冬の枝

しーんと、静かに佇む雪間の円山川。

すっかり葉を落としたケヤキ。

青空を背景に、密集する細かい枝。
身体を張り巡る神経細胞のようにも見えてくる。


6年8ヶ月の通院〜台湾で遭遇した交通事故

公立豊岡病院を卒業する。

2016年3月11日、台北(台湾)で九死に一生を得る大事故に遭う。日課の早朝のウォーキング中、横断歩道を青信号で渡っている時に、左折してきた自動車にはねられる。救急車で運ばれ、3日間集中治療室(ICU)に入り、そのまま台北の病院に入院。3週間後に医師の判断で飛行機に乗る許可を得て帰国。そのまま、豊岡病院へ。

頭部内出血と左頬の骨折の診断。即、手術。(それまでほとんど病院にはお世話にならずに人生を送ってきた私にとって、初めての手術と入院)その後、1年間は頭痛と闘いながら自宅と豊岡病院の往復の日々。2年目からは、体力を回復させるために少しずつウォーキングを再開(時間は、早朝ではなく夕方に変更。コースも車の通らない堤防の道、植村直己冒険館公園の周回コースなど)。豊岡病院には、頭部のMRI検査(半年に1回、2021年9月まで)、そして左頬骨折の手術のために切開した左目下瞼(まぶた)の回復が遅々として進まないので、検査と簡単な処置を兼ねて毎月通院。やっとほぼ完治した(気にならなくなった)ので、本日をもって通院完了となる。無事、卒業しました。

入院していたのは病室は最上階の病室(最上階の画像右端の部屋)。窓のすぐ下にはドクターヘリの発着場所が見渡せ、豊岡市街地が一望できる部屋。苦しい体験だったが、今、こうしてみると懐かしい気持ちも湧いてくる。

一方的な相手の過失で被った事故だが、相手を恨むとか、自分の行動に後悔するという気持ちはなく、どこか冷静に起きている(しまった)ことを受け止めている自分がいることに気づき、不思議な感覚を味わったのを思い出す。

普段の話したり聞いたりする会話や音楽を聴いたりすることに支障はないが、左の聴力が下がった(左頭部の打撲のため)ことを除き、事故の後遺症はないのは幸い。

返って、生活のペースを見直し、健康について考え、これまでを振り返り、これからを考える人生の良き節目となったと感じながら、通院を終える。

改めて、こうして生きていることに感謝です。

これまでにアップした関連のブログ記事
『人生で起こることすべて良きこと』 田坂広志・著
3年前の交通事故現場〜台北市内
台湾へ〜喜びの再会

一夜明けると雪景色

ホームコンサートを終え、夜を徹しての会話に時間を忘れ、朝目覚めるとこの雪景色。
いよいよ本格的な冬の到来だ。

午後2時。
空は晴れ。
裏山の落葉広葉樹の雪の枝が美しい。
静かに流れる円山川。

世に連れ、歌に連れ、ホームコンサート

今年で3回目を迎えたホームコンサート。

ホームコンサートと言っても、演奏家を迎えて自宅で行なうコンサートもあるが、これは親しい友人が集まって、何か最低1曲は歌う、演奏する、踊るなどの特技(稽古始めたてでもOK)を持ち寄って行なう演奏会。要は「素人演芸会」なのです。

出場参加資格は「あまり上手すぎないこと」(笑)「ヒトの演奏にはリスペクトすること」そしてなんと言っても一番大切なのは「音楽が好きなこと」。

私の今年の曲は ”Sunday Song” (Richie Beirach)。ジャズのスイングと言うよりもECM系の静かなピアノ曲で美しいメロディとコード進行を繰り返す。学生時代からよく聴いていた大好きな曲。ボーカルでは、Beatlesの” In My Life”をジャズバラード風で。勢い余ってピアノ弾き語りで中島みゆきの「糸」をap bank風に。

レッスンしてくださったピアノMさん、ボーカルNさんに今年1年間の感謝を込めて。

恥も外聞捨て、楽しく披露するパフォーマンス。これが良い。
自分の出番も大事だが、1年を振り返りながらの会話も楽しい。
楽しいことも、悲しいことも、振り返りながらの演奏。

結局、一人、3曲、4曲。
Clasicあり、Jazzあり、J-Popあり、Rockあり、Folkあり、懐かしのStandard Songあり。
コロナで自宅待機中であったり、自粛のメンバーがあり、ちょっぴり寂しかったけど、次回に向けて「ピアノやるぞ」「バンドやろうよ」「来年の曲は?」とみんなやる気満々。

熱唱、熱演する画像もいっぱいあるのだけど、あまりにもプライバシー丸出しなのでアップする画像に一苦労。今年の締めくくりと来年に向けての楽しいホームコンサートとなりました。

『運動脳』 アンデシュ・ハンセン・著

運動をすれば気分が爽快になることは、わざわざ研究が証明しなくても知らぬ者はいない。だが、運動が認知能力(たとえば創造性、ストレスに対する抵抗力、集中力、知能など)に具体的にどのようにして絶大な影響を与え、またなぜ私たちに欠かせないのかといった理由については、あまり知られていない。事実、これに気づいている人は、ほとんどいないと言っていい。
『運動脳』 アンデシュ・ハンセン・著
(「おわりに〜ただちに本を閉じよう」より p359 )

2021年のベストセラーとなった『スマホ脳』の著者の第2弾。「運動」つまり「身体を動かすこと」が最高の処方箋だという事例が次から次へと紹介。神経科学の研究成果を裏付けとし(裏付けないものは「ない」と表明しつつ)、展開されている。

・脳の働きの研究結果より→脳は私たちの一部ではなく、脳が私たち自身なのだ
・身体を動かすことほど、脳に影響を及ぼすものはない
・定期的に運動を続けると運動(運動も一種のストレス)以外のストレスを抱えていてもコルチゾール(ストレス物質)の分泌量を減少させる。
・脳の重要な部位(海馬)を若返らせ成長を促す→週に3回、40分、早足で歩いただけ

その他にも、さまざまな実験から得られた運動と脳の関係の事例が多数紹介されている。「お酒はほうとうにストレスに効くのか」、「ウォーキングか、ランニングか、サイクリングか、その効果は?」、「うつ病予防は毎日20〜30分歩くことで気持ちが晴れやか」など。

「私自身」=「脳」と捉えれば気になるところ、大いに参考になる。

光の庭〜土の壁と光

穴の空いた屋根から光が差し込む。
地面から見上げると1階、2階、3階の窓が見える。
屋根からの陽光を各フロアにボーッと優しく届けるための「光の庭」。

土の大壁は、左官の久住章さん制作。風雨に晒され100年ぐらい経った表情にしようと塗ったもの。実際に30年経っても、その土壁の美しさは増すばかり。時間を超えた存在感がとても心地よい。

2022/08/26ブログにも紹介
「光の庭」〜雨も雪も降り落ちてくる

土壁〜差し込む朝日

土壁に差し込む朝日。
おや?なんだ?
3階改築に伴い撤去する寸前の足場の陰。

土壁の表面にある髭のような文様。但馬地方の木造家屋の中塗りの土壁。この後、仕上げ塗りをするための土ののりをよくするための仕掛け。「すさ」と言う。藁屑、糸屑などを使う。ドーモ・キニャーナ設計では仕上げ塗りをする予定だったが、この「すさ」の文様が美しいので、中塗りでストップ。過度に飾らない素朴な味が気に入っている。

劇場がくっきりと

自宅裏の円山川。
堤防沿いに生えているケヤキが葉を落とし、くっきりと江原河畔劇場が見える。
川面に逆さに映る光景は、この季節の楽しみの一つ。

穏やかな円山川。
この風景を一変させる雪がそこまでやってきている。
と、思うと余計に愛おしい。

フルート 三上明子さんを偲ぶ

ドーモ・キニャーナでの三上明子さん

昨日、フルート・コンサートを聴きながら、今年9月24日に急逝された三上明子さんのことを思い出す。

三上明子さんは、私の義理の妹と高校時代の同級生。絵画と音楽と分野は違えど仲の良い友人同士。そんなご縁で、私の自宅(ドーモ・キニャーナ)で、三上さんのコンサートを開催した。(1996〜1997年ごろ。記録を調べないといけない)

三上さんは、東京芸術大学を経て、20世紀最大のフルート奏者の一人マルセル・モイーズにも師事し、日本を代表するフルート奏者。多くの後進の育成に励まれていました。

ロシアから来日し、東京など全国でコンサートをしているオペラ歌手を伴っての演奏会。

会場準備や演奏者への気遣いや、自宅だったので余計に緊張していた私に対して、気さくに声をかけていただき、飄々とされている姿が印象的。フルートを演奏する立ち姿を写真で振り返ると、三上さんの声や表情、当時のことが懐かしく甦ってくる。

あまりにも早い旅立ちですが、安らかにお眠りください。
合掌。