「がっせぇアート展」が10周年を迎えた

記事にするタイミングを逸しましたが、先日10月6日まで(豊岡稽古堂にて)、10月9日まで(但馬13ヵ所の展示場所)にて、「がっせぇアート展10周年記念展」が開催された。「がっせぇアート」を主宰している茨木ご夫妻とは30年以上のお付き合い、娘の朝日ちゃん(「ちゃん」ではなく「さん」だな)の作品もずっと小さい時から観てきた。

NPO法人を立ち上げ、さらに積極的に活動されているのは凄いことだといつも鑑賞させていただいている。東京・表参道でのアート・ストリート展でギャラリーを紹介させていただいたことが、楽しい思い出。

新しい作者も加わっているという。毎回、カラフルで、緻密で、おおらかで、ユーモアがあって、驚くようなアイデアで、仰天してしまう、素晴らしい作品が鑑賞できるのが楽しみです。

展示の仕方を工夫すると作品が全く違った魅力を発揮するのでは、人の胸を打つ作品として評価も上がるのでは、とそんな可能性を思いながら鑑賞しました。

※ 特定非営利活動法人がっせぇアート

“shuffleyamamba”〜余越保子ダンス作品

久しぶりに観た本格的な舞踏(私はそう呼びたい)と音楽と映像が入り混じったパフォーマンス。学生時代に観た芝居や暗黒舞踏、音楽とパフォーマンスの公演を思い出す。

演出は余越保子氏。3年前にKIAC(城崎国際アートセンター)で滞在創作活動をしている時に訪れた「永楽館」に興味を持ち、以来、この舞台を想定して制作・演出したのが今回の演目。

公演後のトーク。(左から2人目が余越保子さん、3人目がゲルシー・ベルさん)

英訳された古事記にヒントを得て制作した『SHUFFLE』(2003年、ニューヨークで初演)と世阿弥の「山姥」のストーリーをシャッフルさせるという試み。日本の古典芸能における女性像をテーマに繰り広げられる。

実際に出演し、共同演出、音楽を担当したGelsey Bellさんの音楽も素晴らしかった。効果音、役者の背中に縛り付けた小型ラジオ(スピーカー)から流れでる音。ゲルシーさんの歌、謡曲、どれも面白く、素晴らしい。パフォーマンスと音楽とが高度に結びついた見事な舞台だった。

今年も「仕舞体験教室」〜観世喜正さんに感謝

今年で3回目を迎えた「仕舞体験教室」。
私の妻は第1回目から連続参加し、毎年楽しみにしている。

指導は、観世流能楽師の観世喜正 氏。観世喜正さんは、幼少の頃から父・喜之さんと一緒に但馬・丹後での舞台に何度も出演されている。そんな関係で、家元ご本人が東京と行き来しながら指導していただく。(こんな有難いことはありませんね)

豊岡市民会館自主事業として企画されている。今後の取組方針、予算の関係は分かりませんが、日常から少し遠くなって行ききつつ「能」という日本文化を継続、楽しめる文化的活動はぜひ存続して欲しいものですね。

観世さんによる解説と舞付のあと、「子どもコース」の発表。興味を持って本格的にお稽古をしている子どもさんも登場。みんななかなかの舞ぶりでした。
演目は、「草子洗小町」「岩舟」。

「大人コース」の演目は、「羽衣」と「猩々」。
一巡した後に、観世喜正さんと一緒に舞う。

鉄とサボテン、紅一点

今月初めに開催された「がっせぇアート応援チャリティ展」で購入したサボテンの寄せ植え。

今回の主役は、花器。錆びた鉄で造られたシンプルなもの。作家は丹波篠山の近藤鉄工房の近藤明さん

驚いたのは、気がつくと赤い花が咲いた。
最初は、何かにくっ付いていたプラスティック製のフェイクを誰かがいたずら心でくっ付けたのかと思ったが、なんとホンモノ。

鉄に囲まれて、紅一点。
周囲とマッチしているからお気に入り。
このサボテン、調べて見ないといけないな。

豊岡演劇祭へ向けて

実現に向けてstep-by-step。

「世界演劇祭」と(仮称)「国際観光芸術専門職大学」の関係はお互いを補完し合う素晴らしい構想。

実現に向けて着々と進む。

神鍋高原で世界演劇祭を夢見て

平田オリザさんと劇団「青年団」が豊岡市へ移住、移転と聞いた時は、感激と衝撃の二重奏だった。そして、旧豊岡市商工会館が劇団に払い下げられ、劇場に生まれ変わる2020年を機に、「世界演劇祭」を豊岡市、特に日高町を中心に開催しようとの企画がある。

現在、劇場周辺の江原駅前ゾーンの将来構想が語られているが、演劇祭の会場としては、神鍋高原も入っている。

「世界演劇祭」と言ってもピンと来ないのでは、と思い私が昨年体験した「利賀村演劇フェスティバル」の報告会を行った。

集まっていただいたのは、神鍋地域の民宿、ペンション、スキー場などのオーナー、経営者。そして、公民館の方、市の観光関連担当、興味を持つ神鍋住人の方々。

まずは、「利賀村って何?」ということで、その場所、演劇村となった劇団SCOTの主宰者で演出家の鈴木忠志氏を紹介。

「世界の果てからこんにちは」鈴木忠志・作演出

利賀芸術公園の中の野外劇場での公演の様子も報告。

グルメ館

演劇祭開催中の来場者の食事、歓談、集会場所となる。

グルメ館内部

「こんなの神鍋にあったらいいなあ」と報告。
神鍋によく似合う風景だ。

新利賀山房(磯崎新設計)

神鍋には茅葺きはないけど、どこか神鍋の風景とダブル。
神鍋高原で世界演劇祭を夢見て。

祝・鶴屋南北戯曲賞受賞〜平田オリザさん

平田オリザ氏(左)、光文文化財団理事長・武田真士男氏

「第22回日本ミステリー文学大賞」(光文文化財団)の贈呈式・祝賀会に出席。
「光文三賞」の他に、最優秀新作戯曲に贈られる「鶴屋南北戯曲賞」があり、平田オリザさんが受賞される。帝国ホテルの孔雀の間で盛大に開催されました。

平田オリザさん、受賞おめでとうございます。

受賞した戯曲は「日本文学盛衰史」(高橋源一郎・原作)。

北村透谷、正岡子規、二葉亭四迷、夏目漱石の4人の葬式の通夜の席を舞台に、日本近代文学の作家たちが集まり繰り広げられる。明治時代以降の国民国家形成とタブラせながら、文学者たちがユーモラスに、皮肉たっぷりに、その国民の本音をあぶり出す。

「この作品を城崎国際アートセンター(豊岡市)で制作しました」とご挨拶。「もっともっと過激な作品も手がけたい」と、これからの戯曲家としての意欲も表明。

私も、城崎国際アートセンターでの公演、そして原作者の高橋源一郎氏とのトークショーにも間近で楽しみました。

2021年からは「兵庫県立専門職大学」の学長としての活動も待ち受ける平田さん。公人として、私人としての活躍を益々期待しています。

「光文三賞」(光文文化財団)は、ミステリー文学の振興と演劇界の活性化を目的とするもの。

今回の受賞者は、写真右寄り
日本ミステリー文学大賞    綾辻行人
日本ミステリー文学大賞特別賞 権田萬治
日本ミステリー文学大賞新人賞 辻 寛之 「インソムニア」
鶴屋南北戯曲賞        平田オリザ「日本文学盛衰史」

祝賀パーティでは、一気に盛り上がる。

選考委員の赤川次郎さんが、平田オリザさんのテーブルにやってきて、平田ファミリーとの記念撮影。さらに、原作者の高橋源一郎さんもお祝いに駈けつけて来られました。

さすが文学賞の祝賀パーティ。経済人のパーティとは、雰囲気が違う。

劇団「青年団」の人もたくさん参加し、豊岡市での再会を約束。一昨日の豊岡市での平田オリザさん新築地鎮祭の続き、今度は東京でのお目出度い席でご一緒させていただく。

アイヌと出会い、アイヌで出会う

3月但馬コネクション(No.54)「アイヌ文化に惹かれて」。
ゲストの吹田バーバラさんは、ご自身が収集されたアイヌ民族の工芸品、衣装、生活道具、関連図書など、たくさん持参していただいた。

写真は、アイヌ民族彫刻家の藤戸竹喜(ふじと・たけき)さん。残念ながら昨年10月に84才で亡くなられた。バーバラさんは藤戸さんとも親交がありました。
「藤戸竹喜の世界」(札幌芸術の森美術館)

ドイツ出身のバーバラさん。但馬在住のドイツ出身者集合だ!
大阪からは、アイヌ民族にとても興味を持っている高橋健三さん(但馬コネクションNo.17ゲスト)も参加でした。

いろんな人が集まって、出会い、議論し、新しいネットワークが広がる予感のセッションでした。

『武器になる知的教養 西洋美術鑑賞』秋元雄史・著

絵画の鑑賞法として、よく「感じたままに感性で観ればいい」という人がいます。もちろん、何の予備知識もなく偶然出会った絵に、心打たれるような体験をする人もいるでしょうが、多くの場合、何の予備知識もなければ「何を感じていいのかもわからない」状態になるはずです。」
『武器になる知的教養 西洋美術鑑賞』秋元雄史・著」(p216)

美術館常設の絵画や企画展などで、たくさんの絵画を鑑賞する時、「知らない」「分からない」作品と接すると、ただぼーっと鑑賞していることに気づく。

何かもっと楽しむ鑑賞法はないのかと思っていたところ「観たことをその場で言葉にしてみる」という指摘にピンと来た。

本書は、西洋美術史であるルネサンス→バロック→写実主義→印象派→フォーヴィズム→キュビスム→表現主義→抽象絵画→シュルレアリスム→ポップアートの順番で、わかりやすく解説。

さらに、それぞれの時代の代表的な絵画を2つのステップでまとめてあるのがいい。
〈ステップ1 表現で観る〉技法や色彩、モチーフなどのポイント
〈ステップ2 史実で観る〉制作当時の社会や思想的背景などのポイント

「武器」にはしなくても自分の楽しみの「増幅剤」としてオススメ。

南砺市(富山県)と豊岡市は共通点がたくさん

田中幹夫 南砺市市長(右側)

南砺市の田中市長を豊岡でお迎えする。

私にとって今年最大(まだ1ヶ月残っているけど確定している)の出来事は、4月に演出家・鈴木忠志さんとお会いできた事。40年余り前、早稲田小劇場の大ファンであった私にとって、鈴木忠志さんは憧れの的。まさか、豊岡でお会いできるとは思っていませんでした

(話せば長くなるので途中省略)9月には、鈴木忠志率いる「劇団SCOTサマーシーズン公演」観劇のため利賀村(富山県南砺市)へ行く。利賀村では、南砺市の田中市長にお会いし、たいへんお世話になりました。

田中市長曰く、「南砺市と豊岡市にはたくさんの共通点がある」と。

演劇(利賀村と城崎国際アートセンター)、スキー場、ボート競技場、市町村合併(8町村合併と1市5町)、温泉、食文化(蕎麦や栃もち)などなど。

今年初めてお会いさせていただいたにも関わらず、気さくな方で楽しい会話が弾む。

世界遺産「五箇山」合掌造り集落

来年(2019年8月23日〜9月23日)には、日本/ロシア共同開催が決定した「第9回シアター・オリンピックス」が、この南砺市利賀村と黒部で行われる。

豊岡市に引っ越してくる予定の平田オリザさん率いる「青年団」の出演も決定している。ぜひ、来年は豊岡市の仲間と一緒に、利賀村を再訪したいと思っています。

演劇に、ボートに、食文化に、お互いに情報を交換しながら、このご縁を大切にしていきたい。