「未来へ」〜コウノトリでつながる世界

コウノトリ市民研究所 上田尚志代表

野生復帰から13年経ち、現在145羽のコウノトリが野外に生息しています。成功の原動力の一つに「NPO法人 コウノトリ市民研究所」の存在があるのを記しておかねばならない。

野鳥、昆虫、植物、生き物全般の生態系調査をはじめ、子ども達を中心にビオトープづくりや自然観察などを行い、自然を身近に感じる活動されてきました。

現在、「豊岡市立コウノトリ文化館」の指定管理者として、また、毎月だい第2、第4日曜日には、自然観察会を定期的に開催する活動を展開中。

ドキュメンタリー映画「KOUNOTORI」の上映、および、その制作者ラン・レヴィ・ヤマモリ氏、出演者でもある中貝宗治豊岡市長、岡田有加さん(JICA職員)の3名によるトークも行われました。

岡田有加さんは、小学生たちが市長にアポをとり「市長さん、コウノトリのお米を学校の給食に使ってください」とお願いしたその人。この映画のコウノトリ野生復帰物語の中心人物であり、ナレーション(英語)を務めている。

「自然界の報道写真家」宮崎学 氏

「イマドキの野生動物〜写真と一緒に考える環境問題」と題する講演は宮崎学氏。もう20年以上のお付き合いをさせていただいている。「コウノトリ写真コンクール」の審査委員(現在、審査委員長)としても13年お世話になっている。

宮崎氏のお話は、何度お聴きしても奥が深い。現代の人間社会の危うさを「生き物」の写真と鋭い観察眼を通してグサリと指摘される。

今回の講演では「自然撹乱」というのがありました。
自然災害で地滑りが起きたり、人間の開発という名のもと自然を破壊していく。しかし、その「撹乱」が、動物たちに試練を与え、乗り越え、また新たな生態系が作られていく。「撹乱」=「破壊」ではない。

gakuさん(普段はそう呼ばせていただいています)の話を聴けば聴くほど「自然とどう接すれば良いのか」「自然って何だろう」と考えさせられる。「自然破壊」と見なされている行為も、ある生物にとっては「保護」となる。要は、「善」か「悪」からでは本当の姿は見えてこない。

そこで最後に、司会者の「会場からの質問は?」に手を挙げました。
「gakuさんにとって自然は?」の問いかけに、
「観察自然」(かんざつじねん)との答えをいただいた。
「あるがままに観察し生かせ」ということか。