『地図を創る旅』 平田オリザ・著

一方、この文章は、いささか早すぎる自叙伝であり、また、若干遅すぎる、青春の覚え書という側面を持っている。過去に私が書いた文章の引用などは、多少気恥ずかしい部分もあるが、それには目をつむろうと思う。だからその意味では、この作品は、私の初期エッセイ集という役割も担っている。ともかく書き始めよう。この困難な作業の疲労感を、追憶の恥じらいが紛らわしてくれることを期待して。
『地図を創る旅』 平田オリザ・著 (「まえがき」より)

読後感はまず、久しぶりに「素晴らしい文章」に出会ったという気持ち。自己の内面を飾らず、正直に表現することは容易ではない。平田氏は、私的感情を素直に述べつつ、それを客観視するもう一人の自分を、上手く表現されている。誇張ではなく、淡々と記しながら、自分の世界感を展開していくセンスは抜群。岸田戯曲賞、鶴屋南北賞を受賞されているのも当然だ。

2019年の今年、その平田オリザさんが豊岡市日高町江原に引っ越しされてくる。
オリザさんの「地図」に「豊岡市江原」と記し、旅はまだまだ続く。

豊岡市の皆さんに一読をお薦めします。

『縄文時代の歴史』山田康弘・著

縄文時代と現代を比較し、縄文時代をある種の「楽園」「ユートピア」として語ろうとする論調の中では、しばしば「極端に少ない人口」という観点が抜け落ちていることも、あわせて指摘しておきたい。人口の増加と集中による社会変化のあり方は、これまでに述べてきた通りである。また、縄文人はお互いが支え合い、助け合って生きてきたという話が出されることもあるが、それは個人間に多少のあつれきがあったとしても、基本的にはいつの時代も一緒で縄文時代に限ったことではないだろう。過去に対する過度の美化には慎重でありたい。
『縄文時代の歴史』 山田康弘・著

上記にあるように、筆者は縄文時代の歴史を極めて冷静に分析し、現代社会の矛盾と安易に対比することに懸念を持っている。(この視点は、私に対する警告でもあった)

次々に発掘、科学的な解析、調査が進む縄文時代。確かに私が学生時代に学んだ縄文時代とはかなり異なってきているのを感じる。

縄文文化の本質として、
・ 繁縟な装飾を持つ土器、土偶、土器
・ 狩猟採取経済
だけでなく
・ 急激な温暖化と冷涼化を伴いながら総体的には安定した気候
↪︎ 日本列島の各地方、各地域で個性的な環境適応が起こる
↪︎ 自然の資源化とその利用技術の発達
↪︎ 定住生活と居住形態
↪︎ 生業形態、集団構造、精神文化の発達
↪︎ 資源交換ネットワークの発達

「気候」「各地方で異なる」「交換ネットワーク」で考えていくのがとても興味深い。その視点でさらに調べてみたい。

『花おりおり』〜私の愛用書

ブログ “KOH’s VIEW”では、庭の植物を紹介しています。「紹介」というよりも、自分自身がちゃんと身の回りの草花をもっと知りたい、調べてみよう、という思い出書いています。

○○属、○○科だけでは、面白くないので、その花の名の由縁や、特徴、生活の中の関わりなど、歴史、風土なども知ってみたい。

そんな思いにぴったりの本がこの『花おりおり』シリーズ。
14年前にブログを書き始めた時から、愛読(愛用)書となっています。

全5巻。1ページに二つずつ紹介してある。

まだまだ「知らない」「知りたい」「調べたい」草花がいっぱい。
今年も『花おりおり』には、目一杯、お世話になりそう。
四季おりおり、花おりおりですね。

『花おりおり』 湯浅浩史・著
『花おりおり その二』
『花おりおり その三』
『花おりおり その四』
『花おりおり その五』

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口周・著

まず「論理と理性」に軸足をおいて経営をすれば、必ず他者と同じ結論に至ることになるり、必然的にレッドオーシャンで戦うことにならざるを得ない。かつての日本企業は、このレッドオーシャンを、「スピード」と「コスト」の二つを武器にすることで勝者となった。しかし、昨今では、この二つの強みは失われつつあり、日本企業は、歴史上はじめて、本当の意味での差別化を求められる時期に来ているということです。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』 山口周・著

昔から日本の経営は、左手に「そろばん」右手に「情け」が大切だとよく聞いた。「論理」と「感情」ということになるのだろう。MBAではスタディケースを論理的に考え、答えをを導き出す。いわゆる「正解」はないにせよ、説得ある「解」には論理的裏付けがないといけない。

「論理的結論」が「正解」を量産し、コモディティ化し、やがてレッドオーシャンとなる。著者は、そこに焦点をあて、経営には「美意識」つまり「真・善・美」が必要だと説く。

「真=直感」「善=倫理・道徳」「美=審美完成」という、主観的な内部のモノサシを持つことが大切であると。

単なる「経営ノウハウ本」ではなく、高度成長後の価値基準の変化、グローバル競争の本質は何か、など考えさせられる良書。じっくりと考えてみたい。

『一流の人は、本のどこに線を引いているのか』土井英司・著

「そうだ、その通り!自分の考えは間違っていなかった」と感じる箇所に線を引くのは、単なる「自己陶酔」にすぎない。自分が「正しい」ことを確認したところで、パワーアップの糧にならない。逆に、読んだときには多少の嫌悪感があっても、どういうわけだか”気になる”1行に出会うことがある。こんな1行には、思い切って線を引いてみたい。線は、新しい発見や役に立った箇所、そして自分の考えと「ちがう」箇所に引くことで、成長の糧になるのだ。
『一流の人は、本のどこに線を引いているのか』土井英司・著

これはこの著書の帯の折り返しに書いてある抜粋。私が線を引いたとしても「ここ」というところが抜粋されている。嫌悪感どころか親近感なので線を引かなくても良いのかも。(^ ^;;

土井氏は、先日の経営者セミナーでとても興味深いお話を聴いたので、さっさくその著書を読ませていただいた。経歴は大卒後、日経BP社を経てAmazon.co.jpの立ち上げに参画、その後独立して著者、著書のプロデュースを手掛ける。

マーケティングの目的は「セリングを不要にする」ことだ。

巻末には、土井氏が読んだビジネス書から44冊を選び出し、土井氏が引いた「線」の箇所が紹介されている。その書籍のポイントを端的に知ることができる。その中で私は10冊ぐらいしか読んでいませんが、これから「深く知りたい」「新しく知りたい」テーマで読んでみたい。

ちなみに『人生がときめく片付けの魔法』(近藤麻理恵・著)の海外出版の仕掛人でもある。

『凡人のための地域再生入門』木下 斉・著

商店街がかつてと同じようなやり方で栄えて再びシャッター街が栄えることはもうないだろう。けど、新しい時代に向けて、新しいやり方を、新しい人ともにできる新しい人材がそれぞれ動き出している。過去は過去のものとして割り切り、未来へのそれぞれのまちが導き出したとき、シャッターが再び開く日はやってくるはずだ。
『凡人のための地域再生入門』 木下斉・著 (p340)

地域再生に賭ける若者たちを描いた小説仕立ての書。全編、地方から東京へ就職した主人公が生まれ故郷に戻り、かつての同級生たちと廃れゆく商店街を再生していくストーリー。

この書のユニークなのはポイントとなる個所をイエローラインを引いて、「解説」が付いている。「解説」は、現在の地方の現実、国と地方の行政の取組み、観光産業の実態、地域協力隊など、リアルに、辛辣に解説してある。
(この「解説」は説得力あり。ぜひ、読んでいただきたい)

著者の木下斉氏の講演を東京丸の内で開催された「豊岡エキシビジョン」で聴いて以来、木下氏の本をほとんど読む。地方再生への考え方はほとんど同感することばかりです。

122のイエローラインの最後122番目。この「解説」で締めくくられている。

【122】衰退している地域でも、結局自分がどう捉えるかによって未来はいかようにでも変わる。たとえどんな状況であっても。(p341)

竹〜節目が多いほどに人生は豊か

竹は外見から見ると一本一本が独立しているように見えますが、地下茎で繋がっており、運命共同体です。しかも、親の栄養で成長した後は、自分の身を太らせることなく、子供のためにせっせと栄養づくりに励むのです。子供は子供で、その栄養を無駄なく使い、構造的にも立派な親にいち早くなります。
竹にある節は竹にとって大切なものです。人生においてもよく「節目」という言葉が使われます。人生における節目とは何でしょうか。人生における心の区切り、それは、一人一人違うと思います。自分に課題を課し、それが成し遂げられたときが自分にとっての節目かも知れません。節目の多い人ほど、風雨や雪の重みにも耐えうるすばらしい人生を送ることが出来るのではないでしょうか。
『人物のまち福島 第2集』 佐久間辰一・著 (「竹」より p13)

昨日の続き。副題「社会人として大切なことは植物から学んだ」が示している通り、この冊子に登場する植物たち。竹(タケ)、桜(サクラ)、蕎麦(ソバ)、紫陽花(アジサイ)、スギナなど10種。それぞれに個性、特徴、なぜそうなのかと不思議なことだらけ。その謎解きは私たちが生きていく教訓がいっぱい詰め込まれている。

第2集のトップバッターとして「竹」。竹と言えば、地下茎、節、成長の早さ、しなやかなどの特性の不思議を解き明かしながら「竹」を知る。

竹の成長の早さの秘密は、幹の先端だけでなく、節ごとに成長点を持ち、一斉に成長する構造からきている。

「人生の節目」というが、人生を見つめ、節目を正しく持つこと、それがすなわち自分の成長の糧となる、ということですね。

「竹」から大事なことを学びました。

「大切なことは植物から学んだ」〜佐久間辰一・著

植物は動物と違って動くことはできませんが、「種の保存」という一点に向かって、涙ぐましい進化を遂げてきました。しかも、それは、共存という姿で。一方、私たち人間は、自然界を自由に動き回り、好きなものを自由に手に入れることができます。その反面、それは争いのもとにもなっているのです。植物は共存しなければ生きていけません。それぞれの個性に合わせた生き方をしています。植物は、私たち人間が生きる上での本での本当に大事なことを教えてくれています。
『人物のまち福島 第2集』 佐久間辰一・著 (「はじめに」p3)
発行所 : 採用と教育研究所

先月ある封筒が届いた。年賀の頼りにしてはちょっと厚いし、何だろうと開封すると一冊の冊子が入っていました。送り主は小学校教諭の西村先生。但馬コネクションにもゲストとして登場していただきました。ボランティア活動などを通じて子供たちの教育、地域貢献をされている。

サブタイトルに「社会人として大切なことは植物から学んだ」とあるが、「社会人」は「人生」と捉えてもいい。「動けない」植物が懸命に子孫を残すために進化しながら生き、「動ける」私たちは豊かさを求めて右往左往し、時には争いを起こす。

まさに、私も日常で庭の植物を、周囲の山河を観ながら感じていたことだ。素晴らしい冊子を送っていただいた西村先生に感謝。

『社員を大切にするから黒字になる。甘いから赤字になる』近藤宣之・著

今まで多くの会社は「顧客満足」を第一に経営をされてきました。お客様の満足がなければ、商品を買ってもらえない。つまり利益が得られないからです。
しかし、私の経験上、顧客満足は社員満足があってこそ実現されるというのが真実です。
社員満足なしに顧客満足を追求すると、「やらされ感」や犠牲感だけが残ってしまいます。その証拠にもっとも徹底した顧客満足を追求するところが、社員にとってはブラック企業になっている例がたくさんあります。
『社員を大切にするからころ時になる。甘いから赤字になる。』近藤宣之・著
(「顧客満足の前に社員満足が大事」 (p176))

坂本光司氏(元・法政大学大学院教授)の「日本でいちばん大切にしたい会社」に選出され、以前から注目していた(株)日本レーザーの近藤宣之社長(現会長)の書籍。今回、経営者セミナーで直接お話を聴き、出版されている全ての近藤氏の本を読む。

近藤氏の仕事人生の様々な体験を語りながら、得た結論は「社員満足」が経営の原点という信念。クレド(働き方の契約書)、社員の総合評価表、人事制度改革など、具体的な資料も提示され、大いに参考にしたい。

私も会社経営で大切にしてきたのは、経営をオープンにし、社員一人ひとりが目標を持ち、社員の成長が会社の成長、会社の利益が企業存続と社員に還元される仕組みを作り、実行すること。

社員を「大切にする」は、社員待遇を良くし、自主性を高め、公平な社員評価を、というイメージが強いが、それは単に「甘い」こと。「大切にする」には、会社理念(クレド)、社長の信念に基づいた人事評価制度、日々の社員とのコミュニケーションなど、その下地となる社長の行動がベースにないといけない。

もう一つの行き着くところは「社長が変われば、会社は変わる」という事実。経営者として最も重要な心得。肝に銘じないといけない。

『わけあって絶滅しました。』丸山貴史・著

絶滅は、どんな生き物にも平等に訪れます。ということは、今、この本を読んでいるあなたの背後にも絶滅の魔の手がせまっているかもしれないのです。
でも、わたしたち人間には、絶滅に立ち向かうための「武器」があります。
それは、学んで考えること。いろんな生き物が絶滅したわけを知っておけば、これからの地球で生き残っていく方法を思いつくかもしれません。

『わけあって絶滅しました。』丸山貴史・著 今泉忠明・監修
(「だけどやっぱり絶滅したくない」 p12より)

というわけで、この本を読むことにしました、、、、
なんてことはないんですが、絶滅した生き物のイラストに惹かれて気がつけば購入していました。(笑)

滅びたってことなのに、どこかホノボノしてて、悲壮感というよりも精一杯生きたよ!って感じがいいですね。

「絶滅理由ランキング」が面白い。
1位 = 理不尽な環境の変化→火山爆発、隕石、温暖化、寒冷化など
2位 = ライバルの出現→より速く、より頭が良く、より省エネなど。
3位 = 人間のせい→狩り尽くす、環境を変えてしまうなど。

「絶滅の4パターン」も面白い。

1. 油断して→どんな生き物にも、いい時代はある。だけど永遠じゃあない。気をぬいた瞬間、絶滅はもうすぐそこにいる。

2. やりすぎて→生き物は、どんどんしかしていく。その真価が正しいかどうかは、だれにもわからない。ただ、色々極端になると生きにくくなる可能性大。

3. 不器用で→息をしたり、ご飯を食べたり、眠ったり。生きているだけで充分がんばっているんだから、不器用だっていいじゃない。絶滅するかもしれないけどね。

4. 不運にも→今、地球上にいる生き物はたまたま生き残ってここにいる。逆にいうと、絶滅した生き物は、たまたまほろんでしまっただけ。

なんか企業経営にも当てはまりそう。