ウィーン・リング・アンサンブルを楽しむ

住友生命いずみホールでの「ウィーン・リング・アンサンブル」のニューイヤーコンサートに行く。お目当ては、チェロのシュテファン・ガルトマイヤーとの再会。

1月1日のウィーンフィル・ニューイヤー・コンサートをNHKの中継で観ていた演奏家が、1週間もしないで目の前のステージで演奏しているのにも驚きです。これまで45年間にわたって同団を率いてこられたヴァイオリンのライナー・キュッヒルさんが今回の来日で引退される。

そんな話題の中で開演を待つ。
2023年の鳥取県倉吉でのウィーン・リング・アンサンブルにも行ったことも思い出しながら。

曲目は、J.シュトラウス1世、2世、ヨーゼフ・シュトラウスのシュトラウス一家のワルツ。その他は、C.M.ツィーラーとJ.ランナーの曲が1曲ずつ。

アンコールに応えて何度もステージへ。ラストは定番の「ラデツキー行進曲」。みんなで盛り上がってコンサートは終了。

コンサートの後、シュテファンと食事を共にする約束をしていたので、楽屋出口で待機。先に出てこられたヴァイオリンのダニエル・フロシャウアーさんとツーショット。8日前のニューイヤーコンサーをTVで見ていたフロシャウアーさんなので感慨深い。

シュテファンとは、居酒屋でお互いの近況を話しながらの楽しい時間。初めて会ってから24年が経つ(ビバホール・チェロ・コンクールの時に我が家にホームステイ)のに、親しい関係は続く。

「来年のニューイヤーにはひょっとしたら」の楽しみが実現するかも、そんな期待を持ちつつ再会を約束する。

『カンタービレ』 中澤きみ子・著

なぜ、その音は歌のように心に響くのか。
70歳を超えてなお現役で奏で続ける著者がつづる、”異色”の音楽人生と、その響きの源 ー 迷い道も回り道も、全てが音楽になった! 若き奏者たちへのメッセージも満載の自伝的エッセイ。
(『カンタービレ』 帯より)

きみ子さんと初めてお会いてから約12年。ヴァイオリン・ドクター(製作/修復)の中澤宗幸さんにお会いしたくて、千駄ヶ谷にある工房(株)日本ヴァイオリンを訪ねたのがきっかけでした。その後、間髪を入れずに始まった「子どもたちが豊岡で世界と出会う音楽祭」(おんぷの祭典)で「アンサンブルウィーン東京」カルテットのヴァイオリニストとして、芸術監督の中澤宗幸さんの奥様として親しくお付き合いが始まりました。

きみ子さんとお話しする中で、長野県上田市の少女時代のこと、ヴァイオリンを始めた頃のこと、大学進学、宗幸さんのヴァイオリン工房(高田馬場)時代前後の出会いと結婚、ウィーンへの憧れと演奏活動のこと、など断片的ではあるけど、耳にはしていました。それがこの著書により、点が線となり、きみ子さんの音楽人生という面となって私の中に納まりました。

英才教育、音大、コンクール挑戦、コンサート活動、CD販売の(いわゆる)王道とは違い、ご自身の成長過程において、家庭環境やヴァイオリン指導者のアドバイス、ヨーロッパとの相性、様々な経験、体験を通じてヴァイオリン演奏を深めていかれました。

2015年6月の但馬コネクションでは「土と音楽」と題してお話をお聴きする
「小さい頃、お米づくりや畑をしている家のお手伝いをしてからお稽古に。弾き始めると爪の中に土が入っているのを先生に見つかってしまい、かーっと恥ずかしくなった乙女ごころ」
とのお話をされたのが今も特別な印象として記憶に残っている。

私は信条として、『人は誰もそれぞれの所与(生まれもって与えられた出発点)を持って人生が始まる。家族、出会い、経験を重ねていくのが人生。出発点を最大限に豊かなものとして満足できるかが大切』と考えています。他者と比較するものではない、と。

「迷い道も回り道もすべて音楽になった!」。
きみ子さんの音楽人生にぴったりの表現。
こんな素敵なヴァイオリニストのことをもっと知っていただきたい。
ぜひ「カンタービレ」ご一読を。お薦めです。

Xmas Concert 1925 〜音の窓サロンコンサートvol.4

但馬在住の演奏家たちで構成されている「但馬クラシック音楽協会 音の窓」が開く、サロンコンサート。「音の窓」メンバーとは親しい友人もいたり、実際に(妻が)習っている先生もいらっしゃったりということでクリスマス・コンサートに行きました。
第1回目のコンサート

中でも、今回の(私にとっての)目玉は、作曲家で打楽器奏者の小野史敬(ふみひろ)さん。豊岡市の地域づくり協力隊として今年東京より移住して来られる。それ以前は10年以上ドイツで音楽活動をされていました。ジョン・ケージとご自身の曲と2曲演奏を聴く。会場の天井の高い「TOYOOKA 1925」の空間で打楽器が鳴り響き、迫力のある演奏。豊岡でJ・ケージの曲を聴けるのも稀な機会でした。

フルート、サキソフォン、ピアノ、ソプラノの演奏家それぞれの演奏の後、演奏者みんなによるクリスマスソング「Love came down at Christmas」の演奏を聴き、さらに最後は「きよしこの夜」を会場みんなで斉唱してコンサートは終了。

話のテーマが変わりますが、ここにあるピアノは、近々、但馬空港ビルに運ばれる。みんなで気軽に弾けて、ミニコンサート、サロンコンサートに利用する目的でクラウドファンディングで購入したピアノ。私も少し寄付させていただきました。今度は新しい場所でもっともっと活躍してくれることを期待しよう。このような小さい規模の音楽会ができる小ホールが豊岡にあったら、いいなあ、と思いつつ聴いていました。

開館20周年記念「第9」〜兵庫県立芸術文化センター

西宮市にある「兵庫県立芸術文化センター」が開館20周年記念演奏会に行く。
プログラムは、芸文センター芸術監督の佐渡裕さん指揮、ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱付き」。

1995年阪神・淡路大震災から10年後、復興のシンボルとして開館しました。元々あった計画が、震災のために延期になり、その間に芸術監督となる佐渡裕さんの震災後に対する想いを込めて開館、そしてそれから20年の年月が流れました。

演奏終了後、ホワイエにて「感謝の集い」に出席。(約100名の招待者のみ。会社で一般賛助会員として僅かながら応援させていただいています)

兵庫県知事、文化庁、特別賛助会員、佐渡裕さん、コシノヒロコさんなどによる鏡開きで席が開く。前知事の井戸さん、CAT前副学長の藤野さん、顔見知りの県会議員さん、神戸経済同友会の数名の方など、県レベルの交流の場でないとお会いできない方たちとお話ができたのと、なんといっても佐渡裕さんと少しお話ができたのが嬉しい会となりました。

コンサートとライブの日

「コンサート」なのか「ライブ」なのか使い分けはともかくとして、今日は私の二人の「先生」の演奏を聴かせていただく日。

日高文化体育館。文字通り、旧日高町時代、1987年に完成オープンした施設。
当時、各市町村単位で隣の町に負けるなと言わんばかりに、我が町にもと文化ホール、イベントホール、スポーツ施設が建築された時代。我が日高町(現豊岡市日高町)は、ホールと体育館機能を併せ持つ施設として完成しました。ただ、音楽を楽しむ施設としては、音響、客席、床シート、ステージなど無理が生じる。今回のコンサートは、施設ピアノのベーゼンドルファーを使用するためのピアノを使ったコンサート。なんとか使用頻度を上げて、楽しもうという企画と聞いています。

神鍋高原ペンション・スノーランドでのジャズライブ。
ボーカル やびきNandeeあきこ、ギター勝地哲平、ピアノ田中愛子、トランペットは鳥取ジャズの井上拓美の演奏。

スノーランドの北村泳子さんの料理とワインをいただきながらのジャズナイト。親しくしていただいているご夫妻と同じテーブルで、リラックスした夜を過ごす。

少しでも音楽を楽しむ機会を身近なところで増えていく事をもっともっと増やしていければいいなあ、と思いながら1日を過ごしました。

クリスチャン・ツィメルマン(ピアノ・リサイタル)

チラシの言葉に反応。
「ショパン国際コンクール優勝から50年」
「音楽の美を追求する孤高の巨匠」

調べると「1956年ポーランド生まれ。1975年ショパン国際コンクールに18歳で優勝。一気に世界の舞台へ飛躍」とある。ということは現在69歳。

【会   場】 兵庫県立芸術文化センター大ホール
【プログラム】
シューベルト:4つの即興曲Op.90 , D899
ドビュッシー:アラベスク第1番
      :月の光(ベルガマスク組曲より)
休憩
プレリュード&Co〜アーティスト・セレクション

ドビュッシーのアラベスクの演奏が始まると夢心地。大ホールでのピアノ・コンサートは初めて。1台のピアノからこんな響きが聴こえてくるんだと感激。(オーケストラや室内楽のコンサートは何度も行ったことがあるのに初体験)

休憩後の「プレリュード&Co」が特に良かった。

「全曲演奏」へのこだわりは、実はレコード産業の登場から始まったものです。それ以前のピアニストたちは、まったく違うプログラムの組み方をしていました。例えば19世紀のクララ・シューマンの演奏会プログラムを見ても、彼女が”全曲演奏”を行ったことはありません。
「PROGRAM NOTES」より

私も考えてみれば、全曲演奏のアルバム(レコード、CD)を前提(当然でしょ、と言う気持ちで)として購入したり、ダウンロードしていたけれど、その「こだわり」を捨てれば、また違ったクラシック音楽の楽しみに方もできそうだ。もちろん、交響曲や室内楽などどの曲も作曲家の意図する曲であることは大前提であることには違いがない。ここは抑えておかないといけないところ。

しかし、ジャズやロックのアルバムから自分好みのプレイリストを作って聴いていることが多いので、オリジナルアルバムで聴かなくては、との葛藤もある昨今である。

Wiener Philharmoniker Week in Japan 2025

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会に行く。姫路市の友人Oさんから「ご一緒に」と薦められ、即答でチケットをお願いしました。姫路とはこれまであまり縁が無かったのですが、O氏とは、経済同友会や裏千家淡交会で時々、ご一緒する経営者同士の繋がり。

会場の「アクリエひめじ」は2回目。まずは大規模な施設に驚く。
文化芸術のホールだけでなく、展示会や各種会議(MICE:Meeting, Incentive, Convention, Exhibition)にも対応する施設ということがわかる。地域の交流・発信拠点として位置付けが感じられます。(姫路市の命運を賭けた、と言ったら言い過ぎかな?)

この日の演奏・曲目は、
指  揮 :クリスティアン・ティーレマン。
シューマン:交響曲第3番変ホ長調 Op.97「ライン」
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98

ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの弦楽器陣の澄んだ響きが素晴らしい。ティンパニーも大活躍で、奥行きと迫力のあるシューマンとブラームスを堪能しました。

演奏直前には、昨年豊岡で会ってご家族と交流したヘーデンボルグ直樹さんと再会。クッキーのプレゼントを手渡し。シュテファンは今回は参加せず(先月のオペラの演奏で来日)、参加していたセバスチャンには都合がつかず会えなかったのが心残り。ウィーンフィルのチェリスト3人と親しい関係にあるのはとても幸せだな、と改めて思う。

おめでとう!米田覚士さん〜ブザンソン国際指揮者コンクール優勝

おんぷの祭典祝祭管弦楽団(リハーサル)

「おんぷの祭典2024」(豊岡市/子どもたちが豊岡で世界と出会う音楽祭)で管弦楽団の指揮をする米田覚士さん。

フランスのブザンソン国際指揮者コンクールで優勝の朗報が飛び込んできた。
TBS NEWS DIGより

写真からもわかるように陽気な米田さんのお人柄が滲み出る。1年後に若手登竜門コンクールで優勝されて、改めてこんな有望な音楽家に出演していただいていることに(自分自身が)驚いています。

「おんぷの祭典2024」のプログラムより。
ヴァイオリンの辻彩奈さんは、18歳でモントリオール国際音楽祭で優勝。第1回おんぷの祭典に参加していただいた時には高校生でした。

メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」のリハーサル。指揮:米田覚士さん、ヴァイオリン:辻彩奈さん

2014年に始めた「おんぷの祭典」も11年が経ちました。
若い音楽家の皆さんが、どんどん世界で活躍している姿を見ると、何とも誇らしく思う。

音楽が好きで出会い、意気投合して始まった音楽祭。音楽家とのネットワークも広がる。
まさに「豊岡で世界と出会う」音楽祭として市民に愛され、豊な文化として定着していくことを願うばかり。

「KLAVIER QUARTETT」但馬コネクション#82

昨年の但馬コネクション#74「円熟の室内楽 DUO & TRIO」の演奏家たちによるセッションを今年も再び開催できることになりました。会場はドーモ・キニャーナ。

ピアニストの児嶋一江さん。25年来親しくさせていただいている。
児嶋さんの挨拶でコンサートが始まる。

ドイツの至宝と言われるチェロのクリストフ・ヘンケルさんを迎えて、東京・大阪公演に先駆けて、公開リハーサルとしてこの夜は但馬コネクションの仲間と一緒に鑑賞。

高木和弘(ヴァイオリン)     田中佑子(ヴィオラ)
クリストフ・ヘンケル(チェロ)  児嶋一江(ピアノ)

ブラームス  :ピアノ四重奏曲ハ短調 Op.60
R.シュトラウス:ピアノ四重奏曲第3番ハ短調 Op.13

特にリヒャルト・シュトラウスのピアノ四重奏曲は、シュトラウス若き日の傑作と言われている情熱的で力強く劇的な曲と演奏に、みんな圧倒される素晴らしい演奏。

演奏終了後は、恒例のお料理とワイン片手に交流会。
ヘンケルさんからは「3回やると家族になる」と早くも「次回」を連想させるような発言も。

私にとってのサプライズもありました。15年ぶりに来日したジャマイカのグレゴリーが、セッション開始直前に現れ、一緒にコンサートを聴くことに。世界陸上東京に出場のジャマイカ選手団と一緒に来日する話は知っていたが、まさかその最中に目の前に現れるとはビックリ。

グレゴリーは、かつて高校のALTとして江原に約5年間在住。その間にジャマイカの彼女と結婚し赤ちゃんも2人産まれる。結婚披露宴はドーモ・キニャーナで行う。そんな家族のような付き合い。

グレゴリーのレゲエ調の歌で、第2部の交流会も大フィーバーとなる。音楽家同士もこの場で出会い、意気投合。クラシックとレゲエが融合した夜にもなりました。

佐渡裕《戦争レクイエム》〜兵庫芸術文化センター

兵庫芸術文化センター管弦楽団第161回低演奏会。

ブリテン作曲 『戦争レクイエム op.66』

コンサート・プログラム冒頭の片桐卓也氏(音楽ライター)の解説を紹介します。「戦争レクイエム」を鑑賞するにあたって私の興味が簡潔に記してありました。

・カトリック教会で使われるラテン語の典礼文と第一次世界大戦で戦死したイギリスの若き詩人ウィルフレッド・オーウェンが書いた英語の詩が対比されるされなが使われる。
・「戦争レクイエム」のスコア(1962年)の表紙には「All a poet can do today is warn」と言う言葉が掲げれれている。
・ブリテンは20世紀最大の詩人ウィスタン・ヒュー・オーデンとも親交がある。大江健三郎の初期作品「見る前に跳べ」はオーデンの詩から採っている。その詩集には「危険への感覚は常に磨かなければならない」との一節もある。

「戦争レクイエム」は、その「タイトル」「ラテン語と英語による合唱と独唱」「6楽章90分の大作」と言うことから身構えての鑑賞でした。


副題「終戦80年。反戦と平和への思いを込めて」。
佐渡裕さんが開演15分前にステージに登場。今回のブリテン「戦争レクイエム」を演奏する意義を語る。阪神淡路大震災から30年、芸文センターの開館20年と合わせて、節目の年に戦争の終結と平和を祈る想いを込めて、と。

約100名のオーケストラと室内楽団、約160名の合唱団、3名の歌唱ソリストがステージに。
さらには、約60名の少年少女合唱団が客席側で加わる。
大迫力の演奏。終演後のステージに拍手が鳴り止まない。

コンサート終了後、サイン会があるので行列に並ぶ。瞬間ではあるけど佐渡さんにご挨拶。我が家でBBQしたり、翌日は神鍋高原でゴルフをしたりしたのが11年前。どうぞ、また但馬へお越しくださいとお伝えしながら、サインをいただく。