友人夫妻の作品展〜但馬ドームギャラリー

神鍋高原は雪。
今冬は2回の「大雪」(昔と比べると普通の降雪ですが)でスキー場も大勢のスキー客で賑わっています。今日はスキーではなくて雪の中の「但馬ドーム」へ。

各種イベントや(今回初めて知りましたが)「センター棟ギャラリー」など文化活動もできる拠点にもなっている。センター棟中央には囲炉裏がある。

ギャラリーで開催されている友人の作品展「吉谷夫妻(絵画)および岡田國次(建物模型)」の鑑賞に来る。友人吉谷くんは、幼稚園・小学校・中学校・高校とずっと一緒の幼なじみ。彼は武蔵野美術大学に行き美術の世界へ。小学生の頃から、授業中に教科書で隠しながらノートに漫画ばかり描いていたの覚えている。高校時代は文化祭や運動会で大看板を描いたり、舞台の大道具を作ったり。

武蔵美で出会って結婚した祐子さんも絵画を学んでいる。佑子さんは12年前にくも膜下出血で突然亡くなり、その遺作の展示会でもありました。そんな二人の個展。

彼女の描いたものをこのように展示されて観るのは初めて。
森に棚田は、おそらく吉谷家の周囲の山野を描いたものだろう。
ロマンチストの祐子さんだったので、物語や伝承を彼女なりにイメージして描いたものかな。

長い付き合いの友人夫妻の絵画をこうして鑑賞するのも感慨深い。

素晴らしい作品群〜京都伝統工芸大学校

京都伝統工芸大学校の卒業・終了制作展に行く。会場は京都伝統工芸館(京都市中京区烏丸通三条上ル)にて。京都市内の一等地にある立派なビルにまず驚く。

今回は大学の理事長、学長をされている新谷家の方と茶の湯関係で知り合い、ご案内をいただきました。

ビル1階はギャラリーになり、大学の教授、卒業してプロで活躍されている作家の作品が並んでいる。

2階から6階までが卒業制作、制作展の各会場。

漆工芸、蒔絵、陶芸、木彫刻、仏像彫刻、木工芸、
金属工芸、竹工芸、京手描友禅、和紙工芸

それぞれの伝統工芸を真摯に学ぶ学生さんたちの技術を習得する情熱と斬新なアイデア・デザインが伝わってくる。どの作品もプロ級、あるいはそれ以上の革新的な作品が多い。

日本の伝統工芸を未来に繋げていき、新境地を切り開くエネルギーを感じた体験となりました。

舞踏 但馬風土記『千里の放浪』〜豊岡市民プラザ

黄沼前海(きぬさきのうみ)の彼方 夕日が沈まぬよう太陽を追いかけて
風の果てまで翼を広げた 名も持たぬ霊鳥の旅

豊岡市民プラザ公演『舞踏 但馬風土記』シリーズ。今回は10回目の節目ということで、豊岡のシンボル「コウノトリ」をテーマにした作品。

大駱駝艦・田村一行さん率いる大駱駝艦のメンバーと市民舞踏団でコウノトリ復活の物語。両腕をいっぱいに広げた舞、長い火箸(?)を手に餌を啄む仕草、コウノトリの動きを表現していく肉体表現がとても新鮮で面白い。

アフタートークでは、これまでのシリーズの題材「天日槍」「沢庵和尚」「城崎霊場」「竹野平家の落人」「龍宮伝説」「遠坂峠と粟賀神社」などを挙げながら解説。今度は、但馬の民謡などをつなぎ合わせた民話をテーマにしたい、などのアイデアを披露。客席にも面白いネタがあれば教えて欲しいとリクエスト。作品は但馬の人たちと共に作るのを大切にしていきたい、との思い。

ということは、まだまだ来年以降も大駱駝艦・田村一行さんの舞踏が続けて観られるわけだから、今後も楽しみにしたい。

終演後、ホール出口で一行さんにご挨拶。昨年6月の但馬コネクションのお礼とこれからも続けていって欲しいとの思いを伝える。

「八鹿観世能」〜100周年と20周年の記念

この八鹿観世能では、組み立て式の八鹿能舞台を利用することが特徴です。この能舞台は明治43年八鹿村長を勤めたこともある西村荘兵衛氏が、大正13年に初代観世喜之氏の指導を受け妙見山のヒノキで製作したものです。大正12年に竣工したばかりの養父郡公会堂で初めて組み立てられ、能「羽衣」「高砂」が演じられました。
(パンフレット「八鹿能舞台の歴史」より)

能「羽衣」
 シテ・天人  観世喜正
 ワキ・白龍  福王茂十郎

狂言「昆布売」
 シテ・大名  茂山千五郎
 アド・昆布売 茂山逸平

能「土蜘蛛」
 シテ・怪僧、土蜘蛛 田茂井廣道
 ツレ・源頼光    観世喜正
 他

古くより観世流シテ方能楽師、矢来観世家とご縁のあった八鹿村(現・養父市八鹿町)。その始まりは能舞台製作と初演から100年を記念しての公演。そのご縁もあり、矢来観世家は喜之さん、喜正さんが後を引き継ぎ、現在も但馬・丹後に能の指導に毎月来られている。(妻は京丹後市の安養寺に通っている)。

平成の合併により「養父市」になって20周年を記念する公演として「やぶ市民交流広場ホール」で開催される。

「能」を鑑賞するのは、安養寺の蝋燭能と大阪と丹後で4〜5回ぐらいしかなく、なかなか観て楽しむという心境にはならない。ただ、今回のプログラムには「羽衣」と「土蜘蛛」のそれぞれの「あらすじ」と「詞章」が掲載されていて台詞を手元の読みながら舞台の進行を追いかける。邪道の域を出ないけど、少しずつ親しんでいけるようになりたい。

「兵庫県立芸術文化センター」視察会〜神戸経済同友会

兵庫県立芸術文化センターの視察会に参加する(神戸経済同友会阪神幹部会の主催)。
現在、豊岡市は新市民会館の建設計画があり、何か参考になることがあるだろうと言う魂胆も持ちながら参加しました。

新市民会館構想は、その費用の問題で計画が中断している。新ホール建築(約100億円)か、それとも現在の市民会館を大改修(約50億円)か、で揉めている。いずれにしても甚大な費用(税金)をかけることになるので注目していかなければならないし、失敗は許されない。

「子どもたちが豊岡で世界と出会う音楽祭」(おんぷの祭典)は今年11回目を迎え、その音楽監督や演奏家の人たちとも信頼関係ができているので、ぜひプロフェッショナルとしての意見も参考にしてもらいたいとの願いもあります。

ちょうどここの日は「わくわくオーケストラ教室」の開催日。
兵庫県の青少年芸術体験事業として、音楽体験(オーケストラ演奏鑑賞)をする。40回に分けて県内の全中学1年生を招待しているそうだ。

4回席から大ホールを俯瞰しながら聴きましたが、音響も申し分ない。

大ホール 2001席、中ホール 800席、小ホール 417席の3つのホールがある。
ピアノは、スタインウェイ3台、ベーゼンドルファー1台、ヤマハ1台が常備されている。

それぞれのホールへの通路、楽屋(大部屋と特別部屋)などを見学。オペラ、オーケストラ、室内楽、演劇、その他様々なイベントに対応できる工夫がなされている。

中ホールを詳しく見学。
舞台の奥行きは20mあるが、それでもイベントによっては小さい場合もある。特に最近は映像とパフォーマンスをミックスして行うパフォーマンスが多く、舞台作りに工夫がいるそうだ。

開館20周年のポスターと等身大パネル

年間公演数は約690公演(主催335、貸館349)、公演入場者数は約45万人。人材育成にも力を入れているのにも注目。「芸術文化観光専門職大学臨時実習生受け入れ」「アートマネジメント講座」「舞台技術セミナー」「トライやるウィーク受け入れ」など、積極的に行なっている。

芸術監督は指揮者の佐渡裕氏。開館当時から関わり、ここまで20年間にわたって運営に関わり、プロデューサー・監督・指揮者・指導者として卓越した力を発揮してこられました。特に、スーパー・キッズ・オーケストラ(SKO)を編成し、小学から高校生までの育成に力を入れられているのが素晴らしい。(佐渡さんは、若手育成にコミットされているのをご本人からもお聞きしたことがあります)

佐渡裕さんとは10年前に豊岡滞在の折に、我が家でバーベキューにご招待したこともあり(翌日はゴルフにも)、コンサート後にお顔を見ればご挨拶いたしたりしています。SKOを卒業したチェリストのKちゃんも時々来てくれるので、考えてみれば何かとご縁のある「県立芸術文化センター」です。

今年が開館20周年と言うことで、記念公演がたくさん企画されている。なんと言っても「トーンキュンストラー管弦楽団×反田恭平」(残念無念、チケット売り切れで入手できず)と「歌劇 さまよえるオランダ人」(7月公演)は目玉公演。7月のチケットは絶対に手に入れなければ。

帰り際には「賛助会員」の申込み用紙をいただいて帰路につきました。

映画『大きな家』〜手渡しのように届けよう

東京の とある児童養護施設。ここでは、死別・病気・虐待・経済的問題など、さまざまな事情で親と離れて暮らす子どもたちと職員が日々を過ごしています。

家族とも他人とも言い切れない、そんなつながりの中で育つ子どもたちの本音と、
彼らを支える眼差しに密着しました。

生きることへの不安。うまく築けない人間関係。変えられないものと、ともに生きていくということ。

ここに映っているのは、特別なものではなく、葛藤しながらもたしかに大人になっていく姿と、それを包んでいる、いつか忘れてしまうような日常の景色です。

この映画を観終わったあとは、彼らだけでなく自分が歩んできた道のりをきっと肯定したくなる。そして、あなたの”ふつう”が少しだけ広がるかもしれません。

配信やパッケージ化は予定しておりませんので、ぜひ劇場でご覧ください。
映画『大きな家』公式サイト Introductionより

豊劇で上映中の映画『大きな家』(1/5、1/10〜1/22)を鑑賞する。

この映画は、昨年末に竹林亮氏のご家族の方からご紹介いただき、合わせてそのPRも頼まれていました。「ご家族」と言うのも竹林さんの妻は養父市八鹿町出身で、ご両親とは面識があったご縁で、という経緯。

上映後のトークで竹林さんからこの映画を作成するきっかけのお話がありました。俳優の斎藤工氏からのオファー。斎藤氏が映画の舞台となった児童養護施設と親交を持つようになり、そこの子どもたちやその日々を多くの人に知ってもらいたいとの思いからドキュメンタリー制作を頼まれたそうだ。(竹林監督『14歳の栞』を観て斎藤氏が白羽の矢を立てる)

7歳から19歳までの子どもたちが被写体となって登場する。その出自や施設に来た経緯はふれずに淡々と施設の職員と共に生活する子どもたちの成長ぶりを記録していく。

映画の後半で登場した子ども一人ひとりに施設や仲間について問うシーンがある。
「施設は家のように感じるが実家ではない」
「俺にとってもみんなは一緒に暮らしている他人」

「思い」と「事実」のはざまで悩みながら答えるシーンが印象的。

親元を離れ社会的養護のもとで暮らす子どもは日本に約42,000人いること、退所後も多くの苦労を抱えて暮らしている人たちがいることも知る機会になりました。

上映後、竹林さんとロビーで少しお話をしましたが、とても誠実な方と言う印象。真面目に社会問題と向き合って作品づくりをされていることを感じる。

竹林さんの奥さんも大手広告会社の編集長をされているそうで、私の会社もお世話になった時期もあるので、また但馬に来られた時には、ゆっくりとお話をしましょうとお話しをしながらお別れをする。

「『大きな家』を観てもらうことが、意識が変わることに直結し、それがどんどん広がっていく。様々な立場の方々に観てもらうことが、子どもたちにとって一番の支援になる」とおっしゃっていました。
子どもたちにとって、暮らしやすい社会をつくるために、まずは本作を応援いただけたら嬉しいです。
ぜひ本作で感じたことを、ハッシュタグ #大きな家 で教えてください。
(Message 「映画館で、手渡しのように届けたい。」 より

當る巳歳 吉例顔見世興行〜京都四条南座

以前から一度行ってみたいと思っていた京都南座の顔見世興行。

東西合同大歌舞伎と言うことで、片岡仁左衛門、中村鴈治郎、はじめ永楽館歌舞伎の片岡愛之助、中村壱太郎や若手歌舞伎役者が出演とあるのでチケット購入。
しかし、顔見世興行直前の稽古中の事故で愛之助さんが怪我(顔面?)で休演。応援に駆けつけたつもりなので残念ですが、早い回復をお祈りします。

市川中車、中村隼人、中村萬壽、中村萬太郎、坂東巳之助、片岡孝太郎、中村鷹之資など、とても楽しみな役者揃い。

【夜の部】演目
第一 元禄忠臣蔵(仙石屋敷)  仁左衛門、鴈治郎、中車、隼人 他
第二 色彩間刈豆(かさね)   萬壽、萬太郎
第三 曽我綉侠御所染(御所五郎蔵)隼人、巳之助、壱太郎、孝太郎
第四 越後獅子         鴈治郎、萬太郎、鷹之資

16時開演で終わるのが20:50。
休憩をはさみながらの4時間50分!
こんな長時間のエンタテインメントって他にないのでは、と思うぐらい。
歌舞伎にどっぷり、たっぷりの観劇でした。

ちょっと友人陶芸家のアトリエ拝見

陶芸家のMさんちに立ち寄る。
エントランスと言うか表アプローチと言うか、素敵なお家。
木々は、我が家の庭のお世話もしてもらっている庭師のKさんが植える。

山の裾野にあるアトリエ。
開けたこの空間がいい。

なんだこれ??
庭師さんの遊び場かな?
アトリエ横の林に囲まれた空き地を利用して作庭中。
さて、どんな庭ができるのか今から楽しみだ。

最近、メキメキと人気が出てきた陶芸家Mさん。
あちこちのギャラリーで個展も頻繁に。
私は渋谷のギャラリーにも行きました。
我が家の茶道具にもMさん作が増えてきました。

シンポジウム「社会的インパクトから見た芸術文化観光の力」

「芸術文化観光研究センター」(2024年4月設立)主催のシンポジウムに参加。

芸術文化観光専門職大学が開学して4年が経とうとしている。来年3月に一期生が卒業する。「芸術文化観光」という3つの単語が並ぶ大学。果たしてこの3つはどのように結びつき、その結びつきが何を実現するのか、とても興味を持って市民として関わってきました。

副題に「豊岡演劇祭を中心に」とあるので、その「社会的インパクト」にもとても注目していたので、芸術的、経済的な価値、効果も含めた総合的な評価を確認する良い機会となりました。

「豊岡演劇祭2024」の最終レポートはまだ公式には発表されていないので、おおよその増減傾向などの数字は口頭で説明があり、ゲストの大久保広晴氏からは、観劇の感想などを聞くことができました。

特に関心のある箇所をピックアップすると、

・豊岡演劇祭の財源構造(2023年度)
 – 開催費合計 1億2000万円
 – 豊岡市の負担 5,900万円(内、一般財源50万円)
  – 地方創生推進交付金2950万円(50%)、企業版ふるさと納税2000万円(34%)、
個人版ふるさと納税880万円(15%)
 – その他(6100万円)
  – 文化庁、県補助金、周辺自治体からの委託金、チケット、グッズなどの収入

これを見ると、豊岡市の一般会計からは50万円(に、過ぎない)。
市の負担額のほとんどは交付金、ふるさと納税など、国やふるさと納税などの支援をいただいて成り立っている。兵庫県や他市町との連携も大切にしなければならないのは理解できます。

私たち民間ができるところはしっかりやっていきたい。
チケット売上、宿泊サービス、グッズ販売、さらに商工会議所、商工会、観光協会などの経済団体や各地元企業が、戦略的な発想のもと、強力なバックアップを行うことが大切と考えます。ひいてはそれが企業、地域経済にもフィードバックされ、さらに芸術文化体験・交流、経済的活力として市民に還元されていくことになる。なんとかこの理想を実現したいものです。

力づけられるアンケート結果の報告もありました。
「豊岡市を文化芸術の盛んなまちと思う」
 32%(2016年)  → 56%(2024年)
「豊岡演劇祭など国内外の文化芸術を通じた交流が活発と思う」
 9.2%(2016年)  → 40.8%(2024年)

残念な結果も一つ。
「市民・団体による文化芸術活動が活発でないと思う」
 22.5%(2016年  →  33.3%(2024年)

高齢化とコロナによる活動の休止、グループの解散などで衰退が顕著である、という現実も。
「おんぷの祭典」を通じて音楽仲間、愛好家、身近に音楽を楽しむ、こんな活動も活発にしていきたい。人口減少を嘆くのではなく、生活の質、楽しみ、新たな出会いを高めるそんなネットワークを広げていきましょう。

第14回永楽館歌舞伎 始まる

待ちに待った永楽館歌舞伎が始まる。
今年は、歌舞伎が初めての友人夫妻とちょくちょくご一緒する友人Bさんの5人で観劇。
妻と友人Bさんは着物。永楽館歌舞伎にぴったりだ。第2回目から毎回観ているが、特に今年は着物姿のお客さんが多いように思う。歌舞伎を楽しみむ習慣が定着してきたのでしょうか。

演目は
「奥州安達原 袖萩祭文」
「お目見得 口上」 (永楽館歌舞伎人気の口上)
「高 坏」

俳優は
片岡愛之助、中村壱太郎、中村歌之助、片岡千壽、市川九團次、片岡孝太郎ら

「袖萩祭文」では、壱太郎演じる貞任妻袖萩の熱演が印象的。
雪が降りしきる中、御殿に盲目の袖萩が娘を連れて訪ねるが、勘当の身のために門前払い。三味線を弾き親不孝を詫びるが寒さで倒れてしまう。。。。。。
なかなか泣かせる場面。

第1回目の永楽館歌舞伎では、壱太郎さんはまだ高校生だったのに、今や堂に入る演技に感動。

「高坏」では、愛之助さんが下駄を履いてタップダンスが見もの。昭和8年に初演され、作者は宝塚少女歌劇で和物の歌劇を手がけていた久松一声氏。宝塚だからこその劇でしょう。

夕方に始まった夜の部も、終わると辺りは真っ暗。
余韻に浸りながら家路につく観客はゆっくりとした足取り。

愛之助さんも口上で「出石は第二のふるさと」と毎回おっしゃっている。これまでも新作を始め、愛之助さんにとって初めて挑戦する演目など、「本気で」永楽館を大切にされているのが伝わってくる。なんとか、今後もずっと続く永楽館歌舞伎にしていきたいものです。