『カンタービレ』 中澤きみ子・著

なぜ、その音は歌のように心に響くのか。
70歳を超えてなお現役で奏で続ける著者がつづる、”異色”の音楽人生と、その響きの源 ー 迷い道も回り道も、全てが音楽になった! 若き奏者たちへのメッセージも満載の自伝的エッセイ。
(『カンタービレ』 帯より)

きみ子さんと初めてお会いてから約12年。ヴァイオリン・ドクター(製作/修復)の中澤宗幸さんにお会いしたくて、千駄ヶ谷にある工房(株)日本ヴァイオリンを訪ねたのがきっかけでした。その後、間髪を入れずに始まった「子どもたちが豊岡で世界と出会う音楽祭」(おんぷの祭典)で「アンサンブルウィーン東京」カルテットのヴァイオリニストとして、芸術監督の中澤宗幸さんの奥様として親しくお付き合いが始まりました。

きみ子さんとお話しする中で、長野県上田市の少女時代のこと、ヴァイオリンを始めた頃のこと、大学進学、宗幸さんのヴァイオリン工房(高田馬場)時代前後の出会いと結婚、ウィーンへの憧れと演奏活動のこと、など断片的ではあるけど、耳にはしていました。それがこの著書により、点が線となり、きみ子さんの音楽人生という面となって私の中に納まりました。

英才教育、音大、コンクール挑戦、コンサート活動、CD販売の(いわゆる)王道とは違い、ご自身の成長過程において、家庭環境やヴァイオリン指導者のアドバイス、ヨーロッパとの相性、様々な経験、体験を通じてヴァイオリン演奏を深めていかれました。

2015年6月の但馬コネクションでは「土と音楽」と題してお話をお聴きする
「小さい頃、お米づくりや畑をしている家のお手伝いをしてからお稽古に。弾き始めると爪の中に土が入っているのを先生に見つかってしまい、かーっと恥ずかしくなった乙女ごころ」
とのお話をされたのが今も特別な印象として記憶に残っている。

私は信条として、『人は誰もそれぞれの所与(生まれもって与えられた出発点)を持って人生が始まる。家族、出会い、経験を重ねていくのが人生。出発点を最大限に豊かなものとして満足できるかが大切』と考えています。他者と比較するものではない、と。

「迷い道も回り道もすべて音楽になった!」。
きみ子さんの音楽人生にぴったりの表現。
こんな素敵なヴァイオリニストのことをもっと知っていただきたい。
ぜひ「カンタービレ」ご一読を。お薦めです。

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