今日から12月

3階のベランダから南を望む。
進美寺へつづく裏山の木々も色づき、葉を落とし始めた静かな朝。
比較的穏やかな暖かい日が続いてきた。
庭のモミジもあと少し紅い葉を残すだけ。

西を向くと妙見山から神鍋へ山の稜線が続く。
初雪も間近。

左官の久住章さん〜「シュトックマルモ技法」って?

大理石のテーブル?

手で触ってみても大理石そのものなのだが、実は「シュトックマルモ」(擬似大理石)という左官の技法で塗って仕上げたもの。

製作した左官の久住章さんから、直接「シュトックマルモ技法」について解説を聞く。

もともとヨーロッパで始まった左官の技法。イタリアでは、本物の大理石が手に入るのであまり発達しなかったが、ドイツ、フランスで大理石調の仕上げとして発達した。

1990年代初頭、南紀白浜に建設された「川久ホテル」のロビーの巨大な円柱にこの技法が使われている。左官の久住章さんがドイツで習得し、約1年間かけて日本の左官職人に伝授し、24本の巨大な円柱を仕上げた。その製作方法まで解説していただく。

大理石を大きな面積に使うと必ず繋ぎ目が出るが、左官でやると大きな面でもシームレスに完成する。こんな凄い技法をいとも簡単に習得し実現してしまう久住章さんは、「日本一の左官職人」、いや「世界の天才左官職人」と呼ぶのに異論はないですね。

感謝感激〜左官の久住章さん再訪

今月初めの訪問から再び、左官の久住章さんのご自宅を訪ねる。用件は後ほど書くとして、木々の中に建つ久住邸の美しい土壁とその佇まいには、訪れる度に、惚れ惚れする。

広〜い庭。庭というより森と言った方が良さそうだ。落葉広葉樹の木々は葉を落とし、地面は落ち葉の絨毯。

庭(森)の中に、ご自宅、左官道具の詰まった作業場、倉庫などが点在する。すべて美しい曲面でデザイン設計された土壁。

さて今回の用件は、お風呂の相談。

現在、自宅の改築プロジェクトが進行中。浴室の設備に大きな変更が生じ、プランそのものを見直ししなければならなくなった。技術的に、建物の構造的に、可能かどうか、重大な決断が必要になる。そこで咄嗟に「ここは久住さんに訊ねてみよう」と思い連絡し、この度の訪問となった。恐れ多くも「日本一の左官屋久住さん」に即答快諾を得て、これ以上ない感謝感激です。

プランは土、モルタル、タイルを使用するので、空間、総重量、防水、作業そのものの手順、など相談は根本的なものばかり。

改築の設計を依頼している建築家(ガラージュ)、実際に作業していただく地元の左官職人、水道配管屋さんにも帯同してもらう。関係者最強のメンバーで久住さんのアドバイスを受けることができて最良の一日となる。

『大アジア史』 宇山卓栄・著

文明は民族も思考と行動の累積であり、民族の持つ世界観を表します。日本や中国、朝鮮半島などの東アジアはもちろんのこと、東南アジアやインド、中東や中央アジア、トルコに至るまで、アジア民族の足跡を幅広く辿ります。
同じアジア民族でも何が異なり、何が同じなのか。アジア各民族の思考パターンや習性とは。こうした問題意識とともに、アジア人やアジア文明を、つまり「我々とは何か」を、読者の皆様と考えていきます。
『民族と文明で読み解く 大アジア史』 宇山卓栄・著

本書の「はじめに」にもあるが、教科書で習ってきた歴史だけでは、現在のアジアの情勢、ひいては世界情勢は理解できない。それぞれの民族のルーツとその歩んだ歴史を知ることによって初めて「現代」が読み解ける。

本流だけの歴史知識ではなく、ちょっと違った視点で民族や国の歴史を知ると、歴史の「なぜ?」が見えてくることもある。

例えば、中国の主要統一王朝「秦→漢→晋→隋→唐→宗→元→明→清」9つ続くが、漢民族が作った王朝は秦、漢、晋、明の4つ。これを知ると、北方遊牧民、南方農耕民族などの興亡という中国の歴史が見えてくる。

水洗いできないウール製製品からウォッシャブルな綿製品へ移行により、ヨーロッパの病原菌との戦いが改善された。18世紀以降、綿の需要が高まり、量産する必要性から紡績機・織機の機械化、アメリカ南部のプランテーションなどにより、イギリスの産業革命、アメリカの奴隷制などに繋がっていく。

7世紀、中国は日本を「倭」と記述しているが、「倭」は「付き従う者」という意味。日本ではこれを嫌い「和」を使うようになり、さらに「大」をつけて「大和(やまと)」とした。

それぞれ諸説あるので、鵜呑みにはできないが、様々な視点、思想、研究を知ることで、歴史の幅が広がり、民族問題、国際問題など「現代」を読み解く大いなるヒントになる。

内藤絹子展 at あさご芸術の森美術館

もしかしたら白い和紙が私にとっては畑の土に近いものになるかも知れません。言葉を線や形として和紙の上に描くのは、耕し、種を蒔く事に共通していて、結果的には作品になるのです。私の日常生活と作品制作は密接に関係し、切り離す事が出来ない気がします。
『紙の畑 内藤絹子展』 挨拶文より

秋晴れの陽光に誘われて朝来市の美術館にいく。版画家内藤絹子さんの個展を鑑賞。展示室入り口にある「ごあいあつ」(上記引用)にあるように、朝来市に移住して26年目の内藤さんは、四季を楽しみ、野菜を育て、静かに深く、環境に対して謙虚に、作品を制作されている印象を私は持っている。

内藤さんは「文字を描く」作家。
「書く」ではなくて「描く」。

内藤さんが挨拶文で述べていらっしゃるように、漢字「描」は、手偏(てへん)に「苗」。手で耕し、種をまき、苗を植え、そして収穫する。まさに、内藤さんの日常生活と作品制作が合体する心境ですね。
妻もとても気に入り、小さな作品を一つ購入。

久しぶりの「あさご芸術の森美術館」。朝来市にある多々良木ダムの真下にある。美術館の前では、『「最後の午餐」に集合した一同』(藤原吉志子・作)の動物たちが待っててくれる。

夕暮れにボール蹴る

私も通った日高小学校の校庭。
ボールを蹴る子どもたち。

あっという間に夕暮れがやってくる。
そう言えば今世界中がサッカーで熱狂している。

日本海沿岸地域経済同友会サミット in 鳥取

日本海沿岸地域経済同友会の代表幹事サミットに出席。

日本海沿岸とは、北海道から沖縄までの日本海に面した13の道府県の経済同友会が集まって日本海沿岸地域の経済・文化交流を目的とする。もちろん、兵庫県もこの但馬で日本海に接する。(団体名は神戸経済同友会なんですけど)

平井鳥取県知事より歓迎の挨拶。
鳥取県の人口は日本で一番少ない(55万人)が、歴史的には弥生時代の大陸・朝鮮半島との交流や弥生人の人骨多数、脳も発見される時代文化があり、鳥取藩(江戸時代)は32万石(全国13位)の石高を誇った。日本海沿岸の海運(アクセス)を復活させなければならない、などお話。

基調講演は、谷口博昭氏(現・建設業技術者センター理事長)の「日本海国土軸の今とこれから」。

・国家の長期的意思決定には、ビッグピクチャー(全体俯瞰図)が重要。
・地方創生は、ITに流されず、農林水産業、観光業、建設業、医療福祉の充実が肝要。
・全総計(全国綜合開発計画)は、FORCAST(経済成長率、投資額、新規事業に縛られ制約が多い(夢なし))から、BACKCAST(信頼得られる程度の未来像、俯瞰図を描き、これまでの延長上ではなく、パラダイムシフトを起こす(夢あり)に変換すべき。

特別講演は、鳥取選挙区選出の石破茂衆議院議員の「これからの日本海沿岸地域の活性化」。

・日本の最大の問題は、人口減少。現在1年に60万人減少。(毎年、鳥取県が無くなっていく規模)。80年後は日本の人口は5200万人(半減)。資本主義は人口増でないと発展しない。
・2番目の問題は金利。ゼロ金利では、お金の価値が0なのだから、市場メカニズムが働かない。必要なところにお金が回っていかない。
・3番目の問題は、「贅沢願望」がないこと。『恋愛と贅沢と資本主義』(ヴェルナー・ゾンバルト・著)の例(ルイ14世時代の宮殿の贅の限りを尽くしやがて庶民にも広がる)を説明しながら、消費が拡大、資本主義が発展していった。現在は逆。

サミット会議後は、ホテルニューオータニ鳥取に移動し、懇親会。各テーブルには、他府県の同友会メンバーが混じり情報交換。私は富山県、石川県、新潟県、鳥取県の方と同席。ここ数年、富山県(利賀村の演劇祭に通い)、新潟県(ブナ林の再生、スノーピーク、燕三条)、石川県(金沢の茶会など)に通っているので、話題がたくさんあり。漆塗りハンガー(石川県輪島)、ハンガーのブナ材(新潟ブナ林)、などハンガーの話題で盛り上がりました。

赤い絨毯

今秋はここまでいつもの年より暖かい日が続いているが、今朝の雨で一気にモミジが舞い落ちる。

毎年のことだが、この「赤の絨毯」見るところから、年末を感じる。
今年もあと1ヶ月余りだ。

秋の円山川(その2)

自宅裏の江原堤防ウォーキングコースの途中。
円山川の流れの真正面にはだかる岸壁。
ここで円山川は右に90度折れて流れる。
自然が作った川の景観だ。

もっと近づいてみると、この通り。不完全ではあるが柱状節理の玄武岩。豊岡市は玄武洞で有名ですが、同じ豊岡市日高町にもこんな岩石があります。2014年の台風23号の大水害後完成した堤防ができるまでは、この光景(岩石)は川からでないと見ることができない場所であった。(私はカヌーで何度もここを下っているので、友人と知る人ぞ知る「穴場」として観察していました)。この岩壁は、2万〜2万5千年前に神鍋火山が噴火を繰り返した頃に、流れ出た溶岩がここで固まってできた。

円山川の流れは、ここで右に90度折れ、右の右岸の山裾に当たって左に約120度向きを変え、再び、江原河畔劇場下の岩壁(ここも神鍋溶岩が固まった玄武岩)に当たって右に折れる。地球活動が創り出した美しい蛇行を眺め楽しめる円山川の魅力の一つです。