永楽館案内すれば、そうそう4年ぶりの歌舞伎復活だ

アンティークのハンガーを寄贈しただいた天野豊久氏を案内して永楽館へ。

天野氏は文化服装学院で色彩を専門に教壇に立ってこられた。ファッション関係の仕事でもあり、ご自身も演劇ファンでもあるそうなので、永楽館をご案内しました。

もちろん永楽館の直前には、芸術文化観光専門職大学(CAT)と城崎国際アートセンター(KIAC)にも案内をしました。案内いただいたCATの千賀先生、KIACの志賀館長さまにはお世話になりました。

で、話が一気にワープしますが、今年の永楽館歌舞伎は9月に開催されます。

コロナ禍で3年連続で中止でしたが、4年ぶりに復活することになりました。しかも、第3回豊岡演劇祭の開催期間中と重なるので、歌舞伎ファンも演劇ファンも、これは大いに楽しみな、そして忙しい9月になりそうですね。

“async”  坂本龍一

Ryuichi Sakamoto  ”async” (音声)

1 andata
2 disintegration
3 solari
4 ZURE
5 walker
6 stakra
7 ubi
8 fullmoon
9 async
10 tri
11 LIFE, LIFE
12 honj
13 ff
14 garden

async = asynchronization(非同期)

このアルバムの存在は知っていた。でも聴く機会、いや動機がなかったと言った方が良いかもしれない。asyncのことを語った坂本龍一の言葉を何かで読んでいたので、おおよそ想像がついていた。録音の途中で中咽頭癌を罹患した坂本の世界観、音楽とは?の問いかけなど漠然とだけど。

『音楽と生命』(坂本龍一/福岡伸一)の対談集を読んで、そのきっかけを掴むことになった。

工事や工場の音、街に溢れる騒音、車のエンジン音。ノイズもサウンドも人の声も全ての音が音楽。秩序や完璧な美を追求することを否定すること。YMOのテクノ音楽、端正で美しいメロディの映画音楽を否定することになる。

テクノと完璧な美(ロゴス)の山頂に到達した坂本が見た次の山が『async』(ピュシス)。

『音楽と生命』を読みながら何度も何度もasyncを通しで聴きかえす。
ノイズがノイズでなくなってくる。

Museum SAN〜”Youth”「 青春」安藤忠雄展

Museum SAN(ミュージアム サン)。
S=space、A=art、N=natureの略。SANは、韓国語で「山」を意味する。

ソウルから車で約1時間半、江原道(カンウォンド)西部にある原州(ウォンジュ)の山中にある。2013年5月オープン。設計は建築家・安藤忠雄。総面積は約2万1千500坪と、韓国の美術館の中でも最大規模。

現在開催されている「安藤忠雄展/青春」を見学。(2023年7月まで)

安藤忠雄の青いりんご「永遠の青春」がここにも。兵庫県立美術館と「こども本の森」中之島にもある。米国の詩人サミュエル・ウルマンの「青春」という詩から由来している。

ウォーターガーデンには、アメリカの彫刻家アレクサンダー・リーバーマンの作品、赤いオブジェ「Archway」が設置されてる。

花畑には、彫刻家マーク・ディ・スベロのオブジェ。鳥をモチーフとした作品。風を受けて向きが変わる。

外壁は、京畿道(キョンギド)・坡州(パジュ)産の石。

本館をぐるりと水で囲むウォーターガーデン。水面に山や木々が映り、より美しい佇まいを生みだす。

ストーンガーデンは、慶州(キョンジュ)の古墳を模したもの。所々には、アート作品が展示されている。

安藤忠雄さんとしても、最大規模の建築になるだろう。ソウルから離れた郊外の山々が静かになだらかに連なる。

こんな場所にある壮大なミュージアム。
今回の韓国の旅は、改めて韓国財閥の力を感じる。ブローバルにビジネスを展開し、その利益を、コンサートホール、会議場、美術館などの文化的な施設に莫大な資金を投入する。現在の日本企業では考えられない規模の文化への投資である。

韓国に行けば、ぜひ立ち寄る価値のある施設です。

こちらのサイトも参考になります。(写真多し)

三星美術館 Leeum

三星美術館Leeum(サムスン・リウム・ギャラリー)。

2004年10月のオープン。
スイス人建築家マリオ・ボッタの設計。(Museum 1 陶磁器・古美術)
フランス人建築家、ジャン・ヌーベルの設計(Museum 2 現代美術)

私は2回目の訪問となるが、山の中腹にあるため、美術館全体が眺められない。

エントランスに向かうデッキでは、美術館の入り口の手前に浮浪者が寝ている。。。 いやいや、ここからすでに作品の展示が始まっている。

広くゆったりとしたエントランス。
そこにも浮浪者?
真似している人がいるけど(どこかで見た人)(^_-)

美術館の所蔵品数は、国宝36点、宝物96点を含む古美術、世界の現代芸術家の作品約15,000点。展示物は、先史から朝鮮時代に至る韓国美術の国宝と宝物など、名品120点を厳選して展示。

ニューヨークのグッゲンハイム美術館を想起させる螺旋の階段と窓。ガラスを張り巡らして不思議な空間を作り出している階段。屋上広場にある、空を映し出す特大の凸レンズ。

屋上広場からの眺め。
ちょっと原宿・表参道周辺に似ている感じがする近隣の建物。

ソウル行けば、ぜひ行ってみてほしい 三星美術館 Leeum。

「但馬を踊る」〜但馬コネクション(#65)田村一行氏 舞踏家(大駱駝艦)

今月のゲストは、大駱駝艦の舞踏家・振付家の田村一行氏。

待ちに待った田村一行氏。今年2月の豊岡市民プラザの公演『舞踏但馬風土記 但馬夜話蒐集録』の観劇後、田村さんにお願いをして実現しましまし。

私自身、学生時代に小劇場演劇に夢中になっている最中に「舞踏」と出会った。その時の衝撃は消えることがない。「舞踏って何?」「何がそんなに夢中にさせるのか」という素朴な疑問を抱き続けました。

舞踏の生い立ち、大駱駝艦結成の一幕、そして田村一行さんの舞踏に対する考え、などの思いを語っていただく。第一部の時間90分間を超過して、地域の原風景を舞踏にするアイデアを具体的に語っていただきました。

第2部になっても舞踏の話は尽きない。
参加者皆さんの顔を見ても、とても真剣且つ熱心。終わってみると「舞踏とは?」の質問が虚しく感じる。

詳しい記録は、後日但馬コネクションHPでアップする予定です。

応援します!「がっせぇアート」

『がっせぇアート 応援チャリティー展』が開催されています。

日 時 : 2023年6月9日〜11日 9:30-16:00
会 場 : ショッピングタウンペア(養父市八鹿町八鹿1219)

NPO法人「がっせぇアート」は、アートを通して社会参加に何らかの障害がある人たちを支援する活動をしています。活動の一環として、毎年開催される「がっせぇアート展」への支援を目的としたチャリティ展。

『がっせぇアートの仲間たち』(但馬コネクション プレゼン記録)

がっせぇアートの活動を支援する作家さんや普段モノづくりをしている人たちの作品を販売し、アート展の開催資金に充てられています。

私も毎年楽しみにしているチャリティ展。
手作りでオリジナル、他では見かけない素晴らしい作品が並んでいます。
陶芸品、茶碗、ガラス食器、家具、家庭雑貨、オブジェ、カバン、織物、和洋服など。

明日6月11日まで開催されています。
みんなで行ってみてください。
心温まる掘り出し物がきっと見つかります。

トイレは図書室

棚に本が並んでいる。
ポストイットの解説付き。

「美術でよむ日本国憲法」
「おかん!おかん!」「現代美術は詐欺とちゃうねん!」
「contact Gonzo × やんツー」

?????
美術系の本かな?
ぐらいは判るけど。

なんと、この棚はシェアハウス「江原_101」のトイレ。

住人CAT学生の一人が「最近、トイレの時間が長くなってる」と言った意味が判る。
みんなアートに興味があるんだ。さすが、さすが。

こんな本が並んでいるトイレって、素敵ですね。

今年もやるよ、劇団「遊学生」

昨年9月に「立光寺」(豊岡市日高町江原)で演劇公演『地獄変』を行なった東大生、慶大生の劇団「遊学生」がやってきた。今年も9月10日、11日の2日間で同じ「立光寺」で公演を行う予定。

今回の訪問は、今年の現役生たちが会場となるお寺さんや江原区長さんにご挨拶するのが目的。夕方には昨年のOBたちも加わって我が家で夕食パーティとなった。

東京から総勢9名。シェアハウス「江原_101」に住むCAT学生たちも合流。演劇や共通の話題など学生同士で会話が盛り上がる。劇団「遊学生」と江原101の学生とでコラボしよう、などの話も出たようだ。

「遊学生」江原公演の後に豊岡演劇祭が始まる。今年も ”熱い9月” になりそうだ。

「すぐそこに演劇があるまち」(豊岡市ガイドブック)

豊岡市のガイドブック「すぐそこに演劇があるまち」が面白い。

表紙からしてグッと惹き付けられる。今春、演劇のまちづくりを標榜する豊岡市が現在取り組んでいる活動や施設を紹介する冊子。市民の理解を得るのはもちろんのこと、Uターンや移住を検討している人たちへのアピールを狙っている。

「城崎国際アートセンター」(KIAC)「芸術文化観光専門職大学」(CAT)「江原河畔劇場」などの演劇関連施設と共に、CAT学生たちが生活するシェアハウス「江原_101」も紹介していただきました。

衝撃の表紙なので、やはり表と裏を開いてご紹介したい。

昨年9月、豊岡演劇祭公演『最後の芸者たち』(ハイドロブラスト/太田信吾・竹中香子)。私もKIACで観劇しましたが、最も印象に残った演目の一つ。太田信吾さん「芸者文化の未来を探る」、竹中香子さん『身体を「記録媒体」として活用する』のメッセージ。すっかりファンになってしまいました。

さてさて本題(?)のシェアハウス。
昨年8月にオープンしたCAT学生のシェアハウス「江原_101」(豊岡市日高町江原101)を紹介していただきました。

近所にあった空き家を改修。それぞれの個室、2階部分を吹き抜けにしたスタジオ、みんなで集まって料理をしたり談笑できるキッチンスペースを完備。

相手希望により購入した空き家、一緒に住もうとしている学生5人組、改修設計できる建築家との偶然の出会いとタイミングで実現しました。

共有部分は学生たちの憩いの場であり稽古場。今後は、住んでいる学生が中心になって地域の人や学生たちを招いてイベントも企画する予定。今年の豊岡演劇祭でのフリンジや演劇ファンの人たちの交流できる場としても提供できればと考えています。

すでに、但馬コネクションをこのスタジオを利用して開催しています。

学生たちが卒業後も自由に戻って来られる場所となるのが一番の楽しみです。
どうぞ、一度立ち寄ってみてください。

突然の公演が素晴らしかった。会場は「江原_101」

突然の案内には「4月に制作を決意した作品の完成の目処が立ったので公演日程をお知らせします」とある。芸術文化観光専門職大学(CAT)のミズキ君から。公演場所はシェアハウス「江原_101」。作品タイトルは『帰依と忘却』。

開演時間までの間に、来た人からマッチを擦って線香に火をつけ立てる。準備されたノートに名前を記入する。

席の座布団に座る。目の前にあるのは、天地ヒックり返したガラスの水槽。プロジェクターが水槽に向けてスタンバイ。19:00開演。観客で立てた線香を逆さの水槽の中に入れ、煙が水槽の中に充満して行くのを見ながら劇は始まる。

作・演出・出演は、ミズキ君。映像に撮った全裸のミズキ自身が水槽の中の煙に映り出される。(事前に、実際にこの水槽に身体を折り畳み全裸で撮った映像)手前と奥のガラスに反射する光と煙に映り出される全裸の身体が絡み合い、ちゃんと聞き取れない音量にしたミズキ君のセリフが聞こえてくる。お経のようでもある。

何かが加わるわけでもなく、ただ静かに静かに45分間、なんとも不思議な時間が流れる。最後に水槽から出る映像のミズキ君が映って公演は終わる。

4月に亡くなったミズキ君の祖母の帰依、そして母への感謝をモチーフにしたという。シュールでアバンギャルドな作品だ。頭で理解するものではなく「何を感じるか」。
ひょっとしたら「突然の案内状が届く」ところから作品が始まっていたのではないか。

私にとって、とても興味深く、好きな公演でした。
なかなかやるぞ。