『ジャズピアノ(上)』 マイク・モラスキー・著

実際にほとんどの受講生はジャズをBGM以外に聴いたことのない初心者である。彼らにジャズの歴史を学んでもらいたいことはもちろんだが、何よりジャズ音楽の幅広さと奥深さを感じとってほしい。ただし、そのためには受講生の「ジャズを聴く耳」が肥えてくるように指導する必要がある。だから毎回の講義では数々の録音を聴かせながら、演奏の中で注目してほしい部分をリアルタイムで指摘し、たまには教室においてあるピアノを弾いて説明を加えることもある。大学の講義とは言え、以外にジャズの生演奏に通じる「ライブ感」が醸し出される側面があるわけだ。
(一部略)
要するに、本書はピアニストに重点をおく異色のジャズ史であり、ジャズの「鑑賞本」でもあるわけだ。
『ジャズピアノ(上)』 マイク・モラスキー・著 (序章より)

確かに、この分厚い(364ページある)本、しかもタイトルは至ってシンプルな『ジャズピアノ』。ジャズでピアノで、と何について書いてあるかは理解するが、一体、どのように書いてあるのか想像できない。(ちなみに下巻は426ページ)

と言うことで、冒頭の「序章」を引用しました。

著者はセントルイス出身のジャズファンであり研究者、自身もピアニストという経歴の持ち主。アメリカ各地のジャズ事情、日本にも30年以上滞在し、1970年代のジャズ喫茶にも魅了され、とあるので徐々に著者の素性を知るに連れ、本書の正体が浮かんできました。

上巻では、ラグタイムやビバップ以前のジャズマンにスポットを当てる。アール・ハインズ、テディ・ウィルソン。デューク・エリントン楽団とカウント・ベイシー楽団の比較など。

本書では、代表的アルバム、曲がたくさん紹介されている。しかも、曲の何秒あたりか(例:0:40-1:20、1:35-1:39 などのように)が示してあるので、YouTubeで同じ演奏を検索してその箇所を聴くことができる。

特にアート・テイタムをあまり聴いたことがなかった私にとってはそのピアノスタイルには驚きそのもの。

以下、ナット・キング・コール、セロニアス・モンク、バド・パウエル、アル・ヘイグ、ドド・マルマロサ、ジョン・ルイス、デイブ・ブルーベックへと続く。

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