土と陶器の旅(その3)

立杭焼「陶の郷」内にある「アートギャラリー丹波」。
その空間にある久住章さん製作の土で作られたパーティションがある。
見るからに久住さんの作品ですね。

土独特の柔らかい表情がなんとも言えない。

裏面(「裏」とは言ってはダメですね、この美しさ)はこうなっている。
木と木の間は金網を巡らせその上に土を塗っていく。
パーティションそのものの立体的な波打つうねりで自立している。

壁(パーティション)の厚みは数センチなのだが、最上部は絞り込んで細いラインになっている。こうすることで、厚ぼったさを緩和し、流線の壁に仕上がっている。この辺りが久住さんのすごいところですね。

土と陶器の旅(その2)

久住章さんの案内で、立杭焼陶芸家Ichikawaさんのギャラリーを訪ねる。こちらも見事な建築とセンス抜群な室内の装飾や家具。

窓の下のカウンターは、土(左官)でできている。左にピザ窯、右には湧き水が飲める蛇口がある。壁は土、テーブル表面は和紙が貼ってある。調和のとれた空間。

アームで突き出た裸電球が面白い。2階に上がると作品の展示と多目的に使える部屋がある。ゲストを迎えての食事、くつろぎの会話、また、小さな集まりを開いてみんなで楽しむしかけがいっぱいある素敵な空間。

秘密のお風呂。(だから詳しく書けません)
山の斜面には渓流があり、森に囲まれた場所。

設計施工の久住さんから説明を聞く。
来年春の完成が楽しみだ。

土と陶器の旅(その1)

ドーモ・キニャーナ30周年の集いがきっかけになって、左官の久住章さん設計施工の土壁の家、そして久住さんのご自宅を見学するツアーを企画。

立杭焼の里を訪ねる。陶芸家I氏のギャラリー。
木立の向こうに土壁が見える。遠くから眺めて一目で久住さんとわかる。

土壁の上に屋根を掛けたというか、被せた構造。この山に生えていた木で支える。柱と柱の間のチェーンは、逆に屋根が風で吹き飛ばされるのを防ぐ。考え方がとてもシンプルなのが久住さんだ。

一歩足を踏み入れると、そこは別世界。

久住章さんの解説。世界の四大文明、メソポタミアの紀元前にさかのぼる話から始まる。

土どうし。土壁と陶器、よく似合う。

壁は1mを越す厚みがある箇所も。壁から自然に弧を描く棚が美しい。床の石は、建築のために掘ったこの場所にあったものという。

裏山から切り出してきた木、古材、壁の土、床の石。

ギャラリーの奥には茶室とゲスト用のお風呂がある。
土で作ったお風呂。ザラザラに見えるが触ってみると適度なザラつきで肌感覚も気持ちいい。追い焚きもできる。

今、我が家もお風呂の改築をしているので今回の見学の目的でもある。
魅力的ではあるが奇抜なお風呂。真似できるのならしてみたいが、地上にあるこのお風呂と違って、上の階にあるので物理的に困難かも。

ガラスの天井〜空を見上げる

じ〜っと空を見上げているのが好きだ。
だから天井の一部をガラスにする。

象設計集団には「7つの原則」がある。
「1.場所を表現する」→進明寺(しんめいじ)山を取り込んだ借景。
「5.自然を受け止め、自然を楽しむ」→陽光をいっぱい入れる。空を眺める。2階の庭。
「6.あいまいもこ」→家の内と外を繋げる。外のような内のような空間。

聳える柱の向こうに空。

劇的なる建築をめぐって

豊岡のカバン・ストリートにあるクリエーター育成支援施設「アパートメント」にて開催されたセミナーに参加。ゲストスピーカーは、アーキテクト・コレクティブ「ガラージュ」(建築設計集団)の渡辺瑞帆さん。

大学で建築を学び、劇団青年団に所属しながら、建築設計をしている渡辺さん。学生時代から、古民家、空き家を調査し、街並み丸ごとを作品にする。その地域の歴史と人の生活と建築が融合した空間をクリエート。街が劇場となる。

渡辺さんが改築設計に携わった「シェア芝居小屋ハウス」(江原_101)。古い住宅をリフォームしてCATの学生たちが住む。1階フロアにはスタジオが、ダンスのウォーミングアップ、レッスン、ミーティング・スペースもある。

元の家屋の構造を残しつつ、新しい機能を付加していく。古いものと新しいものが混じり合ったダイナミックな構造に驚く。「住宅」であり「交流の場」であり「創造の場」であり「演じる舞台であり客席でもある場」。まさに劇的なる建築をクリエートする渡辺氏。

誕生日のサプライズで花束

「建築と演劇」。
なにか根源的で創造的な結びつきを感じる。
渡辺さんとガラージュの活動に注目です。

快晴の朝の建築談義

30周年記念の感謝の集いを終え、今朝も快晴で気持ちのいい朝。東京から来ていただいた象設計集団の富田玲子さん松井晴子さん(「住」に関する取材執筆)と昨夜のパーティを振り返りながらの朝食。

松井さんとは、富田玲子さんの著書『小さな建築』の取材のために我が家にお越しになって以来のお付き合い。建築、特に住宅に対する評論は定評がある。多くの建築家に取材し、交流のある松井さんの建築に対する評価はなかなか厳しいが、とても参考になり、大いに刺激を受ける。こんなお話ができるのもドーモ・キニャーナのお陰です。

江原にシェアハウス誕生!〜『江原_101』

江原(豊岡市日高町)にシェアハウスがオープンしました。民家を改造して6部屋の個室を持つ多目的ハウスです。

電柱の陰になっていますが、ポコっと屋根が飛び出た建物が江原河畔劇場。住むのは芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生たち。1年間の全寮制を終えた2年生が住む。

シェアハウスの名前は『江原_101』(えばらすぺーすいちまるいち)。

1階フロアは、ワンルームにして多目的に使用できる。(スタジオとネーミング)
演技やダンスのレッスン、仲間が集まって勉強会、セミナーなど。住む学生のアイデアで天井を打ち抜いてより広がりのある空間を演出。

2階フロアからは、1階のスタジオが見える。向こう側のスペースは、居住者のミーティングやワーキングスペース。1階に風呂、シャワールーム、トイレ。2階にもトイレと小さなキッチンあり。正面奥の窓の外は円山川が流れる。

2階のワーキングスペース奥からベランダに出ると円山川と向こう岸には山がある。江原の住民も知る人ぞ知る絶景なのです。

再び1階スタジオに戻って、建物正面側(道路に面している)を見る。白と青のテーブルが見えるところは、靴のまま入れる「土間スペース」。玄関よりも間口の広い扉をつけて、仲間や近所の人たちが気軽に集まれる。

8月28日は全員集合でオープニング。

住民学生たち、建築設計ガラージュさん、私の家族と劇団青年団のお子さんS君とシェアハウスに興味を持つ謎の人 I君(^.^)で記念のショット。(右)個室のドアは閉め(左上)、スタジオでは空間の広さを確認し(左下)、キッチンでは乾杯の準備が進む(中央)。みんな嬉しそう!!

『江原_101』をよろしくお願いします。
どうぞ遊びに来てください。

今の網戸って凄い

左、透明ガラス。
右、網戸。
確かに左窓枠の方がクリアだけど、右も負けてはいない。

同じく
左、透明ガラス。
右、網戸。
網戸越しの風景も、曇ったり、遮断された感じがなく、眺めることができる。
「黒色の網だから」と取り付けた工務店の人が言うけど、それだけだろうか。

網戸、バカにできない。
昔の網戸のイメージとは全然違う。

網戸越しの眺め

川沿いにあるシェアハウス「江原_101」。
窓さえ開けていれば、四季折々、朝から晩まで、必ず川からの風が吹き込んでくる。
なんとも爽やかで心地よい。
エアコンに頼らず自然の風を大いに利用して欲しいものです。
(まあ、連日38℃前後の今は無理そうですが)

ヒトも空間も、風通し を大切にしましょう。(^_^)

シェアハウス「江原_101」

私の住んでいる江原(豊岡市日高町)に芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生が住むシェアハウスが完成しました。名前は「江原_101」(えばらスペースいちまるいち)。

古い民家を改築して、新たな生活の場として再利用するものです。「完成」とはいえ、壁や床の仕上げなどは、自力建築よろしく、これから住みながら自分たちで仕上げていく。

プライベートな部屋と共有スペースを備えた快適なシェアハウスになるように、学生たちと一緒に進めていこう。

「新しい」美術館〜藤田美術館

藤田美術館(大阪市都島区網島町10番32号)

大阪でのライブコンサートの折に、夕方の時間を利用して藤田美術館に行ってみた。短時間であったのでじっくりと鑑賞はできなかったのが残念。今年4月に5年かけてリニューアル・オープンした、新しいコンセプト(鑑賞、施設、体験、滞在、寛ぎなど)を持った美術館であることが随所で実感する。

入口から入ると長方形の広い空間が広がる。石を配置した先に展示室への重厚なドアがある。入館チケットは、スタッフの方が端末機(スマホのような)を持って来られて、その場で購入。キャッシュレスを目指すとのことでカード、スマホ決済のみ。これからの美術館のシステムも変化していくのを予感。

藤田美術館多宝塔(高野山光台院から移築)

近代的な直線のアプローチ、四角いロビー空間とは、対照的な庭。「多宝塔」は、桃山時代に建立され、明治の実業家・藤田伝三郎により高野山より移築された。ホッとする佇まい。

入口左側を向くと茶室。天井に取り付けられたプロジェクターが、白い壁面に大きく映像を映し出す。さまざまなイベントを行なえるスペースだろうか。映像は、左官の久住有生(くすみなおき)さん。藤田美術館の壁面を施工。我が家は、有生さんの父・久住章さんによる土壁なので、その作風、技法など馴染みがある。以前、象設計集団の講演会でお会いしたことがあるが、今や日本を代表する左官職人。時代を超え、左官が作り出す土の空間は素晴らしい。

館内も久住有生さんによる土壁の空間。
音声ガイドのサービスはなく、入館前にスマホにQRコードを読み込み、展示物の前でその解説を自前のスマホで読む仕組み。つい、スマホの写真(実物が目の前にあるのに)と解説に集中してしまう。自前のイヤホンで音声を流した方が有効では、が私の感想です。
建物、システム中心の内容になってしまいました。これからの美術館の姿を見た貴重な体験でした。