『書くとはどういうことか』 梶谷真司・著

はじめからとりとめもなく書いたり、わかりやすく丁寧に説明しようとしていろいろ書いたいりしているうちに、結局何を言いたいのかわからなくなることがあります。
そのような時、自分にこう問いかけします。ーー「結局どういうことなのか」「要するに何が言いたいのか」ーーそして簡潔にひと言でまとめてみます。すると、自分が本当に言いたかったことの核心が見えてくるでしょう。
『書くとはどういうことか』 梶谷真司・著
(第3章 書くための「考える方法」より p91)

サブタイトル「人生を変える文章教室」は、いささかオーバーな気がするが、2005年以来、ブログ『KOH’s VIEW』を書いてきて、「書くとはどういうことか」「何のために書くのか」ということを、私もずっと考えてきました。その間に、TwitterやFacebookなどのSNSがスタートし、ますます「何のため?」「誰に向けて?」と疑問が深まり、筆を置いた(パソコンなら何というのだろう?(笑))時期もある。

この著書の一つの結論として「文章を書くとは自分と向き合うこと」とある。私もそうだなと実感している。

「書くことで考える」「考えるために書く」。この往復こそが「向き合うこと」になる。
その時に守るべき3つの原則が紹介してある。
1. 書いてから考える
2.長い文章を書かない
3. 手と目で考える

1.は、「考えてから書く」のでも「書きながら考える」でのもなく「書いてから考える」。2.は、テーマの素材を「単語」「語句」「短文」の形にする。3.は、目と手を使って紙の上(もしくはパソコン)に書き留める。つまり「考えていること」が目で見て、手で触れる部品のようになる。その上で、設計図(ストラクチャー)を考えながら取捨選択、配置を決めて組み立てていく。

この3原則を参考にしながら、「書き続ける」(自分と向き合う)ことを大切にしたい。

『90歳の人間力』 外山滋比古・著

己を知るは超人 敵を知るは達人 
凡人はなにもわからず戦って敗れる (p29)

田舎の学問より京の昼寝 (p32)

われわれ日本人は、見た目を大事にする
中身はわからなくても 見た目がきれいなら信用する(p96)

『90歳の人間力』 外山滋比古・著

タイトルの「90」に惹かれて、この本を購入。

今年、私は「95歳まで生きる」と決意した。

昨年、ある建築家の対談で「私は95歳まで生きる」との発言を聴いたのがきっかけ。自分に置き換えて計算してみると、ドーモ・キニャーナ(自宅)に住んで29 年(2021年時点で)。95歳までにあと29年ある。つまり29年間という時間をもう1回過ごすことができる、ということ。決意の動機は至って単純明快。ただ、それだけである。

祖父が96歳で、母が98歳で他界したので、90歳を超える姿は見てきた。しかし、時代も環境も習慣も異なる。90歳ってどんなのだろう?と、この本を読んでみた。

外山滋比古氏は、2020年に96歳で逝去。ベストセラー『思考の整理学』の著者。34話のエッセイが掲載されている。

晩年になって到達した卓見の数々であるが、少々注釈をつけないといけないご意見もある。

「敵を知る」ことは不可能に近い、己を知るのはもっと難しい、との見解。もしも知れば、戦争なんて起きない。なんか逆説の説得力。

「京の昼寝」の真意は、忙しい人ならハガキは5分もあれば充分。都の学者は何かと忙しいので手早くさっさと仕事を仕上げるので思いがけないヒマができる。

「見た目を大事」は、安売りの黒ずんだバナナ、実は一番美味い。見た目で人を判断する。選挙では見た目のパッとしない候補者は苦戦する。日本料理は盛り付け、椀や皿にこだわる。外観と中身は必ずしも一致しない、と言っているわけだが、少々強引な見解とも感じる。

90歳の達観に触れた感はあります。

『まちづくり幻想』 木下 斉・著

地域プロジェクトにおいてよくある質問は、「何をやったらいいでしょうか」というものです。この質問は、どこかに「答え」が存在し、優れた人だけがそれを知っていて、だから間違わずに成功できるのだ、という「思考の土台」がある人の発想です。この質問そのものが間違いであり、失敗の始まりなのです。(中略)
成功する人たちはそもそもそんな考えを持っていません。成功の理由は自分たちで考え、自分たちのお金の範囲で失敗を繰り返し、改善を続けているからです。結果だけを真似ても意味がないことを、成功する人たちは理解しているのです。
『まちづくり幻想』 木下 斉・著

数年前、東京丸の内で開催した「豊岡エキシビジョン」(豊岡市を紹介するイベント)で知った著者の木下 斉氏。ストレートな発言でズバズバと地方創生事業の矛盾点を指摘し、税金の無駄遣い、地方創生の手段が目的化している現状を切り捨てていく。まさに、私自身が感じていることと多くのことが一致する。

今回の著書も多くのことを気づかせてくれました。

・地方プロジェクトは「安くして、たくさんの人に地元を知ってもらうのが善」という幻想に支配されている。「安くいいものを提供するのが美徳」の概念から脱却すべき。
・プライシングの間違いに構造的欠陥がある。→生産者(漁師、農家)が生産物を購入したことがない。都市部に向けて正しい値付けができない。(安過ぎる)
・民間が先進地(成功事例)視察の予算を行政に負担させ(または、行政が負担し)、その取り組みを真似る。うまくいかないと次のネタ探し。行政は視察のための予算を取るのが仕事。さらに国の政策は、成功事例として全国に横展開をさせようと支援制度を作る。まさに、悪循環。
・創生事業には、地元に何代も続く信用される人・事業経験を積んできた人・やるべき投資をする人の3つの軸が必要。
・第2次安倍政権は地方創生政策のため地方へ予算を配る。その行方は、地方自治体の約8割が戦略策定のコンサルタントへ外注。その外注先は東京都に本社を置く組織が約50%以上のシェア。つまり、地方に振り向けたお金の4割以上が東京へ還流していた。
・新たなプロジェクトを立ち上げる4つの原則。1.負債を伴う設備投資がないこと。2.在庫がない。3.粗利率が高い(8割程度)。4.営業ルートが明確。

ちなみに、この著書の中で紹介されている事例には知人も登場。

・メイドインジャパンの工場を直結したアパレル製品を企画販売するブランド「ファクトリエ」を立ち上げた山田敏夫社長。弊社にも来社され、NAKATA HANGERも販売していただいている。
・兵庫県たつの市で歴史的建造物を買取り再生する事業を行なっているまちづくり会社「緑葉社」の畑本康介さん。畑本さんは、但馬コネクションにも何度か参加さレました。

頑張っている知人(知っている人)も登場し「まちづくり」とは何か、実現への正しい考え方を改めて考えてみないといけない。

『運動脳』 アンデシュ・ハンセン・著

運動をすれば気分が爽快になることは、わざわざ研究が証明しなくても知らぬ者はいない。だが、運動が認知能力(たとえば創造性、ストレスに対する抵抗力、集中力、知能など)に具体的にどのようにして絶大な影響を与え、またなぜ私たちに欠かせないのかといった理由については、あまり知られていない。事実、これに気づいている人は、ほとんどいないと言っていい。
『運動脳』 アンデシュ・ハンセン・著
(「おわりに〜ただちに本を閉じよう」より p359 )

2021年のベストセラーとなった『スマホ脳』の著者の第2弾。「運動」つまり「身体を動かすこと」が最高の処方箋だという事例が次から次へと紹介。神経科学の研究成果を裏付けとし(裏付けないものは「ない」と表明しつつ)、展開されている。

・脳の働きの研究結果より→脳は私たちの一部ではなく、脳が私たち自身なのだ
・身体を動かすことほど、脳に影響を及ぼすものはない
・定期的に運動を続けると運動(運動も一種のストレス)以外のストレスを抱えていてもコルチゾール(ストレス物質)の分泌量を減少させる。
・脳の重要な部位(海馬)を若返らせ成長を促す→週に3回、40分、早足で歩いただけ

その他にも、さまざまな実験から得られた運動と脳の関係の事例が多数紹介されている。「お酒はほうとうにストレスに効くのか」、「ウォーキングか、ランニングか、サイクリングか、その効果は?」、「うつ病予防は毎日20〜30分歩くことで気持ちが晴れやか」など。

「私自身」=「脳」と捉えれば気になるところ、大いに参考になる。

『リセットの習慣』 小林弘幸・著

今回のテーマは「リセット」です。
題材としているのは、やはり「自律神経を整えること」が中心ですが、その知見を十分に活かしながら、「今この瞬間から人生をリセットする」ことを念頭に置いて書いて来ました。
本文中でも紹介しましたが、私の大好きな言葉に「闇深ければ、暁近し」と言うものがあります。辛く苦しい時期であればあるほど、希望が見えてくる瞬間は近い。そんな意味合いの言葉です。
『リセットの習慣』 小林弘幸・著
(「おわりに」により p253)

著者の小林弘幸氏の著書は、結構読みました。小林氏は順天堂大学医学部教授、自律神経研究の第一人者。交感神経、副交感神経に興味があり、その関係図書を読んだ折に著者を知りました。

今回は、短い文章(1テーマを2ページで)でそのポイントが解説してあるので、気になるテーマを見つけて、どこからでも読める。

悪い流れの時には、理由もわからず、どんどんそれに乗ってしまって止められない、という経験はよくあること。著者は『人の体は「流れに乗る」のは得意だが「流れを変える」のは苦手、それを止めるのがリセット。人生のリセットは、ゴールではなく、スタートを目指して生きること』と指摘する。

「あ、そうだそうだ」「なるほど」「それできそう、いいね」など、思いつくヒントがいっぱい。気楽にリセットしてみる方法満載。

・深い呼吸を意識する。忙しい、緊張、落ち込んでいる時は呼吸が浅い。
・よく噛んで食べる。唾液が持つ免疫力向上、自律神経が整う。
・朝はリズム感(ロック)で交感神経高め、夜の睡眠は歌詞のないゆっくりな曲(クラシック、ジャズ/バラード)で副交感神経を高める。
・ピアノ演奏、プレゼンの緊張対策は、「心」よりも「技」が結果的に心の余裕が生まれる。
・集中力が続かない時は、「10分」の休憩を入れる。「10分の魔法」

など、など。

『大アジア史』 宇山卓栄・著

文明は民族も思考と行動の累積であり、民族の持つ世界観を表します。日本や中国、朝鮮半島などの東アジアはもちろんのこと、東南アジアやインド、中東や中央アジア、トルコに至るまで、アジア民族の足跡を幅広く辿ります。
同じアジア民族でも何が異なり、何が同じなのか。アジア各民族の思考パターンや習性とは。こうした問題意識とともに、アジア人やアジア文明を、つまり「我々とは何か」を、読者の皆様と考えていきます。
『民族と文明で読み解く 大アジア史』 宇山卓栄・著

本書の「はじめに」にもあるが、教科書で習ってきた歴史だけでは、現在のアジアの情勢、ひいては世界情勢は理解できない。それぞれの民族のルーツとその歩んだ歴史を知ることによって初めて「現代」が読み解ける。

本流だけの歴史知識ではなく、ちょっと違った視点で民族や国の歴史を知ると、歴史の「なぜ?」が見えてくることもある。

例えば、中国の主要統一王朝「秦→漢→晋→隋→唐→宗→元→明→清」9つ続くが、漢民族が作った王朝は秦、漢、晋、明の4つ。これを知ると、北方遊牧民、南方農耕民族などの興亡という中国の歴史が見えてくる。

水洗いできないウール製製品からウォッシャブルな綿製品へ移行により、ヨーロッパの病原菌との戦いが改善された。18世紀以降、綿の需要が高まり、量産する必要性から紡績機・織機の機械化、アメリカ南部のプランテーションなどにより、イギリスの産業革命、アメリカの奴隷制などに繋がっていく。

7世紀、中国は日本を「倭」と記述しているが、「倭」は「付き従う者」という意味。日本ではこれを嫌い「和」を使うようになり、さらに「大」をつけて「大和(やまと)」とした。

それぞれ諸説あるので、鵜呑みにはできないが、様々な視点、思想、研究を知ることで、歴史の幅が広がり、民族問題、国際問題など「現代」を読み解く大いなるヒントになる。

『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』 柴田重信・著

本書で私が提案したいのは、たった3つです。
「朝、光を浴びよう」
「朝食をしっかり食べよう」
「夕食から翌日の朝食まで、12時間以上の絶食をつくろう」
『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』 柴田重信・著

「ダイエット」「脂肪を落とす」と言う言葉が目(耳)に入ると、反応してしまう。そう、いつもの私の課題。

昨年夏は、3ヶ月ぐらいで3〜4kg体重が減り、それだけでも(本当は8kgぐらい減らしたい)、体調が快適で、服の着心地もよくなった。特に何をした(しなかった)わけではないけど、ウォーキングをしっかりと行い、食事も朝・昼・夜と規則正しくとったのが功を奏したのではと考えている。今夏も期待したが、猛暑で運動習慣が崩れ、夕食のビールやワインが進む。体重は微増。そう甘くはない。

本書では、「1日3食、朝昼夜が均等」「プチ断食」「食べていい時間は体内時計で決まる」で始まって、「社会的時差ボケ(社会の時間と自分の時間の時差)の解消」「脂肪を落とす運動、筋肉をつける運動の時間はいつ」など、示唆に富んだテーマが並ぶ。

私は特に「朝食」に注目してみた。これまでは、パンと卵と野菜中心の軽めの朝食を規則正しく。(これはこれで良いと思うのですが)。体内時計のリセット効果が大として「ご飯と魚」とあるので、朝食を和食に変えてみている。ご飯の糖質と魚のタンパク質と脂、それに味噌汁と納豆を取り入れて、バランスよく。そうそう、野菜も忘れずに。

まだ始めたところだが、美味しすぎて、おかわりしたくなるのが難点。その分、昼食はどうしよう?と思案中。途中経過は、体重微増中。(>_<)

♬ダイエットは続くーよ、いーつまでもー♫

『瓢箪から人生」 夏井いつき・著

ふーむ、なるほど。俳句を作る=自然に親しむだし、酒は十分愛しているし、人生色々行きつ戻りつだし、山頭火終焉の地となった松山在住だし、山頭火と同じく、温泉のあるあったかい地で俳句三昧の日々をすごしてのポックリ往生を目指しているし、まさにピンポン!ではないかと、我ながら納得してしまう。(笑)
『瓢箪から人生』 夏井いつき・著
(「瓢箪から悲喜交々の人生だ」 p326)

夏井いつきさんが『第4回 種田山頭火賞』(2021年)を受賞された時の思いを綴っている。時々観る MBS『プレバト‼︎』俳句コーナーでの夏井いつきさんしか知らないけど、番組でのやり取りを見ていてまさにそうだろうな、と一致する。(ご本人がそうおっしゃっているのだから間違いない)

ブログもそうだが、「書く」「書いて伝える」「心に届く表現」まあ、偉そうに言えないけど、いつもどうしたら上手く書けるのかと思っている。人生の一コマ、出会い、自然の中での発見や気づき、など。そこで「俳句」と言うのが私の中で登場するのだが、どうも得意ではない(下手)( >_<) 。こんな私でもなんかヒントにならないかと読む。が、「やってみないとわからない」と言うのが実際のところ。

夏井いつきさんの波瀾万丈(ストレートで「豪快」と「繊細」の入り混じった)人生は、山頭火賞受賞に充分匹敵する魅力がある。ご一読を。

余談になりますが、

種田山頭火賞の第3回受賞者のピアニスト碓井俊樹さんは、兵庫県豊岡市の音楽祭「子どもたちが豊岡で世界と出会う音楽祭」(おんぷの祭典)の音楽監督。知り合い、お付き合いが始まって8年になる。精力的に世界を飛び回って音楽活動されている。もちろん、お酒(ワイン)もお好きなのは言うまでもない。但馬コネクションでもピアノ演奏もしていただきました。

『ともに生きるための演劇』 平田オリザ・著

『ともに生きるための演劇』 平田オリザ・著

「会話」・・・親しい人同士のおしゃべり
「対話」・・・異なる価値観を持った人とのすり合わせ
そしてまず対話の場合、その大前提として「対等な人間関係」であることが求められます。先にも述べたように、日本はハイコンテクストな社会です。その上、この「対等な人間関係」というものがなかなか成り立たないという背景もありました。そもそも「対話」ができる機会自体が非常に少なかったのです。「対話」を学ぶ場が抜け落ちているという以前に、「対話」という概念が弱かったのかもしれません。
第2章 演劇で「日本語」を捉え直す (「対話と「会話」の違い p 57)

日本は「わかりあう文化」「察しあう文化」という独特の社会を形成してきた。それがアジアの中でいち早く近代化できた、との見解を示す。現代の世界は多様化に向かい、コロナウイルス感染、ロシアのウクライナ侵攻などによって世界は同時に影響を受けながら、一方で多様な価値観が表出してきている、との認識をまず示すところから始まっている。

作家であり、演出家の平田オリザ氏は、日本語に着目して、演技の違和感を指摘し、日常生活の中での「会話」と「対話」の違いからこれからの学校教育を考える。

さらに背景の違うもの同士がどうコミュニケーションを取ったら良いのか、異なる他者との向き合い方を指南する。「シンパシー/同情」と「エンパシー/共感する力」の理解、最後に「ゆるやかなネットワーク社会を作る」ことの大切さと意義を訴える。

印象に残るエピソード(事例)
・中高年男性の入院患者が「若い女性看護師に子供扱いされた」と怒る。それは日本語の歴史の中で、女性が男性に指示する関係は、おそらく母親が子どもに指示する関係しかなかったから。言語としてのボキャブラリーがまだ乏しい。
・自然災害は、家族友人を失い、家や集落が破壊され目に見え「同情できる」。コロナによるパニックは「わかりやすい弱者のいない災害」である。同情をどこに向けるのか?自分?そこから他者への攻撃転化になったのでは?
・「ライフ(life)」は、「命」と「人生」という両方の意味がある。守るのは「命」だけでなく「人生」も。人生は文化を必要としている。

※ハイコンテクスト〜同じ生活習慣、同じ価値観を持つ共同体。言葉で多くを説明しなくても理解できる。コンテクストとは「文脈」「コミュニケーションの基盤」「文化的な背景」。

『行く川の流れは、動的平衡」 福岡伸一・著

行く川の流れは、動的平衡』 福岡伸一・著

あったものがなくなる。なかったものが現れる。動きこそが生命にとって本来の情報である。それによって環境の変化を察知し身構える。情報は常に好意を引き起こすものとしてある。だから同じ匂い、音、味が続いたらそれはもう情報ではない。私たちは自分の唾液を塩っぱいとは感じない(が、キスの味は分かる!)。新しい情報の創出のためには、環境が絶えず更新され、上書きされなければならない。そうでないと変化が見えない。ネット社会の不幸は、消えないこと。小さな棘がいつまでも残る。情報は消えてこそ情報となる。
(「トカゲを振り向かせる方法」 p30)

朝日新聞に連載されていたエッセイ集。日常の出来事、自然界の現象を生物学者としての見識を散りばめながら、その本質を明らかにしていく。当たり前と思っている事象も、なぜ?と疑問を持つと分からないことは結構ある。逆に「腑に落ちない」「納得いかない」などの社会問題、人生経験、人間関係のトラブルなど、生物的に、生命の必然として解き明かしてくれる。

マップラバー(Map Lover)とマップヘイター(Map Hater)の話も面白い。

マップラバーは、地図大好き、何をするにも全体像を把握し、自分の場所を確認してから目的地に向かう人。マップヘイターは、地下鉄の改札を出ても百貨店に入ってもいきなり歩き出す、でも目的地には到達する。

秀才のマップラバーは、密かにマップヘイターを恐れる。マップヘイターの方がより逞しく、危機に強いから。私たちの身体は細胞のマップヘイター的な行動によって形成された。しかし、脳は地図を欲しがってしまう。

あなたはどっち?身体と脳の関係はなぜ?

こんなお話がいっぱい。優しい言葉を使いながら刺激いっぱいの本です。