縄文時代と現代を比較し、縄文時代をある種の「楽園」「ユートピア」として語ろうとする論調の中では、しばしば「極端に少ない人口」という観点が抜け落ちていることも、あわせて指摘しておきたい。人口の増加と集中による社会変化のあり方は、これまでに述べてきた通りである。また、縄文人はお互いが支え合い、助け合って生きてきたという話が出されることもあるが、それは個人間に多少のあつれきがあったとしても、基本的にはいつの時代も一緒で縄文時代に限ったことではないだろう。過去に対する過度の美化には慎重でありたい。
『縄文時代の歴史』 山田康弘・著
上記にあるように、筆者は縄文時代の歴史を極めて冷静に分析し、現代社会の矛盾と安易に対比することに懸念を持っている。(この視点は、私に対する警告でもあった)
次々に発掘、科学的な解析、調査が進む縄文時代。確かに私が学生時代に学んだ縄文時代とはかなり異なってきているのを感じる。
縄文文化の本質として、
・ 繁縟な装飾を持つ土器、土偶、土器
・ 狩猟採取経済
だけでなく
・ 急激な温暖化と冷涼化を伴いながら総体的には安定した気候
↪︎ 日本列島の各地方、各地域で個性的な環境適応が起こる
↪︎ 自然の資源化とその利用技術の発達
↪︎ 定住生活と居住形態
↪︎ 生業形態、集団構造、精神文化の発達
↪︎ 資源交換ネットワークの発達
「気候」「各地方で異なる」「交換ネットワーク」で考えていくのがとても興味深い。その視点でさらに調べてみたい。