カラーハンティング(Color Hunting)〜ドーモ・キニャーナ

ドーモ・キニャーナの改装設計を依頼しているガラージュから「カラーハンティングしていいですか?」って聞かれて「いいですよ、どうぞ!」って即答。そして数日後に見せてもらったのがこれ。

ドーモ・キニャーナの土と木の色調を一覧表としてフィードバック。
各フロアの写真とその土壁、木の壁、床、家具建具を「色」の視点でまとめたもの。

濃い茶色の板壁、ナチュラルな色の土壁、強烈なブルーなど、さまざまな色が混じり合っているが、全体として色のトーンに統一感があって、落ち着いた色調になっている。

ドーモ・キニャーナを構成する素材は、基礎となる駆体(鉄筋コンクリート)を除けば、「土」と「木」と「ガラス」の3種類のみ。自然素材(ガラスを石と見なす)だけでできていることによる快適性と美しさは抜群です。

夜の雪

夜の雪。
庭のヤマボウシ、トネリコ、サイフリボク。
葉を落とした木々に積もる雪。

雪が積もったカエデ。
小枝が美しい。

神は細部に宿る〜『松泉館』の左官とステンドグラス

暖炉上部の棚部分

まさに『神は細部に宿る』(God is in a details.)。

昨日見学の「松泉館」の感想。
左官の久住章さんの真骨頂。ご本人からその技法、土の種類、その他材料、直接説明を聞きながら見学する。しかし、目の前の現物に圧倒されつつメモすることもできず、記述できないのは残念。(申し訳ございません)

蔵に通じる廊下の壁

かろうじてメモしたのが「切り返し仕上げ」。
中塗りと仕上げ塗りの中間の工法。この頃合い加減がセンスの問題。
まさに細部である。

ステンドグラス

こちらはステンドグラス。
鮮やかな色のガラスの向こうが透けて見える。
ステンドグラスを透かして外を見るのは始めてだ。

画像をクリックして見てください。

今回の修復(改築)で新たに設えたステンドグラス。
厚さ20cm近くある土壁の部屋の開いた直径20cm足らずの小さな窓。
この部屋は子供たちの図書館であったり、ミニコンサートができる落ち着いた空間。

一つひとつの細部が全体を造り上げる。
「松泉館」に現在から未来へ向けて新たな価値が宿されていく。

『松泉館』〜大正〜令和に継なぎ育む美意識

松泉館玄関 (若林純仁理事長)

『松泉館』(神戸市灘区宮山町3丁目)を訪ねる。
7年に渡って修復工事を請け負っている左官の久住章さんから、丹波佐官組合の見学会に便乗する形でお誘いいただいた。

『松泉館』は、造り酒屋「忠勇」創業の若林家が1921年(大正10年)に建てた建物。
現在、敷地内にある「学校法人松泉館 六甲幼稚園」を経営。理事長であり、オーナーの若林純仁氏から建物の説明をしていただく。

華やかさもありながら、落ち着いた趣がある漆喰壁

久住さんの解説が始まる。
玄関前の永源寺石の石畳。滋賀県東近江市を流れる永源寺川の石。京都に運ばれて庭石として使用される。すでに手に入らない貴重な石。

永源寺石は、鉛の鉱石(方鉛鉱)の輝きのある銀白色と緑色が特色。マンガンを含むバラ輝石はピンク色が入り混じる。

『清酒 忠勇』
残っている当時の広告看板が飾ってある。

工事を請け負ったのが長尾 健氏(株式会社いるか設計集団代表)、家具を納めたのは永田 泰資氏(永田良介商店6代目)。縦長のアンティークな窓は、まるでブルーの椅子の背もたれのよう。

画像クリックして見てください。

これだけの表情を見せる土。
それを表現していく匠の技。
まさに久住章さんの真骨頂。ただ圧倒される。

勝手口の床のタイルは建築当時の大正時代のもの。洗面台に使用されているタイルはガラスタイル。

松泉館の裏手にある蔵。こちらの修復も久住さんが手がける。

随所に優れた左官技術が施されている。
見学を終えて久住さんは「50年後にこれらの左官技術を継承していけるか心配だ」とも。
この「土と左官」必ずや継承していかなければならないと強く思う。
久住さんが私に語ってくれた言葉「大切なのは美意識やで」。
我が家の「久住語録」に加えておかなければ。

遅がけの新年会

若手のアーキテクト・コレクティブ(建築家集団)Garage(ガラージュ)とその仲間たちとで遅がけの新年会。

彼らとは、一昨年よりお付き合いが始まる。ドーモ・キニャーナ(自宅)を案内したり、これまでの建築に関するお互い(施主として、建築家として)の経験やキャリアのお話をしたり聞いたり。

2022年の1月には、空き家をリフォームしてシェアハウスを企画、設計、施工管理のプロジェクトをスタートさせる。2022年7月にオープンした「江原_101」がそれである。これは入居する予定の芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生たちの意見も取り入れながら進めるユニークな経緯を辿って完成。地域にこの小さな波紋が広がっていくことを願っています。入居している学生たちも積極的に学び、創作活動を行っている頼もしい若者たち。卒業してからも戻って来られるそんな拠点になれば嬉しい。

年末から「飲みに行こうね」と約束していたのだが、それぞれ予定があってなかなか実現しない。やっとGarageのメンバーとその仲間たちが全員揃ったので実現。活きのいい刺身を前に生ビールで乾杯!

みんな一緒にやる(参加する)建築

この場合「参加する」とは、左官の久住章さんの手ほどきを受けながらモルタルを塗る左官職人、それを見学する建築家、工務店の担当者、設計の応援に駆けつけたスタッフ、ただただどんのになるのかなと期待と不安で見守るオーナー。みんな関わりながら工事は進む。

30年前にも、象設計集団の設計監修の基でドーモ・キニャーナを建築している時も、久住章さんと一緒に囲炉裏の漆喰を手で擦りながら仕上げを手伝ったり、窓ガラスに障子紙を貼る作業、ほんのちょっとした小さな作業だけど、その後、関わったことによる愛着は時間の経過とともに増してくる。当時小学生だった私の息子たちも30年経っても強い愛着を持っているようだ。「一緒にやる」って凄いこと、大切なこと。

ステンレスのメッシュを留める針金を折り曲げる。やらなくてはならない訳ではないけれど、やりたくなってくる。

浴槽に貼るタイルを検討する。濃淡複数の色のタイルの割合とその順列を検討している。まさかタイルをこんな風に決めて行くは。他ではおそらくないこと。それを自然体でやっている。

アートでまちづくり〜「倉吉未来中心」に思う

どうして倉吉? (倉吉で全然問題ありませんが)
と思いながら「ウィーン・リング・アンサンブル」のニューイヤーコンサートに行きました。

コンサート会場の「倉吉未来中心 大ホール」に到着すると、大きな建物と広い敷地に驚く。一緒にコンサートを聴いた鳥取に住む友人Gさんから「鳥取県と倉吉市が共同して、中部鳥取の文化振興を目的とした複合施設」との解説あり。

「倉吉未来中心」施設案内には、「人・ものの交流、情報発信」「鳥取県中部地域の活性化の拠点」「大小のホール、セミナールーム、様々なイベントが開催できるアトリウム」が備えられている。

普通「◯◯センター」となるところ「倉吉未来中心」と「中心」となっているのが面白い。中国語ではセンター(center)は「中心」と書く。それと倉敷は鳥取県の中部であることを意識してのネーミングだろうと察する。

アトリウム前の広場では高校生たちがスケボーやったり、並びにある広場では子どもたちが遊ぶ遊具のある公園、さらに数店舗のレストランが入っている建物がある。図書館、温水プールもある。駐車場も広く(774台)、全体としてゆったりとし、様々な市民のニーズ(コンサート、スポーツ、散歩、会話、くつろぎの場所)に応えることができている。(敷地面積42,000㎡)

巨大な複合ビルとも言える施設。アトリウムの上部は木製の梁が巡らされガラス張り、明るい広場が気持ち良い。が、大きいためによる無駄、ランニングコストはどうなのか、など少し気になる点もありそうだ。大ホール収容人数1503席・オーケストラピットあり、小ホール310席、リハーサル室、練習室2部屋、セミナールーム9部屋。オープンは2001年(平成13年)。少しバブリーな気もする。

現在、豊岡市も新文化会館建設のプロジェクトが進行中。
新文化会館の完成予想動画もあります。

場所(豊岡市大磯町/道号体育館と豊岡南中学校の間)と基本設計は決定している。少し場所が窮屈な感じがする。倉吉未来中心ほどではなくても、YBファブ(養父市)をみても、広々とした空間が心地よい。木立も充実させて心地よい立地環境もお願いしたいところです。

それよりも何よりも大切なのは、その文化会館の運営内容(運営理念、組織、人材、創造性多様性のある交流)をしっかりとやっていただきたい。そこには市民として注視しながら、意見・要望をしていきたいと思う。

アトリウムで一枚のチラシが目に入った。

アンディ・ウォーホルの『ブリロ・ボックス』だ。昨年、確か「なんでこんなベニヤの箱に3億円も使うのか」との市民(議会?)の抗議があって話題になった市がニュースで報じられていた。そうかそれは倉吉市だったんだ。「5個もいるのか?1個でもいいのでは」など、冗談かと思う批判もありました。

鳥取県は「全日本最後の県立美術館」と言われる県立美術館をこの倉吉未来中心の横に設置する計画。力が入っているのはよく分かる。ポップカルチャーを目玉にする思惑のようだ。

美術も音楽も、そして演劇も。
地方で楽しみ、地方から世界へ発信する思いはどこも一緒。
豊岡市もしっかりと、市民に愛され、世界にもアピールできるアートを発信していきたい。

2022年、私の「今年の漢字」は「建」

今年、築30年を迎えた自宅(ドーモ・キニャーナ)。10月には30周年記念の集い
建築は象設計集団に設計を依頼し、5年をかけて1992年に完成。ゲストをお招きし、毎月約50名が集った但馬コネクションの8年間。多くの友人に泥出しを助けてもらった2004年台風23号の水害。ともかく、楽しい時も苦しい時も家族、友人に囲まれ、たくさんの人が集まることができた30年が無事に過ぎる。それらを可能にしてくれたドーモ・キニャーナにも感謝しなければならない。

8月に完成したシェアハウス「江原_101」。芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生たちが住む。近所の古い民家を大改築。共有スペースをたっぷりとり、学生仲間や地域住民とも交流できる空間(土間)も作る。

建てることもあれば解体撤去もある。8月、近所の築50年以上経った3階建てのビル(元・呉服店)を撤去。巨大な四角い建築物だったので、昔の街並みが少し蘇った気がする。

ガレージの増築工事は9月に完成。

最後は自宅(ドーモ・キニャーナ)の改築工事。現在も続く。
古いものを大切にし、新しい価値を創造する。周囲の環境にも配慮する、そんな建築にしたいと思った2022年でした。

忘れてはいけない、もう一つの「建」。
今年は、孫のKくんとも、たくさんの時間を過ごす。サイクリング、ライトトラップ(昆虫採集)、ピアノ、ウォーキング、いろんなことができました。これが一番の嬉しいことかな。次はドーモ・キニャーナの40年をKくんと迎えることが目標だ。

光の庭〜土の壁と光

穴の空いた屋根から光が差し込む。
地面から見上げると1階、2階、3階の窓が見える。
屋根からの陽光を各フロアにボーッと優しく届けるための「光の庭」。

土の大壁は、左官の久住章さん制作。風雨に晒され100年ぐらい経った表情にしようと塗ったもの。実際に30年経っても、その土壁の美しさは増すばかり。時間を超えた存在感がとても心地よい。

2022/08/26ブログにも紹介
「光の庭」〜雨も雪も降り落ちてくる

土壁〜差し込む朝日

土壁に差し込む朝日。
おや?なんだ?
3階改築に伴い撤去する寸前の足場の陰。

土壁の表面にある髭のような文様。但馬地方の木造家屋の中塗りの土壁。この後、仕上げ塗りをするための土ののりをよくするための仕掛け。「すさ」と言う。藁屑、糸屑などを使う。ドーモ・キニャーナ設計では仕上げ塗りをする予定だったが、この「すさ」の文様が美しいので、中塗りでストップ。過度に飾らない素朴な味が気に入っている。