『クラシック音楽全史』松田亜有子・著

また、音楽家の役割や名曲が生まれた背景には、キリスト教の誕生や、王侯貴族の没落とブルジョアの台頭、産業革命、民族自決運動、ジャポニズムなど、様々な社会、経済の動きが色濃く反映されています。音楽というフィルターを通じて、新たな世界史の見方もできるのが面白いところではないかと思い、意識的にそうした背景の解説も多く盛り込んでみました。
『クラシック音楽全史』 松田亜有子・著

と言うことで、歴史や時代背景を知りながらクラシック音楽を深く味わいたいという私の思いにピッタリ。

「世界共通のビジネスツール」と帯書きにあるように、音楽ジャンルと作曲家の解説という基礎的な内容だが、改めて(何度でも)、音楽史を俯瞰しながら、音楽を聴くのは楽しいものです。

巻頭の「音楽家年表」と「ウィーン体制(1815年)のヨーロッパ地図」が嬉しい。

「音楽家年表」は、バロック、古典派、ロマン派、後期ロマン派、近現代と続くクラシック音楽の変遷と作曲家が生きた年代一目瞭然。バッハとヘンデルが同年生まれ、ハイドンの年齢とモーツアルトとベートーヴェンの年齢の重なり合いなど、色々と想像してみることができる。

「19世紀のヨーロッパ地図」は、この秋にドイツ、ウィーン、プラハと旅をした記憶を辿りながら、音楽を通してハプスブルク家の強大さとその影響に想いを寄せるのも面白い。

東京でウィーン・フィルの友人と

“Wiener Philharmoniker Week in Japan 2018″。
ウィーンフィルの日本公演が始まった。
10月のウィーン訪問時に、ウィーン国立歌劇場でオペラを楽しみ、その翌日にウィンフィル・メンバーで友人のシュテファンの自宅でBBQのご馳走になった。今度は東京で「お返し」とばかりにサントリーホールのウィーンフィル公演に向かった。

1日時間があると言うので、根津美術館や上野の美術館巡りでもしようかと目論んでいたが、よく考えると月曜日はどこも休館日。じゃあ、どうしようと考え抜いた結論がこれ、なんと「はとバス観光」!

もう何回も日本公演で日本には来ているシュテファンだが、流石に「はとバス観光」は初めて。「どうだ、参ったか」と我ながらグッドアイデアだと自画自賛。実は、皇居、国会議事堂、霞ヶ関、赤坂界隈の位置関係がもう一つ掴めていなかった私が一番興奮かも。

演奏前、サントリーホール入り口で撮影。
右側が、Stefan Gartmayer、左側がSebastian Bru。
2人ともウィーンフィルのチェリスト。
ウィーンでは、シュテファンもセバスチャンも家族ぐるみでBBQを楽しんだ友人たちだ。

シュテファンは本日はオフだが、セバスチャンは演奏があるので、隣の「ANAインターコンチネンタルホテル東京」で軽い食事。セバスチャンは餃子が大好きと言ってたので中華料理。

今日のプログラムは「室内楽スペシャル〜ウィンフィル オペラを謳う」。弦楽六重奏、チェロ四重奏、木管アンサンブル、打楽器アンサンブルなど、いろんな楽器の組み合わせでオペラの前奏曲や有名な場面を再現する。

R.シュトラウス、モーツァルト、ワグナー、ビゼーなどのオペラから選曲。一番印象に残ったのはワグナーの「ローエングリン前奏曲」「ジークフリート牧歌」。ワグナーのメロディとハーモニーはなにものにも変えがたい魅力だ。

メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64』

フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ
ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op64
チョン・キョンファ(vl)
モントリオール交響楽団
指揮:シャルル・デュトワ
録音:1981年7月

クラシック音楽で「あなたにとってこの1曲と言えば?」と尋ねられる即答できますか?私はこれ。メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲(コンチェルト)」。

通称メンコンと言われる、おそらく誰でも知っている(旋律を聴けばあああれかとわかる)曲。 私はこの曲を最初に聴いたのは小学校1年生の頃。毎日毎日聴いていた。その頃飼っていた文鳥が曲が流れると必ず反応して唄う「ピーピーピー」「ピピピピピー」「ピポピポピー」と唄っていた。今でもこのメンコンを聴くと文鳥が頭に浮かんでくる。

自然に囲まれ、時間がゆっくりと流れ、毎日が楽しく、あれもこれも面白いものばかり。毎日がとても新鮮であった。私の記憶(心)の中でそんな情景が浮かんでくる。それが、私が音楽が好きになった瞬間であり、スタートであったと思います。 私にとってかけがいのない永遠の1曲なのです。

『ベートーヴェンの生涯』青木やよひ・著

その研究の過程で、極めて人間的で徹底した自由人で会ったベートーヴェンの相貌に接した私は、陰鬱なウィーンの場末で生涯を過ごした「陰気で悲劇的な英雄」という従来のベートーヴェン像を一掃したい思いに駆られた。シントラーの捏造やマリアム・テンガーの偽書にもとづいてこうした誤ったベートーヴェン像を世界的に流布したのは、ロマン・ロランの『ベートーヴェンの生涯』に他ならなかった。戦後の一時期、ロランから生きる力を与えられた私にとって、彼を批判することは辛いことであったが、先入観の恐ろしさを自戒するためにも、本書ではあえてそれを行った。
『ベートーヴェンの生涯』 青木やよひ・著(「あとがき」より p289)

今回のドイツ訪問の目的の一つは、ベートーヴェンを訪ねることだった。2年半前の台湾での交通事故により私自身の左耳聴力が半減し、耳鳴りと戦った日々を体験。治療の間、聴力を失ったベートーヴェンの苦悩を思いながら過ごしました。遺書を書いたというハイリゲンシュタットを訪ねてみたかった。

動機はともかく、交響曲第6番《田園》やヴァイオリン ソナタやピアノ ソナタが大好きな曲なのでよく聴いていた。一度、その作曲の舞台となったウィーンへ行き、確認したいと思っていました。

そんな折に読んだのがこの著書。

著者の青木さんは、人生の50年以上をかけて、諸説あり謎とされていたベートーヴェンと相思相愛の女性は誰か、を追い続けた人。執念とも言えるその探求の過程でベートーヴェンの人となりを明らかにしていく。

現地を何度も訪れ、丁寧に貴重な一次資料を解読し、研究者を数珠つなぎのように訪ねた情熱は特筆もの。

ベートーヴェンのファンなら一読すべき、本と言える。

ベートヴェンとモーツァルトの直筆スコア

ベートーヴェン直筆の楽譜。

プラハ城内のロブコヴィツ宮殿内にある博物館所蔵。ロブコヴィッツ家は代々芸術家のバックアップを行ってきた。多くの絵画や、特筆すべきは、ベートーヴェンやモーツアルトの直筆の楽譜や、ベートーベンが曲を提供した時に受け取った領収書(?)もあったりする。

交響曲第4番(?)の表紙。
サインもあり。

ベートーヴェンの直筆サインが大きく。

こちらはモーツァルトの直筆スコア。
ヘンデルのメシアをモーツァルトが編曲したもの。

こんな楽譜が見られるなんて全く予備知識がなかったので、驚きと感動とで、とうとう閉館まで立ち止まってしまいました。
(私が最後の客なので、係員の方がすぐ後ろに立っていました)

なんかミーハーっぽいけど、鳥肌モンでした。

私にとって特別なウィーンの1日

SCHONBRUNNの文字。
地下鉄U4のシェーンブルン駅に到着。

駅から4〜5分歩くと、シェーンブルン宮殿の正門にやってくる。朝9時半と言うのに、もう待ちかねたように続々と宮殿に向かう観光客。

シェーンブルン宮殿は、ウィーンの森の裾野にできた宮殿。16世紀にハプスブルク家の所有になり、以後手を加えられ、18世紀には、マリア・テレージアによって大規模に改築された。

圧倒される建築、室内、宝物、絵画など、いくら頑張っても要約して書くことなど到底無理。もちろん撮影ダメなので、どう考えてもここで紹介できないのが悔しい。

シェーンブルン宮殿の裏手(と言っても広大な庭園)にある「ネプチューンの泉」

庭園の丘の上に建つ「グロリエッテ」。(対プロイセン戦の勝利と戦没者の慰霊のために立てた記念碑)

ここのチケットも購入していたが、シェーンブルン宮殿の見学に時間がとられて、次の約束時間に間に合わないので見学は断念。
(「もう一度来なさい」と言うことにしておこう)

「約束」と言うのは、昨夜オペラ座で鑑賞したウィーンフィルのチェリストのシュテファンが、自宅の庭でバーベキューしようと、誘ってくれたこと。

シェーンブルン駅から2つ先の駅で下車。静かな住宅街だ。ウィーンの旅行客はたくさんいるが、ウィーンでのバーベキューを経験する人はなかなかないんじゃあないかと、少し自慢したくなる。

気持ちのいい庭だ。

シュテファンが焼き係。奥様は日本人のMさん。Mさんはヴァイオリニスト。現在は3人の子供たちの子育て中。

そこへ、同じくウフィルのチェリストのセバスチャンが家族で遊びに来る。こちらも男の子2人の子育て家族。

世界中を回って演奏活動するウィーンフィル。だからシュテファンもセバスチャンも家を留守にすることも多い。こんな家族との時間が大切なんだろう。ともかく元気のいい子供たちだ。

シュテファンもセバスチャンも日本が大好き。次回の来日での再会を約束して記念撮影。時間があれば、豊岡にも遊びに来てもらおう。

フォルクスオーパー歌劇場。

オペラ座に次ぐ、ウィーンで2番目に大きな歌劇場。約1500名入る客席。バレエ公演やオペレッタも上演される「大衆オペラ座」と言う意味らしい。

オペラ座に比べ、こちらはもっと市民に身近な感じがする。実際に来ている人たちは、夫婦、子供づれ、ちょっと聴きに行こう、みたいな片意地はらずな雰囲気がとてもいい。

今日はヨハン・シュトラウス2世の喜歌劇「こうもり」。

招待してくれたのは「子供たちが豊岡で世界に出会う音楽祭」(兵庫県豊岡市)で毎年、豊岡に来るチェリストのマイケル・ウィリアムズさん。(写真中央やや右のチェリスト)

ウィーンに来て、オペラ座で「ドンパスカーレ」(ドニゼッティ作曲)とフォルクスオーパーで「こうもり」(ヨハン・シュトラウス2世作曲)の2本のオペラを、しかも、最高の席で鑑賞できるなんて、なんと言う贅沢で幸せな時間。ウィーンに、そしてウィーンの友人に大感謝!

オペラ『ドンパスカーレ』〜ウィーン国立歌劇場

初めてのウィーン。
マップを見ながら、中心市街を散策。

ウィーンのシンボル、シュテファン大聖堂。
もとは1137年に建てられた教会を14世紀にゴシック建築様式に建て替えられる。

今回のウィーン訪問の目的の一つは、ウィーン国立歌劇場(オペラ座)でのウィーン・フィルのコンサート。

到着した日の夜に、さっそくオペラ座へ。
ライトアップが美しいオペラ座。
ここぞと着物姿の妻。

場内へ入るまでの館内がまた豪華絢爛。

今夜のプログラムは、ドニゼッティのオペラ『ドンパスカーレ』。
開演前からステージでは、何やら出演者がもう登場している。

あとで紹介するウィーンフィル・チェリストのシュテファンが招待してくれた席は、なんとバルコニー席。しかも最下段の一番いい席。こんな風に、初めてのオペラ座で、ウィーンフィルの歌劇を観るなんて想像以上。

開演前のオーケストラ・ボックス。
チェロの右から二人目がシュテファン。

2002年、養父市のチェロ・コンクールの際に、我が家にホームステイ。その時に、チェロが壊れると言うとんでもないトラブルがあったり、すごいドラマが。

そんなご縁で、以来 16年のお付き合い。ウィーンフィルが来日した時は、サントリーホールでの演奏会に招待してくれたり。

ウィーンフィルのチェロの位置は中央。だから時々、NHKで放映されるウィーンフィルの演奏映像には、中央にシュテファンが映ることが多い。

今日は、生シュテファン、しかもウィーンで。

いつか来たいと思っていたウィーンのオペラ座。
夢のような時間でした。

ベートヴェン ”交響曲第6番へ長調Op.68 《田園》”

ベートヴェン ”交響曲第6番へ長調Op.68 《田園》”
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: カール・ベーム

交響曲第6番ヘ長調Op.68《田園》
作曲:ベートーヴェン(Ludwig Van Beethoven)

第1楽章:「田舎に到着した時の朗らかな感情の目覚め」
第2楽章:「小川のほとりの情景」
第3楽章:「農民の楽しい集い」
第4楽章:「雷雨、嵐」
第5楽章:「牧人の歌、嵐のあとの喜ばしい感謝の感情」

♪タ〜ラッタ、タ〜ラララ〜ッタ、タ〜ララ〜ラララ♪
と口ずさむファンも多いのでは。誰もが知っている「田園」の出だし。
第5番の「♪ダダダダ〜〜ン」の力強い出だしとは、うって変わって、優しいメロディーが心に響く。

表題音楽の始まり、つまりロマン派へと繋がる曲として位置付けられている。

ベートーヴェンが難聴に苦しめられ、ウィーン近郊のハイリゲンシュタットに保養に行き、自然の中で生活を楽しんでいる時期に作曲された。(1808年、38才)

私は、2年半前に台湾で交通事故にあい、左耳聴力が落ちたまま入院生活を送っている時に、よーく聴いてた「田園」。ベートーヴェンととても親しくなった気分で聴いたのを思い出す。(^_^;;

読響サマーフェスティバル2018《三大協奏曲》〜東京芸術劇場コンサートホール

東京芸術劇場(池袋)

思わぬことから素敵なコンサートに行くことになった。

昨日の「おんぷの祭典」東京ミーティング後の食事の時、中澤きみ子さんから「明日、ご都合が良ければコンサートに行きませんか?」とお誘いを受ける。同行の豊岡の友人たちはもともと行く予定。ということで、急遽、決まり。

中澤きみ子さんの教え子で第1回のおんぷの祭典でも演奏していただいたヴァイオリンの岡本誠司さんがソリスト。

岡本誠司さん、読売日本交響楽団とだけインプットして、池袋の東京芸術劇場に向かう。

東京芸術劇場チラシより

読響サマーフェスティバルの特別プログラム。
「三大協奏曲」と銘打って、ヴァイオリン、チェロ、ピアノのそれぞれの代表的協奏曲が全て聴け、しかも、ソリストは、現在大注目の若手演奏家。願ってもない、超・ファンタスティックなプログラムなのだ。(幸運とはこういうことか)

ヴァイオリン / 岡本誠司
メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64

チェロ / ラウラ・ファン・デル・ヘイデン
ドヴォルザーク  チェロ協奏曲 ロ短調 作品104

ピアノ / 反田恭平
チャイコフスキー ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23

指揮  / 大井剛史

確かに代表的且つ人気の協奏曲のオンパレード。
ソリストは、岡本(24才)、ヘイデン(21才)、反田(24才)。

ヴァイオリンの岡本誠司さんは「第1回 おんぷの祭典」の直後、国際バッハコンクール(ドイツ・ライプチッヒ)で第1位。同じく第 1回に出演してくださったヴァイオリンの辻彩奈さんはモントリオール国際音楽コンクールで第1位。

「おんぷの祭典」でご縁ができた若い演奏家たちが次々に国際的な舞台で大活躍しているのは、我がことのように嬉しいかぎりです。

きみ子さんにとっていただいた席ということもあり、特別な席。
隣の席には、宗次ホール(名古屋)のオーナーの宗次徳二氏(CoCo一番創業者)、さらにヴァイオリンの岡本誠司さんのお母さんとご一緒に聴けたのは、さらに特別なコンサートとなりました。

中澤きみ子さんには大感謝!

リヒャルト・シュトラウス 『英雄の生涯』

リヒャルト・シュトラウス 交響詩『英雄の生涯』
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: カール・ベーム

交響詩『英雄の生涯』(Ein Heldenleben)
作曲:リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss)
曲 : 6部に別れている。
「英雄」「英雄の敵」「英雄の伴侶」
「英雄の戦場」「英雄の業績」「英雄の隠遁と完成」

R.シュトラウスは、私の好きな作曲家だ。「ツァラストラはかく語りき」「ドン・キホーテ」「アルプス交響曲」など、何回も何回も聴く曲も多い。

特にこの「英雄の生涯」で弦楽器が醸し出す微妙な(?)オーケストレーションが好きだ。

19世紀的な、快楽的な、高揚する、勇壮な、、、

こんな言葉が浮かんでくる。

そう言えば、養父市のチェロコンクールに出場したステファン・マイヤーをホームステイであずかったことがある。今は、ウィーンフィルのチェリスト。彼の招待でサントリーホールで聴いたのがこの『英雄の生涯』(指揮、ズービン・メータ。)

ステファンとの再開と素晴らしい生演奏で大興奮の夜だった。