『知らないと恥をかく世界の大問題11』池上彰・著

やがてコロナ禍が収束したら、世界中でサプライチェーンの再検討が進むでしょう。と共に、「行き過ぎた資本主義」の見直しも行われるはずです。「行き過ぎた資本主義」とは、効率一点張りの企業活動です。
『知らないと恥をかく世界の大問題11』 池上彰・著

一言で言うと「行き過ぎた資本主義」の次に来る時代はどうなるのか。コロナ感染と言うパンデミックに後押しされ大変化が起きている現在の問題点をわかりやすく説明されている。

二極化する世界(超大国のアメリカと中国の対立、富裕と貧困の格差拡大と定着)。
トランプ再戦はあるか?イギリスのEU離脱。中東と東アジアの危機。そして最後に日本の長期政権による弊害について語られている。

特に「欧州の分断」、「中東の混乱」についてその本質を知ることことの大切さを感じる。

野草図鑑〜色で見分けられるから重宝!

『色で見分け五感で楽しむ野草図鑑』高橋修・著

「ただの雑草」が「野草」に変わり、観察してみるとどの植物も繊細な細工が施されているのがわかる。「わかる」ともっと知りたくなり、知れば知るほど好きになる。
(本書の紹介文より)

植物を調べようにも、名前が分からないと事典も図鑑も引けない。膨大な写真から似たような植物を探そうにもなかなか上手くいかない。

その点、この図鑑は色で纏められているので、グッと絞られた写真から選ぶことができて便利だ。身の回りにある「雑草」という名の植物はない。

植物に関心のある初心者には打ってつけ。
オススメです。

『知の旅は終わらない』 立花隆・著

僕は、毎日毎日移動しつづけることや、屋根がないところで一晩過ごすこと、今日寝るところと明日寝るところが違う場所であることには、なんの驚きも感じないし、むしろそのほうが心理的にはしっくりくる。どこか一定の場所にしっかり腰を落ちつけた状態というのは、あまりなじめない。
『知の旅は終わらない』 立花隆・著

「僕が3万冊を読み100冊を描いて考えてきたこと」とある。このサブタイトルの通り、出生から戦前戦後の体験、青春時代、そして「田中角栄研究」「ロッキード事件」と、その好奇心(関心事)は、一つのところに留まらず、次から次へと転戦していく。「引用」は、私が読んで最も印象に残った箇所を引っ張り出すのだが、ことこの著書については、次から次へと「移動」してしまうのでテッペンが見つからない。「はじめに」の冒頭を紹介するしかない。でも、まさにこの通りなのだ。

私なりにまとめてみて、主なテーマはこんなところだろう。
「戦前戦後の引き揚げ体験」「優秀(IQで一番)な幼少時代」「東大入学と安保闘争」「青春時代の世界大旅行」「田中角栄研究とロッキード裁判批判」「宇宙、脳死、生命科学」「天皇と東大」「がん罹患と武満徹、そして死」

多岐にわたるテーマ。その中で「天皇と東大」の中の一節に東大初代学長・加藤弘之の変節」というところがある。明治時代、豊岡市出石町出身の加藤弘之は、地元の偉人として有名だが、その人物、その思想はあまり知らなかった。明治天皇に洋学の立場で西洋文明を講釈した啓蒙思想家の雄とある。もう少し、知ってみる必要がある。

私も大好きな「武満徹」とのやりとり(p383〜395)も面白い。

『地図帳の深読み』 今尾圭介・著

昨今「多様性」が叫ばれるのは、世界を均一化の方向へ誘うグローバル化への警戒感ゆえだろうか。紛争の多くはお互いの無理解に起因するのだろうが、異文化を認め合うことが広義の安全保障につながるとすれば、炎上するセンセーショナルな報道ではなく、地道に地図帳に親しむことこそが平和への王道かもしれない。
『地図帳の深読み』 今尾圭介・著 (「あとがき」p173 )

著者の「あとがき」を読んで、そんなに高尚な学びにもなるんだと気づく。この著書の面白いのは、地球誕生からの地形をベースに、ヒトの歴史を辿っていること。国名、地名などのネーミングの由縁など、地形(空間)と歴史(時間軸)とを交差させながら解説しているところなど。

コロナで中断してしまったが、これからいっぱい「旅」をしてみたい、と読んでみた。

身近なところでは、「日本最多 七つの国にまたがる兵庫県」(p52)訪ねたことのある「中国雲南省の大河並走〜長江、メコン川など名だたる川の源流部」(p24)など、深く知るとさらに興味が湧いてくる。

『音楽と契約した男』 瀬尾一三・著

『さらに祖父の家からバスで20分ほどの距離に、母方の祖父が持っている劇場があった。その劇場は、1週間のうち何日かは映画を上映し、月に約10日間は旅役者の一座が公演を開催していた。(中略)
映画のスクリーンがある場所は芝居が上演できる舞台になっており、その裏には楽屋がある本格的な劇場だった。瀬尾少年が劇場に行くと映画を無料で観ることができたから、気に入った映画は何回も観た。

『音楽と契約した男』 瀬尾一三・著(p18)

いつだったか、誰からだったか、忘れてしまったけど、音楽プロデューサーの「瀬尾って人」(この名前は覚えていた)が、「出石に来たよ」(だったか「出石と縁がある」)と聞いたことがずっと頭に残っていた。この本を見つけた時、ピンときて即購入。
引用した文章を読む限り、これは豊岡市出石町の永楽館に間違いなさそうだ。聞いた話は正しかった。(ほっ!)

読んだきっかけはそうだが、そもそも音楽大好きな私も学生時代からジャズもロックもJポップも親しんできたので、瀬尾さんがプロデューサーとして、アレンジャーとして関わった曲を知って驚愕!

中島みゆき、長渕剛、かぐや姫、吉田拓郎、風、徳永英明、などなどなど。当然ながら松任谷正隆やユーミン、亀田誠治などミュージシャンとの交友も深い。

なんだ、私が聴いてきた曲の裏側(?)にはみんな瀬尾さんがいたんだ。

出石のご縁で何か関わりができたらいいなあ。豊岡市は今年から世界を視野に演劇祭もやる予定。音楽と演劇(パフォーマンス)との融合で面白いことできそう。

地図でスッと頭に入る歴史

かねてより「世界史」と「日本史」を復讐してみようと何冊かの本を読み、自らのオリジナル年表(エクセルで作成)に整理する作業を行ってきた。

単に年表を覚えるのではなく、その事件がなぜ起きたのか?を意識してやってきた。

ちょっと一服な感じでこの2冊を手にとる。確かにシンプルで頭の中が整理できる。

『いきづらさについて考える』 内田 樹・著

リタイアすることの最大のリスクは、「現場を失う」ことです。メディア経由の情報しか触れることができず、加工される前の「生もの」の現実との接点を失うことです。それについて退職者は十分に危機感を持った方がいい。
『生きづらさについて考える』 内田樹・著 (「人生100年時代を生きる」p267)

納得である。加工品を味わい、その美味しさ(素晴らしさ)を語ってもどこか味気ない。「生」の素材に触れ、自分で加工する、この行為が大切だ。

ある程度の地位に達すると、実生活では、もう誰からも叱られるということがなくなってしまう。だから、自分から叱られる現場を探して、叱られるために月謝を払う。(p269)

「リタイア後には、お稽古事をやるのが良い」とも。「道」がつくものが良さそうだ。柔道、剣道、弓道は、体力的には困難だが、茶道、書道、能楽などの精神性、身体訓練など有効そうだ。「日本文化」にもとても興味がある。どうも今の私には「西洋音楽」の方が優先している。なんとか、両立、どこかで合体ができないものか。

以下は、読書メモより

思考停止
•組織的危機の到来を警告する人間は日本社会では嫌われる
•→原発
•最悪の事態が到来するまで何もしない
•それなりに合理的な解
•日本人は最悪の事態を考えると途端に思考停止になる

コミュニケーションとは違いを認め合うこと
•SNSで子どもたちのコミュニケーションは便利になった
•強い同質化圧が働いている
•コミュ障
•共感⇆違和感
•理解⇆共感
•意味不明⇆腑に落ちる
•一度決まったキャラを変更するのは容易ではない

人文学は生き延びる道を探す学問
•扱う素材の時間軸が長く、空間も広い。
•考古学や歴史学
•民俗学や地域研究、異文化の国
•今、ここ、私と言う基準では測れないことを学ぶ

大岡裁きは日本人の生存戦略
•日本人は「調和」のうちに安らぐことを、ヨーロッパ人は「自由」のうちに安らぐ

「文喫」〜入場のある本屋(六本木)

六本木を歩いている。そうだこの辺りに本屋(青山ブックセンター)があったから寄ってみよう。と、行ってみると新しい本屋さん(らしき)お店に変わっている。お店の名は「文喫」(ぶんきつ)。入場1500円の有料本屋さん。好奇心にかられて入ってみた。

本の並びは大きく変わらないが、その本を何冊かピックアップしてテーブル席につく。1杯目のコーヒーかティがサーブされている。

入場料ありだが、週末ともなると1日中満席だという。
閲覧室のデスクは、ゆったりとした椅子、デスク照明、ネット環境、集中できる空間と、読書には快適だ。

「文喫」(六本木)

『京大変人講座』 酒井 敏/他 ・著

ナマコを採ってきて、お米をつくっている人に「ごはんだけだとさみしいでしょう?これ、美味しいですよ〜、ごはん進みますよ〜」と言って”高い金で”ナマコを売りつければいいのです。その収入の中から自分はお米を買って、初めて経済が回るのです。
 つまり、世の中の発展のためには、全員がお米をつくってはいけないのです。ナマコを採るべく冒険に出かける人間が必要です。当然、全員ナマコ漁師になってしまうと、ごはんが食べられなくなりますから、こめをつくってくれる人もありがたい存在です。
 ですが、お米の農家さんが多数派だと仮定すると、私たちはあえてナマコを採りにいくリスクを取りたいと思うのです。
『京大変人講座』 酒井敏/他・著 (p268)

紹介文が長くなってしまいました。
変人の大切さを「ナマコ理論」で説明する、まさに「変人」の横顔が滲み出ているのでこの部分を抜粋しました。^ ^

ノーベル賞受賞者をたくさん輩出したまさに「京大」の真骨頂だろう。

6名の京大教授(准教授、助手含む)が登場し、それぞれの専門分野についての授業がある。「地球」「経営」「法哲学」「社会デザイン」「生物」「予測」。

それぞれ「目からウロコ」の新事実、視点、思考、論点が満載。

どれも面白いが、私は特に「なぜ鮨屋のおやじは怒っているのか」(経営の教室)がオススメ。

「おもてなし」は英語で「ホスピタリティ」。語源をたどるとギリシャ語で「ホスペス」(「見知らぬ者」、「力を持つ」の組み合わせたもの)とつまり「敵意ある見知らぬ者には対して力を持つ」遠言う意味。なぜこれが「おもてなし」なのか。

文化人類学的に解くとどうなるのか、どうぞ読んでみてください。

『人口減少社会の未来学』 内田樹・編

 「縮む」イメージで語られがちな日本の未来は、決してグルーミーなわけではない。少なくとも、「熱い近代」の呪縛から解き放たれ、そのソフトパワーを外交戦略重視の平和主義へと転換し、低成長=定常化を受け入れ、減災に優れた地域分散型の国土をネットワーク的に結びつけ、優れた文化的付加価値を多品種少量生産システムとリンクさせるサイクルを築ければ、日本はなだらかに斜陽を謳歌する成熟社会へと移行することができるはずだ。
『人口減少社会の未来学』内田樹・編
(「斜陽の日本」の賢い安全保障のビジョン」姜尚中 より p287)

日本はすでに「人口減少」の道を辿っている。これからの「人口減少社会」の実相について様々な分野で活動している識者からの寄稿文を内田樹氏がまとめた論集。

生物学者、経済学者、政治学者、建築家、劇作家、保育士、コラムニストなど、それぞれの視点で語られていて、幅広く、そして深く、人口減少時代の日本が浮き彫りにされる。

建築家の隈研吾氏は、建築業界を江戸時代の武士道に喩えて、戦後の高度成長を成し遂げた立役者である建設産業、重厚長大産業が低成長の現代も脇役へ回ることなく主役であり続ける所に課題があると指摘。

イギリス在住コラムニストのブレイディみかこ氏は、ヨーロッパの緊縮財政政策が引き起こす厳しい現実、緊縮財政は返って借金を増やしている事実、新たな「ニューディール」政策の台頭など、日本人の人口減少に対する楽観論に警鐘を鳴らす。

劇作家・演出家の平田オリザ氏は、「若い女性に好まれない自治体は滅びる」として、豊岡市の「教育と文化施策」を紹介。18歳までに自分の道を選択できる教養、考える力を身につける自己決定能力を磨く。世界一流のアートに触れる文化政策が豊岡市の基本となっている。(平田オリザさんは、この秋には豊岡市に引っ越して来られるので、人口減少社会をより身近なところで議論してみたい。)

冒頭に紹介した姜尚中氏の「熱い近代」から「成熟社会」への移行が、現在の私の問題意識に答えてくれている。

他のそれぞれの寄稿者の論考文もぜひ、読んでみてください。