但馬部会と意見交換〜神戸経済同友会

今期の神戸経済同友会、特に2名の代表幹事は、各地域部会との意見交換会を精力的に開催し、地域ごとの課題と未来への提言をまとめています。

最近は「兵庫五国」という表現をよく耳にします。兵庫県は「摂津」「淡路」「播磨」「丹波」「但馬」の地域で構成されています。兵庫県は「ミニ日本」ともいうことができます。
日本海、瀬戸内海(太平洋)、雪国、島、都市、市町村、すべてが存在しています。

但馬の課題(解決すべき問題、期待したいことも含めて)として出た話題。

・芸術文化観光専門職大学が全学年が揃い、来春には初めての卒業生が出ることを踏まえ、学生たちが兵庫県において、やりがいを見つけ、定住することを積極的に推し進めよう。そのためには彼らが「起業」するためのサポートを検討する。
・JRの問題。城崎温泉駅〜鳥取までの列車本数が減り過疎が進む、観光客の集客に問題がある。
・労働人口減少により、外国人雇用を促進しないと、今後従業員の確保ができない
・但馬空港存廃の話題があるが、ぜひ存続を。

など、人口減少と学生など若い人たちの定着魅力を上げる、交通インフラの懸念などをそれぞれの参加者から訴えがありました。

没40年、植村直己は何を残したのか

植村直己没40年を迎え、追悼と植村スピリットの継承を願う会が江原河畔劇場で開催されました。

イベントのタイトルは、『「語り」と「手紙」で綴る植村直己が残したもの』

第一部は、植村直己の学生時代からの友人である廣江 研氏。廣江氏は植村さんとは明治大学山岳部の同期。学生時代のエピソードを中心に語る。山岳経験も人付き合いも下手で一番ビリだった植村さんは、悪びれるわけでもなくコツコツと努力を続け、やがて登山仲間の困難、苦しい荷駅を買って出る体力と気力を身に付け、尚且つ、その謙虚な人柄に周囲は植村さんに一目を置くようになった。

その後、1970年代の植村の冒険時代(エベレスト登頂、アマゾン筏下り、五大陸最高峰登頂、グリーンランド犬ぞりなど)を友人ならではこそ知る数々のエピソード、また、妻・公子さんとの出会いや結婚生活のプライベートな一幕も披露。

どの話も植村直己の人物像を彷彿とさせる。

第二部は「妻への手紙」 朗読と演奏。

植村さんが冒険の最中に妻・公子さんに送った多数の手紙の中から選んだ文を朗読する。
なぜ冒険に出かけるのか、公子さんと一緒に暮らしていたい、など植村直己の心の葛藤が朗読から浮かび上がってくる。

朗読は、劇団青年団の知念史麻さんとCAT学生2人。
演奏はCATの音楽サークル「なまおと」のメンバー4名。

第三部は、「植村直己の生き方を語る」。平田オリザ(芸術文化観光専門職大学学長)の講演。

平田オリザさんは、高校時代に自転車で世界一周旅行を実行。その冒険の原点には植村直己への憧れがあ離ました。東京に生まれ育った平田さんが、青春時代からの憧れの植村直己の故郷の豊岡市日高町に引っ越してきて、そして植村さんの没40年の追悼の会で話をするのは、人生ってわからないものだな、と。

オリザさんのお話で、世界史の中で「冒険」「探検」の意味、背景は異なっているとの解説が興味深かった。

マルコ・ポーロ(東方見聞録)、コロンブスの新大陸発見、ヴァスコ・ダ・ガマ(希望峰、インド洋)、大谷探検隊(中央アジア)、リヴィングストン(アフリカ探検)

中世・近世の冒険・探検は、領土拡大、貿易、宗教の布教など、帝国主義的(政治的、経済的)は要素が強かった。20世紀に入り、エドモンド・ヒラリー(エベレスト初登頂)、堀江謙一(無寄港単独太平洋横断)など、より困難な方法で目標に挑んだり、人間や技術の可能性に挑戦したりする。

植村直己の冒険は、まさに日常から離れ、人間の可能性、未知の世界を探求する精神に溢れている。詩の賞「歴程」を受賞。植村直己の「冒険自体が詩の表現である」との理由。

平田オリザさんならではの「冒険」「探検」の考察でした。

「最近の金融・経済情勢について」〜神戸経済同友会幹事会

定例の神戸経済同友会幹事会(ポートピアホテル)に出席。

正会員、準会員の新規入退会、人事交代入会などの報告。現在、正会員545名、準会員14名。500名を超える大所帯。やはり神戸周辺のメンバーが多いですが、兵庫五国(摂津、淡路、播磨、丹波、但馬)と言うように、それぞれのエリアで部会も設けています。

今日の会員講和は、日本銀行 神戸市店長の竜田博之 氏。現在、円安がどこまで続くのかが多くの関心事ですが、それと関連する金融、経済情勢についての講話。金融政策の用語も含めてメカニズムはとても難しい。それを優しく丁寧に解説しながら語っていただく竜田支店長。それでも尚難解なのが金融政策。インフレターゲット2%の目標を達成しているのか、いないのか。どの指標を見て判断するのか、など説明を聞く。なんとなく理解できました。
特に気になるのは今後の金利。

6月には神戸経済同友会の但馬支部主催で豊岡でお話を再度お聞きする企画を立てています。

「パッテンライ!!」〜 土木偉人がつなぐ豊岡〜金沢〜台湾

豊岡市は土木の偉人を輩出している。
「日本の治水港湾工場の始祖」と言われる沖野忠雄(豊岡市大磯で安政元年生まれ、明治・大正時代の河川改修工事に関わる)。
「砂防の神様・砂防の父」と呼ばれる赤木正雄(豊岡市中筋で明治20年生まれ、生涯を砂防事業に捧げる)。

豊岡市の土木関係の企業が集まって活動する(一社)「アメノヒボコ土木サロン」の主催で今回のイベントが企画されました。

明治・大正時代に台湾南部の嘉南平原の治水事業を完成させた八田與一(はったよいち)を描いた「パッテンライ!!〜南の島の水のものがたり」アニメ映画上映。

今日5月8日は八田與一の命日なので、この日にちなんで開催。同時に台湾の嘉南にある烏山頭ダムの公園にある八田与一のお墓には、今も台湾の人たちは命日に集まり祀る。

八田與一の出身県である石川県と台湾の両方に縁があると言うことで一青 妙さん(作家・女優・歯科医)の講演。イベント後の「豊岡から夢をつなぐ集い」で挨拶をされる。サイクリングが趣味で台南市と石川県能登町の観光大使を務める。観光の著書も出版。

言うまでもなく歌手の一青窈さんのお姉さん。10年ほど前に、東京で開催された豊岡エキシビジョンで一青窈さんが来られ、その後一緒に一杯飲みながら豊岡を紹介したことを思い出す。そのことを一青妙さんに伝えると、妙さんもハンガーを使っていただいていて、お話が弾む。なんとも気さくで素敵な方。
何かとNAKATA HANGERとご縁のあるひと時となりました。

齋藤兵庫県知事との意見交換会

神戸経済同友会と齋藤兵庫県知事との意見交換会に出席(会場は神戸ポートピアホテル)。

兵庫県行政と兵庫県経済団体として定期的に開催されている。私は、初めての参加ですが、出席できる役職の方は、神戸・播磨地域が多く、但馬地域は私一人。

但馬地区全部をフォローできないので、ホットな話題として、先週第4期生の入学式があった芸術文化観光専門職大学について話す。全学年320名が揃い、豊岡を中心に若者の姿が見られ、街の様子が変わってきたこと。活発に地域の企業見学、まちづくり、市の課題解決への提言など行われていることなど。学生のチャレンジをさらにバックアップし、地元に残るチャンスを創出すること、企業との連携などを要望しました。

齋藤知事は『「個」が輝く希望と安心の未来』というキャッチフレーズで兵庫の躍進を推し進める方針。特に、若者・Z世代応援に向けての支援を厚くする。

「人口減」「出生数の低下」を食い止めることは困難だが、減少分を「個」の力をアップさせて掛け算すれば同等以上になるような施策が大事。県立大学の授業料無償化などを推進する。

一つ良い(強み)点として「ファミリー層の転入超過」がある。ファミリー層とは、30〜40代で子どもは15歳未満。年間で1300名の転入超過。(大阪、京都は減少)。子育て世代への施策の推進が効いているのか。

「大阪・関西万博へ向けて」〜神戸経済同友会3月幹事会

会場:ホテルオークラ神戸

3月幹事会。
2024年度に向けて、事業計画、収支予算、委員会・部会組織変更など、総会前の幹事会で承認をする。「我々自身の成長を加速させ、兵庫経済を牽引する」を活動方針とする。

今月の会員講和は、
テーマ「2025年大阪・関西万博に向けた兵庫のアクションプラン」
講 師 岸本健吾 氏(兵庫県企画部万博推進局 万博推進課長)

体験型の「ひょうごフィールドパビリオン」の展開。実際の建造物ではなく、兵庫五国の各地域を舞台として、地域の人々が主体的に課題に解決に取り組む。

経済(地域産業、企業ブランド、若者の就職増加)、社会(定住人口の増加、住環境の向上、地域文化の保護・育成)、環境(持続可能なライフスタイル、県境負荷の低減、環境人材・団体の増加)

リージョナルデー「市町の日」による魅力発信。期間中に県内の市町や地域単位でイベントを設定する、というのも注目だが、これは万博会場・県立美術館などで行われる。

但馬として重要なポイントは、どれだけ但馬に誘客できるか、ですね。
「食と暮らしの未来」「環境創造型農業サミット」「里山・里海国際フォーラム」「地場産業を活用した交流イベント」などがあるので、それらを魅力あるものにしていかなければなりません。

神戸経済同友会幹事会〜兵庫の発展と神戸港の歴史

神戸経済同友会の幹事会と車の定期点検を兼ねて神戸へ。
会場はホテルオークラ神戸。往時の神戸を連想しながら海岸通りを歩く。昔から神戸は好きな街なんだけど、人口減少(転出増)が気になる。なぜなんだろう?

代表幹事の井谷憲次氏(TOA(株)取締役会長)より「令和6年度 事業計画(案)」の発表があり了承される。

一貫して兵庫経済の発展を目的とするのが神戸経済同友会。会員自身と各社の成長そのものが地域課題を解決し経済の活性化に繋がる、という趣旨。(言わずともその通りなのですが)。
今回特に強調されたのは、企業規模、個人や地域の特性を超えて、多様な交流の場を設けて活動すること。

2025年の大阪・関西万博を控えて兵庫経済も活性化し万博の成功に寄与したいものです。特に兵庫県北部に位置する但馬への誘客が重要なポイント。私たちにとってもインバウンドにとっても兵庫県の多様性を知ってもらい楽しんでもらいたい。

今月の会員講話は、(株)大森廻漕店の須藤明彦 代表取締役会長。

昨年、創業150年を迎えられた会社と神戸港の歴史を重ねながらのお話。明治維新(1968年)と共に開港した兵庫港(現・神戸港)。大森廻漕店は5年後の1873年に創業。

興味深かったのは、神戸港は「戦争と災害」により発展成長してきたこと。有事に発展するのは必要とされる裏返しでもある。平時では意識しないが、まさに重要な役割を果たしている証でもある。

西南戦争(明治10年、下関へ兵士、物資を運ぶ)、日清戦争(明治27年)日露戦争(明治37年)、第一次世界大戦(大正3年〜7年)、関東大震災(大正12年)、満州事変(昭和6年)、朝鮮動乱(昭和25年)と続く。

大森氏は「皮肉にも」と前置きして発表されましたが、まさに戦争と災害時に人的物的輸送が急増する。その度に、港湾が増強され、整備され、拡大していく因果関係がある。

昭和43年に摩耶埠頭に日本初のコンテナターミナルが完成し、神戸港は日本を代表する港湾として飛躍していく。ポートアイランド(昭和45年)、六甲アイランド(昭和60年)へと続く。

そして阪神淡路大震災(平成7年)が発生。
神戸港の復権へと現在に繋がる。
港から見た近現代史はなかなか興味深いお話であり、多くの学びとなりました。

AIの話(ChatGPT)〜神戸新聞但馬親交会

『AIの急激な進化に人間はどのように向き合うべきか』というタイトルの講演会(神戸新聞但馬懇話会主催)に参加。講師は関西学院大学副学長で工学部教授の巳波弘佳(みわ・ひろよし)氏。

ChatGPTの出現で人間社会は大きく変わる。今後AIは社会や私たちの仕事にどのような変化生じるか、AIを有効に活用していくにはどのようにしたら良いのか。具体的に現代社会、未来の姿はどのようになっているのか。

2022年11月にリリースされたChatGPTの利用者はたった2ヶ月で1億人を突破。開発したOpenAIの創業者でありCEOのサム・アルトマンの解任と復帰のドタバタ劇は大きな話題になりました。それだけ現代社会への浸透とAIのリスクを伴った影響の大きさを物語る。

AIを利用してえる情報の不確実さ、個人情報漏洩、雇用を奪う(あるいは創出する)などのメリット、デメリットが議論されている。

現時点で言えることは、まずAI技術を正しく理解すること、AIにできることとできないことを正しく理解し、どう活用するかを考えることが大切と言える。

これからのAI活用の入り口としてとても有意義な講演でした。

中小企業全国懇話会に参加

中小企業全国懇話会の第17回全国交流会に参加する。2年毎の開催だがコロナで中断して5年ぶりの開催となった。会場はニューオータニホテル。5年ぶりと言うこともあるのか、過去最多の1100名の参加者。

全国懇話会は、日本政策金融公庫と取引のある企業が地域エリア単位で組織された異業種交流の懇話会を束ねたもの。

今年は政策金融公庫(元の中小企業金融公庫)の設立70周年、懇話会設立60周年の節目と重なり、その記念映像が披露されました。

映像が始まる。60年前の京都で最初の懇話会ができた当時のことを語る映像が出る。どこかで見たことのあるお顔。表情も語り口もよく似てる。そうだ岩井さんだ!とすぐに分かる。そう、奥城崎シーサイドホテルの岩井美晴さん(字幕もでました)。そういえば岩井さんは元・中小企業金融公庫です仕事されていました。

誰も知らない1100人の中でなんかごく親しい方の映像と出会えてなんかほっとする。

総会後は講演会。講師は帝京大学スポーツ局長の岩出雅之氏。あの大学ラグビー帝京9連覇を果たしたラグビー部監督。

今開催中のラグビー・ワールドカップの日本代表チームに多数帝京大学OBが選ばれている。姫野、堀江、流、坂手、松田など、今注目の選手ばかり。どう言う指導をしたのか、彼らがどのように成長したのか、若い世代と接するのに何が大切なのか。多くの学びを得ました。やはり、強いチームには、素晴らしい指導者が存在することを再認識する。

交流会最後は懇親会。ニューオータニの大宴会場には1100名の会員と中小企業長官はじめ経産省、財務省官僚など100名を超えるメンバーが集結。1200人の乾杯で立食パーティが始まりました。

開会挨拶と来賓挨拶で30分以上。乾杯が終わるとお料理コーナーに我先に長蛇の列。大きいイベントはなかなか難しいですね。

「ダイバーシティ&インクルージョン」〜平田オリザ×大原あかね対談

「豊岡演劇祭2023」連携プログラムとして、平田オリザ氏と大原美術館代表理事の大原あかね氏による対談に参加。日本政策金融公庫と豊岡市との共催で実現しました。

ます先に、それぞれから自己紹介を兼ねて、取り組んでいらっしゃる事業の意義と現状の報告。お二人とも共通しているイシューは「文化が果たす役割とは」。

オリザさんの「古代は医療と宗教と芸術は一緒だった」。人間の身体、精神、創造力の一体化という意味でしょうか。オリザさんのお話は何度聴いても納得がいく。大原さんのお話の中で大原美術館の子どもたちへの開放、そして寄附、入場料で運営しているとの説明がとても印象に残る。大切なことです。

後半は、会場からの質問も受けながら、
二人の対談が進行する。