『櫻井拓斗 ダンスの世界』櫻井拓斗 但馬コネクション#78

今月は、芸術文化観光専門職大学4年生、会場のシェアハウス「江原101」在住、そして但馬コネクションのスタッフでもある櫻井拓斗くんがゲスト。(あえて「くん」と呼ばせてもらいます)

拓斗くんは、7歳よりダンスを習い、コンテンポラリーダンサーの登竜門である「神楽坂セッションハウスアワード2024」でグランプリを受賞した若手ダンサーのホープ。

受賞者公演作品である『SEEEEEEEED!!』を再演。

セッション開始前に簡単な打ち合わせをして聞いたのですが、拓斗くんが振付・演出した作品を大学や地元で発表したものは10作品以上あるそうだが、自身がパフォーマンスするのは、豊岡では初めてとのこと。(もちろん東京などでパフォーマンスは何度もしているが)
貴重な鑑賞となりました。

約20分のダンスの後は、拓斗くんの自己紹介を兼ねながらコンテンポラリーダンスに至るダンスの歴史、流れを解説。櫻井三兄弟の小学生の頃の自宅で撮ったダンスの映像、高校時代に振付をしたダンス部の映像など、愉快な映像も披露してくれる。本当にダンスが好きなんだ、と伝わってくる。

作品作り、パフォーマンスと音楽(作曲とPC演奏)の関係など、質問がいっぱいでる。多才な拓斗くんであることを再確認。

12月なので、後半は「忘年会」風にみんなで打ち解けて交流会。
ドイツ本場仕込みの「グリュワイン」や古代米(赤米)の「おはぎ」など、但馬コネクションの顧問スタッフから提供していただく。心も身体も温まる素敵な交流会となりました。

『「アート」を知ると「世界」が読める』山中俊之 但馬コネクション#77

今月の但馬コネクションは芸術文化観光専門職大学教授の山中俊之氏。
山中俊之氏の新刊『「アート」を知ると「世界」が読める』にちなんでテーマと致しました。

山中氏は、東大法学部卒、外務省でエジプト、イギリス、サウジアラビアへ赴任。これまでに97カ国を訪問。ケンブリッジ大学、高野山大学で仏教思想を学ばれるなど、まさに国際派として経験を積んで来られる。現代は、ウクライナ、ガザで戦闘が続き、国際的緊張関係にあるアジア、分断のアメリカなど不安定な世情、民主主義が問われている。

これまでの大学での学びや友人、家族の話題で始まる。海外での付き合いの中で家族(特に配偶者)を紹介するのは常識的。海外での外交の仕事などを通じて、異民族、異文化とのコミュニケーションの取り方や民族・宗教などで触れてはならない話題、言葉などの解説。
後半は参加者からの質問、疑問に答えるコーナーで終了。

今回は大阪から(株)スマイルマーケテイングの代表で、但馬コネクション(第17回)のゲストとしてお迎えした高橋健三さんも参加。山中さんとはビジネススクールのグロービスで知り合ったそう。結局、私も含めて3人はグロービスで学んだ仲間でもありました。

『茶の湯について』廣田吉崇 但馬コネクション#76

今月の但馬コネクションは「茶の湯」がテーマ。
セッション開始前に、参加者の皆さんに抹茶を差し上げる。
茶を点てるのはシェアハウス江原101住民で、但馬コネクションのスタッフでもあるCAT学生。

来られた方から抹茶を一服差し上げる。
会場には着物姿もちらほらでいつもと違う雰囲気。

ゲストの廣田吉崇さんは「茶の湯文化学会」の韓国ソウルでの海外研修で出会い、お付き合いが始まる。茶のルーツを訪ねる雲南省の旅でもご一緒させていただいた。

茶馬古道をいく〜麗江(れいこう)編(1)(July 06, 2012)
茶馬古道をいく〜香格里拉(シャングリラ)編(1)(July 13, 2012)
茶馬古道をいく〜普洱(プーアール)編(1)(July 15, 2012)

最初は「茶の湯とは」というテーマで「茶の始まり」「茶の種類」「茶の日本伝来」「茶葉、茶道具」などについて、初心者でもわかりやすく解説をされる。

次に「文化ナショナリズムの視点から喫茶文化を見る」というテーマ。
明治以降の茶の湯の変遷。特に裏千家の果たした役割などについて、とても興味深いお話が続く。

これからの「茶の湯」がどのような継続していくのか、思いを巡らしながら聴きました。

『2人のプロデューサーからみる豊岡演劇祭』加藤奈紬・松岡大貴 但馬コネクション#75

松岡大貴さん  加藤奈紬さん

今月の但馬コネクションは、豊岡演劇祭の若手プロデューサーのお二人、加藤奈紬さんと松岡大貴さんをゲストに迎え、演劇祭真っ只中で開催。

進行役は、但馬コネクションのスタッフであり、建築家の渡辺瑞帆さん。
加藤さん、松岡さんは共に「地域づくり協力隊」として豊岡に移住、3年間の演劇祭関連の任期を終え、現在はプロデューサーという立場で演劇祭に関わっている。

フェスティバルディレクターは平田オリザさん、実行委員会(高宮浩之会長)があり、そしてプロデューサーがいる、という組織で運営している。その最前線でアーティストと交渉し、サポートし、地元開催地と交渉し、プログラムを組みんでいるのがプロデューサー。

そんな2人からみた演劇祭の生の現場、市民の反応、達成感、課題など語ってもらいました。

第2部では初めての試みとしてキャッシュオンでビール、ワイン、おつまみも準備して和気藹々と語り、出会い、意見交換などで盛り上がりました。

アーティストとしてセッションに参加していただいた吉田萌さんも作品の紹介を。
『ヴァカンス』(9/20-23 竹野)。

但馬コネクション会場のシェアハウス「江原101」住民学生による10月のイベントの広報もあり、豊岡演劇祭会期中ならではの内容で無事終了しました。

あっと言う間の1週間

クリストフ・ヘンケルさん、児嶋一江さん、高木和弘さん、田中佑子さん
素晴らしい演奏ありがとう。

音楽でより深く繋がった1週間でした。
ビールもワインも貢献してくれました。
See You soon.

『円熟の室内楽』クリフトフ・ヘンケル(vc)、高木和弘(vl)、児嶋一江(p) 但馬コネクション#74

1週間滞在最後の夜を『公開リハーサル』として但馬コネクションの7月セッションとしました。15:00から第二部のお料理を開始。16:00までの直前リハーサルを終えた17:00から、数名のスタッフで会場づくり。テーブルを運び出し、ベンチや椅子を並べ、譜面台の位置をマーキング。

18:00にスタッフ全員集合。本日の参加者を発表し、受付、会場、第二部立食交流パーティの役割分担を決める。もう70回を超える回数を経験しているので、この辺りはスムーズに確認が進む。

19:00に開演。
最初の挨拶をするピアノの児嶋一江さん。

高木和弘        ヴァイオリン
クリストフ・ヘンケル  チェロ
児嶋一江        ピアノ
田中佑子(特別出演)   ヴィオラ

ドヴォルザーク ピアノ三重奏曲作品90〈ドゥムキー〉
ブラームス   ヴァイオリンソナタ第2番 イ長調 作品100
        チェロソナタ第2番 ヘ長調 作品99
        ピアノ三重奏曲第3番 ハ短調 作品101

但馬コネクション特別追加曲として
E.ドホナーニ作曲『弦楽トリオセレナーデ 作品10』
で演奏は開始。
これは、特別参加のヴィオラの田中佑子さん(高木さんの奥様でもある)をフューチャーした曲でもある。

7/28、30日に大阪・東京でのコンサートに向けた「公開リハーサル」でもあるので、全曲をぶっ通しで2時間20分。

第二部は、スタッフで準備したお料理とワイン、ビールで交流会。
最後は、スタッフだけ残り、ヘンケルさんから感謝の言葉が述べられました。

詳しくは後日、但馬コネクションのホームページでもアップします。

『山陰海岸ユネスコ世界ジオパークから見る日本列島の成り立ち』松原典孝 但馬コネクション#73

但馬コネクション6月セッションを開催しました。

今日のテーマは『日本列島の成り立ち』。私が思うには「日本列島誕生の物語を知ると日本がわかる」。2011年の東日本大震災、その後九州でも能登半島でも地震は続く。日本を旅すると、海・山の絶景観光地、地方の食文化に触れ、その地の街並みや人の生活を知る。その成り立ちは、日本列島の成り立ちを知ることでより興味が湧いてくる。

そんな思いでブラタモリの豊岡城崎編でガイドも務めた松原典孝さん(兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科講師)にお願いをしました。

地球の表面を移動する「プレート」と言う言葉を最近よく聞くようになりました。海洋プレートと大陸プレートがぶつかり、一方が潜り込んでマグマが圧縮されて歪みが生じ、限度に達した時に地震が発生する。
プレートテクトニクスを理解すると地球の不思議を知る手がかりがいっぱい。これを頭に描きながら自然(地球)をテーマにしたテレビ番組を観るとより面白いのでお薦めです。

プレートの働きで、3000万年前に大陸の先端が引き裂かれるように移動し、やがて海水が這い込み日本海ができ、1500万年さらに太平洋プレートの潜り込みにより、火山島がぶつかり、圧縮されて隆起し山脈が形成される。カルデラ大噴火も起きる、そんな激動の末に現在の日本列島がある。壮大な物語。

興味津々で参加した人はもちろん、よく知らないが聴いてみようと参加した人たちも、目を輝かせながら集中して話を聴いている空気が伝わってくる。終わってからも質問が止まらない。

日本地質マップ」を見ながら、地震に強い地域(地質)、弱い地域なども解説。但東町あたりに断層が走っている、豊岡盆地の地質は地震に弱い。「では、私の家の地域は?」と質問も出る。地質学は遠いようで身近な問題も解明してくれるのを実感。ちなみにシェアハウスのある(私の自宅も)江原地区は岩盤の上に建っているので、地震に強いと太鼓判。住んでいる学生も安心した表情。

今日は初めての参加者もあり、会員登録希望も複数あり。
夏・秋のイベントも情報も、参加者から多数あり、充実したセッションとなりました。

『東京のど真ん中での無目的スペースの試み「三田の家」のことなど』熊倉敬聡 但馬コネクション#72

但馬コネクション5月セッションを開催。

ゲストは芸術文化観光専門職大学の教授である熊倉敬聡(くまくら・たかあき)氏。以前は、慶應義塾大学の教授もされていました。
テーマは「東京のど真ん中での無目的スペースの試み「三田の家」のことなど」という長いタイトル。私は、「東京のど真ん中」「無目的スペース」「三田の家」(三田商店街にある)のワードに反応。一体なんなんだろう?と興味津々。

私にはもう一つ熊倉氏に抱く関心は、ご専門が「美学」「フランス文学」「芸術論」「現代アート論」 などの著書もお書きになっているので、それにも触れてほしい。

その両方について、ご自身のこれまでの人生経験を交えながら赤裸々に語っていただく。深く、重く、ご自身の感ずるところを信じチャレンジし、キャリアをつんで来られたことに敬服。

熊倉さんが発する言葉「デザインしないデザイン」「余白を持つ」「作り込みすぎない」。これは芸術、建築、生活スタイルにも適用できる、私自身も最も共感するキーワード。

現役慶大生が熊倉氏に質問

「三田の家」の運営、集まる人たち、パーティ、コミュニケーションなど、どれも魅力的で、この会場となっているシェアハウス「江原101」にとっても大いに参考になる。まさに「三田の家」は「江原101」の先生だと思う。

熊倉氏の苦悩のパリ留学時代、実験的授業を次々と行った慶應義塾大学教授時代、どれも自由で、自分に忠実で、チャレンジングな話ばかり。参加者にみなさんも目を輝かせながら聴いているのがわかる。

鳥取と豊岡(江原)に滞在して9月に向けて演劇稽古をしている現役の東大生、慶大生など5人が参加。CAT学生も交えて、活発な意見交換。

魅力ある地域にしていくためのヒントが詰まり、現役学生にとっても大きな刺激になったセッションとなったのではないかと思う。

「東井義雄について語る」米田啓祐 但馬コネクション(#71)

但馬コネクション4月は教育者・東井義雄氏。ゲストは米田啓祐氏

但馬出身の偉人として東井義雄氏の名を挙げる人も多い。
「村を育てる学力」は東井義雄さんの有名な教育方針。

ゲストの米田啓祐氏は、東井義雄さんが八鹿小学校(兵庫県養父市八鹿町)の校長として着任した1964年(昭和39年)に新米教諭として勤務されていました。

実際に東井義雄さんの人となりを語っていただく

このセッションに当たって、一番関心を持っていたのは、「村を育てる学力」って、具体的にどんな教育なんだろうか、ということでした。

それは教育理念、方法論ではなく、東井義雄さんの教師として、校長として日々子どもたちや教員に接する態度やアドバイスにあるようだ。一方的な結論の押し付けでなかく、本質を鋭く見抜き、それを相手(教員であったり、生徒であったり)に合わせて話しかける。

全教員が提出する「週録」(1週間の出来事、実践記録、子どもたちの学習進捗など)に目を通し、激励、疑問、助言、教育のあり方について返事を書き、問いかける。

そのやりとりを「校長便り」として刊行したのが「培其根」(ばいきこん)というガリ版刷りの通信。当初は校内教員のみに配布されていたが、評判を呼び後には1000部を越す発刊となる。この「培其根」が教育者としての東井義雄を世に知らしめることになったようだ。

「村を育てる学力」とは、子どもの生きがいを育てる学力。村に縛りつけるのではなく、子ども一人ひとりの命を大切にし、個性を伸ばし、地域を豊かにする知恵と愛着を育むこと、と理解。

1964年(昭和39年)に八鹿小学校の校長に着任した時の挨拶で述べた言葉に答えがあるように思う。
「だってぼくたちの学校だもん」

「なぜ?」「なぜならば」「〜すべき」の理屈ではない。

「だって、ぼくたちの村だもん」

「ドイツの芸術文化環境から考える但馬の課題と展望」 藤野一夫 但馬コネクション(#70)

但馬コネクション3月は、藤野一夫氏(芸術文化観光専門職大学副学長、神戸大学名誉教授)をお迎えする。テーマは「文化」。長年に渡ってドイツの文化政策を調査し、ドイツ文化に詳しく、特にご本人も音楽を愛し、ヨーロッパの演奏家とも親しいお付き合いをされている。

この日は、今冬最後(?)の寒気来襲で雪が降る寒い1日。急遽、灯油のストーブも持ち込む。第二部はストーブを囲みながらの意見交換。

大好評の手作りケーキとお菓子。作るのは会場のシェアハウス「江原101」の住民であり、但馬コネクションのスタッフである芸術軍歌観光専門職大学(CAT)の学生たち。大好評!

記録は但馬コネクションのサイトで掲載予定。