『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口周・著

まず「論理と理性」に軸足をおいて経営をすれば、必ず他者と同じ結論に至ることになるり、必然的にレッドオーシャンで戦うことにならざるを得ない。かつての日本企業は、このレッドオーシャンを、「スピード」と「コスト」の二つを武器にすることで勝者となった。しかし、昨今では、この二つの強みは失われつつあり、日本企業は、歴史上はじめて、本当の意味での差別化を求められる時期に来ているということです。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』 山口周・著

昔から日本の経営は、左手に「そろばん」右手に「情け」が大切だとよく聞いた。「論理」と「感情」ということになるのだろう。MBAではスタディケースを論理的に考え、答えをを導き出す。いわゆる「正解」はないにせよ、説得ある「解」には論理的裏付けがないといけない。

「論理的結論」が「正解」を量産し、コモディティ化し、やがてレッドオーシャンとなる。著者は、そこに焦点をあて、経営には「美意識」つまり「真・善・美」が必要だと説く。

「真=直感」「善=倫理・道徳」「美=審美完成」という、主観的な内部のモノサシを持つことが大切であると。

単なる「経営ノウハウ本」ではなく、高度成長後の価値基準の変化、グローバル競争の本質は何か、など考えさせられる良書。じっくりと考えてみたい。