『浸色』 〜音楽が浸み身体に色と言葉〜
構成・演出・振付・出演 / 笠井瑞丈 上村なおか
音楽協力・音響 / 角田寛生
ドラマトゥルク・映像 / 中瀬俊介笠井と上村が過去に上演したそれぞれのソロがデュオと緩やかに繋がりながら『浸色』という作品になりました。『浸色』は造語で、1人の領域ともう1人の領域が互いに独立したり溶け合ったりすることが身体において可能であるかどうかの試みのプロジェクトでもあります。
(フライヤー)より
豊岡演劇祭2024でどうしても行きたい公演の一つでした。
笠井瑞丈さんの父で舞踏家の笠井叡(かさいあきら)さんは、私の学生時代によく足を運んだ演劇・舞踏などの中でも鈴木忠志(早稲田小劇場)と共に大ファンでした。ご自宅にあるアトリエ「天使館」で観た、ピンクフロイドの「原子心母」のレコードを自らかけながらの笠井叡さんの舞踏も忘れられない。
笠井瑞丈・上村なおかさんの『浸色』は今回の演劇祭でも最も気に入った公演です。三島由紀夫の著述の一節をコラージュしながら語りながら舞う笠井さん。それに呼応しながら舞う上村さん。音楽・音響の角田さん、映像の中瀬さんも素晴らしく、全てがハイレベルで溶け合っている。
文芸館の壁にペイントされている
Being alive and dying were not positive and negative poles.
I had the feeling that there was not that much difference between them.
は、志賀直哉の「城崎にて」の英訳文章。
まるで『浸色』のテーマ(三島由紀夫の文節も含む)を書いたようにも見える会場とのマッチングも抜群でした。