堤剛・青柳いずみこ〜チェロコンクール プレイベント

第16回「ビバホール チェロコンクール」(兵庫県養父市)プレイベントのチェリスト堤剛さんのコンサートに行きました。

堤剛さん(1942年〜)は、言うまでもなく日本を代表するチェリスト。養父市主催のビバホールチェロコンクールの審査委員長として長年に渡ってコンクールを高め、広めて来られました。今回から審査委員長を後任の方に譲り、今回の審査委員長勇退記念コンサートなりました。

2000年の第4回チェロコンクール以来、コンクール出場者のホームステイを何度かお引き受けする。ホームステイ中のいろんなドラマもあり、チェロコンにはとても愛着がある。

我が家でホームステイするのは、ドイツやウィーンなど海外からの出場者がほとんど。1位あり、2位あり、上位入賞者が多く、現在ヨーロッパで活躍しています。ウィーンから参加したStefan Gartmayerは、現在ウィーンフィルのチェロ奏者。ウィーン訪問時には、自宅でバーベキューで迎えてもらったこともある。

ピアノの青柳いずみこさんは、養父市芸術監督を務めていらっしゃる。母親が養父市八鹿町宿南の出身ということでご縁がある。もう30年以上前になるが、そのお母様の生家(茅葺き屋根の由緒ある古民家)での青柳いずみこさんのピアノコンサートにも出かけたことがある。また、文筆家でもあるので、そのエッセイを何冊か読んで親しみを感じていました。

なんか、ここに至るまでの前置きが長くなってしまいました。
そんなこんなで今回のコンサートもとても感慨深く聴かせていただきました。

ドビュッシー『チェロとピアノのためのソナタ』の演奏は圧巻。

カタルーニャ民謡『鳥の歌』シューベルト『アルペジオーネ・ソナタ』でゆっくりとした旋律のところでお見せになる堤氏のお顔がとても印象に残りました。
これまでのビバホールチェロコンの若手演奏家を思い出しながら、養父市にも感謝の気持ちが表れたのだろう、と想像しながら演奏を聴く。

各地で演奏が始まる〜おんぷの祭典

【午前】
街角コンサート。
ここは神鍋高原の道の駅。地元の人や行楽中に通りがかった人、小さい子ども連れのお母さん方が集まり、チェロとピアノの演奏会。
豊岡市内の各地で毎日どこかで演奏会。10年以上続けているので楽しみにしているファンも増えてきました。

【午後】
八代小学校(豊岡市日高町)での学校コンサート。
出演はシュバシコウ・カルテット(弦楽四重奏団)。

生徒は11人、近所から保育園児が10人、合わせて21人で、目の前で一流の演奏家がモーツァルトなどみんな知っている馴染みのある曲を聴く。小さい頃に「ホンモノ」に触れることの貴重な体験をしている子どもたちを目の当たりにして、なぜか涙ぐんでしまう。

【夕方】
稽古堂イブニングコンサート。
今夕は、大江慧(チェロ)、碓井俊樹(ピアノ)の演奏会。

今夕のイブニングコンサートは、弊社がスポンサーとして担当。
地元出身の音楽家登場ということもあったのか、定員を超え急遽イス席を増やす。
お馴染みのチェロの名曲を中心に熱演。会場の雰囲気からもその空気が伝わってくる。

コンサート終了後は、演奏家の記念撮影。

朝昼夜、そして街角、学校、稽古堂の3ヶ所のコンサート。
心地よい疲れの中で演奏を反芻しながらの夜です。

第11回おんぷの祭典〜イブニングコンサート開幕

第11回「おんぷの祭典」がいよいよ開幕しました。
オープニング企画として「キッズおんぷ鉄道」を5/25(日)に満員のお客様と共に開催できました。

いよいよ本日5/26(月)より、毎日「稽古堂イブニングコンサート」が始まります。
「おんぷの祭典」人気プログラム。

須山暢大(ヴァイオリン)/ 碓井俊樹(ピアノ)

以下、「稽古堂イブニングコンサート」の全プログラム。
ピアノは「おんぷの祭典」音楽監督でもある碓井俊樹さんが全プログラムで演奏。

5/26(月) 須山暢大(ヴァイオリン)
5/27(火) 大江 慧 (チェロ) 
5/28(水) こうのとりクインテット(管楽器)
5/29(木) シュバシコウ・カルテット(弦楽四重奏団)
5/30(金) 碓井俊樹(ピアノ)
5/31(土) 土出真梨子/由利友樹子 (フルート) 

会 場 : 豊岡市役所稽古堂
時 間 : 18:30〜19:15
チケット: 1,000円
おんぷの祭典HP、もしくは余席がある場合は当日券あり

大江慧さん、土出真梨子さん、由利友樹子は豊岡市出身の演奏家。それぞれ音楽大学で学び、東京をはじめ各地で、また地元でも演奏活動をされています。

稽古堂コンサートでは、河合楽器様のご協力により、KAWAIグランドピアノの中でも最高峰モデルであり、数多くの国際コンクールの舞台で選ばれる「Shigeru Kawai」を特別に使用しています。

稽古堂コンサーにどうぞ!
わずかですが残席ありですので、お待ちしています。

キッズおんぷ鉄道〜第11回『おんぷの祭典』始まる!

京都丹後鉄道「あかまつ号」に乗って音楽の旅へスタート!
第11回目を迎えた「おんぷの祭典」(子どもたちが豊岡で世界と出会う音楽祭)が始まる。
豊岡駅と峰山駅(京丹後市)の往復。

演奏者は、土出真梨子さん・由利友樹子さん(フルート)、笹岡航太さん(クラリネット)、大江慧さん(チェロ)のカルテット。走っている電車の中では、チェロの演奏は聴こえるのかなと心配してたが、思ったよりもよく聴こえる。

モーツァルトの曲が流れ、鉄橋から円山川を眺めながら、新緑が線路の両面に迫る中を駆け抜ける。


往路の演奏が終わるとランチタイム。お配りしたのは丹後名物「ばら寿司」。
網野の「とり松」人気のお弁当。

復路も終点豊岡駅に近づくと、子供たちと記念撮影。
子供たちと一緒に、お母さんやお父さんの一番の良い思い出になるかも。

どうぞ演奏の一部をお聴きください。

第11回「おんぷの祭典」は、5/25〜6/1まで1週間、豊岡市内の各地で開催しています
ご来場をお待ちしています。

佐渡裕指揮/トーンキュンストラー管弦楽団/反田恭平

指揮者/佐渡裕さんはトーンキュンストラー管弦楽団(オーストリア)の音楽監督としてのラストイヤーを迎え、日本各地で公演を行なっている。今日は、佐渡さんの言わばホームの兵庫県立芸術文化センターでのコンサート。

反田恭平さんのピアノも聴けるとあってチケットは完売。開場時間前から長蛇の列。指定席なので別に並ばなくても良いと思うのですが、なんかお客も気合が入っている雰囲気。

プログラムは、
モーツァルト ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
マーラー   交響曲第5番嬰ハ短調

開演すると、まず佐渡さんだけがステージへ登場。
トーンキュンストラーとの10年を振り返る。2回の契約更新を行い、ウィーン「学友協会大ホール」での演奏やトーン管のフレンドリーなメンバーのことなど、特別な10年であったと。

その後、佐渡さんに「音楽監督になることを想像できますか?」と尋ねたところ、笑顔で「考えてみます」と答えてくれました。数週間後、彼はパリで契約書にサインし、2015/16年シーズンから私たちの音楽の旅が始まり、以来250回以上のコンサートを成功に導いてきました。
「トーンキュンストラー管弦楽団事務局長フランク・ドルシェル」(プログラムより)

そう言えば、2014年9月にシンポジウムでご一緒したり、我が家にご招待してBBQした時に「来年からウィーンに行くんだ」とのお話が佐渡さんから出たのを思い出す。トーンキュンストラー管弦楽団(その時は楽団名まで正確に受け止められなかったですが)(^ ^;;

ピアノ反田恭平さんは2回目。最初はショパンコンクール以前の「読響サマーフェスティバル2018《三大協奏曲》〜東京芸術劇場コンサートホール」(2018/08/21)この時は、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番でスケールの大きい演奏は今でも記憶に残っています。

今回はモーツァルトのピアノ協奏曲第23番。軽やかで美しいメロディに乗って軽々と弾いている感じ。第2楽章は打って変わってメランコリックな短調(?)の響きが印象的だ。

休憩を挟んで後半はマーラーの交響曲第5番。マーラーの全交響曲は普段からきいている。中でもお気に入りは1番《巨人》、5番、《大地の歌》。今回は5番が聴けるのを楽しみに。

佐渡さんのトーンキュンストラーでの10年が詰め込まれた渾身の指揮。演奏者も佐渡さんのホーム中のホームである「兵庫県立芸術文化センター」のホールを愛しむかのような思いの籠った演奏だった。

AKI TAKAHASHI plays HYPER BEATLES

AKI TAKAHASHI plays HYPER BEATLES

高橋アキ : piano

  1. 1. Norwegian Wood(P.オリヴェロス)
    2. Golden Slumbers(武満徹)
    3. Michelle(B.モンク・フェルドマン)
    4. Black Bird(P.ノアゴー)
    5. Yesterday(三宅榛名)
    6. Do You Want To Know A Secret(J.テニー)
    7. Because(西村朗)
    8. Happiness Is A Warm Gun(K.ヴォランス)
    9. Julia(B.マーカス)
    10. Let It Be (三輪眞弘)
    11. Give Peace A Change(F.ジェフスキー)
    12. Across The Universe(内藤明美)
    13. Come together & Happiness Is A Warm Gun(K.サーリアホ)
    14. Blue Jay Way(Z.クラウゼ)
    15. AKI 2.2(坂本龍一)
     ※ (     ) 編曲者
  2. Recorded in Oct. 2016

ピアニスト高橋アキの “HYPER BEATLES” の再録音したアルバム。
このブログでもご紹介した1989年〜1992年録音の”HYPER BEATLES”シリーズ

“HYPER BEATLES” 高橋アキ
“HYPER BEATLES 2” 高橋アキ
Norwegian Wood : HYPER MUSIC from Lennon & McCartney 高橋アキ
Let It Be : HYPER MUSIC from Lennon & McCartney 高橋アキ

この4枚のCDは廃盤で入手しにくくなり、その人気に応えるために2016年に再録される。4枚で演奏された楽曲から15曲を選び再演される。

1990年当時、現代音楽の作曲家(世界14カ国、47人)編曲、高橋アキさんの演奏は30年経っても異彩を放ち、とても新鮮です。

Let It Be : HYPER MUSIC from Lennon & McCartney

Let It Be : HYPER MUSIC from Lennon & McCartney

高橋アキ : piano

1 Golden Slumbers  (武満 徹)
2 Misery  (Rashid Kalimullin)
3 Norwegian Wood   (Rashid Kalimullin)
4 Monkey Fingers, Velvet Hand (Come Together & Happiness Is A Warm Gun)(Kaija Saariaho)
5 Blue Jay Way    (Zygmunt Krauze)
6 Love Me Do     (James Tenney)
7 Do You Want To Know A Secret   (James Tenney)
8 Let It Be —Asian Tour   (三輪真弘)
9 Mother Mary Comes To Me (Let It Be)  (柿沼 唯)
10 Snapshot (Hello, Goodbye)  (Maarten Altena)
11 Girl  (Otto Sidharta)
12 George Took The Wrong Plane (Within You Without You)
(Jan Rokus Van Roosendael)
13 I Will  (谷川賢作)
14 Yesterday   (Johannes Fritsch)
15 Aki 2.2  (坂本龍一

1992年に録音されたシリーズ最後、4枚目のアルバム。

いずれにせよ高橋アキさんの人望と、彼女に寄せられた厚い信頼によって実にCD四枚分の優しい音楽が生まれたことに感謝したい。もう一度繰り返すが、素晴らしい演奏こそが感動を呼びおこすのである。この中の何曲もがいずれたくさんの人々によって愛され、また弾かれる日がやって来るだろう。
「ビートルズと高橋アキに対する愛情に溢れた秀れた新しい作品群」原田節
ライナーノートより)

本当にそう思う。高橋アキさんという現代音楽に精通したピアニスト。私は現代音楽の作曲家をほとんど知らない。世界14か国・47人の現代作曲家が、高橋アキさんおオファーに応えてこれだけの個性豊かな作品(編曲)が寄せられるのだから、高橋アキさんの音楽家としての実力と音楽仲間同士の信頼は推して知るべし。

僕が初めてビートルズにみちびかれたのは、ある朝、家の庭で立話をしていた際に、武満徹さんがビートルズのメロディーと和音の美しさをなにか茫然としたような面持でいわれた時からだ。 (中略)
高橋アキさんのピアノは、あれからの武満さんの生涯の時の奥行きをしっかりと受けとめさせるので、僕の感動は複雑な翳りをもおびる。ここにおさめられたすべての曲に、それぞれの作曲家の、ビートルズ経験にかさねて、かれらのいちいちの生涯がきらめくようではないか?それがアキさんのピアノ演奏の特質だと思う。
「地下を流れるビートルズの川」大江健三郎 ライナーノートより)

得られる音源があれば紹介したいのですが(私が持っているCDから、なんらかの方法でアップも可能かもしれないけれど)、CDは廃盤、YouTube musicにもない。(再録盤はあり)

欧米でも高い評価を受け、廃盤後も根強いファンからのリクエストもあり、2016年に再録音されたアルバムがリリースされていルので、そちらも紹介していきたいと思います。

幼い頃からビートルズが大好きで、ギター弾き語りでカセットテープ(当時)に録音したり。そんなビートルズを今、高橋アキのピアノ演奏を聴いて楽しんでいる。
音楽っていいですね。

Norwegian Wood : HYPER MUSIC from Lennon & McCartney  高橋アキ

Norwegian Wood : HYPER MUSIC from Lennon & McCartney

高橋アキ  :  piano

1 Monk's Intermezzo (I Want You)  (Guy Klucevsek)
2 I Want You (She's So Heavy)   (Jarosław Kapuściński)
3 Happiness Is A Warm Gun     (Kevin Volans)
4 Across The Universe            (内藤明美)
5 Eight Days A Week Variation (Eight Day A Week) (Christian Wolff)
6 Because        (西村朗)
7 Rain 'n' Revolution (Rain & Revolution)  (John King)
8 Julia      (Bunita Marcus)
9 Subliminal Hey J. (Hey Jude)  (湯浅譲二)
10 Two Of Us  (Michael Finnissy)
11 Norwegian Wood    (三枝成彰)
12 Yeah,Yeah,Yeah (She Loves You)  (Lois V. Vierk)

(     )内は編曲者

HYPER BEATLESシリーズの3枚目”Norwegian Wood”。

高橋アキさんは、1枚目のリリース後も、海外でのコンサートや現代音楽祭などの機会に、旧知の現代音楽作曲家などに精力的にビートルズの曲の編曲を依頼。すでに1枚目を聴き、このプロジェクトに注目している作曲家もいる。

バラエティに富んだ現代音楽家によるビートルズの編曲集。ピアノで1台で演奏することが前提で編曲されているが、それを演奏する高橋アキの演奏も驚異というしかない。

ビートルズの曲をカバーしたBGM的な演奏とはわけが違う。むしろ、ビートルズに触発されて、作曲したと言っても良い独創的な曲ばかりです。

“HYPER BEATLES 2” 高橋アキ

"HYPER BEATLES 2"

高橋アキ : piano

1 Norwegian Wood   (Pauline Oliveros
2 Light Of A Night — [Paul Meets Bird] (Black Bird)  (Per Nørgård
3 Edujyeh Boogie For Piano (Hey Jude)  (池辺晋一郎
4 From Eleanor Rigby (Eleanor Rigby)  (Alvin Curran
5 Get Back   (Sukhi Kang=姜 碩煕)
6 All My Loving Resounded (All My Loving)  (藤枝 守
7 Nothing Is Real (Strawberry Fields Forever)  (Alvin Lucier
8 A Day In The Life  (Tan Dun=譚盾)
9 She’s Leaving Home  (高橋鮎生
10 Mikhachelle (Michelle)  (Yvar Mikhashoff
11 When I’m Eighty-Four (When I’m Sixty-Four)  (Walter Zimmermann
12 The Walrus In Memorium (I’m The Walrus)    (Terry Riley

(   )内は編曲者

ビートルズの曲を編曲して演奏することは、我々の時代の”真の”クラシックをいまのクラシック前衛音楽界に知らせる最初のステップかも知れない。
高橋鮎生:ギタリスト、ロック、コンポーザー) ライナーノートより

この『ハイパー・ビートルズ』第2集では、前回の第1集にくらべて音楽的にもますますヴァラエティに富んできたようだ。
(中略)
それぞれの作曲家がかれら独自の考え方やスタイルで、ビートルズに取り組んでいるのがなんとも楽しい。
高橋アキ プログラム・ノート より)

高橋鮎生さん(高橋アキさんの甥=ピアニスト高橋悠治の息子)。の指摘は、ロックの曲のベースとドラムのパートをとって、ギターや歌をヴァイオリンに移すとクラシック系現代音楽の曲になると、自己体験に基づいている。

ご本人の高橋アキさんの演奏からは、全く異なったスタイルの現代音楽が聴こえてくる。慣れ親しんだビートルズの曲が、こんなにも生まれ変わるのはとても新鮮。

1 Norweigian Woodは、左手は低音のドとソの持続音が鳴り響きながら、右手で単音でメロディが始まり、和音を重ねながら複雑になっていく。

7 Nothing Is Real (Strawberry Fields Forever)では、ペダルを踏みっぱなしでフレーズごとにゆっくりと進んでいく。曲の後半は録音したピアノ演奏をティポットの中の小さなスピーカーで再生すると言うまさに前衛。編曲をしたアルヴィン・ルシエから、演奏用としてわざわざ景徳鎮のティポットが贈られたそうだ。

11 When I’m Eighty-Four (When I’m Sixty-Four)は、原曲64才を84才にして編曲。オリジナルから20年以上経っているからという理由で、演奏のバックでは、1、2、3、、、と、日本語で84までの数を小さく囁く。

12 The Walrus In Memorium (I’m The Walrus)は、ミニマル・ミュージックの代表的な作曲家テリー・ライリーの編曲。(現在、日本在住)。原曲の最後では、延々とピッチが上がっていくところをピアノの鍵盤で表現しているところが面白い。

廃盤で購入できない(オークションはあり)、Apple MusicやYouTubeで探しても出てこない、で演奏を紹介できないのがなんとも残念。

さあ、次は3枚目を紹介します。

“HYPER BEATLES” 高橋アキ

HYPER BEATLES

高橋アキ : piano

1 I. Here, There & Everywhere
2 II. Blackbird
3 III. Hide & Seek In “Norwegian Wood (This Bird Has Flown)”
4 IV. Here Comes Lucy (Here Comes The Sun) (1-4 Raphael Mostel
5 Yesterday (三宅榛名
6 When I’m Sixty-Four (Alvin Curran
7 Something (羽田健太郎
8 The Beatles 1962-1970 (John Cage
9 Michelle (Barbara Monk-Feldman
10 And I Love … (And I Love Her) (松平頼暁
11 She Said She Said (Carl Stone
12 The Fool On The Hill I  (井上 鑑
13 The Fool On The Hill II  (井上 鑑)
14 Goddess Of Liberty—”You’ve Got To Hide Your Love Away”( Peter Garland
15 Short Fantasy On “Give Peace A Chance”  (Frederic Rzewski

(   )内は編曲者。

ピアニスト高橋アキさん、1989年〜1992年に企画し、自ら演奏したの異色のアルバム。シリーズでCD4枚をリリース。その最初の1枚がこの “HYPER BEATLES”。1990年代に購入した愛聴盤。これを一言で解説するのは困難なので、ライナーノートで高橋アキさんが語っているところを抜粋します。

「ビートルズの作品の中から、あなたの好きな1曲を選んでアレンジをしてください」という呼び掛けに答えて、多くの作曲家が私のために曲を作って送ってくれた。1989年上旬から少しずつ進行しはじめたこの企画は、まだ続行中であり、次は誰からどんな曲が届くのかと楽しみな毎日である。

「今、私がなぜビートルズを弾くのか」という躊躇や不安が、正直言って企画の段階では、私自身の中に全くなかったわけではない。しかも依頼する作曲家たちのほとんどは、現代音楽畑の私の友人たちである。

ところが皆二つ返事で引き受けてくれたばかりか、ビートルズに同時代の音楽として親近感を持ち、とても詳しく知っているのには驚かされたものだった。そして次々と送られてくる作品を弾いていくうちに、それらの躊躇や不安もすっかり消え、今では私自身さらに積極的にこの冒険を楽しむように変わってきている。

(「プログラム・ノートに変えて」高橋アキ) CDライナーノートより

高橋アキさんが、友人知人の現代音楽にビートルズの好きな楽曲を選び編曲を依頼し、それに応えて送られてきた楽譜を高橋アキさん自らピアノ演奏する。

ジョン・ケージをはじめ、国内外で活躍する現代音楽の先鋭作曲者というのが凄い。それぞれの感性とアイデアが飛び抜けていてバラエティにとんでいるのが面白い。唯一無二のアルバムと言える。

現在、このシリーズのCDは廃盤でなかなか手に入らない。そんな訳で2016年に新たに高橋アキさんが演奏、録音した”HYPER BEATLES”シリーズがリリースされている。そちらも、またここで紹介します。