演劇のまちづくり〜シェアハウス取材

豊岡市役所からの依頼でシェアハウス「江原_101」の取材を受けました。主役はもちろん、ここの住人の芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生たち。全国から演劇と観光を学びに豊岡に集まった学生たち。彼らが地域とどのように関わり、どう感じているかなど、豊岡に住んでいる感想など、インタビューに応じていた。

「演劇とまちづくりがどのように結びついているのか?」「市民はどのように演劇と関わっているのか?」「市民は演劇のことをどのように感じているのか?」「演劇との関連で町が変わっていくのか」そんな問いかけの取材。

江原地区の住人としては、江原駅と江原河畔劇場と駅前商店街を一つの区画として、演劇関係者が住み、往来し、カフェやレストランが賑わう、そんなエリアになれば良いのにと思っています。実際に平田オリザさん主宰の劇団青年団の江原河畔劇場を拠点として移り、劇団関係者の一部は既に移住、さらにCATの学生たちが住み、集い、活動する、そんな場所に。空き家も多くあり、まだまだ学生たちを受け入れる余地はある。

昨年は、東大生たちの劇団公演が江原の立光寺であり、合わせて約3週間に渡りお寺に合宿し、本堂で公演を行なった。また、友田酒造(江原)では、豊岡演劇祭のフリンジ公演(インスタレーション)もあり、近隣住民の人たちの評判も良かった。

演劇と関連しながら、ヒト(劇団、学生、観客)・モノ(イベント)・カネ(経済効果)・情報(市民参加)が絡み合う面白い街にしていきたいものです。

『但馬夜話蒐集録』〜舞踏 但馬風土記

昔 昔 その昔 も一つ昔のその昔
囲炉裏をかこむ人の影 雪と風が集めた物語
遠坂峠の涙雨 ながいながい冬の夢
但馬百日ぁ雪の下 冬の寒さを寝て忘りょ

大駱駝艦・田村一行舞踏公演が今年もやってくる。

「やってくる」ってのは、まるでサーカス団がやってくるような。
ウキウキもするし、どこかドキドキ感もある非日常の体験を恐る恐る待っている感覚。

豊岡市民プラザは、自主事業として2018年より大駱駝艦の田村一行さんを招いて但馬を主題とした舞踏公演を継続して行っている。私はその第2回目より連続してこの舞踏公演を欠かさず鑑賞。毎年楽しみにしている。(こんな舞踏が豊岡で観られるとは、あっぱれ市民プラザ!)

舞踏は、学生時代(1970年代)に笠井叡の舞踏公演を観たのが初めて。それはどんなアート(パフォーマンス)の初体験よりも衝撃的で、私を虜にした。笠井叡の自宅のアトリエ天使館(東京都国分寺市)での舞踏は忘れられない。自らピンク・フロイドのレコード『原始心母』(Atom Heart Mother)(音声)に針を落としながら舞う。まさに迷宮の空間だった。

話を戻します。

田村一行さんの豊岡市民プラザ公演は、大駱駝艦の舞踏家と市民舞踏団(市民から募集)とで行われる。私は公演の中での学生服姿の田村一行さんが好きだ。(今年はどんな展開になるのか)

今日、市民プラザに行ったついでに、チケットを購入。ちょうど公演前の市民舞踏団との稽古に田村一行さんがいらっしゃると聞いたので、リハーサル室に立ち寄り、公演を楽しみにしていますと伝えました。

舞踏 但馬風土記 『但馬夜話蒐集録』
2023年2月12日(日) 14時開演
豊岡市民プラザ

一般2,000円 大学生1,000円 高校生以下 無料

アートでまちづくり〜「倉吉未来中心」に思う

どうして倉吉? (倉吉で全然問題ありませんが)
と思いながら「ウィーン・リング・アンサンブル」のニューイヤーコンサートに行きました。

コンサート会場の「倉吉未来中心 大ホール」に到着すると、大きな建物と広い敷地に驚く。一緒にコンサートを聴いた鳥取に住む友人Gさんから「鳥取県と倉吉市が共同して、中部鳥取の文化振興を目的とした複合施設」との解説あり。

「倉吉未来中心」施設案内には、「人・ものの交流、情報発信」「鳥取県中部地域の活性化の拠点」「大小のホール、セミナールーム、様々なイベントが開催できるアトリウム」が備えられている。

普通「◯◯センター」となるところ「倉吉未来中心」と「中心」となっているのが面白い。中国語ではセンター(center)は「中心」と書く。それと倉敷は鳥取県の中部であることを意識してのネーミングだろうと察する。

アトリウム前の広場では高校生たちがスケボーやったり、並びにある広場では子どもたちが遊ぶ遊具のある公園、さらに数店舗のレストランが入っている建物がある。図書館、温水プールもある。駐車場も広く(774台)、全体としてゆったりとし、様々な市民のニーズ(コンサート、スポーツ、散歩、会話、くつろぎの場所)に応えることができている。(敷地面積42,000㎡)

巨大な複合ビルとも言える施設。アトリウムの上部は木製の梁が巡らされガラス張り、明るい広場が気持ち良い。が、大きいためによる無駄、ランニングコストはどうなのか、など少し気になる点もありそうだ。大ホール収容人数1503席・オーケストラピットあり、小ホール310席、リハーサル室、練習室2部屋、セミナールーム9部屋。オープンは2001年(平成13年)。少しバブリーな気もする。

現在、豊岡市も新文化会館建設のプロジェクトが進行中。
新文化会館の完成予想動画もあります。

場所(豊岡市大磯町/道号体育館と豊岡南中学校の間)と基本設計は決定している。少し場所が窮屈な感じがする。倉吉未来中心ほどではなくても、YBファブ(養父市)をみても、広々とした空間が心地よい。木立も充実させて心地よい立地環境もお願いしたいところです。

それよりも何よりも大切なのは、その文化会館の運営内容(運営理念、組織、人材、創造性多様性のある交流)をしっかりとやっていただきたい。そこには市民として注視しながら、意見・要望をしていきたいと思う。

アトリウムで一枚のチラシが目に入った。

アンディ・ウォーホルの『ブリロ・ボックス』だ。昨年、確か「なんでこんなベニヤの箱に3億円も使うのか」との市民(議会?)の抗議があって話題になった市がニュースで報じられていた。そうかそれは倉吉市だったんだ。「5個もいるのか?1個でもいいのでは」など、冗談かと思う批判もありました。

鳥取県は「全日本最後の県立美術館」と言われる県立美術館をこの倉吉未来中心の横に設置する計画。力が入っているのはよく分かる。ポップカルチャーを目玉にする思惑のようだ。

美術も音楽も、そして演劇も。
地方で楽しみ、地方から世界へ発信する思いはどこも一緒。
豊岡市もしっかりと、市民に愛され、世界にもアピールできるアートを発信していきたい。

内藤絹子展 at あさご芸術の森美術館

もしかしたら白い和紙が私にとっては畑の土に近いものになるかも知れません。言葉を線や形として和紙の上に描くのは、耕し、種を蒔く事に共通していて、結果的には作品になるのです。私の日常生活と作品制作は密接に関係し、切り離す事が出来ない気がします。
『紙の畑 内藤絹子展』 挨拶文より

秋晴れの陽光に誘われて朝来市の美術館にいく。版画家内藤絹子さんの個展を鑑賞。展示室入り口にある「ごあいあつ」(上記引用)にあるように、朝来市に移住して26年目の内藤さんは、四季を楽しみ、野菜を育て、静かに深く、環境に対して謙虚に、作品を制作されている印象を私は持っている。

内藤さんは「文字を描く」作家。
「書く」ではなくて「描く」。

内藤さんが挨拶文で述べていらっしゃるように、漢字「描」は、手偏(てへん)に「苗」。手で耕し、種をまき、苗を植え、そして収穫する。まさに、内藤さんの日常生活と作品制作が合体する心境ですね。
妻もとても気に入り、小さな作品を一つ購入。

久しぶりの「あさご芸術の森美術館」。朝来市にある多々良木ダムの真下にある。美術館の前では、『「最後の午餐」に集合した一同』(藤原吉志子・作)の動物たちが待っててくれる。

平田オリザ氏講演〜淡交会但馬支部文化講演会

茶道裏千家淡交会但馬支部による文化講演会。今年の講師には平田オリザ氏をお招きし開催しました。テーマは「演劇によるまちづくり〜芸術文化観光専門職大学が目指すもの」。会場には、淡交会会員を中心に約250名が参加。

昨年4月に開学した芸術文化観光専門職大学(CAT)の学長として、なぜ芸術文化と観光なのか、どんな学生たちが何を学んでいるのか、などまず大学の紹介のお話し。

・先進国で公立大学で「演劇学部がないのは日本だけ」。韓国は多数あり、プロの俳優、マネージメントの人材を育てている。
・シンガポールを例に、名物=マーライオンやブランド・ショッピング(為替の変動)を打ち出してもリピーターは来ない。質の高い芸術文化(オーケストラ、演劇など)でリピーターを獲得している。
・CATの来年春(2023年度)の受験応募者はこれまでを凌ぐ。現在、日本全47都府県から学生が来て学んでいる。約90%が第一志望として入学している。

・豊岡市人口は約75,000人。減少が続いている。例えば、豊岡高校昨年の卒業生198名のうち、地元に残る学生は4名。外で学び、戻って来たくなる「魅力ある豊岡」を目指さなければならない。希望する業種、企業の有無ではなく、文化的であるかどうか、教育、娯楽、環境(健康、食文化など)、そして「芸術」「文化」の存在が大切。
・豊岡(但馬)出身で都市に住む息子(娘)家族の子ども(孫)に「演劇おもしろいよ」「ダンスしたら」なんて薦めたら、孫たち世代が豊岡で学び、定住するのもあるかも。これを「Mターン」と呼ぶ。(ユーモアを込めて)

私は、講演の終わりの「謝辞」の役割。
平田オリザさんのお話は、演劇、文化、教育、社会現象、観光(海外も含めて)について、一つ一つ納得するお話ばかり。
「何度お聴きしても、いつもワクワク、ドキドキしてきます」と申し上げ、お礼の言葉としました。

文化な日

ピアノ発表会を2週間後にひかえ、ビバホール(養父市)での本番稽古。音響がよく、ピアノはスタインウェイのステージで演奏できるのは幸せなことだが、緊張も半端ない。(私は妻より先に持ち時間20分間を終える)

ピアノの帰りは、日高町文化体育館(豊岡市)での「協会展」(日高文化協会)へ。妻の出品した書(真ん中)や他の絵画、彫刻、生花など鑑賞。

会場では、裏千家淡交会日高地区の皆さんによる抹茶席にて一服、いただく。仕切りの向こうのステージからはピアノ演奏が聴こえてくる。ちなみに文化体育館のピアノはベーゼンドルファー。半日でピアノの二大名器の演奏を耳にする。なかなかいいものです。

続いて、豊岡市総合体育館へ。こちらでは「豊岡市美術展」が開催されている。小学生の孫の絵画が入選し、展示されている。想像していたよりもしっかりとした絵にびっくり。構図、色使い、なかなかいい。(^ ^;; )タイトルはなんと「弱肉強食」??大きい魚が小さい魚を食べていると解説してくれる。

音楽、書道、茶道、絵画。いい流れの「文化な日」となりました。

劇的なる建築をめぐって

豊岡のカバン・ストリートにあるクリエーター育成支援施設「アパートメント」にて開催されたセミナーに参加。ゲストスピーカーは、アーキテクト・コレクティブ「ガラージュ」(建築設計集団)の渡辺瑞帆さん。

大学で建築を学び、劇団青年団に所属しながら、建築設計をしている渡辺さん。学生時代から、古民家、空き家を調査し、街並み丸ごとを作品にする。その地域の歴史と人の生活と建築が融合した空間をクリエート。街が劇場となる。

渡辺さんが改築設計に携わった「シェア芝居小屋ハウス」(江原_101)。古い住宅をリフォームしてCATの学生たちが住む。1階フロアにはスタジオが、ダンスのウォーミングアップ、レッスン、ミーティング・スペースもある。

元の家屋の構造を残しつつ、新しい機能を付加していく。古いものと新しいものが混じり合ったダイナミックな構造に驚く。「住宅」であり「交流の場」であり「創造の場」であり「演じる舞台であり客席でもある場」。まさに劇的なる建築をクリエートする渡辺氏。

誕生日のサプライズで花束

「建築と演劇」。
なにか根源的で創造的な結びつきを感じる。
渡辺さんとガラージュの活動に注目です。

DEVOAの足跡〜ファッションセミナーより

DEVOA 西田大介氏

研究対象は素材とパターン構築人体に基づいた独自の仮説論により、服を通じた体幹バランス変化を考える。
DEVOA Concept より

ファッションブランド“DEVOA”をご存じでしょうか。人体の骨格・筋肉などの構造に着目するところから始まる服作り。代表でありデザイナーの西田大介氏のセミナーに参加しました。

西田氏とはもう15年前に独特のハンガー「アナトミー・ハンガー」を共同製作した時からのお付き合いだ。今回は久しぶりに出会い、お話ききました。初めてお会いした時の、情熱とファンション哲学は微塵とも変わらない。

西田さんを招聘したのは豊岡カバンストリートにある“APARTMENT”主催者の下村氏。

APARTMENTは、「月額会員制のアトリエやショップを備えた複合施設。自由なものづくりを大切にする、カバンを作りたい人、買いたい人との出会いの場所」(APARTMENTのHPより)

ものづくりを目指す人やファッション好きな人たちが学び、意見交換し、交流する場として、定期的なセミナーを企画しているとのこと。注目です。

『山月記』(豊岡演劇祭2022)

久しぶりに養父神社(養父市)にやってきた。境内に向かう階段から眺める景色。手前にJR山陰本線が通り、平行して流れるのが円山川。

境内で開演を待つ観客。
小説家中島敦の『山月記』をひとり芝居で演じる公演。そのストーリーがこの神社の佇まいの中でどのように演じられるのだろうか。

夕方6時。段々と空が黒ずんでいく。どこから虎が出てくるのだろうと想像を駆り立てられる。

ひとり芝居『山月記』。演じたのは小菅紘史(右側)。音楽チェロ演奏は中川裕貴。

照明の中に浮かび上がったり、暗闇に消えたり、境内独特の空気感を取り込んだ迫真の演技に観客皆が引き込まれる。

『スーパーハッピーYBランド2022』(豊岡演劇祭2022)

やぶ市民交流広場(YBファブ)での『スーパーハッピーYBランド2022〜チルチル&ミチルのハッピーツアーズ』公演に行く。

昨年オープンした「やぶ市民交流広場」は初めて。良いホールだと周囲の友人から聞いていたので、ぜひ行ってみたいと思っていました。YBホールの「初めて」が、音楽コンサートではなく、演劇やダンスになりました。

多田淳之介 構成・演出の観客参加型の演目。YBホールの天井裏から楽屋、搬出搬入口、スタッフルームなど、全館を回っていく劇場ツアーになっていて、普段入れないバックヤードを見学できる仕掛けになっている。出来立てのホールを使う心憎い演出ですね。

いろんなホール施設を回りながら、それぞれの場所で「幸せの青い鳥」探しをする。小さい子供たちが目を光らせながら、ホールを巡る。