今まで多くの会社は「顧客満足」を第一に経営をされてきました。お客様の満足がなければ、商品を買ってもらえない。つまり利益が得られないからです。
しかし、私の経験上、顧客満足は社員満足があってこそ実現されるというのが真実です。
社員満足なしに顧客満足を追求すると、「やらされ感」や犠牲感だけが残ってしまいます。その証拠にもっとも徹底した顧客満足を追求するところが、社員にとってはブラック企業になっている例がたくさんあります。
『社員を大切にするからころ時になる。甘いから赤字になる。』近藤宣之・著
(「顧客満足の前に社員満足が大事」 (p176))
坂本光司氏(元・法政大学大学院教授)の「日本でいちばん大切にしたい会社」に選出され、以前から注目していた(株)日本レーザーの近藤宣之社長(現会長)の書籍。今回、経営者セミナーで直接お話を聴き、出版されている全ての近藤氏の本を読む。
近藤氏の仕事人生の様々な体験を語りながら、得た結論は「社員満足」が経営の原点という信念。クレド(働き方の契約書)、社員の総合評価表、人事制度改革など、具体的な資料も提示され、大いに参考にしたい。
私も会社経営で大切にしてきたのは、経営をオープンにし、社員一人ひとりが目標を持ち、社員の成長が会社の成長、会社の利益が企業存続と社員に還元される仕組みを作り、実行すること。
社員を「大切にする」は、社員待遇を良くし、自主性を高め、公平な社員評価を、というイメージが強いが、それは単に「甘い」こと。「大切にする」には、会社理念(クレド)、社長の信念に基づいた人事評価制度、日々の社員とのコミュニケーションなど、その下地となる社長の行動がベースにないといけない。
もう一つの行き着くところは「社長が変われば、会社は変わる」という事実。経営者として最も重要な心得。肝に銘じないといけない。