『戦争と外交の世界』 出口治明・著

僕たちひとりひとりは、単なる揺れる草木の一本かもしれません。しかし、どこの国でも市民みんなが賢い草木になれば、軽はずみに隣国の指導者をポカリと殴るような支配者が、選ばれることは少なくなるように思います。戦争と外交の歴史は、僕たちの人生の歴史と合わせ鏡のような関係にあるような気がします。
財産や恋人をめぐる争い、横暴で強欲な隣人や上司との人間関係など、それに対応する知恵もまた、戦争と外交の歴史の中に隠されています。
『戦争と外交の世界史』 出口治明・著
(「おわりに」より p430)

「1万2000年前のドメスティケーション(定住し支配する)ことに目覚めて以来、人間はその後の進化がない」で始まり、日露戦争の時に伊藤博文がとった作戦(アメリカに終結の斡旋を依頼)の事例までを紹介している。人類の戦争、殺戮と終結するため、あるいは終結後にとった条約などの外交の成功と失敗、その難しさが書かれている。

古代エジプトとヒッタイト(BC13世紀)、宋とキタイ(11世紀)、帝国とオスマン朝(15世紀)、フランス革命、アメリカ南北戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、と続く。

戦争の終結のための条約の難しさ(双方の思惑が交錯するいい加減さ)、終結のための条約が次の新たな紛争を生じさせる、その繰り返しであることがよく理解できる。

ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとハマス(パレスチナ)の殺戮と同時代に生きている現在、その終結に結びつくためには。政治の責任は大きい。政治家を選ぶのは市民である。

さて。

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