「島」を公演のテーマとおきました。
地形としての「島」に加えて、それぞれ固有の文化や歴史を抱え、姿かたちを表す<人の身体>も「島」と捉えられるのではないか・・・そんなことも考えました。優劣ではなく、ただ存在するものとして。
(内田結花、森田かずよ 作品コメント)より
豊岡演劇祭フェスティバルプロデュースによる公演。
『島ゞノ舞ゝゝ』 ダンスカンパニーMi-Mi-Bi
豊岡市民プラザホールに舞台を作りコの字に囲むように客席がセットされている。至ってシンプルな舞台に登場するのは、それぞれの身体に特徴を持ったダンサーたち。
車椅子に乗り唄い語る、舞台にうずくまり回転しながら舞う、それぞれ不思議な衣装(南国の島?)を纏い踊る。打楽器、シンセサイザー、自然の音を融合させた音楽が素晴らしい。
まさに「固有の文化」(身体、精神、思考)と「歴史」(日常、人生)を持った「島ゞ」が目の前に出現する。初めて体験する舞台空間でした。
アフタートークのファシリテーターは、先日の但馬コネクションのゲストに招いた松岡大貴さん(豊岡演劇祭プロデューサー)。松岡さんはこの作品を作り上げる創作と稽古の現場に足を運び、公演終了を見届けた今、感激し安堵したとの心境を語る。(これぞ演劇祭のプロデューサー)
森田かずよさんは、身体表現の可能性を追求し演劇・ダンスの領域を超え国内外の多数の公演に出演されている。東京パラリンピック開会式ソロダンサーを務める。現在、大阪大学人文学研究科で博士課程在籍中。
内田結花さんは、ダンサー・振付家。Mi-Mi-Biの立ち上げから関わり、メンバーの世話をしたり、自らもダンサーとして出演。
「上演環境や状況に振り付けられる身体をテーマに、屋内外のあらゆる場所で字作品を発表」(「プロフィール」より)
筒井潤さんは、演出家、劇作家。この作品ではドラマトゥルクを務める。作品づくりの現場に立ち会いサポートし助言する今回の作品の感想を述べられる。筒井氏の感想としての「暗黙の了解」のお話が腑に落ちる。
「島」に暮らす人たちの間にある「暗黙の了解」(意思表示せずとも分かり合える)は、「島」に起きる様々な困難を乗り越えるための知恵と感情の織物。「島」の人の振る舞いや「島」の佇まいを形作っている。現代は情報や経済が簡単に「島」に流入し、暗黙の了解は薄れてきているが、「島」を大切にする想いは受け継がれている。(筒井潤 作品コメント)より
「島」は孤立したイメージもあるが、他の「島」との交流もある。
「島」は、つまり「私」なんだと。
来て、観て、感じて、考えて。良き体験でした。