『武器になる知的教養 西洋美術鑑賞』秋元雄史・著

絵画の鑑賞法として、よく「感じたままに感性で観ればいい」という人がいます。もちろん、何の予備知識もなく偶然出会った絵に、心打たれるような体験をする人もいるでしょうが、多くの場合、何の予備知識もなければ「何を感じていいのかもわからない」状態になるはずです。」
『武器になる知的教養 西洋美術鑑賞』秋元雄史・著」(p216)

美術館常設の絵画や企画展などで、たくさんの絵画を鑑賞する時、「知らない」「分からない」作品と接すると、ただぼーっと鑑賞していることに気づく。

何かもっと楽しむ鑑賞法はないのかと思っていたところ「観たことをその場で言葉にしてみる」という指摘にピンと来た。

本書は、西洋美術史であるルネサンス→バロック→写実主義→印象派→フォーヴィズム→キュビスム→表現主義→抽象絵画→シュルレアリスム→ポップアートの順番で、わかりやすく解説。

さらに、それぞれの時代の代表的な絵画を2つのステップでまとめてあるのがいい。
〈ステップ1 表現で観る〉技法や色彩、モチーフなどのポイント
〈ステップ2 史実で観る〉制作当時の社会や思想的背景などのポイント

「武器」にはしなくても自分の楽しみの「増幅剤」としてオススメ。

『クラシック音楽全史』松田亜有子・著

また、音楽家の役割や名曲が生まれた背景には、キリスト教の誕生や、王侯貴族の没落とブルジョアの台頭、産業革命、民族自決運動、ジャポニズムなど、様々な社会、経済の動きが色濃く反映されています。音楽というフィルターを通じて、新たな世界史の見方もできるのが面白いところではないかと思い、意識的にそうした背景の解説も多く盛り込んでみました。
『クラシック音楽全史』 松田亜有子・著

と言うことで、歴史や時代背景を知りながらクラシック音楽を深く味わいたいという私の思いにピッタリ。

「世界共通のビジネスツール」と帯書きにあるように、音楽ジャンルと作曲家の解説という基礎的な内容だが、改めて(何度でも)、音楽史を俯瞰しながら、音楽を聴くのは楽しいものです。

巻頭の「音楽家年表」と「ウィーン体制(1815年)のヨーロッパ地図」が嬉しい。

「音楽家年表」は、バロック、古典派、ロマン派、後期ロマン派、近現代と続くクラシック音楽の変遷と作曲家が生きた年代一目瞭然。バッハとヘンデルが同年生まれ、ハイドンの年齢とモーツアルトとベートーヴェンの年齢の重なり合いなど、色々と想像してみることができる。

「19世紀のヨーロッパ地図」は、この秋にドイツ、ウィーン、プラハと旅をした記憶を辿りながら、音楽を通してハプスブルク家の強大さとその影響に想いを寄せるのも面白い。

『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』高松平蔵・著

中世の時代は職業や教会が人々をつなぐ中心的な役割を担っていたが、近代以降は「協会」が大きな役割を果たしている。教会と協会とは駄洒落のようだが、協会のことをドイツ語で「フェライン(Verein)」という。ドイツでは地域に根ざしたスポーツクラブがたくさんあるが、これもフェラインのことである。フェラインは「協会」以外に「クラブ」「社団」といった定訳が与えられるが、今の日本の感覚で言えばNPOを思い浮かべると理解しやすい。そのため本書ではフェライン(非営利法人)と書いている。
『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』高松平蔵・著 (p66)

「小さな世界都市」を目指す豊岡市。コウノトリ野生復帰の後は「文化」に注目し、力を入れている。近畿最古の芝居小屋の復元(永楽館歌舞伎)、老朽化した兵庫県施設の利用(城崎国際アートセンター)、音楽祭(おんぷの祭典)、劇団の豊岡移転(平田オリザ氏率いる「青年団」)、県立専門職大学開設準備(観光・芸術の4年制)など、目白押しである。

果たして「文化が町を豊かにするのか」への挑戦でもある。私も大いに関心を持ち、応援していきたいと考えています。

本書では、バイエルン州エアランゲン市(人口約10万人)に住む日本人ジャーナリストが、ドイツと日本の歴史・社会の成立・文化の違いを解説しながら、「元気の秘密」を紹介していく。

特に「企業の地域貢献」、「行政の組織間連携」、「地域資源の発見と発信」、「地域アイデンティを高める文化政策」など、大いに参考にしたい。
ぜひ、一読を。

『フォッサマグナ』 藤岡換太郎・著

その懸念はもっともです。フォッサマグナについて知れば知るほど、日本列島のど真ん中にこのようなものを抱えていたら、いつ地震が起きるのか、いつ火山が火を噴くかと、気が気でなくなってもおかしくありません。なにしろ、フォッサマグナ地域にはいまも活火山である富士山がすっぽりと入っていて、糸静線などの活断層が何本も走っているのですから。
『フォッサマグナ』 藤岡換太郎・著

「その懸念」とは、地殻変動によって生まれたフォッサマグナは、これからも様々な地殻変動を起こすだろう、と言う意味。
「糸静線」とは、糸魚川ー静岡構造線(地質学先駆者・矢部長克が1918年に命名。直線距離で約250km)。

冒頭、筆者は「フォッサマグナって知っているか」と尋ねたら、「誰の名前?」「どこの地名?」、「フォッサマグマ」「ホッサマグナ」など、チンプンカンプンな答えが返ってくる、と述べている。

確かに、「フォッサマグナ」の言葉は大抵の人は、聞いたことがあると思います。日本の中部地方辺りの地質、地形、火山などが関係しているぐらいの知識で。

このブログでも紹介した『激動の日本列島誕生の物語』にもあるように、日本列島の成立ち、そして地殻は動いていることを理解することは、日本の自然災害(地震、台風、豪雪など)の発生メカニズムを知ることになり、災害対策にも重要だ。

著者は、この『フォッサマグナ』に出版に至るまでに、次の3冊の本を出版しているので、まずは、そちらの本を読み、地球の成立ちを理解してから、この本を読むことをオススメしたい。

素人にも分かりやすく解説されていて、地球、地質への興味を惹き付けられる。
全て、藤岡換太郎氏の著書です。

『山はどうしてできるのか』(2012年)
『海はどうしてできたのか』(2013年)
『川はどうしてできるのか』(2014年)
『三つの石で地球がわかる』(2017年)

 

『ベートーヴェンの生涯』青木やよひ・著

その研究の過程で、極めて人間的で徹底した自由人で会ったベートーヴェンの相貌に接した私は、陰鬱なウィーンの場末で生涯を過ごした「陰気で悲劇的な英雄」という従来のベートーヴェン像を一掃したい思いに駆られた。シントラーの捏造やマリアム・テンガーの偽書にもとづいてこうした誤ったベートーヴェン像を世界的に流布したのは、ロマン・ロランの『ベートーヴェンの生涯』に他ならなかった。戦後の一時期、ロランから生きる力を与えられた私にとって、彼を批判することは辛いことであったが、先入観の恐ろしさを自戒するためにも、本書ではあえてそれを行った。
『ベートーヴェンの生涯』 青木やよひ・著(「あとがき」より p289)

今回のドイツ訪問の目的の一つは、ベートーヴェンを訪ねることだった。2年半前の台湾での交通事故により私自身の左耳聴力が半減し、耳鳴りと戦った日々を体験。治療の間、聴力を失ったベートーヴェンの苦悩を思いながら過ごしました。遺書を書いたというハイリゲンシュタットを訪ねてみたかった。

動機はともかく、交響曲第6番《田園》やヴァイオリン ソナタやピアノ ソナタが大好きな曲なのでよく聴いていた。一度、その作曲の舞台となったウィーンへ行き、確認したいと思っていました。

そんな折に読んだのがこの著書。

著者の青木さんは、人生の50年以上をかけて、諸説あり謎とされていたベートーヴェンと相思相愛の女性は誰か、を追い続けた人。執念とも言えるその探求の過程でベートーヴェンの人となりを明らかにしていく。

現地を何度も訪れ、丁寧に貴重な一次資料を解読し、研究者を数珠つなぎのように訪ねた情熱は特筆もの。

ベートーヴェンのファンなら一読すべき、本と言える。

『川はどうしてできるのか』藤岡換太郎・著

直近ではいまから約2億5000万年前にできた「パンゲア」が最後の超大陸で、現在はそれが分裂し、移動している時期に当たっています。
現在、大陸を流れる川は、このパンゲアがあったときにできた川の名残です。この超大陸にはおそらく、想像を絶するような超巨大河川が存在したことでしょう。しかし、パンゲアが分裂すると、超大河は分断されてしまいます。それぞれの大陸を流れる大河は、超大河がバラバラになった断片とも言えます。
『川はどうしてできるのか』 藤岡換太郎・著 (p134)

なんともスケールの大きい内容である。

『山はどうしてできるのか』
『海はどうしてできたのか』

に続く、「どうしてできのか」シリーズの完結編。

もうひとつお薦めは、

『三つの石で地球がわかる』

これら4冊を読めば、「地球」に興味がわきます。
自分の住んでいる地域の川は、山は、そして海は、どうしてできたのか?
それは、どんな特徴で、どんな恵と脅威があるのか?

地形と風景に興味を持てば、旅が格段に面白くなる。
ブラタモリも10倍楽しめる。(^ ^)

「川はどうしてできるのか」は、3部構成。

【川の謎】 不思議な現象を紹介。(13の謎)
・ ヒマラヤを超える川がある
・ 砂漠で洪水を起こす川
・ 黒い川、白い川
・ 平地より上を流れ、川が川を奪う

【川の成り立ち】 多摩川の場合
・ 上流・中流・下流の風景は?

【川の大胆仮説】
・ 天竜川の源流はロシアのウスリー川?
・ 大陸には大河が3本できる?

上記4冊、すべてお薦め本です。

山陰海岸ジオパークへの関心も高まること必至。
みんなで地元の自然を知り、愛し、楽しみたいものです。

『山はどうしてできるのか』〜藤岡換太郎・著

日本を代表する山、富士山についてなら流石に、「火山」や「マグマ」というキーワードを用いて成り立ちを説明できる人は少なくないでしょう。しかし、山は火山だけではありません。日本にはたくさんある火山も、広く世界を見ればさまざまに分けられる山の種類の一つにすぎません。そして日本にも、火山でない山はたくさんあります。
こう言うと、山にはほかにどんな種類があるのか?それはどうやってできたのか?なぜ日本にはこんなに火山が多いのか?なぜ山が多い地域とほとんどない地域があるのか?など、いくつもの疑問が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
『山はどうしてできるのか』 藤岡換太郎・著

日本列島誕生物語から山陰海岸ジオパークの関心を持って以来、藤岡換太郎氏の著作を読むことが多い。

『三つの石で地球がわかる』『海はどうしてできたのか』に続き、今回は「山」。

「山をみるための4つの視点」が面白い。

・ 空間的視点と時間的視点〜さまざまな角度。遠近。100万年単位の時間軸。
・ 地上からの視点〜景観として(渓谷、川、滝、森林、花畑、湖、湿地、温泉など)
・ 海からの視点〜海底から見ると凹凸は極めて大きい
・ 宇宙からの視点〜半径6380kmの地球から見れば、山の見え方は大きく変わる。

目の前の山の見え方がみるみる変わってくる。

『「超」独学法」〜 野口悠紀雄・著

新しい勉強の時代が到来している。
勉強の必要性が高まるとともに、独学で勉強することが容易になった。
ウェブや検索を利用することによって、20年前には想像もつかなかったほど効率的に独学を進めることができる。このチャンスをうまく活かすことができるかどうかで、その人の将来は大きく違うものになるだろう。
『「超」独学法〜AI時代の新しい働き方へ』 野口悠紀雄・著

産業革命以降、日常の生活手段、移動手段など大きく変化した。しかし、その変化の何十倍もの大変化が今起きている。インターネット、IT環境の発達による日常生活の変化である。「学ぶ」ことにも大きな機会が広がっている。

私の好きな言葉
「永遠に生きるかのように学び、明日死ぬかのように生きる」(ガンジー)

充実した人生は「学び続けること」だと思っている。
つまり「独学」。

継続の秘訣は次の4つ。
・ はっきりとした目的を持つ
・ 強いインセンティブを持つ
・ 勉強の楽しさを活用する
・ 時間を確保する

「ブログで発信する」
「教えることは、独学に対する非常に強いインセンティブになる」

2005年から続けている私のブログ「KOH’s VIEW」。
時々、「何のために書いているの?」「何を書くの?」などと考え込む。

その答えの一つに、
自分のインプット(学び)をアウトプット(知らせる)に変えること、つまり「書き出す=知らせる=教える」なんだと納得する。

『海はどうしてできたのか』藤岡換太郎・著

地獄のような原始地球で産声をあげた「猛毒の海」はいかにして変容したのか?46億年の地球史を「海の誕生と進化」で見る空前の第スペクタクル!
『海はどうしてできたのか』 藤岡換太郎・著 (書籍帯より)

以前読んだ『三つの石で地球がわかる』(藤岡換太郎・著)がとてもシンプルに解説してあり、地球への興味の扉を開いてくれました。

と、言うことで藤岡氏の3部作のひとつ「海はどうしてできたか」を読む。

地球の誕生は約46億年前、というのが定説になっている。

海の誕生については、専門知識が必要なので私の理解では簡単に説明できないが、地球史の中でどれぐらいの「時間」がかかったのかという面白い記述があったので、そちらを紹介します。

地球誕生から現代までの46億年間を1年間に換算したものを「地球カレンダー」という。1975年にドイツの地質学者が著書で用いたのが最初だそうだ。

なるほど、1年に換算することで、時間の間隔(距離感)がイメージしやすい。

「地球カレンダー」
1ヵ月  3億8000万年
1週間       8800万年
1日        1260万年
1時間           53万年
1分           8800年
1秒             146年

これで見ていくと、

「2月9日」  海の誕生     (地球誕生から約6億年後)
「2月25日」  生命の誕生      (海誕生から、約1億8000万年後)
「8月3日」  初期超大陸の出現 (海誕生から、約21億年後)
「12月11日」 超大陸パンゲア形成(初期超大陸から、約15億年後)
「12月17日」 パンゲアの分裂  (形成から、約8000万年後)
「12月26日」 恐竜絶滅→哺乳類台頭 (今から、約6000万年前)
「12月27日」 ヒマラヤ山脈誕生   (今から、約5000万年前)

「12月29日」 日本列島の大陸から分離開始  (約3000万年前)
「12月31日午後6時」 現在の日本列島の形になる(約300万年前)

気の遠くなる話ではないか。
地球が形成される過程とその壮大な時間に圧倒される。

『激動の日本列島誕生の物語』〜 NHKスペシャル制作班・監修

この日本列島は、どうやって生まれ、どんなドラマを経て、今の姿になったのでしょうか?
最新科学は、日本列島誕生の”大地のドラマ”を解き明かしつつあります。その結果、日本列島は過去3000万年のあいだに「4つの大事件」を重ねて、今ここに存在していることがわかってきました。
大陸から引きちぎられ、火山島が連続衝突。さらに地球最大規模の噴火が起こり、突如として大隆起しました。どれも地球46億年の歴史の中でもきわめて稀な激動です。私たちが当たり前に目にしている日本の山・川・海は、そんな激動を重ねて創られた”たぐいまれな大地”なのです。
『激動の日本列島誕生の物語』 「まえがき」より
NHKスペシャル「日本列島 ジオジャパン」制作班 監修

以前、NHKの番組で観た「日本列島誕生」がどうしても頭から離れず、気になっていた。その番組制作班が監修したこの本で復習。

地球の歴史の中で、いつ頃、どうやって、日本列島が誕生したのか?

知ると、私たちが生活する自然が、環境が、気候が、さらには食文化が、とても希少で、貴重で、宝物であることが見えてくる。
愛おしくなってくる。

4つの大事件」とは?

第1の事件 〜 大陸からの分離
・3000万年前 大陸から分離が始まる。(プレートテクトニクス理論)
・2500万年前 日本海のもと(大陸の縁が裂ける)
・1500万年前 2つの日本列島ができる(東西がまだ繋がっていない)

第2の事件 〜 火山島の衝突
・1500万年前 東西2本の日本列島に南の火山島が北上し衝突
・      フィリピン海プレートが北上
・      伊豆諸島の火山島が北上
・  500万年前 最後の衝突で伊豆半島が生まれる
・       日本列島が1本に繋がる

第3の事件 〜 世界最大規模のカルデラ噴火
・1400万年前 紀伊半島で超巨大噴火が起こる
・      大地の陥没、巨岩の存在(花崗岩)
・      花崗岩(マグマが固まる)の浮力で西日本の高山が誕生
・      1000〜1500万年かけて10km以上の大地を持ち上げる

第4の事件 〜 山国をつくりあげた『東西圧縮』
・ 300万年前 東日本の大隆起が始まる
・      フィリピン海プレート移動が北から北西に向きを変える
・      太平洋プレートの沈み込みで日本列島が30km西に移動
・      東日本は2km以上隆起し、山々を作る

とても分かりやすく解説されているので、ぜひ本書を読んでみてください。