人材発掘と資金調達〜エリアマネジメント第2弾

尼崎市開明庁舎(尼崎市開明町2-1-1)。

尼崎市立開明小学校であった建物を改修し、阪神尼崎サービスセンターや中央地域振興センター等の地域住民への行政サービス拠点としての役割を果たしている。艦船のように見える外観や旧校長室の奉安庫など、昭和12年(1937)の建設当時の面影が残っており、平成19年(2007年)に国の登録有形文化財に登録された。
駅探LOCAL より

8月の「空き家再生からはじめるエリアマネジメント推進プログラム」(神戸国際会館)NI引き続き、2回目のプレスクールに参加する。

会場の尼崎市開明庁舎は、まさにその先駆け、旧小学校の校舎を再利用している。学校の後は、日本生命尼崎ビルになり、その後尼崎市のサテライト庁舎へと。

今回のテーマは、「地元での人材発掘と資金調達の方法」。ゲストスピーカーは、小友康広氏(上町家守舎/岩手県花巻市)齋藤翔太氏(稲とアガベ/秋田県男鹿市)

小友氏は、2016年に閉館した花巻市のマルカン百貨店の空き店舗(ビル)の再生事業を行なっている。斎藤氏は、男鹿市の旧駅舎を利用して醸造所を作り、新しい酒づくりに挑戦している。

それぞれ異なった経緯ではあるが、資金調達の極意をご自身の進行中のプロジェクトでの経験談を交えながら語る。金融機関との付き合い方、地元の有力者、若者のハートを掴む心得など、とても参考になる。地元を愛する情熱が全ての原動力であるのは共通している。

空き家再生からはじめよう

兵庫県主催のシンポジウムに参加。会場は、神戸国際会館9階大会場。
テーマ:『空き家再生からはじめるエリアマネジメント推進プログラム』
(   現在、進行中のプログラム。まだ申し込み可能。ご一覧を。)

私が住む豊岡市だけではなく、全国各地は今、空き家の増加が社会問題になっている。
人口減少、若者の地方から都会への移住、不動産相続の問題など、様々な要因で、特に日本の「失われた30年」の間に顕著になっている。
現在、全国で空き家は約900万戸、その内、居住目的以外の空き家が約380万戸ある。

その問題は身近にも差し迫り、私はご近所の空き家2軒を購入して(持ち主から依頼されて)リフォームを施し、芸術文化観光専門職大学の学生のためのシェアハウスを運営している。現在13名(建築家、舞台関係、広告関係の社会人3名含む)が住んでいる。

なんとかそれを起爆剤にして、エリアそのものを活性化し、さらなる空き家活用につながらないかと考えている。

シンポジウムの登壇者の一人、畑本康介氏(たつの市、緑葉社代表)。たつの市の歴史的建造物が建ち並ぶたつの市街地のエリアの活性化に取り組んでいる。一軒の空き家を再生してもインパクトはなく、エリアで捉えないといけないとの指摘。

西村浩氏(東京都、ワークヴィジョンズ代表)は、出身地の佐賀市の商店街の衰退を目の当たりにして、一念発起して荒廃しゆくエリアの再生を決意。

エリアを客観的に分析すると、民間の空き家、空き地、駐車場、耕作放棄地などがあるが、半分は公共空間である道路、河川、公園、広場、公共施設がある。この民と公が所有する不動産を繋いで考えることが重要だと、との指摘。とても参考になる。

2人の講師に共通しているのは、補助金活用、ボランティアだけでは不十分で、持続性を持った再生にしていかないとダメだとの指摘。

まずは、地域がどうであったら良いのか、どうしたいのかというエリアビジョンを描くことが重要。そして不動産投資や民間と行政の連携の仕組みを構築していくことなど、示唆に富む内容が詰まったお話の連続でした。

以前からある兵庫県「空き家対策」補助金の制度は、県民局から説明に来られたこともあり、承知していました。しかし、初期投資に対する一定割合の助成金だったりすることもあり、事業として捉えないと利用できるものでない印象。個人住宅は、その資金と先への見通しがないところから「空き家」になっているわけだから。

今回示された兵庫県の支援策は、それを「エリア」で捉えた支援というところがポイントになる。マネジメントに取り組む「団体認定」と「団体立ち上げ」と「運営資金」を支援するもの。

これらを考慮に入れて、なんとか地域を再活性化できないものか、考えてみたい。

一人芝居『わき道』公演 at シェアハウス「江原_101」

脚本 中辻英恵
演出 辻田康晴
出演 小林 桜
制作 武部好琴

粗筋
この作品はある演劇部に所属する女子生徒と顧問、先輩の関係性を女子生徒の台詞のみで描く一人芝居である。(中略)
一人喋る少女の言葉だけで、複雑な心情変化、少女の置かれる環境変化を丁寧に鮮明に描いていく。
(プログラムより)

シェアハウス「江原101」に住む芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生による一人芝居。
演出の辻田康晴君と制作の武部好琴さんは「101」の住人。
元々、住民たちが自由に使える「スタジオ」(2部屋を繋いで)を備えたのは、ワークショップやミーティングを開いたり、演劇・ダンスの稽古をしたり、近隣の人たちにも来ていただき、自分たちの作品を発表するため。多目的に使える空間が活発に使用されているのは嬉しい限り。

演劇の美学が育ったのは間違いなく中辻さんの台本の丁寧さ、文学としての綺麗さの影響を受けているなと改めて思いました。自分が今も演劇活動に熱中しているのは、中学高校時代に演劇だけは本気でやってきたからだなと思います。
(演出:辻田康晴 プログラム・ノートより)

今日は私の反抗期で、型の中で生きることへの初めての抵抗です。滑稽な私の抵抗を見て、この作品の登場人物を好きになってらえると嬉しいです!
(役者:小林 桜 プログラム・ノートより)

CAT2年生の小林桜さんの溌剌とした演技。おそらく約60分の一人芝居は初めてだろうし、台詞が機関銃のように次から次へと飛んでくるのを受け止める。
一人芝居を観る時にいつも感じるのは、最初の10〜15分ぐらいは「役者」を追いかけ、観ているが、一人の人物(主人公)となっているのに気づく瞬間がくる。
小林さんの姿が変わって見えてくるのが不思議であり、面白い。

「兵庫県立芸術文化センター」視察会〜神戸経済同友会

兵庫県立芸術文化センターの視察会に参加する(神戸経済同友会阪神幹部会の主催)。
現在、豊岡市は新市民会館の建設計画があり、何か参考になることがあるだろうと言う魂胆も持ちながら参加しました。

新市民会館構想は、その費用の問題で計画が中断している。新ホール建築(約100億円)か、それとも現在の市民会館を大改修(約50億円)か、で揉めている。いずれにしても甚大な費用(税金)をかけることになるので注目していかなければならないし、失敗は許されない。

「子どもたちが豊岡で世界と出会う音楽祭」(おんぷの祭典)は今年11回目を迎え、その音楽監督や演奏家の人たちとも信頼関係ができているので、ぜひプロフェッショナルとしての意見も参考にしてもらいたいとの願いもあります。

ちょうどここの日は「わくわくオーケストラ教室」の開催日。
兵庫県の青少年芸術体験事業として、音楽体験(オーケストラ演奏鑑賞)をする。40回に分けて県内の全中学1年生を招待しているそうだ。

4回席から大ホールを俯瞰しながら聴きましたが、音響も申し分ない。

大ホール 2001席、中ホール 800席、小ホール 417席の3つのホールがある。
ピアノは、スタインウェイ3台、ベーゼンドルファー1台、ヤマハ1台が常備されている。

それぞれのホールへの通路、楽屋(大部屋と特別部屋)などを見学。オペラ、オーケストラ、室内楽、演劇、その他様々なイベントに対応できる工夫がなされている。

中ホールを詳しく見学。
舞台の奥行きは20mあるが、それでもイベントによっては小さい場合もある。特に最近は映像とパフォーマンスをミックスして行うパフォーマンスが多く、舞台作りに工夫がいるそうだ。

開館20周年のポスターと等身大パネル

年間公演数は約690公演(主催335、貸館349)、公演入場者数は約45万人。人材育成にも力を入れているのにも注目。「芸術文化観光専門職大学臨時実習生受け入れ」「アートマネジメント講座」「舞台技術セミナー」「トライやるウィーク受け入れ」など、積極的に行なっている。

芸術監督は指揮者の佐渡裕氏。開館当時から関わり、ここまで20年間にわたって運営に関わり、プロデューサー・監督・指揮者・指導者として卓越した力を発揮してこられました。特に、スーパー・キッズ・オーケストラ(SKO)を編成し、小学から高校生までの育成に力を入れられているのが素晴らしい。(佐渡さんは、若手育成にコミットされているのをご本人からもお聞きしたことがあります)

佐渡裕さんとは10年前に豊岡滞在の折に、我が家でバーベキューにご招待したこともあり(翌日はゴルフにも)、コンサート後にお顔を見ればご挨拶いたしたりしています。SKOを卒業したチェリストのKちゃんも時々来てくれるので、考えてみれば何かとご縁のある「県立芸術文化センター」です。

今年が開館20周年と言うことで、記念公演がたくさん企画されている。なんと言っても「トーンキュンストラー管弦楽団×反田恭平」(残念無念、チケット売り切れで入手できず)と「歌劇 さまよえるオランダ人」(7月公演)は目玉公演。7月のチケットは絶対に手に入れなければ。

帰り際には「賛助会員」の申込み用紙をいただいて帰路につきました。

どうにも分からない豊岡市民会館の行くえ

神戸新聞「但馬欄」 2024/12/13

どうにもいつも気になる案件がある。
豊岡市の「新文化会館」の建設か、それとも「現・市民会館」の改修か、と言う議論。

もとを辿れば4年前。
現市民会館(耐震工事は完了済み)は、ホールの内装、舞台装置、設備など築50年以上経って老朽化が進み、使用するのに危険が生じる可能性もあり、短い周期で修理修繕の費用が発生する。ならば、新市民会館を建設して、時代のニーズにあった文化会館運営をしようとなった。市民と有識者の企画委員会も作り、計画された新文化会館は2026年度開館、建設費は約50億円となりました。

設計・計画されたタイミングで市長選挙があり、市長が交代し1年間の再検討期間を設けた。しかし明確な方針が示されず、伸ばした1年の間に建設費の高騰などで約10億円コストアップになり、60億円以上が必要となる。それではと、さらに設計変更なども試み、開館予定も2027年度と1年先送りして議論が継続される。

そして議論される中で、現時点では、新文化会館の建設費は約100億円と膨れ上がり、現市民会館の改修で良いのではないかと議論が4年前に戻ってしまった。
(なんともやるせ無い)

(この新聞記事によると)今回は、市会議員から「(新開館建設から現会館改修への変更の)判断が急すぎる」「20年後を想像し、どういうまちにしたいかを考えて公共投資すべきだ」の声が上がる。

それを受けて豊岡市は中長期的なコストの試算結果を市議会に提出した、とのこと。

新開館を建てる場合は、建設費と20年後の改修費で約128.9億円を想定。市民会館の改修では、改修費と改修20年後の後継施設の建設費も含め、総額約127.5億円を見込んだ。
(新聞記事より)

前者は、建設費100億+改修費28億=128億と言うことでしょうか?
後者は、改修費50億+後継施設77億=127億と言うことでしょうか?
(改修予算は40〜50億円との情報)

これに対して市長は「20年で市民会館が使えなくなるとは限らず、新築が必ず必要とも考えていない」との答弁。

まさか「改修の方が1億4000万円安いからこっちにしよう」などとはならないでしょうが、何かもっともっと大切なことが抜けているようで心配になる。

改修に40〜50億円もかけることがまず想像つかない。(何か凄い計画があるのか?)

いずれにしても「改修なのだから市役所のしかるべき担当部署で改修設計する」などとならないようにしてもらいたいものです。

こここそ市民の声、文化活動している市民、音楽サークルやおんぷの祭典の経験からくる知見や音楽家の意見、高校生や大学生たち若者の要望をしっかりと受けとめてもらいたい。

まず豊岡市の将来ビジョンを明確にすること。そして改修設計は、古いものを再生するセンス、マイナスをプラスに変える発想豊かな建築家、専門家に委ねることが重要だと考えます。

ちょっと友人陶芸家のアトリエ拝見

陶芸家のMさんちに立ち寄る。
エントランスと言うか表アプローチと言うか、素敵なお家。
木々は、我が家の庭のお世話もしてもらっている庭師のKさんが植える。

山の裾野にあるアトリエ。
開けたこの空間がいい。

なんだこれ??
庭師さんの遊び場かな?
アトリエ横の林に囲まれた空き地を利用して作庭中。
さて、どんな庭ができるのか今から楽しみだ。

最近、メキメキと人気が出てきた陶芸家Mさん。
あちこちのギャラリーで個展も頻繁に。
私は渋谷のギャラリーにも行きました。
我が家の茶道具にもMさん作が増えてきました。

祝・ゴールドメダル受賞〜建築家GARAGE(ガラージュ)

「35歳以下の若手建築家による建築の展覧会2024」。

会場は、グランフロント大阪の「うめきたシップホール」。
展覧会場に行き作品を鑑賞。

建築家集団ガラージュが昨年に引き続き、今年も沢山の応募作品から最終7組にノミネートされる。

昨年2023年の作品は、シェアハウス「江原101」と「ドーモ・キニャーナ3階改修」を展開。

瀬尾憲司・渡辺瑞帆

今年2024年は《100年かけて劇場をつくるプロジェクト》で見事にグランプリに輝く。
おめでとう!!>小田切くん、瀬尾くん、瑞帆さん

珊瑚礁の島、喜界島(鹿児島県)を舞台に「100年かけて劇場をつくるプロジェクト」を、喜界島サンゴ礁科学研究所と共同で行うもの。

喜界島まるごと、100年かけて、人と生態系のサンゴ礁文化を残す、という壮大な構想に注目してしまう。地球温暖化とテクノロジー進化に伴い、生活も文化も衣食住すべてが大変化する現代には、こういうスケールで考えることが重要なことであると考えます。

プロジェクト進行中の昨年7月に喜界島サンゴ礁科学研究所の理事長と所長をお迎えして、ドーモ・キニャーナで食事会をしました。ガラージュの3人と、なんと喜界島出身の友人も一緒に。夜中の2時まで大いに語り合いました。

改めてグランプリ受賞が自分ごとのように幸せな気分になります。
研究所の皆さんと共にお祝いしたくなります。

ノミネートされた他の建築家の作品。
「熱帯化する日本」「はじまりも終わりもない建築」「手入れ」「ものさしとまなざし」、集合住宅、ベトナムの普通の事象・事情を考慮した設計など、現代社会の課題、価値観の転換を迫る作品が並ぶ。

私のスケジュール関係で、シンポジウムに参加できないのが残念ですが、若手建築家が活躍する姿を想い描きながら会場を後にする。

KITTE大阪〜ちょっと立ち寄って

大阪梅田が大きく変貌している。

大阪駅の西側の旧大阪中央郵便局のあった敷地に「JPタワー大阪」が誕生(2024年3月)。
その地下1階から6階までが「KITTE大阪」。7月31日にオープン。

大阪駅2階と通路で繋がる。横断歩道を渡らなくても良いのでより近く感じる。

ロゴは東京丸の内のKITTEと同じ。
ビル内の空間もKITTE東京と類似しているのが第一印象。
旧中央郵便局の建物の一部を移設保存しているのでそうなるのか。

ガラス窓を採用したビルは近年の流行なのだろうか。

6階に劇場(SkyシアターMBS)、28階から上階にはホテル(The Osaka Station Hotel)がある。
今回は、短時間しかなく3階の「豊岡カバン」のショップを見学しただけなので、またゆっくりと訪ねたい。

ブランディングと建築

今回の岩手への仕事旅は「コーポレート ブランディングと建築展」の見学。
主催者「ジュークアンリミテッド株式会社」加藤瑞紀社長にお会いするのが最大の目的。

会場は「岩手教育会館ふれあいギャラリー」。
盛岡城跡に面していて道のこちら側は石垣の城壁が美しい。
「映画館通り」商店が並ぶ「大通り」、そして城壁を囲む道路のスケールが気持ちい。
これも城下町(南部藩南部氏)の持つ歴史と生活文化の豊さからくるものだろう。

創業して7年目にして、岩手県のみならず他県でも着実に実績を上げている「ジュークアンリミテッド」は、ある機会に知ってからとても気になる会社として私の中にありました。
ブランディング(ソフト)とファクトリー建築(ハード)を結びつけて(本来、別々のものではないのですが)プロデュースする会社ってどんなのだろう、と。

一例が、先日に滋賀県で訪問した(株)シンコーメタリコン様(「ご縁あって企業見学」)。

オープン・ファクトリー(見せる工場)、産業観光などのキーワードで注目を浴びる「ものづくりカンパニー」を意識し、実現していこうと確信する訪問となる。

不思議なお宅 で 素敵なお茶事

今回の滋賀は、真夏の(夜の)夢のような琵琶湖周遊だ。

お茶時にご招待いただいた妻を送るために湖西の町に車を走らせる。少し迷いながら、到着した住宅街の一角。

まず、軒先にニョッキリと立つ芭蕉(バショウ)にびっくり。
大きな真っ赤な花はなんだろう?(調べるとモミジアオイかな)
このコントラストに「ここはいったいどこ?」という気分に。
猛暑の中なので尚更である。

車を停め、庭の片方の入り口(こちらが玄関口)からお宅に入る。同じ庭なのにこの佇まいの差はいったいどうしたものか。だが、妙にバランスがとれている。

お茶事の間は(私は他の仕事があり)私は席にはいませんでしたが、この部屋から眺めるお庭を拝見し、どんなお茶事だったのだろうか?と興味津々。

帰りの車で妻から聞くと主題は「蓮」。
米作りもされているという亭主の田んぼに生えるハスを使ったお料理、さらに琵琶湖ならでは(鮒鮨など)の発酵を使ったお料理など、地元の食文化を彷彿とさせる心のこもった美味しいお料理でした、と。

庭のゴリラの焼き物(?)は、このお宅で個展を開かれた作家さんが残したものだそうです。

バナナ(芭蕉)、ハイビスカス(赤い花)、ゴリラ、、、、
やっぱり「いったいここはどこ?」
不思議なひと時となりました。