クルーズ〜私にとって未知の世界

今月の経営者倶楽部のゲストは、郵船クルーズ(株)の服部 浩 相談役。
日本最大のクルーズ客船「飛鳥II」を運航し、多彩なプランで人気を博している。

豪華客船とクルーズ
・ 世界のクルーズ人口は、2300万人/1年
・ 日本は、37万人。
・ 世界最大の豪華客船は、カリブ海のSymphony of the Seas、23万トン、5500名。
・ 「飛鳥II」は、日本、5万トン、870名。
・ 「飛鳥II」での「100日間世界一周クルーズ」は、一人2000万円。夫婦が多い。

なぜ、クルーズが人気なのか?
・ 非日常(時間の流れが違う)
・ 便利(荷物を運ぶ手間不要。自宅から宅配。各国の移動もそのままで)
・ 移動の手間(移動地が向こうからやってくる。寝ている間に到着)
・ 現場、本物による感動(クジラ、シャチ、満天の星、グリーンフラッシュ、海からの景色)
・ 食事とエンターテインメント

クルーズに日本人が少ない理由
・ 長期の休みが取りにくい
・ 1カ所だけでは満足しない
・ 冬は海が時化る

など、社会、習慣、気候など、外的、内的要因が色々とあるようだ。

私は4年前に、ヘルシンキからストックホルムまでの北海を豪華客船で移動したことがある。一晩だけだが、夜明けの霧から朝日が差し込む幻想的な風景が忘れられない。
私には、「現場・本物」というのがキーワードになりそうだ。

本気の文化による街作り〜神戸経済同友会での講演

「神戸経済同友会 2018年度活動報告会」を神戸・ポートピアホテルで開催。

國井総一郎代表幹事の開会挨拶に引き続き、13の委員会の活動報告がなされた。13時〜16時30分までの長丁場だが、会員みんな熱心に聴く。

今回の目玉は、劇作家・演出家の平田オリザさんの講演会。

テーマ「本気の文化による街作り〜但馬に大学をつくる〜」。スキー人口の減少を例に取りながら、全人口が減っているためなのか?楽しみの多様化のせいなのか?若者の趣味の変化なのか、と問いながら、男女の出会う場の減少が問題なのだ、と問題提議。

小中学校における、コミュニケーション教育、英語教育、ふるさと教育の重要性や、アートで活性化を図る豊岡市の取り組みなどを紹介。

中でも、平田オリザさん主宰の「劇団青年団」を豊岡市に移転して、劇団員の家族、そして自らも江原(豊岡市日高町江原)に移住してくる話をされる。

現・豊岡市商工会館を劇場に改築し、青年団の劇場として再生する。その名も「江原河畔劇場」。まだ仮称だが、円山がわの美しい流れを目前にできる劇場は、都市の劇場とはまた異なった異空間を作り出すのだろうと期待する。

エビスビールで乾杯

ビールの美味しい注ぎ方を実演

今日の経営者クラブのゲストは、サッポロホールディングス(株)上條努代表取締役会長。サッポロビール(株)入社後、9年後にサッポロUSAに出向。サンフランシスコ支店長としてアメリカ進出の先頭に立つ。当初一人の事務所からスタートしたことなどから淡々と当時のお話をされましたが、おそらく開拓者精神を秘めながら、誠実且つアメリカ市場を冷静に分析された営業活動で結果を出されたのだろう。

帰国後は、国際事業部、経営企画部を歴任され、2011年にサッポロホールディングスの社長兼グループCEOに就任。5つのグループ会社の組織、人事制度など改革。ベトナムに工場建設し進出の決断をされた話は印象的。イスラム圏やインドなどは、酒類を飲まない文化圏もあり、ビールを飲む文化のベトナムに着目。(駐ベトナム邦人ビジネスマンからは成り立つのか?などと見られていた)。

上條会長とは、生まれ年が同じ(学年は私が一つ下)。大学は上條会長が慶應、私が早稲田、住んでいた場所が目白台。同じ時代、同じ東京のエリアで学んでいたことでとても親しみを感じました。

毎日愛飲しているビールは、エビスビール。エビスビールの会長とエビスビールで乾杯できることはこれをおいてないだろう。ということで、ツーショットをお願いする。

経営の蘊蓄と美味しいビールの学びの時間でした。

企業理念の大切さを学ぶ〜(株)川村義肢

今月の経営者クラブのゲストは、(株)川村義肢の川村慶 社長。高校時代からアメリカンフットボールを始め、大阪体育大学時代には関西大学リーグで大活躍。体格も大きく猪突猛進型の経営をされているのかと想像していましたが、会社とは何か、社員を大切に、企業理念に基づいてきめ細かく経営されている。

社員をソウルパートナー(魂の仲間)と呼ぶ。
経営理念:「ソウルパートナーとお客さまのQ.O.L向上を絶対あきらめない」
行動指針:5つのキーワード「常に研鑽」「最高の製品」「心を込めたサービス」「合理化努力で利益」「豊かな生活を築く」

川村社長は、自らの経営スタイルを「放牧経営」と呼ぶ。
社員に任せて思いっきり挑戦し、行動し、成果を出すように指導されている。時々「社長は楽ですね」と言われるが「とんでもない、通常よりも何倍もきめ細かく社員と接しています」と答える。

経営には、社長の覚悟と本気で社員とコミュニケーションをとることが必要だと再認識。川村社長から多くのことを気づかせていただいた。

経営者セミナー(3日目)

▪️ 泉谷渉(産業タイムズ社社長)
 ・日本の車を全てEV(800万台)にしたら、原発5基分の電力が必要。
 ・予測として2030年でEVは5〜6%ぐらいだろう。
 ・本命は、48ボルトマイルドハイブリッド。(現時点で日産ノートeパワー)
 ・中国マーケット自動車−4%。中国の衰退。次はインド。
 ・昨年の株価下落で中国は200腸炎が消え、時価総額670兆円。(日本700兆円)
 ・今後伸びるのは車載向け半導体

▪️近藤宣之(日本レーザー会長)
 ・企業の意義は働く人を幸せにすること。
 ・感謝・成長・利他の理念にあう人財採用
 ・透明性と納得性の高い人事制度

▪️大山健太郎(アイリスオーヤマ会長)
 ・プロダクト・アウト → マーケット・イン → ユーザー・イン
 ・競争のないビジネスをやりたい。(生活者視点のモノづくり)
 ・「メーカーベンダー」商品開発→生産→流通開拓→小売
 ・「園芸」「ペット」の市場を創造した。(ホームセンターにて)

▪️デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長)
 ・これまで50年間で世界経済は3.6%成長。
 ・人口増加要因で1.8%、生産性向上で1.8%。(半分ずつ)
 ・アメリカの成長率が高いのは、人口の急増要因。(1989年2.4億人→現在3.2億人)
 ・GDP = 人口 × 生産性
 ・生産性(国)=付加価値(金利、税金、利益、給与)÷人口
 ・生産性(企業)=付加価値(売上−外部仕入)÷社員数
 ・人口が急減する日本は、生産性向上を真剣に果たさなければならない。

※備忘録的な項目として記述。内容については、多岐、意味深い、時代背景、予測の根拠など全て記述できないのが無念ですが、今後引き続き理解を深め、実行に移して行きたい。

経営者セミナー(2日目)

▪️ 上念司(経済評論家)
 ・世の中(経済)はモノとカネのバランスで成り立つ。
 ・モノが少ないとモノ価値が上がり、お金が少ないとお金の価値が上がる。
 ・コアコアCPI(食料、エネルギーを除いたもの)は2.0%が必要。(現0.3%)
 ・今年の消費増税での駈込み需要はない。

▪️ 森勇介(大阪大学大学院教授)
 ・心理学のテクノロジーでトラウマは解消できる。
 ・POMR(Problem Oriented Medical Record)問題指向型診療録
 ・田中万里子(サンフランシスコ州立大学名誉教授)との出会い

▪️ 井上康生(全日本柔道男子監督)

▪️ 田坂広志(多摩大学大学院教授、田坂塾塾長、ソフィアバンク代表)

▪️ 土井英司(エリエス・ブック・コンサルティング社長)

▪️ 青山繁晴(参議院議員)

経営者セミナー(1日目)

全国経営者セミナーに参加。
テーマは「揺れ動く!2019年の世界と日本」
3日間かけて、全14コマのゲスト講演を聴く。(分科会2つ含む)

主催者の開会挨拶の中で現在の企業数のお話があった。今後、企業数は減少すること、特に小規模企業(99%が中小企業)は激減するのではないか、との予測のもと、今回のテーマが設定してある。
・ 日本の全企業数=386万社 → 99%が中小企業である。
・ 創業100年以上の企業数=5万社。
・ 200年企業=3000社。(世界では7000社、ドイツ1500社、フランス300社)

14名のゲストの講演会を聴く。(ここでメモを網羅することはできないが、備忘録として私にとってのキーワードを記録しておきたい。

▪️ 池上彰(ジャーナリスト)
 ・これまでの元号は中国古典から。今度は日本の古典からの可能性も。
 ・日露首脳会談は不調。外務省は2島返還を準備開始している?
 ・7月の衆参解散選挙あり。(参院だけでは自民2/3を割るであろう)
 ・日韓関係は、韓国の建国の歴史から考える必要がある。(建国神話)

▪️ 松本晃(元・カルビー会長兼CEO)
 ・ライザップは構造改革をしなくてはならない。すでにシナリオは書いた。
 ・会社は、Commitment & Accountability (約束と結果責任)
 ・No Meeting , No Memo 会議ばかりしても意味がない。
 ・会社の金は1円もない。お客からいただいている。
 ・うまくいく会社=Vision、Plan、Leadership

▪️ 天野博(ノーベル賞、名古屋大学教授)
 ・LEDにより電力の削減ができる。2020年7%削減1兆円規模。
 ・GaNの開発→無線電力供給の開発ができる

▪️ 櫻井よしこ(ジャーナリスト)
 ・世界地図を逆さ(富山県が作成した地図)をみると日本の位置が見える。
 ・太平洋(アメリカ) ⇆ ユーラシア大陸(中国)の緩衝地帯が日本。
 ・北極海の資源、ルートも考える必要がある。

「地域文化の磨き方〜自然こそ伸びしろ」〜デービッド・アトキンソン氏

神戸経済同友会「晩秋の特別講演会」(神戸ポートピアホテル)

デービッド・アトキンソン(David Atkinson)氏の講演を聴く。イギリス生まれ、オックスフォード大学(日本学専攻)卒業。ゴールドマン・サックスを経て、現在は小西美術工藝社の社長。「新・観光立国論」などの著書で、日本経済の将来は観光、とりわけインバウンドの増加を図ることが重要だと説く。

今回の講演テーマは「未来に繋げる地域文化の磨き方」。日本文化や金融の造詣を活かして、データに基づく提言が説得力を持つ。

持参著書にサイン

私のメモより記載しておきます。

● 人口と経済
・ 日本の人口 1億2400万人(2020年)→1億200万人(2045年)→9700万人(2050年)

・ 人口減の最大の問題は、生産年齢人口の急激な減少。7600万人(2015年)→4400万人(2050年)。40年間で減少率43%。世界の歴史上例がない。

・ 「経済大国(GDP)=先進国」において、人口との相関関係は98%説明がつく。1位アメリカ3.2億人、3位日本1.2億人、4位ドイツ8200万人、5位イギリス6600万人、6位フランス6500万人。(2位中国は途上国とする)

・ もはや「経済大国=技術力や勤勉さ」ではなく「経済大国=人口」が事実。

・ 戦後日本経済の高度成長は、「生産性向上」ではなく「人口増」である。
1945年→2000年の期間で、日本(7000万人→1億2000万人)、ドイツ  (7000万人→8000万人)

● 観光産業
・ 観光産業は全世界のGDPの10%を占める。現在、13億3000万人が旅行している。2030年には20億人になる予測。

・ 旅行目的の4条件 →「自然」「気候」「文化」「食事」。

・ 日本3つの誤解 →「おもてなし」「新幹線は正確」「治安がいい」

・ 日本が持つ最大の強みは「自然」である。

・ 自然観光 = 「稼げる観光資源」「文化と比べ誘致できる層が厚い」「四季だけが日本の魅力ではない」

・ 「自然は、日本が持つ最強の伸びしろ」→ 「自然の多様性(雪国から熱帯まで)」「文化に自然を足すと呼べる層が広がる」「自然観光の方が長期滞在になるのでお金を使ってもらえる」

● Customer Experienceが」すべて
・ 発信するだけでは失礼 →現地での歴史、文化の解説を興味を持ってもらう
・ 周遊ルートの交通機関が時代遅れ
・ 価値と付加価値→ 歴史、文化には価値があるが、興味を引く解説などの付加価値が大切

デービッド・アトキンス氏の日本人に言いたいメッセージは「戦後の高度成長の成功要因にしがみつき、客観的な事実データを軽視する日本人」ということ。これは、受け止めねばならない。今、発想の転換が求められている。

平成筑豊鉄道(株)〜第3セクター経営の難しさ

今回のゲストは、平成筑豊鉄道(株)の河合賢一社長。
「いつか鉄道会社の社長に」と若い頃からの夢に挑戦し、見事、公募された大3セクターの平成筑豊鉄道の経営者として活躍されている。

公務員(県庁)を経験した後、九州産交バス(株)に転職。当時、九州産交バスは、産業再生機構による事業再生の直後で、人事一新、経営の立て直しをしていた。グループ会社の社長公募に応募し、主任の立場から一気に社長に就任。

事業を軌道に乗せている最中に「社長降格」し部長へ。社内事情がいろいろあるにせよ、厳しい試練も経験された。

河合社長のすごいところは、その厳しい試練、決断の時も、現実を受け止め「めげない」メンタリティの強さだ。私も、これは経営者としてとても重要な資質だと思う。

その後、平成筑豊鉄道(株)の社長公募に応募し、見事社長に就任。

もともと「鉄道ファン」であった河合社長の夢に一歩前進。公務員と民間企業の経営と、官民両方の経験を生かし、第3セクターの経営をされている。

ただ、「第3セクター経営」は難しい、とも。
(平成筑豊鉄道だけでなく、一般論だが)補助金に頼り、「潰れない」という社員意識と甘い経営体質、金銭感覚。顧客は利用する市民なのでその民意が大切、地域行政の首長の交代などで、経営方針が一気に変わる可能性があり、経営者は不安、不安定な状況にあることが多い、など。

私も身近に「第3セクター」による経営の実態を見聞きすることが多いので、大いに納得することが多かった。

「じゃあ、どうする?」という答えを見出さないといけないですね。

「未来へ」〜コウノトリでつながる世界

コウノトリ市民研究所 上田尚志代表

野生復帰から13年経ち、現在145羽のコウノトリが野外に生息しています。成功の原動力の一つに「NPO法人 コウノトリ市民研究所」の存在があるのを記しておかねばならない。

野鳥、昆虫、植物、生き物全般の生態系調査をはじめ、子ども達を中心にビオトープづくりや自然観察などを行い、自然を身近に感じる活動されてきました。

現在、「豊岡市立コウノトリ文化館」の指定管理者として、また、毎月だい第2、第4日曜日には、自然観察会を定期的に開催する活動を展開中。

ドキュメンタリー映画「KOUNOTORI」の上映、および、その制作者ラン・レヴィ・ヤマモリ氏、出演者でもある中貝宗治豊岡市長、岡田有加さん(JICA職員)の3名によるトークも行われました。

岡田有加さんは、小学生たちが市長にアポをとり「市長さん、コウノトリのお米を学校の給食に使ってください」とお願いしたその人。この映画のコウノトリ野生復帰物語の中心人物であり、ナレーション(英語)を務めている。

「自然界の報道写真家」宮崎学 氏

「イマドキの野生動物〜写真と一緒に考える環境問題」と題する講演は宮崎学氏。もう20年以上のお付き合いをさせていただいている。「コウノトリ写真コンクール」の審査委員(現在、審査委員長)としても13年お世話になっている。

宮崎氏のお話は、何度お聴きしても奥が深い。現代の人間社会の危うさを「生き物」の写真と鋭い観察眼を通してグサリと指摘される。

今回の講演では「自然撹乱」というのがありました。
自然災害で地滑りが起きたり、人間の開発という名のもと自然を破壊していく。しかし、その「撹乱」が、動物たちに試練を与え、乗り越え、また新たな生態系が作られていく。「撹乱」=「破壊」ではない。

gakuさん(普段はそう呼ばせていただいています)の話を聴けば聴くほど「自然とどう接すれば良いのか」「自然って何だろう」と考えさせられる。「自然破壊」と見なされている行為も、ある生物にとっては「保護」となる。要は、「善」か「悪」からでは本当の姿は見えてこない。

そこで最後に、司会者の「会場からの質問は?」に手を挙げました。
「gakuさんにとって自然は?」の問いかけに、
「観察自然」(かんざつじねん)との答えをいただいた。
「あるがままに観察し生かせ」ということか。