの語り継がれる「本質をつく名言」が紹介されています。どれも、楠木さん流の解釈と共に紹介されているのが面白いし、よりグッときます。

心配せずに、「私の幸福言語化プロジェクト」を始めてみます。

『基礎自治体の文化政策』〜まちにアートが必要なわけ 藤野一夫・著

藤野一夫+文化・芸術を活かしたまちづくり研究会

全国各地で繰り広げられている「文化・芸術を活かしたまちづくり」を現地調査・研究しまとめた書籍。調査を行ったのは基礎自治体の職員たち。指導助言者として参加した藤野一夫(芸術文化観光専門職大学副学長/神戸大学大学院教授)氏がまとめたもの。

新潟県十日町の「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」、「金沢市民芸術村」「いわき芸術文化交流館アリオス」など、全国に先駆けて新しい制度を導入したケース、外部から実績のあるプロデューサーを招き開催するもの、市民ワークショップを繰り返して建設した施設、地域に根ざした生活、街並み、芸能、空き家などを再活性化する試み、など参考になる情報が満載です。兵庫県では、「兵庫県立芸術文化センター」「三田市総合文化センター 郷の音ホール」が紹介されています。

私は、但馬の文化活動、特に各市町で行われている音楽イベントについて関心がありました。相互の連携、情報の共有などが希薄なのに少し課題を感じているので、芸術文化観光専門職大学(CAT = College of Art and Tourism)の藤野副学長にお話をお聞きする機会を作っていただく。藤野副学長は、自治体の文化政策が専門で、ドイツにも長く滞在され、ご自身は音楽にとても造詣が深くていらっしゃるので、大きな学びを得ました。この著書も、直接いただく。

第3章には、平田オリザさんの公開シンポジウムの基調講演「文化によるまちづくりの可能性」も掲載されています。現代社会の現状、問題点を浮き彫りに、それを文化でどう解決していくのか、平田オリザさんのお話は説得力があり、いつも納得、ワクワクする。ご一読を。

『古くて素敵なクラシック・レコードたち』 村上春樹・著

レコードを集めるのが趣味で、かれこれ六十年近くせっせとレコード屋に通い続けている。これは趣味というよりは、もう「宿痾」に近いかもしれない。僕はいちおう物書きだが、本にはなぜかそれほどの執着はない。しかしレコードに関しては、認めるのはどうも気恥ずかしいのだが、それなりの執着があるみたいだ。

『古くて素敵なクラシック・レコードたち」
なぜアナログ・レコードなのか? (p10)

村上春樹と言えばジャズ、と思い浮かぶ(若い時にジャズ喫茶もしていた)が、クラシック音楽の造詣も深い。まあ、私がどうのこうの解説するのもおかしい。彼の小説を読み、ジャズの蘊蓄を学び、いろんな知的興味を引き出してくれたのだから。

「中古レコード店に行くとまずジャズのコーナー、それからクラシックコーナーへ。」
「レコード・コレクションは、ジャズ7割、クラシック2割、ロック・ポピュラーが1割」
「ジャケ買い、安いから、クラシックではコンプリート蒐集しようの目論見はない」
「名盤には興味し、ダメ元でできるだけ安く買って気に入らなければ処分、気に入れば残す」

などなど、村上の行動パターンを知ると、私の学生時代を思い出す。新宿の中古レコード屋『UNION』に暇さえあれば通って、レコードをチェックしたものです。私の場合は主にジャズだったが、アルバイト代がほとんど全てがレコードに消えていた。私の場合は、ジャズ8割、ロック1.5割、クラシック0.5割かな。

と、言うことでこの「古くて素敵なクラシック・レコードたち」には、ほとんど知られていない(私が知らないだけかもしれないが)演奏家、指揮者も多数登場する。

これらを聴くのは、以前だとほとんど不可能(レアなものばかりなので)だったが、今は、アップルミュージックで検索して結構見つかる。村上のクラシック・ワールドを読みながら、ダウンロードして聴く。「古」(いにしえ)と「今」が混じり合う、なんだかすごい時代になっていますね。

全部で100曲紹介されています。1曲3〜4ページの村上解説を読みながら、一つの曲を異なる演奏家の演奏を聴き比べるのも楽しい。お試しあれ。

『プロジェクト マネジメント』山口周・著

『プロジェクト マネジメント』 山口周・著

「何の役に立つのかよくわらないけど、何かある気がする」というグレーゾーンの直感を大事にする心性です。これは人類学者のレヴィ・ストロースが言うところの「ブリコラージュ」です。
第四章「何の役に立つのか、よくわからないもの」 p.214

多くの企業から「イノベーションを起こすにはどうしたらよいのか?」と言う問いに答えて、筆者がレヴィ・ストロースの「ブリコラージュ」と言う概念を用いて応えている。

「ブリコラージュ」と言う言葉が気になったので調べてみると、
「拾い集めたもの」「手近なものを何でも利用して作業すること」とある。

すぐに役に立つと思えない「よくわからないもの」「ありあわせのもの」でも収集しておいて、いざという時に役立てたり、新しいものを生み出す原動力になるもの、と言う意味。

これを筆者は「野生的でしなやかな知性=ブリコラージュ」としてイノベーションの最も重要なものとして紹介している。

『知らないと恥をかく世界の大問題11』池上彰・著

やがてコロナ禍が収束したら、世界中でサプライチェーンの再検討が進むでしょう。と共に、「行き過ぎた資本主義」の見直しも行われるはずです。「行き過ぎた資本主義」とは、効率一点張りの企業活動です。
『知らないと恥をかく世界の大問題11』 池上彰・著

一言で言うと「行き過ぎた資本主義」の次に来る時代はどうなるのか。コロナ感染と言うパンデミックに後押しされ大変化が起きている現在の問題点をわかりやすく説明されている。

二極化する世界(超大国のアメリカと中国の対立、富裕と貧困の格差拡大と定着)。
トランプ再戦はあるか?イギリスのEU離脱。中東と東アジアの危機。そして最後に日本の長期政権による弊害について語られている。

特に「欧州の分断」、「中東の混乱」についてその本質を知ることことの大切さを感じる。