『にっぽんの里山を旅する』展〜今森光彦

美術館「えき」KYOTO(京都伊勢丹7階隣接)で開催されている今森光彦さんの写真展。私は昆虫を撮った『世界昆虫記』を購入し、美しい昆虫たちにすっかり魅了されたのが今森さんとの出会い。すっかり「昆虫博士」と思っていました。その後『里山物語』を知り、里山の生物多様性に関心を持った経緯があります。

今森さんが訪ねた日本の各地の一覧。

「木の記憶」として紹介されていたのが「和知の大カツラ」(兵庫県香美町)。何度も訪ねたことがあるが、木の根っこのところから川が流れているのに驚く。ここから水が湧き出ている。
今森さんは、近くにある泉の番人だ、と紹介している。

今回の写真展では、撮影の許可が下りているの印象に残る写真を紹介します。

新潟県十日町のブナ林。
以前、お隣の魚沼市大白川のブナ林再生にかけるプロジェクトで現地を訪ねたことがあるが、ブナ林の凜とした佇まい、生命の息遣いには感動します。

もう1人の親しくしていただいている「自然界の報道写真家」宮崎学さんの作品からも生き物(動物)の視点から見た現代社会の危うさを知り、衝撃を受ける。

自然界の写真を通じて「現代社会の現状」「忘れかけた生命の尊さ」「生き物の多様性で成り立つ自然」を思い起こし、そこから学ぶことがたくさんあるのだ、と感じた写真展でした。
2月2日まで、開催されています。

「新春能」〜大槻能楽堂

プログラム
能  「翁」    片山九郎右衛門/茂山千之丞
狂言 「縄綯」   茂山千五郎
復曲能「岩船」   観世喜正

大阪・大槻能楽堂「新春能」。
観世喜正の復曲能『岩舟』がお目当て。能好きの妻は喜正先生に手ほどきを受けている。昨年11月のニューヨーク公演では、ニューヨークでお世話になった友人にチケットをプレゼントしたり、京丹後市の安養寺の「蝋燭能」で鑑賞したりと、私も何度かお会いしご挨拶させていただいた方。

本格的な能舞台で鑑賞するのはまた格別。
全部で3時間半(休憩を挟み)に及ぶ舞台を堪能しました。
(私は往々にしてウトウトすることもある能ですが、今回の演目と本格舞台とが相俟ってか、楽しむことができました。)

民藝と工芸の郷〜神戸・鳥取経済同友会合同懇談会

鳥取と神戸(兵庫県)経済同友会の定期交流会に参加する。今年は鳥取に訪問。
今回は陶芸を中心とした「民藝と工芸」をテーマに企画されている。

最初に訪れたのは「鳥取民藝美術館」。
医師・吉田璋也(1889年〜1961年)により柳宗悦の「民藝の美」の普及と新たな創造の指針、鳥取民藝運動の拠点として創設される。(1949年)。
朝鮮陶磁器、日/中/西洋の古民藝や、吉田璋也自身の作品も展示されている。

移動して「いなば西郷 工芸の郷」を訪ねる。
この地出身の陶芸家・前田昭博氏(人間国宝)の提唱で始まる。2016年に一般社団法人化し、2021年に作家作品を展示する「ギャラリー&カフェ okudan」がオープン。現在、約10名(軒)の作家が創作をしている。江戸時代後期からこの地で開窯した「牛ノ戸焼」、全国か創作に意欲を燃やす若手陶芸家やクラフトマンが移住してきている。

牛ノ戸焼の当代陶芸家小林孝男さん。
(山崎亮氏解説による牛ノ戸焼)
江戸時代後期に、島根県江津市から粘土を求めてこの地に移住。
出土する粘土の土地の見学、粘土の練り、ろくろ、乾燥、素焼き、釉薬をかける。
肯定順に丁寧に説明をしていただく。

また、ゆっくりと訪ねてみたい西郷の里

「荒木村重」を訪ねて〜市立伊丹ミュージアム

市立伊丹ミュージアムを訪ねる。
ロゴマーク I’ M は、ItamiとMuseumのイニシャル(と誰もが判る)でなかなか気に入りました。入り口から中に入るとガラス張りのロビーの向こうに日本庭園を眺める。

もともとこの地にあった「柿衛文庫」「市立美術館」「工芸センター」「郷土館」に「博物館」を移転させて統合して、芸術・文化・歴史の総合的な発信拠点にしたそうだ。こういう方針でこのミュージアムを実現させた伊丹市は、これだけで注目したくなるし、素敵な街だと思います。

今回の伊丹を訪ねたのは、荒木村重とその有岡城を見学するのが目的。

戦国時代の武将・荒木村重(1535年頃〜1586年)は、織田信長に反旗を翻した“謀反の将”として有名。後半の人生は文化人・茶人として秀吉時代を生き、利休十哲にも数えられる。

摂津国で勢力を広げ、のちに 有岡城(伊丹城) を拠点する。信長の有力家臣として軍功も多く、順調に出世していくが、1580年、突如として信長に謀反を起こす。
その理由には諸説あり。(そこが歴史の興味を唆るところ)。
• 信長の苛烈な処断に対する不信・恐怖説
• 羽柴(豊臣)秀吉との対立説
• 石山本願寺との密通説
• 信長の中央集権化への反発
結果的に、有岡城は信長軍に包囲され、約1年の籠城戦の末落城。

その際、村重は、妻子・家臣を見捨てて城を脱出し、妻子や家臣は捕えられ、多くが処刑される。この点が村重の評判を下げている。しかし、近年、村重の研究が進むにつれて、再評価される(そこまでしても何を得ようとしたのか)。

ミュージアムに隣接する「旧岡田住宅・酒造」では「清酒発祥の地」としての展示がされている。ここで山中鹿之介が登場。(永楽館歌舞伎の今年の演目「神の鳥」にも登場

山中鹿之介(1545年〜1578年)は、戦国時代の武将。尼子(あまご)再興に生涯を捧げた忠義の武将。

尼子家の“再興の英雄”
山陰の大名・尼子氏が毛利元就に滅ぼされると、
鹿之介はわずかな仲間とともに “尼子再興軍” を結成。
• 何度も敗れても諦めない
• 各地を奔走して味方を集める
• 武勇と忠義で多くの武士から尊敬された
この“再興運動”は彼の人生そのもの

「七難八苦を与えたまえ」
鹿之介が月に向かって祈ったとされる有名な言葉。
「我に七難八苦を与えたまえ」
普通は「成功を与えてください」だが、
鹿之介は「困難をください」と願った。
• 困難を乗り越えることで武士として鍛えられる
• 主君を再興するためなら苦難を厭わない
という強い覚悟が込められている。

武勇は“日本一の兵”と讃えられた
• 奇襲や夜襲に長ける
• 体力と胆力が抜群
• 粘り強く諦めない性格から“山陰の虎”と呼ばれることも

最後は備中で最期を迎える
1578年、尼子再興を図るため上月城に籠城するが、
毛利軍に包囲され落城。
降伏後、護送中に毛利家臣により殺害され生涯を閉じる(享年34)。
短い人生ながら、その忠義と勇気は伝説化された。

短命ながら戦国時代屈指の“義の武将”。
これまで、戦国時代の山陰地域、但馬の話の中で山中鹿之介の名前を知っていたが、もう一つその人物像を描けなかったので、これでスッキリ。

鹿之助の息子である新六幸元は、戦乱から逃れ、現伊丹市の北部の鴻池に住み、酒造業を始める。造った酒を江戸に運び大きな利益を得る。その後、後継たちが大阪に出て酒造業を営み、両替商として成功を收める。現在の鴻池組へと繋がっている。

(今回は時間の都合上、有岡城跡には行けず。再度訪問予定を立てる予定)

『リビング・モダニティ 住まいの実験1920s-1970s』展

久しぶりの兵庫県立美術館。
『リビング・モダニティ 住まいの実験1920s-1970s』企画展を見る。

1920年代から70年代までという住宅設計の転換期となった半世紀において、その複雑に絡み合った社会的、技術的、そして芸術的な問題を解決しようとした建築家たちの試みを検証していく。
企画展プログラムより

住まいの7つの戦略
「衛生」   清潔さという文化
「素材」   機能の発見
「窓」    内と外をつなぐ
「キッチン」 現代のかまど
「調度」   心地よさの創造
「メディア」 暮らしのイメージ
「ランドスケープ」 住まいと自然

一番印象に残った(参考にしたい)建築は『聴竹居』。日本に西洋の暮らしが入ってきたものを日本の風土、文化、身体感覚などに合わせて工夫して設計されている。

1928年に建築家・藤井厚二が、自身と家族のために京都・大山崎に建てた住宅。自然と共生する家を徹底して追求したものとしてとても興味がある。ぜひ、、訪ねてみたい。
『聴竹居』

「星のクライマー」プロジェクト第2弾

冒険家・植村直己さんの没後40年(1984年2月に消息を絶つ)を記念して立ち上げたプロジェクト。第1弾は、松任谷由美さんの歌「星のクライマー」の歌詞を刻んだ歌碑を植村直己公演に設置。引き続き、芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生たちによる演劇の創作・上演が完成し、その上演会が開かれた。

創作はCATの学生、演出、田上豊さん(演出家/CAT助教)。出演は13人の学生たち。

会場:芸術文化観光専門職大学学術情報館(図書館)

図書館の階段を山岳と見立てて、何度も絶壁を登るシーンが登場する。(入学するまで植村直己を知らない)学生たちが、このプロジェクトを通じて植村を知り、その人生のストーリーを演じていく企画はなかなか面白い。時が経つにつれ、過去のものとして忘却されがちな生き様を、新たな視点で捉え、演じていく。植村直己を顕彰する効果は大きいと感じる。

ヘンテコ最終日〜また来年も

第2回ヘンテコウィークも最終日。
ここ江原の友田酒造の酒蔵で3連作を上演。

1作目は、作・別役実不条理劇「病気」。演出はヘンテコウィーク仕掛け人の竹内ミズキ君。出演は、シェアハウス江原101の住民でもある赤間菜穂(CAT3年生)と竹内ミズキ。
最終日のこの場所で別役実(かつて早稲田小劇場立ち上げた鈴木忠志との盟友)の作品を観られるとは驚き。(さすがミズキ君)

2作目は、武本拓也さんのパフォーマンス。
会場となる友田酒造の裏側シャッター出入り口。何が始まるのか観客はわからない。

能の動き(もっともっとスロー)のような微細な動きと近くで無言のうちに身体が移動していく。観ている人の感性が問われるのか。

3作目は、櫻井拓斗君の『不快な居場所脱出装置の発明 試作品#1』。
拓斗くんはCAT1期生で今春卒業して現在は「まつもと市民芸術館」(長野県松本市)の「若手育成プログラムのダンサーとして世界を目指している。シェアハウス江原101立上げの5人組の一人。CAT3年の時に、若手コンテンポラリダンス登竜門のU-35で優勝。

こんな若者たちが江原でぱフォーマンスを披露してくれる。近所の子どもたちを集めてカルタやカルタ大会や人生ゲームをしたり、食事会をしたり。街が変わっていく実感がする。

無事に全公演終了。
最後は江原公民館に集まって打ち上げ食事会。
近所の割烹仕出屋さんから40人分の料理を取り寄せる。
オープニングを飾った江原若者衆、一番喜びはしゃいでいるのはチビっ子たち。
こんな楽しい時間期間を持てるなんてみんなウィンウィンだ。
来年の3回目が楽しみです。

今年も始まった「ヘンテコウィーク」〜江原の新しい行事

江原の立光寺に、若者が集まる。シェアハウス「江原101」住民で芸術文化専門職大学の学生たちが、江原住民の交流の場として、地域外の人たちに江原を知ってもらおうと立ち上げたイベント。今年で2回目となる。

江原に住む10名の若者が創作劇を演じる。作・演出は今春CATを卒業したミズキ君と振付・音響照明はタクト君。

昨年は100名を超える江原住民が集まったが、雨模様の今年は少し寂しい。でも。この境内で「久しぶり!」「元気ですか?」など、近所と言えども普段顔を見ない人たちと挨拶を交わすのは気持ち良い。

第2回ヘンテコウィーク。
ダンス、ピクニック、お芝居、ボードゲーム、かるた、食事会など。
学生の、アーティストの新しい表現、「なんだこれ?」に出会えるプログラム。

10/8〜13日の6日間。12日は江原の秋祭りでお神輿担ぎ。この賑わいがきっかけで江原が活気付くのを応援していこう。

第15回永楽館歌舞伎

今年も「永楽館歌舞伎」がやって来た。片岡愛之助、中村壱太郎の共演で始まった永楽館歌舞伎も15回目を迎える。

現在超・話題の映画「国宝」の上映もあって歌舞伎人気が高まる。その舞台ともなった永楽館の見学者も普段の10倍以上になるという。今年の6日間の永楽館歌舞伎もチケットは完売。開場を待つ列も半端ない。

入口では、愛之助さんの妻・藤原紀香さんがお客様を出迎える。これまでもハンガーのご縁(愛之助さん、紀香さんにご愛用いただく)で私を覚えていただいていて、ご挨拶の言葉を交わす。

今年の演目は、
一、 寿曽我対面(曽我兄弟の仇討ち事件を題材とする)
二、 口 上 (永楽館歌舞伎の名物(笑点?))
三、 神の鳥 (コウノトリを扱う地元ゆかりの作品。作・演出:水口一夫)

本番の写真は撮影できないが、今年の舞台も、大いに見せて(魅せて)くれました。

残念なのは、15回を迎える直前の9月7日に、永楽館歌舞伎の生みの親である水口一夫さんが永眠されました。享年83歳。

水口さんには、2015年7月の但馬コネクションの講師としてお迎えして、歌舞伎の話、役者さんの裏話など、歌舞伎界の興味深いお話をお聴きしました。(その日は、台風襲来でJRは運転中止。急遽、大阪梅田駅まで車で迎えに行く。水口さんは、講演で「拉致されまして」と冗談交えてお話をされました)

生涯をかけて各地の「子ども歌舞伎」を指導されていた水口さん。華やかなスポットが当たる歌舞伎の世界で、地道な活動をされている水口さんには大いに感服いたしました。
ご冥福をお祈りします。

「餓鬼の断食」〜『STUDY』 装飾を歓迎する環境←→拒否する身体

豊岡市役所の近くの路地にあるミリオン座
もともとパチンコ屋さんだったビルの1階が今や、演劇やパフォーマンスのメッカになりつつある。周囲の壁はパチンコ台の名残りが生々しい。

「餓鬼の断食」
『STUDY〜修飾を歓迎する環境←→拒否する身体』

川村智基:テキスト・演出    櫻井拓斗 :振付
池田 翔:サウンド      本多悠人 :ドラム
川口隼弥:俳優        箱崎このみ:俳優

ユニット(と呼べば良いのだろうか)「餓鬼の断食」のメンバーの一人である桜井君は今春、兵庫県立芸術文化観光専門職大学(豊岡市)を卒業した1期生。U-35のコンテンポラリー・ダンサーとしてグランプリを受賞した若手のホープ。在学中はシェアハウス「江原_101」の住民として親しい(まるで息子みたいな)。演出の川村君とのクリエーター同士の出会いでこの企画が始まった。

サウンド系の池田君、本多君は、東京芸大出身のミュージシャン。俳優の川口君と箱崎さんの演技もよく訓練された動きで緊張感あふれて素晴らしい。

8月には自宅隣のGN-houseに宿泊しながら稽古を積み、今回の本番はシェアハウス「江原_101」に宿泊しながらの本番。素晴らしい若手クリエーターとの出会いに興奮しています。これからの彼らの作品に注目していこう。

『STUDY』の観劇後は、市役所前広場のナイトマーケットへ。
市役所前の道路を通行止めにして大道芸が大人気。キッチンカーや屋台もたくさん出店。
これも演劇祭の大切な場所。

出演者、関係者、市民が交流する場として発展していくことを期待しながら楽しむ。