土壁を剥がす〜築30年経って

自宅3階の土壁。荒塗りの壁は30年の風雨に晒され、少しずつ飛ばされ、流されているが、返って、そのことに愛着が湧く。ともに30年を過ごしたんだな、と。

今回、3階の改築のメインテーマの一つにベランダにガラスの庇を架ける工事を行うことにした。墨を入れたところをカットして、土を剥がし、中にあるだろう(?)梁に加工を施す。

解体業社さんが楔を打ち込む、緊張の一瞬。心臓を撃ち抜かれる気持ちで見守る。

いつも眺めてきた土壁の土を剥がす作業が終わる。図面通り、太い梁を剥き出しにすることができた。土壁の厚みは、想像していたよりもさらに厚く70ミリ以上ある。この厚みが外部の寒暖を防いでくれていたんだな、と感慨深い。

さて、次の段階へ進もう。

土と陶器の旅(その3)

立杭焼「陶の郷」内にある「アートギャラリー丹波」。
その空間にある久住章さん製作の土で作られたパーティションがある。
見るからに久住さんの作品ですね。

土独特の柔らかい表情がなんとも言えない。

裏面(「裏」とは言ってはダメですね、この美しさ)はこうなっている。
木と木の間は金網を巡らせその上に土を塗っていく。
パーティションそのものの立体的な波打つうねりで自立している。

壁(パーティション)の厚みは数センチなのだが、最上部は絞り込んで細いラインになっている。こうすることで、厚ぼったさを緩和し、流線の壁に仕上がっている。この辺りが久住さんのすごいところですね。

土と陶器の旅(その2)

久住章さんの案内で、立杭焼陶芸家Ichikawaさんのギャラリーを訪ねる。こちらも見事な建築とセンス抜群な室内の装飾や家具。

窓の下のカウンターは、土(左官)でできている。左にピザ窯、右には湧き水が飲める蛇口がある。壁は土、テーブル表面は和紙が貼ってある。調和のとれた空間。

アームで突き出た裸電球が面白い。2階に上がると作品の展示と多目的に使える部屋がある。ゲストを迎えての食事、くつろぎの会話、また、小さな集まりを開いてみんなで楽しむしかけがいっぱいある素敵な空間。

秘密のお風呂。(だから詳しく書けません)
山の斜面には渓流があり、森に囲まれた場所。

設計施工の久住さんから説明を聞く。
来年春の完成が楽しみだ。

土と陶器の旅(その1)

ドーモ・キニャーナ30周年の集いがきっかけになって、左官の久住章さん設計施工の土壁の家、そして久住さんのご自宅を見学するツアーを企画。

立杭焼の里を訪ねる。陶芸家I氏のギャラリー。
木立の向こうに土壁が見える。遠くから眺めて一目で久住さんとわかる。

土壁の上に屋根を掛けたというか、被せた構造。この山に生えていた木で支える。柱と柱の間のチェーンは、逆に屋根が風で吹き飛ばされるのを防ぐ。考え方がとてもシンプルなのが久住さんだ。

一歩足を踏み入れると、そこは別世界。

久住章さんの解説。世界の四大文明、メソポタミアの紀元前にさかのぼる話から始まる。

土どうし。土壁と陶器、よく似合う。

壁は1mを越す厚みがある箇所も。壁から自然に弧を描く棚が美しい。床の石は、建築のために掘ったこの場所にあったものという。

裏山から切り出してきた木、古材、壁の土、床の石。

ギャラリーの奥には茶室とゲスト用のお風呂がある。
土で作ったお風呂。ザラザラに見えるが触ってみると適度なザラつきで肌感覚も気持ちいい。追い焚きもできる。

今、我が家もお風呂の改築をしているので今回の見学の目的でもある。
魅力的ではあるが奇抜なお風呂。真似できるのならしてみたいが、地上にあるこのお風呂と違って、上の階にあるので物理的に困難かも。

ガラスの天井〜空を見上げる

じ〜っと空を見上げているのが好きだ。
だから天井の一部をガラスにする。

象設計集団には「7つの原則」がある。
「1.場所を表現する」→進明寺(しんめいじ)山を取り込んだ借景。
「5.自然を受け止め、自然を楽しむ」→陽光をいっぱい入れる。空を眺める。2階の庭。
「6.あいまいもこ」→家の内と外を繋げる。外のような内のような空間。

聳える柱の向こうに空。

劇的なる建築をめぐって

豊岡のカバン・ストリートにあるクリエーター育成支援施設「アパートメント」にて開催されたセミナーに参加。ゲストスピーカーは、アーキテクト・コレクティブ「ガラージュ」(建築設計集団)の渡辺瑞帆さん。

大学で建築を学び、劇団青年団に所属しながら、建築設計をしている渡辺さん。学生時代から、古民家、空き家を調査し、街並み丸ごとを作品にする。その地域の歴史と人の生活と建築が融合した空間をクリエート。街が劇場となる。

渡辺さんが改築設計に携わった「シェア芝居小屋ハウス」(江原_101)。古い住宅をリフォームしてCATの学生たちが住む。1階フロアにはスタジオが、ダンスのウォーミングアップ、レッスン、ミーティング・スペースもある。

元の家屋の構造を残しつつ、新しい機能を付加していく。古いものと新しいものが混じり合ったダイナミックな構造に驚く。「住宅」であり「交流の場」であり「創造の場」であり「演じる舞台であり客席でもある場」。まさに劇的なる建築をクリエートする渡辺氏。

誕生日のサプライズで花束

「建築と演劇」。
なにか根源的で創造的な結びつきを感じる。
渡辺さんとガラージュの活動に注目です。

快晴の朝の建築談義

30周年記念の感謝の集いを終え、今朝も快晴で気持ちのいい朝。東京から来ていただいた象設計集団の富田玲子さん松井晴子さん(「住」に関する取材執筆)と昨夜のパーティを振り返りながらの朝食。

松井さんとは、富田玲子さんの著書『小さな建築』の取材のために我が家にお越しになって以来のお付き合い。建築、特に住宅に対する評論は定評がある。多くの建築家に取材し、交流のある松井さんの建築に対する評価はなかなか厳しいが、とても参考になり、大いに刺激を受ける。こんなお話ができるのもドーモ・キニャーナのお陰です。

江原にシェアハウス誕生!〜『江原_101』

江原(豊岡市日高町)にシェアハウスがオープンしました。民家を改造して6部屋の個室を持つ多目的ハウスです。

電柱の陰になっていますが、ポコっと屋根が飛び出た建物が江原河畔劇場。住むのは芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生たち。1年間の全寮制を終えた2年生が住む。

シェアハウスの名前は『江原_101』(えばらすぺーすいちまるいち)。

1階フロアは、ワンルームにして多目的に使用できる。(スタジオとネーミング)
演技やダンスのレッスン、仲間が集まって勉強会、セミナーなど。住む学生のアイデアで天井を打ち抜いてより広がりのある空間を演出。

2階フロアからは、1階のスタジオが見える。向こう側のスペースは、居住者のミーティングやワーキングスペース。1階に風呂、シャワールーム、トイレ。2階にもトイレと小さなキッチンあり。正面奥の窓の外は円山川が流れる。

2階のワーキングスペース奥からベランダに出ると円山川と向こう岸には山がある。江原の住民も知る人ぞ知る絶景なのです。

再び1階スタジオに戻って、建物正面側(道路に面している)を見る。白と青のテーブルが見えるところは、靴のまま入れる「土間スペース」。玄関よりも間口の広い扉をつけて、仲間や近所の人たちが気軽に集まれる。

8月28日は全員集合でオープニング。

住民学生たち、建築設計ガラージュさん、私の家族と劇団青年団のお子さんS君とシェアハウスに興味を持つ謎の人 I君(^.^)で記念のショット。(右)個室のドアは閉め(左上)、スタジオでは空間の広さを確認し(左下)、キッチンでは乾杯の準備が進む(中央)。みんな嬉しそう!!

『江原_101』をよろしくお願いします。
どうぞ遊びに来てください。

今の網戸って凄い

左、透明ガラス。
右、網戸。
確かに左窓枠の方がクリアだけど、右も負けてはいない。

同じく
左、透明ガラス。
右、網戸。
網戸越しの風景も、曇ったり、遮断された感じがなく、眺めることができる。
「黒色の網だから」と取り付けた工務店の人が言うけど、それだけだろうか。

網戸、バカにできない。
昔の網戸のイメージとは全然違う。

網戸越しの眺め

川沿いにあるシェアハウス「江原_101」。
窓さえ開けていれば、四季折々、朝から晩まで、必ず川からの風が吹き込んでくる。
なんとも爽やかで心地よい。
エアコンに頼らず自然の風を大いに利用して欲しいものです。
(まあ、連日38℃前後の今は無理そうですが)

ヒトも空間も、風通し を大切にしましょう。(^_^)

シェアハウス「江原_101」

私の住んでいる江原(豊岡市日高町)に芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生が住むシェアハウスが完成しました。名前は「江原_101」(えばらスペースいちまるいち)。

古い民家を改築して、新たな生活の場として再利用するものです。「完成」とはいえ、壁や床の仕上げなどは、自力建築よろしく、これから住みながら自分たちで仕上げていく。

プライベートな部屋と共有スペースを備えた快適なシェアハウスになるように、学生たちと一緒に進めていこう。