「豊岡演劇祭2022」前半の観劇記録

芸術文化観光専門職大学

9月15日始まった「豊岡演劇祭2022」もあっという間に半分が済んでしまった。1日に1〜2公演を観ながら毎日を楽しんでいる。(学生時代から演劇には大変興味がある私にとって、この豊岡でこんなに演劇が楽しめるなんて、未だに信じられない)

一つひとつの公演の感想を書くのは至難のワザ。
『岩下徹×梅津和時即興セッション』『お父さんのバックドロップ』は既アップ。
それ以外の公演を記す。

『降りくるもののなかで ー とばり』 山海塾 (豊岡市民会館)

『新・豊岡かよっ!』 Platz市民演劇プロジェクト(豊岡市民プラザ)

『思い出せない夢のいくつか』 カミーユ・パンザ/エルザッツ(城崎国際アートセンター)

『ぼんやりブルース 2022』 ヌトミック (CAT静思堂シアター)

『よるよむきのさき』 お食事×文学×リーディング (西村屋ホテル招月庭)

演劇祭ナイトマーケット(江原)

演劇祭のもう一つの楽しみは夜の屋台。最初の週末は江原駅前広場で開催される。本来(コロナ以前)なら、この一帯にテーブルとイスを並べて、観劇後、今観た芝居の感想を語り合ったり、演劇ファン同士が熱く語りあう広場となる。残念ながら、コロナ対策として、テーブル・イスは設置できず、屋台のフードはテイクアウト。

飲み食いだけではない。広場の脇では、次から次へと大道芸が披露される。子どもたちは最前列に座り込み、拍手しながら楽しんでいる。こんな光景は、この演劇祭がなかったらあり得ない。小さい時から、芝居を観たり、大道芸を楽しんだり、きっとこの子たちの故郷の記憶として残るだろう。

回を重ねるごとに、もっと多くの芸人がやって来る、海外からもやってくる、そんなことを思い浮かべてしまう。

演劇祭はまだ始まったばかりだ。

岩下徹×梅津和時 即興セッション『みみをすます』

ここは「氣多神社」(豊岡市日高町上ノ郷)。
平安時代ごろから各地の国府近くに総社が置かれ、この氣多神社は但馬の総社とされる。大木に囲まれた厳かな雰囲気に包まれる神社だ。

神社境内をぐるりと囲むように客が立ち、座る。

その真ん中で岩下徹の舞踏が始まる。

フリージャズマン梅津和時のサックスとの即興コラボ。

カラスが鳴き、犬が吠える。
風が吹き抜けて落ち葉が舞う。
鳥居の向こうから車の通り過ぎる音。

まさに「みみをすます」。
永楽館でのパフォーマンスも観たが、その体験は全く違う。

岩下徹×梅津和時 即興セッション『みみをすます(谷川俊太郎同名詩より)』

『お父さんのバックドロップ」坂口修一リーディング公演

豊岡演劇祭フリンジ公演チラシより

豊岡演劇祭2日目。会場は「出石明治館」
『お父さんのバックドロップ』坂口修一リーディング公演

「中島らもの名作短編小説をリーディング公演として」とパンフレットにあるが、リーディングどころではない迫力満点の熱演。どこからどこまでが台本で、どこがアドリブで、客席とのやりとりもハプニング(計算できない)だらけ。ダイナミックな一人芝居。

公演後、坂口さんと立ち話。
坂口さんは『豊岡かよっ!』(豊岡市民プラザ)にも出演予定。2005年現在の豊岡市への1市5町の合併の経緯をコメディタッチで描く。「日高」役で出演。「私は日高町です。楽しみにしています」と激励させていただく。が、逆にプレッシャーになったかも。(^ ^)

江原の円山川

江原地区の円山川。手前上流側から大きく右に曲がって流れていく。正面の赤い屋根の建物が江原河畔劇場(旧日高町役場、その後商工会館)。まさに河岸に建っている。

右に旋回している流れは、約1〜2万年前ごろに神鍋火山が噴火を繰り返し、一番遠くまで溶岩が流れてきてここで固まったもの。玄武岩のような柱状節理も見える。

右旋回すると日置地区になる。かつて(私の祖父などは)「へき」と呼んでいた。古代、歴を司る「日置部」(へきべ)が住んでいたことから名付けられる。

複雑な川の流れもあり、大雨のたびに流されていた日置橋は1976年(昭和51)に現在の永久橋に架け替えられる。右岸には秋葉神社が、かつては素人相撲大会や狂言などが行われる祭りで賑わった。

下流側から江原の円山川を眺める。左の山が姫路山(頂上付近から夏祭りの花火を打ち上げる)。右側が江原地区。かつて(私の小学生時代は河原付近で泳いだ)は、江原の人たちは、この河原に降りて、鮎釣りやお盆の灯籠流し、春は桜の花見など、親しまれた。

さらに上流(画像上向き)に行くと、宵田地区、岩中地区へと続いていく。

グシャグシャの中にも

猛暑のためグシャグシャになったガーデン。
いきなり「言い訳」だ。
毎日、毎日、目の当たりにしているのに、なかなか手が出なかった。

掻き分けてチェックすると、

シュウメイギク。
蕾がいっぱい。これから続々と咲きそう。

オレガノ。
そう言えば春先に植えたなあ。

ブルーサルビア。
この夏、隅っこで咲いていたんだね。

グシャ(愚者)のガーデンでした。(>_<)

「江原の昔を語る」〜豊岡演劇祭2022フリンジ・トーク

私の生まれ育った「江原」(豊岡市日高町江原)。
その歴史をもっと知りたいと常々思っていましたが、そのチャンスが巡って来ました。地区の長老さんたちに集まっていただいて語っていただく。

この「江原」は、古くは山陰街道が通り、円山川の河川舟運(物資や旅客を運搬する運輸)の船着場、明治には鉄道が通り、商店や歓楽の街であった。神社の春祭り・秋祭り、お寺さんのお祭りから発展し、頭上に上がる花火の大輪の夏祭り

戦後の高度成長時代を経て、変化する生活習慣、街並み、商店街。役場や金融機関、商工会館などが移転し、スーパーが進出。JR江原駅周辺の再整備、円山川堤防の建設、などなど。

今、目にする風景と全く異なる姿がそこにはありました。
国道沿いの家並み、寂れていく商店街の元の風景とその息遣いを知り、感じてみませんか。
何かに愛着を感じ、新たなアイデアが湧いてくるかもしれません。

【テーマ】「江原の町の昔を語ってもらう」
【日 時】 9月18日(日) 16:00〜17:00
【参加費】 無料
【場 所】 友田酒造(裏門が入り口)(豊岡市日高町江原62-1)

【連絡先】 越後正志(070-5576-2282)

フリンジ『落ちて水になる』 松本成弘・越後正志(インスタレーション作品)におけるトークイベントです。

こうべを垂れる稲穂かな〜六方田んぼ

雲に魅せられ車を停める。
稲刈り真っ盛りの六方田んぼ(豊岡市)。

この稲穂のコメが、人気ブランド「コウノトリ育むお米」。
無農薬・低農薬で栽培され、ドジョウやカエルを育む環境を確保しながらコウノトリの野生化に貢献する。

” 実るほど こうべを垂れる 稲穂かな ”

鈴木忠志トーク〜利賀村3日目

恒例の『鈴木忠志トーク』。
毎回、いきなり「何か質問は?」と切り出す鈴木忠志さん。
何を知りたいのか、何に関心があるのか、なんでも答えるよ、と始まる。

初めて利賀村に来る人、過去、現在に実際に演劇をやっているか、強い関心を持っている人など、様々な視点から質問が飛び交う。特に、初めての人から「なぜ利賀村へ来たのか」「シンデレラ」のエンタメ性を観劇して、「演劇理論が変わったのか」など、ストレートな質問に対して鈴木さんの受け答えが面白い。

「今さら訊くなよね」と言いながら、その答えは毎度、本質をついたもの。
役者の日々の肉体的鍛錬・演技指導だけでなく、これも「鈴木メソッド」か。

今日の観劇は、
『鈴木忠志トーク』 利賀大山房にて
『エレクトラ』 演出:鈴木忠志、作曲・演奏:高田みどり

2つの演目を見終えて、14時に利賀村を出発し帰路につく。
休憩入れて約6時間の車の旅。
回を重ねるごとに、近くに感じてくる。
来年また来よう。