『大アジア史』 宇山卓栄・著

文明は民族も思考と行動の累積であり、民族の持つ世界観を表します。日本や中国、朝鮮半島などの東アジアはもちろんのこと、東南アジアやインド、中東や中央アジア、トルコに至るまで、アジア民族の足跡を幅広く辿ります。
同じアジア民族でも何が異なり、何が同じなのか。アジア各民族の思考パターンや習性とは。こうした問題意識とともに、アジア人やアジア文明を、つまり「我々とは何か」を、読者の皆様と考えていきます。
『民族と文明で読み解く 大アジア史』 宇山卓栄・著

本書の「はじめに」にもあるが、教科書で習ってきた歴史だけでは、現在のアジアの情勢、ひいては世界情勢は理解できない。それぞれの民族のルーツとその歩んだ歴史を知ることによって初めて「現代」が読み解ける。

本流だけの歴史知識ではなく、ちょっと違った視点で民族や国の歴史を知ると、歴史の「なぜ?」が見えてくることもある。

例えば、中国の主要統一王朝「秦→漢→晋→隋→唐→宗→元→明→清」9つ続くが、漢民族が作った王朝は秦、漢、晋、明の4つ。これを知ると、北方遊牧民、南方農耕民族などの興亡という中国の歴史が見えてくる。

水洗いできないウール製製品からウォッシャブルな綿製品へ移行により、ヨーロッパの病原菌との戦いが改善された。18世紀以降、綿の需要が高まり、量産する必要性から紡績機・織機の機械化、アメリカ南部のプランテーションなどにより、イギリスの産業革命、アメリカの奴隷制などに繋がっていく。

7世紀、中国は日本を「倭」と記述しているが、「倭」は「付き従う者」という意味。日本ではこれを嫌い「和」を使うようになり、さらに「大」をつけて「大和(やまと)」とした。

それぞれ諸説あるので、鵜呑みにはできないが、様々な視点、思想、研究を知ることで、歴史の幅が広がり、民族問題、国際問題など「現代」を読み解く大いなるヒントになる。

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