日本海沿岸地域経済同友会サミット in 鳥取

日本海沿岸地域経済同友会の代表幹事サミットに出席。

日本海沿岸とは、北海道から沖縄までの日本海に面した13の道府県の経済同友会が集まって日本海沿岸地域の経済・文化交流を目的とする。もちろん、兵庫県もこの但馬で日本海に接する。(団体名は神戸経済同友会なんですけど)

平井鳥取県知事より歓迎の挨拶。
鳥取県の人口は日本で一番少ない(55万人)が、歴史的には弥生時代の大陸・朝鮮半島との交流や弥生人の人骨多数、脳も発見される時代文化があり、鳥取藩(江戸時代)は32万石(全国13位)の石高を誇った。日本海沿岸の海運(アクセス)を復活させなければならない、などお話。

基調講演は、谷口博昭氏(現・建設業技術者センター理事長)の「日本海国土軸の今とこれから」。

・国家の長期的意思決定には、ビッグピクチャー(全体俯瞰図)が重要。
・地方創生は、ITに流されず、農林水産業、観光業、建設業、医療福祉の充実が肝要。
・全総計(全国綜合開発計画)は、FORCAST(経済成長率、投資額、新規事業に縛られ制約が多い(夢なし))から、BACKCAST(信頼得られる程度の未来像、俯瞰図を描き、これまでの延長上ではなく、パラダイムシフトを起こす(夢あり)に変換すべき。

特別講演は、鳥取選挙区選出の石破茂衆議院議員の「これからの日本海沿岸地域の活性化」。

・日本の最大の問題は、人口減少。現在1年に60万人減少。(毎年、鳥取県が無くなっていく規模)。80年後は日本の人口は5200万人(半減)。資本主義は人口増でないと発展しない。
・2番目の問題は金利。ゼロ金利では、お金の価値が0なのだから、市場メカニズムが働かない。必要なところにお金が回っていかない。
・3番目の問題は、「贅沢願望」がないこと。『恋愛と贅沢と資本主義』(ヴェルナー・ゾンバルト・著)の例(ルイ14世時代の宮殿の贅の限りを尽くしやがて庶民にも広がる)を説明しながら、消費が拡大、資本主義が発展していった。現在は逆。

サミット会議後は、ホテルニューオータニ鳥取に移動し、懇親会。各テーブルには、他府県の同友会メンバーが混じり情報交換。私は富山県、石川県、新潟県、鳥取県の方と同席。ここ数年、富山県(利賀村の演劇祭に通い)、新潟県(ブナ林の再生、スノーピーク、燕三条)、石川県(金沢の茶会など)に通っているので、話題がたくさんあり。漆塗りハンガー(石川県輪島)、ハンガーのブナ材(新潟ブナ林)、などハンガーの話題で盛り上がりました。

平田オリザ氏講演〜淡交会但馬支部文化講演会

茶道裏千家淡交会但馬支部による文化講演会。今年の講師には平田オリザ氏をお招きし開催しました。テーマは「演劇によるまちづくり〜芸術文化観光専門職大学が目指すもの」。会場には、淡交会会員を中心に約250名が参加。

昨年4月に開学した芸術文化観光専門職大学(CAT)の学長として、なぜ芸術文化と観光なのか、どんな学生たちが何を学んでいるのか、などまず大学の紹介のお話し。

・先進国で公立大学で「演劇学部がないのは日本だけ」。韓国は多数あり、プロの俳優、マネージメントの人材を育てている。
・シンガポールを例に、名物=マーライオンやブランド・ショッピング(為替の変動)を打ち出してもリピーターは来ない。質の高い芸術文化(オーケストラ、演劇など)でリピーターを獲得している。
・CATの来年春(2023年度)の受験応募者はこれまでを凌ぐ。現在、日本全47都府県から学生が来て学んでいる。約90%が第一志望として入学している。

・豊岡市人口は約75,000人。減少が続いている。例えば、豊岡高校昨年の卒業生198名のうち、地元に残る学生は4名。外で学び、戻って来たくなる「魅力ある豊岡」を目指さなければならない。希望する業種、企業の有無ではなく、文化的であるかどうか、教育、娯楽、環境(健康、食文化など)、そして「芸術」「文化」の存在が大切。
・豊岡(但馬)出身で都市に住む息子(娘)家族の子ども(孫)に「演劇おもしろいよ」「ダンスしたら」なんて薦めたら、孫たち世代が豊岡で学び、定住するのもあるかも。これを「Mターン」と呼ぶ。(ユーモアを込めて)

私は、講演の終わりの「謝辞」の役割。
平田オリザさんのお話は、演劇、文化、教育、社会現象、観光(海外も含めて)について、一つ一つ納得するお話ばかり。
「何度お聴きしても、いつもワクワク、ドキドキしてきます」と申し上げ、お礼の言葉としました。

「交通まちづくり」って最重要

神戸新聞但馬懇話会に参加。
テーマは『「交通まちづくり」の新展開〜コンパクトシティ・MaaS・統合的政策』。
講師は宇都宮浄人 氏(関西大学経済学部教授)。

ポイントとして

大都市圏周辺と地方圏の衰退悪循環
「地域衰退」⇆「マイカー依存度高い」⇆「公共交通の衰退」⇆「地域衰退」。
対策として、地域公共交通の魅力向上(守るのではなく攻める)。一定の人口集積があれば悪循環を好循環に変えられる。(豊岡市の規模は充分可能な環境にある)

自動運転期待で思考停止してはいけない
特定区間では可能であっても、レベル5段階(公道を自宅と目的地の移動)は中期的には実現不可能。

欧州における公共交通の官民分担
公共サービス義務(PSO:Public Service Obligation)。官が公共サービスを発注。受注者は公的資金の支援を受け、サービス提供を求められる。

MaaS(Mobility as a Service)
利用可能なアプリで地域住民や旅行者にトリップ単位で複数の移動サービスを最適に組み合わせるサービス。日本ではまだ成功事例はない。アプリ開発競争だけ。(手段が目的となっていないか)

統合的政策(Integrated Policy)
あれもこれもと言う「総合的」ではなく、全体最適を目指す各分野を関連づける「統合的」が大切である。

DEVOAの足跡〜ファッションセミナーより

DEVOA 西田大介氏

研究対象は素材とパターン構築人体に基づいた独自の仮説論により、服を通じた体幹バランス変化を考える。
DEVOA Concept より

ファッションブランド“DEVOA”をご存じでしょうか。人体の骨格・筋肉などの構造に着目するところから始まる服作り。代表でありデザイナーの西田大介氏のセミナーに参加しました。

西田氏とはもう15年前に独特のハンガー「アナトミー・ハンガー」を共同製作した時からのお付き合いだ。今回は久しぶりに出会い、お話ききました。初めてお会いした時の、情熱とファンション哲学は微塵とも変わらない。

西田さんを招聘したのは豊岡カバンストリートにある“APARTMENT”主催者の下村氏。

APARTMENTは、「月額会員制のアトリエやショップを備えた複合施設。自由なものづくりを大切にする、カバンを作りたい人、買いたい人との出会いの場所」(APARTMENTのHPより)

ものづくりを目指す人やファッション好きな人たちが学び、意見交換し、交流する場として、定期的なセミナーを企画しているとのこと。注目です。

映画『うちげでいきたい』〜在宅看取りを考える

守本陽一氏(左側)と孫大輔氏

『「うちげでいきたい」上映会&トーク』、サブタイトルに「在宅看取りを考える」とある。誰にもやってくる「死」を、どのように迎えるか、家族はどう対処するのか、誰しも避けられないテーマである。日々、患者さんの治療とそして最期と直面されている二人の医師のトークは、現場を直視されているので、ある意味「淡々と」語られる。

後半の会場からの質問コーナーでは、「在宅治療は長期にわたると、本人は辛いのではないか、幸せでないのではないか」「家族はどのように本人と向き合えば良いのか」「入院か在宅か、の判断はどのようにするのか」など、次々と質問がでる。

「死」をどう受け止めていますか?との質問には、お二人ともしばらく考え込む場面も。医師(仕事)として日常的に死の現場を見ていらっしゃるからなのか、謙虚で、内省的で、結論(ないかもしれないが)を押し付けずもの静かに語られる。お二人の活動、生き方に、深く共感する。

会場:豊岡劇場

主催は「だいかい文庫」。本を貸し出す側が本棚コーナーを買取り(占有する)、自分の興味のある書籍を紹介していくユニークな図書館。妻の書棚もあるので、ぜひ、覗いてみてください。

映画『うちげでいきたい』の監督は孫大輔さん。私は今夜の上映&トークに参加するまでは孫さんを全く知らなかったが、そのお話の内容とお人柄にすっかりと魅了されました。東京大学医学部卒業、虎ノ門病院、東大附属病院などに勤務され、現在、鳥取大学医学部地域医療学の講座を持っていらっしゃる。鳥取は隣接県なのだが、私にとって遠かった。最近、出会いとご縁が広がっている気がする。それは、演劇であったり、自然と食文化であったり、不思議です。

「丹波部会」設立〜神戸経済同友会

丹波部会長のご挨拶

神戸経済同友会に「丹波部会」が設立され、その設立パーティに出席。県レベルの会議や集いではよく「兵庫五国」という表現が使われます。「摂津」「播磨」「淡路」「丹波」「但馬」。日本海側と太平洋側(瀬戸内海)を持ち、気候温暖な瀬戸内側、冬には雪が降る日本海側。都市と農山村、観光と農林水産業、そして製造業も盛ん。まさに「多様性」の兵庫県。

3年前に「但馬部会」が発足し、これで五国全てに地域部会が設立されたことになる。「なぜ兵庫でなくて神戸?」との意見もありますが、今年で75周年の歴史を持つ経済同友会、「神戸」でいいじゃん、とのご挨拶もありました。(そんなに根深い問題意識があるわけではありません)

個人的には丹波地域と縁の薄い(ほとんどない)私にとって、今回の設立でお会いした会員の方たちとまずは、知り合いになり、但馬と丹波の交流を深めたいところです。

(株)小田垣商店(創業1734年(享保19年)、老舗黒豆卸店)、(株)やながわ(創業明治25年、自社加工の老舗和洋菓子)、丹波篠山おゝみや(猪肉専門店)、など数社の方とご挨拶。老舗のお店、丹波特産の食文化を扱っている会社など、ぜひ今度訪問してみたい。

特に(株)小田垣商店の小田垣社長とは、同友会の総会(5月)の時に隣り合わせになり、今回のきっかけとなりました。(株)小田垣商店の「江戸後期から大正初期の建物をリニューアルしたショップ&カフェ」 に注目。現代美術作家、写真家、建築家の杉本博司が手がけたプロジェクトがとても気になります。

「政策」がつくられる背景(神戸経済同友会)

ANAクラウンプラザホテル神戸

神戸経済同友会の定例幹事会。今月はANAクラウンプラザホテル神戸。議題は、毎月の「会員異動報告」に引き続き、後援名義の了承。今回は「豊岡演劇祭2022」を後援していただくことが可決される。先月、豊岡演劇祭の実行委員をご紹介し、演劇祭の概要を説明し、それが採択されることになりました。

2020年以来、毎年バスをチャーターして、同友会の会員の方には観劇をしていただいている。「演劇って面白いね」「豊岡って頑張っているね」と声をかけていただく。

神戸(全兵庫)で、豊岡ファンを増やしたい。

議事了承の後は講演会。今月のゲストは、兵庫県産業労働部長の竹村英樹氏。「政策」の定義から始まって、理路整然とわかりやすく解説していただく。

「政策」の意味
《一般的な定義》
(政府・政党の)政治上の方針とそれを推進する手段。例として、金融政策、観光政策、◯◯党の政策など。「政府」には、県、市町村も含まれる。
《使える定義》
地域の課題解決の方法。課題とは、現状と理想(将来像)の差。地域特性を考え、具体的に考えるその手法が見えてくる。

政策手法
条例(規制など)、課税(減税など)、事業(補助金、交付金など)、行政指導・助言、県民運動(広報)。5つの手法を取り上げ、それぞれの特徴(効果、持続性、スピード、操作性)などをマトリクス比較。トータルで使いやすいのは事業(補助金、交付金)。

井戸県政と斉藤県政の比較
井戸前知事は、トップマネジメント(20年の実績で県政を熟知)、知事査定に2〜3週間(ほぼ全項目を細かくチェック)。それに対して斉藤現知事は、ボトムアップ(フラットなネットワーク型)、知事査定は1日(スピード重視、トライアンドエラーを容認)。

県の行政の仕組み、知事の政治手法など、理解が深まる。

みんな集まるのは久しぶり

開会挨拶。代表幹事の吉井満隆氏(バンドー化学株式会社 社長)

神戸経済同友会の幹事会に出席。2月を最後に中止かオンラインで行われていたが、今回はANAクラウンプラザホテル神戸にて開催。

コロナの緊急自粛要請は解除されたものの、会場は、1テーブルに1人掛けと2人掛けのセッティングを交互に設え、参加者は全員マスク。

会員移動の承認後は「会員講話」。今日は川崎重工業(株)の富田健司氏(取締役、元副社長)。今季より神戸経済同友会の代表幹事に就任。

会場となった「ANAクラウンプラザホテル神戸」のロビー。今回の幹事会出席は自粛要請解除後の神戸の様子を見たい、という目的もあった。ホテルはまだまだひっそり。旅行者、仕事の出張などまだまだ再開せずと言ったところか。

その後、三ノ宮のセンター街を歩いてみる。
結構多くの人が行き交い、買い物客も多い。自粛の反響か。

今、やるべきことをやる〜大幸薬品(株)柴田社長

東京から大阪へ移動。会場はリッツカールトン大阪だ。

経営者倶楽部の今月のゲストは大幸薬品(株)柴田高社長。

大幸薬品と言えば「正露丸」。創業者の孫にあたる柴田社長。3人兄弟の三男として生まれる。会社の後継者として育った二人の兄とは別の道に、ということで医師を目指し、外科医となる。チームで年間1200の手術をマネージメントし、自らも300を越すオペレーションをこなすが、48才で外科医から大幸薬品の経営へと転身。著書に『カリスマ外科医入門』。

「言われたことを真面目にやってきた私がどうしてこの病になるのか?」死期迫る患者さんの口から漏れた言葉。多くの患者さんの手術を通して人生で大切なものは何か?何のために生きているのかを考える。

スティーブ・ジョブズの「明日が最後の日だと思って、今日は何をすべきか考えて行動する。」を思い出す。

「今、やるべきことをやる」

(株)ハウスドゥ〜業界を変え、安心を提供

今月の経営者倶楽部のゲストは、(株)ハウスドゥの安藤正弘社長。

1991年、26才で3坪の事務所で不動産仲介会社を設立。安藤社長にとって未知の分野にチャレンジ。業界を知っている営業社員を雇い、ノウハウを身につけながら、独自の理念に基づき、業界で地位を築いていく。時代はバブル。不動産売買で大儲けする周囲を見て、自分もと思い開業し、それなりに利益もあげ、自身の収入も高額になるが、どこか満足を得られない。「これで良いのか」との疑問から、「何のための仕事か」と自問。

当時(1990年代)のアメリカの不動産業視察し、合理的な不動産売買の実態を知り、これを日本の不透明な不動産業を、オープンで安心の業界にしようとの経営理念を掲げる。

2006年に「ハウスドゥ」(不動産仲介専門のFCチェーン)をスタート。現在約600店舗、1000店舗を目指している。住みながら家を売却できる「ハウス・リースバック」サービスが大ヒット。月間1200件を超える問い合わせがあるという。

経営者倶楽部は、今回が100回目の開催。毎回、有名、無名問わず、素晴らしい経営をされている凄いゲスト・アドバイザーが登場。リッツ・カールトン大阪の「ザ・バー」で少人数、かつ寛いだ雰囲気の中で進行する。