安らかに ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)

ジャズ・サックス奏者のWayne Shorterが3月2日に亡くなる、89歳。

亡くなったのが89歳と知ってえっ!と驚いた。大好きなMiles DavisやWeather Reportの音楽を聴き続けている私にとって、ウェイン・ショーターはいつも現役のサックス・プレイヤーとして存在していた。

ウェイン・ショーターの演奏は、ソニー・ロリンズのような奔放豪快な演奏でもなく、ジョン・コルトレーンのようなスピリチュアルでフリーでもなく、どう表現すればいいのだろう?情熱的だが、内向的でどこか翳りがあるような(これがまたグッとくるのですが)演奏、そして彼が作曲した曲からも感じる。クールなサックス奏者であり、作曲家だったと印象です。

Weather Report 8:30

あえてウェイン・ショーターのこの一曲をあげるとしたら、ウェザーリポート時代の

” A Remark You Made”(Live in Germany 1978)(音声)

実際に1978年東京公演(中野サンプラザ)のライブで聴いた時から、永遠の心に残る演奏。

改めて、何百回、何千回といっぱいウェイン・ショーターの演奏を聴いてきたんだな、と気づく。

安らかにウェイン!

「映像の世紀」『パリは燃えているか』〜 加古 隆

QUARTETIII 組曲「映像の世紀」 加古 隆(音声)

加古 隆 : piano
相川麻里子 : violin
南かおり :viola
植木昭雄 :cello

1 パリは燃えているか~オープニング
2 神のパッサカリア
3 シネマトグラフ
4 パリは燃えているか~間奏曲
5 時の刻印
6 マネーは踊る
7 愛と憎しみの果てに
8 黒い霧
9 パリは燃えているか~ピアノ・ソロ
10 ザ・サード・ワールド
11 睡蓮のアトリエ
12 パリは燃えているか~エンディング
13 花は始めも終りもよろし
14 アヴェ・マリア~聖なるもの、母なるもの~

Recorded on Apr.26-28 , 2017

『パリは燃えているか』
「映像の世紀」のテーマ曲であり、加古さんの代表曲。

1944年8月、敗色濃厚となったナチス・ヒットラーが、占領地パリを燃やし尽くせと最後の抵抗をパリ防衛司令官に命じたが司令官は応じなかった。2日後、ヒットラーはベルリンで “Brennt Paris ? “(パリは燃えているか?)と叫び、問いかけた。

このエピソードだけで、20世紀悲惨な戦争の世紀を呼び起こす。

加古さんは、自身が音楽を学び、文明・文化の象徴としてのパリ、それを燃やし尽くせという戦争という罪と愚かさを、この「パリは燃えているか」で表現している。

今、ピアノでこの「パリは燃えているか」に挑戦。なんとかこの曲を想いを込めて弾けるようになろうと奮闘中。

2013年10月27日 サントリーホール

実は、加古隆さんとは、いろいろとご縁がある。

学生時代にジャズと出会いよくライブにも行ってた頃、新宿ピットインでパリ音楽院の留学から帰国したての加古さんのライブをたまたま聴いていた。その約10年後に、豊岡市(当時日高町)へピアノを寄付させていただいたのがご縁で加古隆さんのコンサートをそのホールで企画。またその数年後に自宅でも加古さんのピアノコンサートを企画。親しくしていただく。

サントリーホールでのコンサート後、楽屋前の廊下でのショット。
(超・プライベートな写真なので小さめに)

“Your Mother should Know” Brad Mehldau plays The Beatles

“Your Mother should Know” Brad Mehldau plays The Beatles(音声)

Brad Mehldau : piano

1. I Am The Walrus
2.Your Mother Should Know
3.I Saw Her Standing There
4.For No One
5.Baby’s In Black
6.She Said, She Said
7.Here, There And Everywhere
8.If I Needed Someone
9.Maxwell’s Silver Hammer
10.Golden Slumbers
11.Life On Mars?

Recorded on Sep.19-20, 2020

ブラッド・メルドーのソロピアノ。
パリでのライブ録音。

それにしても渋い(マニアックな)選曲ですね。ビートルズ大好きなのでどの曲も知っているが、どちらかというとマイナーな曲。それをこれまた渋い演奏のメルドーが演奏する。

アンニュイで静かに流れる演奏は、求めている気分で好き嫌いが別れるところ。メルドーの演奏はさすがですが、返って、ビートルズの曲って、誰がどのように演奏しても「さすがビートルズ、いいなあ」と感心してしまう。

メルドー自身が言っているように、「ビートルズには誰もが引き込まれる普遍性がある。彼らの音楽は文化や世代を超え、常に新しいリスナーを獲得し続けている。」と。

11年前に初めてブラッド・メルドーのコンサートに行った時にも、好きな演奏とそうでない演奏があるとブログに書いたが、さてこのアルバムは。
さて、あなたはどうでしょうか?

Brian Blade “Body & Shadow”

Brian Blade “Body & Shadow”

Brian Blade  :ds
Jon Cowherd  :p, harmonium, mellotron)
Chris Thomas :b
Melvin Butler  :ts
Myron Walden  :as, b-cl
Dave Devine  :g

  1. 1. Within Everything
    2. Body and Shadow (Noon)
    3. Traveling Mercies
    4. Have Thine Own Way, Lord – Solo
    5. Have Thine Own Way, Lord – Band
    6. Body and Shadow (Morning)
    7. Duality
    8. Body and Shadow (Night)
    9. Broken Leg Days
  2. Released in 2017

不思議な気分になる音楽。
それがまた良い。

ブライアン・ブレイドと言うドラマーを特別意識していなかったのは迂闊だった。ブラッド・メルドー、ジョシュア・レッドマン、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、チック・コリア、ロックではボブ・ディラン、ジョニ・ミッチェルのアルバムで聴いているブライアン・ブレイドのドラム。それだけ違和感なく、しかも曲の構成を(地味ではあるが)的確なリズムで支えているからなのだろうか、華やかさはないけど、聴けば聴くほどに、味がある。

ブライアン・ブレイドのリーダーアルバムとしては初めて聴く” Body & Shadow”(音声)。カントリー、ゴスペルを思わせる曲、コンセプチャルなアルバムとなっている。思わずチャーリー・ヘイデンの アルバム “Liberation Music Orchestra”(音声)(1969年) の演奏が浮かぶ。時代は違うが、どこか現代社会を映し出すような、全く異なったセンスで迫ってくる。

ブライアン・ブレイドにしばらく注目していこう。

Bill Evans “NEW CONVERSATIONS”

Bill Evans “NEW CONVERSATIONS”

Bill Evans : piano & electric piano

1 Song For Helen
2 Nobody Else But Me
3 Maxine
4 For Nenette
5 I Love My Wife
6 Remembering The Rain
7 After You
8 Reflections In D

Recorded in 1978

ビル・エバンスの多重録音ソロアルバム第3弾。第1弾 “Conversations with Myself”(1963年)、第2弾 “Further Conversations with Myself”(1967年)に続く。
邦題は「未知との対話ー独白・対話・そして鼎談」。
原題に対してちょっとしつこいですね。

このアルバムで使っているエレクトリックピアノはFender Rhodes。エレピの音というと私はすぐにこのエバンスのこの演奏のエレピを思い出す。もちろん、演奏が良いからなのだが。

  1. Song for Helen は、ビルの妻に捧げた曲なんでしょうか。出だし一発でエバンスです。5. I Love My Wife 、6.Remembering the Rain のビル・エバンスにしか醸し出せない音世界です。

Freddie Hubbard “Riding The Trane”

Freddie Hubbard “Riding The Trane”

Freddie Hubbard – Trumpet
Junior Cook – Tenor Saxophone
George Cables – Electric Piano
Aurell Ray – Guitar
Kent Brinkley – Bass
Ron Carter – Bass
Ralph Penland – Drums
Juno Lewis – Percussion

  1. 1. Uncle Albert / Admiral Halsey (Live)
  2. 2. Spirit Of Trane (Live)
  3. 3. Here’s That Rainy Day (Live)
  4. 4.Skydive (Live)
  5. Recorded in 1973

車に乗っている時は、必ずiPhoneに入れた音楽を聴く。(遠出であろうと近場であろうとどんな時も必ず!)

♪タリラ〜、♫タリタリタリラー♫〜♫〜〜
ダウンロードして初めて何気なく聴き始めて、「面白い曲だな」途中で「なんか聴いたようなメロディだな」なんて思いながら、その時は気が付かなかったけど、再度聴いてなんと、これPaul McCartny & Wingsの “Uncle Albert / Admiral Halsey” (音声)ではないか!こう来たか!と意表をつかれた。イカしたアレンジとアドリブなのだ。ぜひ、聴いてみてほしい。

録音は1973年だけど、リリースされたの昨年2022年10月。これまでは、聴き込んだアルバムを私の感想を交えてブログにはアップするようにしてきたが、今回は「あれ?いいね」と聴いてすぐにアップ。

トランペットのフレディ・ハバードは、ハードバップあり、ヒュージョンあり、その演奏はなかなか迫力あり上手い。ただ、マイルス・デイビスという巨人の影に隠れてしまった感はある。CTIレコードに残した” RED CLAY” はフレディのアルバムの中で好きな演奏の一つ。

今回のアルバムの 2.Spirit Of Trane のテナー・サックスのジュニア・クックの燃える演奏、ジョージ・ケーブルのクールなエレクトリック・ピアノもなかなか良い。

なんか新年早々、気に入った演奏(アルバム)に出会えて気分よくミュージック・ライフがスタートだ。

Nandee & Himiko at Tajima Airport

但馬空港ロビーで「クリスマス・ジャズコンサート」。
昨年に引き続き2回目なのに、このロビーでジャズが聴ける!っていう楽しみが定着してきている感じが嬉しい。

やびきあきこ(Nandee)vocal.、菊池ひみこpiano、白石宜政bass。

出だし、”A Days of Wine and Roses”(酒バラ)の菊池ひみこさんのピアノ。いきなりノックアウトされる。アドリブのグルーブは半端じゃない。目の前で響いてくる生々しいジャズピアノ。

多彩なキャリアを積んで鳥取に移住した菊池ひみこさんが中心の「鳥取ジャズフェスティバル」のことは、Nandeeさんから度々聞いている。ぜひ、行ってみたいと思っている。これまでの秋開催から来年は春に開催します、とひみこさん。行かなくては。

Nandeeさんも今日はノリノリ。John Lennonの”Imagine” 最高!

“Double Quartet / DQ✴︎The Live!”〜菊池ひみこ

“Double Quartet / DQ✴︎The Live!” 菊池ひみこ

菊池ひみこ : piano, keyboard
松本正嗣   : guitar
斎藤 誠   : bass
市原 康  : drums
篠崎正嗣  : violin
田尻 順    : violin
増田 直子   : viola
柏木 広樹   : violin cello

01. Make Up In The Morning
02. Bud Powell
03. In A Sentimental Mood
04. Spanish Medley [Danzas Espa?olas #5 “Andaluza”/My Spanish Heart/Armando’S Rhumba
05. A Night In Tunisia
06. Butterfly
07. Got A Match ?

Recorded in Sep. 2005

鳥取市在住の菊池ひみこさん。まだ、実際にライブなどで生で聴いたり、お会いしたりしたことはないけど、そのピアニスト、作曲・編曲家としての凄いキャリアは見聞きしていました。特に、最近はボーカルの師匠Nさんから近況を度々聞いている。今週末に豊岡で生で聴けるので、その予習も兼ねて聴いている。コウノトリ但馬空港「クリスマスJAZZコンサート」

“Double Quartet”のタイトル通り、ジャズ・カルテット(ピアノトリオ+ギター)と弦楽カルテット(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)の二つのカルテットの共演。

菊池さん作曲の01.Made up in the Morning、チック・コリアの02.Bud Powell, 04.My Spanish Heart、08.Got a Mach、ハービー・ハンコックの06.Butterflyなど、多彩な選曲で、尚且つ菊池ひみこさん風に編曲したどれも味のある演奏ばかり。

特に06.Butterflyは、ハンコックのアルバム”Thrust”の中のお気に入り。ひみこさんのキーボードでの演奏にも惹き込まれる。

本番はなかなか〜ジャズピアノ

勇気を出してアップ!!

全く初めてから習い始めて、今年で4回目のピアノ発表会。
1年目、”Cool Struttin'” (Sonny Clark)
2年目、”Autumn Leaves”(Joseph Kosma)
3年目、”When You Wish Upon a Star”(Leigh Harline)〜弾き語り
4年目、“Sunday Song”  (Richie Beirach)

学生時代からジャズ好きの私は、いつかピアノでジャズを弾いてみたいとの思いを持っていた。ブルース、スタンダード、弾き語り(ボーカル)、そして好きなピアニストの曲、と欲張りな選曲。運指もままならいので、気持ちで持っていくしかない。

直前リハでは「気持ち」の入った演奏ができたのだが、メロメロの本番。(>_<)来年に向けて再挑戦だ。上手くいってもいかなくても、ジャズを聴いたり、弾いたり、歌ったり、楽しまなくっちゃあの精神で。

妻もクラシック曲で奮闘してます。

Charlie Haden / Gonzalo Rubalcaba “TOKYO ADAJIO”

Charlie Haden / Gonzalo Rubalcaba “TOKYO ADAJIO”

Gonzalo Rubalcaba : p
Charlie Haden : b

1 En la Orilla Del Mundo
2 My Love and I
3 When Will the Blues Leave
4 Sandino
5 Solamente Una Vez (You Belong to My Heart)
6 Transparence

Recorded at Blue Note Tokyo, between 16 and 19, 2005

「完璧な」「至極の」「美しい」とこんな言葉で語りたくなるアルバムだ。
(私のブログでこんな表現するのは初めて)。

最近、チャーリー・ヘイデンのデュオ・アルバムを集中して聴いている。ジム・ホール(g)、パット・メセニー(g)、ハンク・ジョーンズ(p)、ハンプトン・ホーズ(P)、ブラッド・メルドー(p)など、ギター、ピアノの名手たちとデュオを展開している。どれも、素晴らしい(好きな)アルバム。チャーリーはマイ・フェイバリット・ベーシストなのだ。

ゴンザロ・ルバルカバは、キューバ出身のピアニスト。テンポの速いリズミカルな演奏を思い出すが、ここでは、徹底したバラード演奏。静かにチャーリーのベースと絡み合いながら二人の演奏はつづく。

「どの曲が特に」というよりも、6曲すべてがブルーノート東京でのライブとは信じられないほどの静寂の中で演奏されている。会場の張り詰めた雰囲気が浮かんでくる。ああ、こんなライブに浸りたいものです。

必聴。