街の風景が変わる〜また来年もヘンテコウィーク

『お寿司の演劇ワークショップ』 南野詩恵(お寿司)

10月11日から始まった江原を舞台にした「ヘンテコウィーク」が盛況裡に終了。
10日間でのべ2000人を超える人が来場。
江原の街で信じられない集客だ。

『お寿司の衣装ワークショップーなりたいものになるー』  南野詩恵(お寿司)

最終日の午前は「衣装のワークショップ」

江原の近所の子どもたちが大喜び。
学校から帰って来たら(宿題もせずに?)「101に行きた〜い!」と言う子どもたち。
子どもの姿が街から消えていた近年の江原が蘇ったよう。

いよいよ最終日の夜。

「十三人のヘンテコな住民たち〜生活を託すために〜」のパフォーマンスを終えての打ち上げ。シェアハウス江原101に住む住民学生と江原の子ども連れの家族が集まる。
おやついっぱい、ジュースいっぱいで子どもたち大喜びだ。

打ち上げが終わり、みんなで友田酒造の酒蔵でやっているインスタレーション「一次的二次創作」を見にゾロゾロと移動。

帰り道の広場。
東の空から昇る月を見ながら、無事に盛況裡にヘンテコが幕を下ろす。
ワクワク、ドキドキの素敵な10日間でした。
東京や京都から駆けつけていただいたゲストアーティストの皆さんとの出会いにも感謝。
来年の2回目を楽しみにしよう。

空き家が劇場に〜ヘンテコウィーク

ずっと空き家だった家が劇場になった。

ヘンテコウィークの一幕。

江原本町(豊岡市日高町江原)の空き家。昔は表具屋さんだった。襖の修理をされている外を通りがかった時に見たことを覚えている。

ご家族のことは詳しく知らなかったが、空き家になっているのは知っていた。

アイデアと目的意識とがあれば、想像もできなかったことが目の前で繰り広げられる。

『幽霊とか宇宙人が今もどこかにいるかもって思う。』
演出・振付:櫻井拓斗
出  演 :松村寿寿々乃、林充希、吉松響

今年の7月に芸術文化観光専門職大学(CAT)で学生たちがチャンパスで企画した「仮設劇場・立夏」で初演された作品
元々、この家にあった家具を背景に、新たに張ったベニヤの床。

「空き家がどんどん増えているのは問題だ」「空き家をなんとかできないか」と嘆き唱えるだけでは何も解決しない。

学生たちの持つ想像力と行動力に脱帽。

脱力とダンスでゆる〜い日々(ヘンテコ4〜5日目)

「老若男女、初心者大歓迎の脱力倒立教室」(渡邉 尚)

渡邉尚さんは、独学でジャグリング、倒立、軟体を研究。ダンスやサーカスの枠を超えた身体表現で活動。25カ国以上で出演や指導を行なってきているプロフェッショナル。

「倒立できたからと言ってなんなん?」と言われても困る。
みんな必死で取り組む。みんな楽しそう。
ヘンテコだからのプログラム。

「振付ってなんだ?」(斎藤綾子)

斉藤さんは大学で舞台芸術の舞踊を学ぶ。関西を拠点にダンサーとして活動されている。私はオブザーバーで参加させていただく。理屈よりも身体で感じながら理解する方が良いのか、いきなり関節を動かす運動が始まる。

「ゆるクラブ」(田中千尋、丸山るか)

田中さんは「鳥の劇場」(鳥取県鹿野町)で俳優を目指しながら制作アシスタントをされている。シェアハウスの住人丸山るか(CAT4年生)ちゃんと、江原河畔劇場のイベントで知り合い、意気投合。

リラックスした雰囲気で「ゆるく踊る」ことを楽しむ時間。
音楽は静か〜に、静か〜に、鳴る。
藤井風だったり、インドネシアの音楽だったり。
音楽と空間を楽しみながら3時間。

脱力して、ゆるく、時には倒立しながら、身体と向き合うそんな日でした。

ヘンテコウィークのインスタレーション

「一次的二次創作」(作:」辻田康晴)
会期:10月11日〜20日 17:00〜20:00 (水曜日お休み)
場所:友田酒造(江原)

創作には垣根があるのか。創作に必要なことはあるのか。
一時的なことと二次的なこと、あるいは三次的なこととは。
(ヘンテコウィーク2024 案内冊子より)

辻田康晴君は芸術文化観光専門職大学の3年生(2期生)。専門の照明の知識経験を活かしたインスタレーション。

古い酒蔵の中で「光」と「水」と「香り」が織りなす不思議な空間。
訪れた人はプラのコップを受け取り、会場に入って自由に水を入れ、好きな場所に置く。以前の人が置いたコップを移動しても良い。何度繰り返しても水は変わらない。質もトータル量も。誰かが置いたコップは誰かによって動かされ、あるべき場所は変化する。香りを出す煙は赤青緑の光線を浮き立たせる。

何が一次的?何が二次的?を問う。

超・盛りだくさんで、超・ユニークで面白い(ヘンテコウィーク2日目)

ヘンテコ2日目は、清々しい朝の光を浴びながら始まった。
ヘンテコ案内所(シェアハウス江原101)の裏側は円山川堤防。

9:00
二人芝居「忘れてしまったことなど」(コココーララボ。出演:松田弘子、山内健司)人と天使のお喋りの短編演劇。

シェアハウスを設計プランしている時から描いていた「屋外の舞台」がここに実現た想い。
空き家→リノベーション→シェアハウス→空間の活用→屋外との連携
私としてもとても嬉しい瞬間でした。

10:00
ヘンテコ・フリーマーケット。出店者と通りすがった人のためのゆるゆるしたマーケット。

15:30
言語遊戯「HESOVIDEO」(へそビデオ)第1回世界大会 in 江原
これが一体なんなのかさっぱりわからない。だから面白い。
これぞ本当にヘンテコだ。

ファシリテーターは俳人の岩田奎くん。(今や俳句界の若手ホープ)
「へそ」にも「ビデオ」にも意味は無し。説明不可能。

お題(例)「ふろしき」が出るとその単語の前か後ろに単語を連ねる。2人対決で、観客が面白いと思う方に手を挙げ多数決で勝負を決める。全くナンセンスなのだが、やっているうちにのめり込んでくるから不思議なものです。

19:00
「日高かるた選考お披露目会」(日高地区コミュニティきらめき日高チャレンジ補助金事業)

日高地区のかるたを作りたいとの江原住民の熱い想いと群馬県で有名な「上毛かるた」の日高版を作りたいと思っていた群馬出身のシェアハウス住人の思いが一致して実現しました。

夏休みの宿題として日高小学校と日高東中学校の生徒に募集して400以上の句が集まる。その中から厳選してお披露目となった。
選考委員は、岩田奎(俳人)・加藤進吾(江原住民)・櫻井拓斗(群馬出身)・竹内ミズキ(ヘンテコ企画者)。
(かるた選考の、プロあり、創造性あり、ユーモアあり、実績あり、の最良メンバーです)

ますます期待が膨らむヘンテコな2日目でした。

ヘンテコウィーク始まる〜オープニングパフォーマンス

スローガン「人に惹かれる。まちが好きになる。」。
江原・日高が好きになる新しいフェスティバル「ヘンテコウィーク」がいよいよ始まりました。

オープニングは江原の「立光寺」さん。時は夕方の6時。
境内に椅子を並べて大勢のご近所さん、江原の住民、金融機関の日高支店の人たち、同僚の学生たちが集まる。

何やらお神輿を担ぐ衣装を纏った男子がウロウロとし始める。

突然、男子たちが踊り出す。
一体何が始まるのか!?

今回のヘンテコを企画したシェアハウスの学生と江原の青年たち(30〜40代)が12名が出演。9月から時々集まって秘密(?)の特訓を重ねて本番を迎えたという。(息子Sも出ているなんて私は全く知りませんでした。)

境内にモーツァルトのピアノ曲が流れ、

「私は◯◯です! ◯年前に江原に帰ってきました! 家族は妻と息子一人、娘一人、祖母との5人暮らし! 仕事は◯◯! 空き家が増えた江原ですが自分たちの力で住んで楽しい江原にしていきます!!」

と、一人ひとりが順番に大声で叫ぶように自己紹介をしていく。(なかなか感動的)
一人終わる度に、大きな拍手が沸き起こる。

こんなシーンが江原で見られるなんて!

江原もなかなか捨てたもんではないな。
企画した学生たちも大したもんだ。

ヘンテコウィーク、大いに期待してます。
本日11日より10月20日まで毎日、江原のどこかで何かヘンテコなことが行われています
「ヘンテコ案内所」は、シェアハウス「江原101」(豊岡市日高町江原101)。
案内所に行けば、プログラムや見どころもすぐにわかります。
ぜひ、覗いてみてください。

KYOTO CULTURAL FESTIVAL 2024

ただ、ふと落ち着いて世の中を見てみると「パレスチナとイスラエルの難しい問題はこの先どうなってしまうのだろう。コロナ流行を経て人と人の繋がりはどの様に変化したのだろう。人間が何かシステムの中に取り込まれているような、それには心身ともにどこか無理があるような」と数年前の危機的状況を脱したようにみえて、恐ろしいことは沢山あるなと思う日々です。

そんな状況だからこそ私は「劇場がその街にある有り難さ」「舞台空間で何かを体現し合えることの大切さ」を思い、今年も今一度それぞれが「劇場・舞台」についてゆっくり考えられる時間を作るためにフェスティバルを開催したいと思いました。

今回のテーマは「深いところから突き上げるあの、あの感覚とは。」ーーー
主宰者 SMILE 小倉 笑
「KYOTO CULTURAL FESTIVAL 2024」プログラムより

芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生たちが出場すると言うので京都の「THEATRE E9 KYOTO」(京都市南区東九条南河原町9-1)に来ました。出演する9人の学生たちのうち3人はシェアハウス「江原101」の住民。普段から知っているのでどんなパフォーマンスをするのか興味津々。

左側から制作:八木志菜さん、CAT学生9人、山下残さん、SMILE4人、右端が小倉 笑さん

昼の部の公演『詩の朗読』(演出・振付:山下残)。CAT学生9人が出演。楽曲担当は櫻井拓斗君で同じく「江原101」の住民。みんなCAT4年生(第1期生)たち。「朗読」とは言え、ただの朗読ではなく、身体を動か(ダンス)しながら読んだり語ったり。斬新な演出。

昼の部のもう一つは『SUPER COMPLEX』 SMILE(作・演出・振付:小倉笑)。本来は人間は一人一人異なる特性(個性)を持つ「多様性」の生き物。最近(安易に?)よく語られる「多様性」を改めて問い直す刺激的な作品。

左側から制作:八木志菜さん、餓鬼の断食5人、川村智基さん、MonochromeCircusの森裕子、坂本公成、保井岳太さん、小倉笑さん

夜の部の公演『HUSAIS』(Monochrome Circus)(演出:坂本公成+森裕子)。今年2月のモノクローム・サーカスの結成33周年記念公演『クロニクル Monochrome Circus』(シェアハウスの山瀬茉莉さんも出演)を観て好きになり、期待して夜の部も観ることにしました。

今回の『HUSAIS』のダンサーは小倉笑+保井岳太の二人。二人のダンスが素晴らしい。ワクワクでした。モノクローム・サーカスの若手ダンサーが代々踊り継いできた作品という。
(言葉で表現できないのが悔しい)

夜の部のもう一つの公演は『Fusion、〈ヒュージョン、〉』(劇団「飢餓の断食」演出・脚本:川村智基)。なんとも激しい演出。公演前には「性的表現、暴力、禁止用語などあり。公演中に気分が悪くなった時は退出してください」とのアテンションのアナウンス。(どんなんだろう?と緊張)。「身体も言葉も精神も全部融合させちゃえ」(演出の川村さんの作品紹介文より)。

昼夜の4作品を振り返り「深いところから突き上げるあの、あの感覚とは」のテーマ通り、どの作品からも突き上げられました。来て良かった、今後の活動も期待していきたい。

小倉 笑さんの「小劇場が消滅していくのでは」「表現の場としての舞台空間の変化は?」との演劇・ダンスの舞台芸術の現状を憂い、将来に繋げて行こうとする活動が伝わってくるフェスティバルでした。

『野火』堀川 炎(豊岡演劇祭)

出演:永井秀樹        (豊岡演劇祭プログラム より)

それでも戦時中の一人の内面のふたを開けたかったのは、日本兵という集団ではなく、水面下で生きた日の当たらない一兵卒に焦点を当て、ごく個人的なことに触れたかったからだ。そうすることで、現代の私たちは戦時中の彼らへ共鳴するかもしれない。
(作品コメント より)

作家・大岡昇平のフィリピンでの戦争体験を基づき、死と向き合う人間の極地を描く小説『野火』。

ディレクターズ・プログラム 堀川 炎『野火』 

演出とテキストレジは堀川炎さん。
演じるのは永井秀樹さん(劇団青年団)。
会場は出石の永楽館。舞台美術は杉山至さん

永井さんの迫真の演技に度肝抜かれる。
70分ぶっ通しでセリフを機関銃のように間断なく喋り、恐怖にのたうち回る。
照明により障子が効果的な役割を果たす。

豊岡演劇祭の最終日を飾るにふさわしい圧倒的な作品でもありました。

テキストレジ
台本の台詞の追加や削除などを行うこと、またはそれらを台本に記入することを意味する演劇用語。

『リバーサイド名球会』 スリーピルバーグス(豊岡演劇祭)

豊岡演劇祭プログラム より

野外劇は困ったバランスで成り立っており、野外であることに起因するさまざまなトラブルの種を未然に防ぐ手立てをすればするほど、普通の劇場公演に近づき、野外の魅力から遠ざかっていきます。そこで、トラブルの種を味方につけて、その種から成功の花を咲かせる錬金塾が必要です。
(作・演出:福原充則 作品コメント)より

さて、どんな錬金術が駆使するのでしょうか。

『リバーサイド名球会』スリーピルバーグス第2回野外公演 in スタジアム!

俳優陣は写真左より、佐久間麻由、平井まさあき、八嶋智人、久保寛太郎、永島敬三の5人。
八嶋さんはTVでもちょくちょく見るベテラン俳優。平井さんは豊岡出身の吉本興業所属のお笑い芸人だそうだ。

豊岡演劇祭2024ディレクターズプログラム公演。
会場はこうのとりスタジアム。
車のナンバーをみると滋賀、奈良、大阪、神戸、広島、、、、と他県からの来場者も多い。観客席から手を上げてグランドに上がった女性観客は佐賀県から。

エンターテイメント性も演劇祭の目玉の一つとして盛り上げるのは大切だと思う。

『島ゞノ舞ゝゝ』 ダンスカンパニーMi-Mi-Bi (豊岡演劇祭)

豊岡演劇祭プログラム より

「島」を公演のテーマとおきました。
地形としての「島」に加えて、それぞれ固有の文化や歴史を抱え、姿かたちを表す<人の身体>も「島」と捉えられるのではないか・・・そんなことも考えました。優劣ではなく、ただ存在するものとして。
(内田結花、森田かずよ 作品コメント)より

豊岡演劇祭フェスティバルプロデュースによる公演。
『島ゞノ舞ゝゝ』 ダンスカンパニーMi-Mi-Bi

豊岡市民プラザホールに舞台を作りコの字に囲むように客席がセットされている。至ってシンプルな舞台に登場するのは、それぞれの身体に特徴を持ったダンサーたち。

車椅子に乗り唄い語る、舞台にうずくまり回転しながら舞う、それぞれ不思議な衣装(南国の島?)を纏い踊る。打楽器、シンセサイザー、自然の音を融合させた音楽が素晴らしい。

まさに「固有の文化」(身体、精神、思考)と「歴史」(日常、人生)を持った「島ゞ」が目の前に出現する。初めて体験する舞台空間でした。

(左より) 松岡大貴さん 森田かずよさん 内田結花さん 筒井潤さん

アフタートークのファシリテーターは、先日の但馬コネクションのゲストに招いた松岡大貴さん(豊岡演劇祭プロデューサー)。松岡さんはこの作品を作り上げる創作と稽古の現場に足を運び、公演終了を見届けた今、感激し安堵したとの心境を語る。(これぞ演劇祭のプロデューサー)

森田かずよさんは、身体表現の可能性を追求し演劇・ダンスの領域を超え国内外の多数の公演に出演されている。東京パラリンピック開会式ソロダンサーを務める。現在、大阪大学人文学研究科で博士課程在籍中。

内田結花さんは、ダンサー・振付家。Mi-Mi-Biの立ち上げから関わり、メンバーの世話をしたり、自らもダンサーとして出演。
「上演環境や状況に振り付けられる身体をテーマに、屋内外のあらゆる場所で字作品を発表」(「プロフィール」より)

筒井潤さんは、演出家、劇作家。この作品ではドラマトゥルクを務める。作品づくりの現場に立ち会いサポートし助言する今回の作品の感想を述べられる。筒井氏の感想としての「暗黙の了解」のお話が腑に落ちる。

「島」に暮らす人たちの間にある「暗黙の了解」(意思表示せずとも分かり合える)は、「島」に起きる様々な困難を乗り越えるための知恵と感情の織物。「島」の人の振る舞いや「島」の佇まいを形作っている。現代は情報や経済が簡単に「島」に流入し、暗黙の了解は薄れてきているが、「島」を大切にする想いは受け継がれている。(筒井潤 作品コメント)より

「島」は孤立したイメージもあるが、他の「島」との交流もある。
「島」は、つまり「私」なんだと。

来て、観て、感じて、考えて。良き体験でした。