『武器になる知的教養 西洋美術鑑賞』秋元雄史・著

絵画の鑑賞法として、よく「感じたままに感性で観ればいい」という人がいます。もちろん、何の予備知識もなく偶然出会った絵に、心打たれるような体験をする人もいるでしょうが、多くの場合、何の予備知識もなければ「何を感じていいのかもわからない」状態になるはずです。」
『武器になる知的教養 西洋美術鑑賞』秋元雄史・著」(p216)

美術館常設の絵画や企画展などで、たくさんの絵画を鑑賞する時、「知らない」「分からない」作品と接すると、ただぼーっと鑑賞していることに気づく。

何かもっと楽しむ鑑賞法はないのかと思っていたところ「観たことをその場で言葉にしてみる」という指摘にピンと来た。

本書は、西洋美術史であるルネサンス→バロック→写実主義→印象派→フォーヴィズム→キュビスム→表現主義→抽象絵画→シュルレアリスム→ポップアートの順番で、わかりやすく解説。

さらに、それぞれの時代の代表的な絵画を2つのステップでまとめてあるのがいい。
〈ステップ1 表現で観る〉技法や色彩、モチーフなどのポイント
〈ステップ2 史実で観る〉制作当時の社会や思想的背景などのポイント

「武器」にはしなくても自分の楽しみの「増幅剤」としてオススメ。

南砺市(富山県)と豊岡市は共通点がたくさん

田中幹夫 南砺市市長(右側)

南砺市の田中市長を豊岡でお迎えする。

私にとって今年最大(まだ1ヶ月残っているけど確定している)の出来事は、4月に演出家・鈴木忠志さんとお会いできた事。40年余り前、早稲田小劇場の大ファンであった私にとって、鈴木忠志さんは憧れの的。まさか、豊岡でお会いできるとは思っていませんでした

(話せば長くなるので途中省略)9月には、鈴木忠志率いる「劇団SCOTサマーシーズン公演」観劇のため利賀村(富山県南砺市)へ行く。利賀村では、南砺市の田中市長にお会いし、たいへんお世話になりました。

田中市長曰く、「南砺市と豊岡市にはたくさんの共通点がある」と。

演劇(利賀村と城崎国際アートセンター)、スキー場、ボート競技場、市町村合併(8町村合併と1市5町)、温泉、食文化(蕎麦や栃もち)などなど。

今年初めてお会いさせていただいたにも関わらず、気さくな方で楽しい会話が弾む。

世界遺産「五箇山」合掌造り集落

来年(2019年8月23日〜9月23日)には、日本/ロシア共同開催が決定した「第9回シアター・オリンピックス」が、この南砺市利賀村と黒部で行われる。

豊岡市に引っ越してくる予定の平田オリザさん率いる「青年団」の出演も決定している。ぜひ、来年は豊岡市の仲間と一緒に、利賀村を再訪したいと思っています。

演劇に、ボートに、食文化に、お互いに情報を交換しながら、このご縁を大切にしていきたい。

“BOHEMIAN RHAPSODY”〜クイーン(Queen)を豊劇で

“Bohemian Rhapsody” ポストカード

今、話題の「ボヘミアン ラプソディ」(Bohemian Rhapsody)鑑賞。ボーカルのフレディ・マーキュリーの人生を描きながら、クイーンがスターダムにのし上がっていく過程を描いたミュージック・エンターテイメント。

クイーンのメンバー4人のソックリさんを揃えた俳優陣にまずびっくり。フレディ役のラミ・マレック(Rami Malek)は、役作りに1年をかけたという。確かに、本物のフレディかラミ・マレックか判らないシーンがいくつかあった。

残念ながら、生(なま)フレディをライブで見た事はないけど、2014年の「クイーン+アダム・ランバート(Queen + Adam Lambert Live in Japan)の来日公演に行った。ギターのブライアン・メイ、ドラムのロジャー・テイラーは健在。ボーカルは、アダム・ランバート。なかなか迫力があって素晴らしいステージだ。

伝説のフレディとアダムを比較するのはナンセンス。ブライアンのギターは、現役クイーン時代のフレーズそのままに、メロディアスでエモーショナル。忘れられない武道館コンサートとなった。

豊劇で「ボヘミアン・ラプソディ」ってのもなかなかの組み合わせ。

フレディに自分の青春時代を投影して鑑賞している人が多そう。かく言う私も1970〜1980年代の自分や取り巻く世界・日本の状況を思い出しながらの鑑賞であった。

「第11回 永楽館歌舞伎」〜新たな歴史を重ねる

「今年も永楽館歌舞伎がやってきた」。

このフレーズって「昔、お祭りにサーカスやお化け屋敷がやってきた」みたいで、今私の気持ちがうまく表れていると思う。

片岡愛之助、中村壱太郎のコンビは第1回目からずっとこの永楽館歌舞伎に出演。と、言うよりもこのお二人の成長と人気上昇と共に永楽館がここまで来られたと言った方が正しいだろう。

例年は11月初旬の1週間だが、今年は京都南座での顔見せ興行があるので10月のこの時期になった。

昨年10年の節目を終え、新たな次の10年が始まる。

今年の演目は、
『御所桜堀川夜討〜弁慶上使』
『神の鳥』

弁慶上使は、義太夫狂言の人気演目。愛之助さんにとって初役。弁慶を上方役者が演じるのは38年ぶりという。忠義のために娘の首をとる、夫婦、親子の情愛、家臣が自害する忠義。地味だが、歌舞伎らしい物語の演目である。

『神の鳥』は、(こうのとり』と読み、ご当地・豊岡市のシンボル。水口一夫氏 作・演出の創作歌舞伎。過去10回で上演された22演目の中から人気投票(公募)で選ばれたアンコール上演。出石神社を背景に、優雅な舞踊、愛之助さんの早替りなど、華やかな歌舞伎衣装が舞台で舞う。

今回、初「永楽館」の大谷佳三さんは、妻の大学時代の同級生。受付横には、妻が大谷さんに贈ったお花がありました。

ドレスデン〜東ドイツ復興の町

ドレスデン駅に到着。
プラハから鉄道で再びドイツへ。
(鉄道の旅は本当に楽しい)

ホテルにチェックインして、さっそく散策へ。

ツヴィンガー宮殿。
17世紀、ザクセン王フリードリッヒ・アウグスト1世(アウグスト強王)の時代に建てられる。バロック建築。

 

ツヴィンガー宮殿内にある「アルテ・マイスター絵画館」へ。

『聖母子と聖ヨハネ』(ボッティチェリ)

『The Virgin and Child with the Young Saint John the Baptist』
(ボッティチェリ)

『遣り手婆』(フェルメール)

ヤン・ブリューゲル(父)

ツヴィンガー宮殿を出てエルベ川へ向かう途中にある「三位一体大聖堂」。
ザクセン州最大の教会建築。
亡きアウグスト強王の心臓が銀製の小箱に保存安置され、美女がそばを通り過ぎると鼓動を始めると伝えられている。

レジデンツ宮殿の中庭には『君主の行列』が描かれている。
戦災から奇跡的に残った。

第2次世界大戦の空襲で壊滅したドレスデン。ツヴィンガー宮殿も教会も破壊された瓦礫を使って再建され、それは今も続いているという。

アートなウィーンの1日〜ヴェルヴェデーレ宮殿

ベルヴェデーレ宮殿。

1752年に、ハプスブルク家のマリア・テレジアの手により夏の宮殿ととして利用される。バロック建築様式の宮殿。この宮殿の一角には、作曲家ブルックナーが過ごした家もあると言う。

宮殿からはウィーンの中心部が一望できる。

『ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト』

全ての絵画の写真撮影OKと言うことで、ダヴィッドのナポレオンの前でパシャ。

ジャック=ルイ・ダヴィッド(1748年〜1825年)は、フランスの新古典主義を代表する画家。

 

「ユディト」

グスタフ・クリムト(Gustav Klimt, 1862年〜1918)。ウィーンの世紀末絵画を代表する画家。

「接吻」

題名は?(宿題)

エゴン・シーレ(Egon Schiele 1890年〜1918年)。

グスタフ・クリムトらのウィーン分離派、象徴派、表現主義の影響を受けつつも、独自の絵画を追求した画家。

(宿題)

モーツアルト像

オペラ座のあるKarlsplatz に戻って、周囲の公園を散策。

ゲーテ像の前でパシャ。

セセッション館は、残念ながら休館でした。

ウィーン分離派(セセッション)の展示施設。建築家ヨゼフ・マリア・オルブリッヒの設計により、1897年から1898年にかけて建設。

ミュンヘンの秋はアートから

朝5時に起床。ミュンヘン郊外の閑静な住宅街。

Langenback駅まで徒歩3分と抜群に便利な、だけど静かな街。
朝8時30分の電車で出かける。

ミュンヘン駅に到着寸前。高層ビルはほとんどなく、広々とした印象だ。

9時過ぎにミュンヘン駅に到着。
ビジネス通勤の時間帯のはずだけど、ネクタイ姿はほとんど見かけない。スタンドのサンドイッチやコーヒーを販売している店があちこちに。

まずは、アルテ・ピナコテーク美術館へ。
ミュンヘン駅からバスで10分ほど。

1836年、ルードヴィッヒ1世の命により創立。

作品は、15〜18世紀の絵画を中心に収集展示されている。

宗教絵画がほとんど。

ドイツの画家デューラーの自画像。

海外の美術館は、写真OKというのが多いが、素晴らしい貴重な絵画を観ると本当に良いのか、と躊躇してしまう。

作品の前で何やら集まって解説する姿がある。

お目当はこれ。
フェルメール。
日本だと長蛇の列に沿って移動しながら数秒鑑賞すると言った光景を想像するけど、こちらでは、ゆっくりと解説を聴きながら鑑賞。

これでもかと作品が並ぶが、高い天井のせいか、ゆったりと鑑賞できるのが凄い。

『ロングナイト・デイ 10月20日、19〜2』

つまり、日を設定して夜の7時から深夜2時まで美術館がオープンしている。こういうところにも美術を楽しむ文化の深さを感じる。

おおやないちにち〜久しぶりの土壁と木彫

古民家の宿(大屋大杉)

「大屋(養父市大屋町)の土壁が見たい」と富田玲子さん(象設計集団)。自宅の建築設計をしている時に、大屋の養蚕農家の土壁集落をよく訪れた。

大杉、筏、和田などの集落、そして明延鉱山跡まで足を伸ばしてぐるっと大屋の土壁鑑賞。

会場(おおやホール)

ちょうど、今年で25回目を迎える「木彫フォークアートおおや」展が開催されていたので鑑賞。地元の木彫家・松田一戯さんが中心になって、木彫の町として大屋は有名に。現在は全国から木彫の作品が集まる。

来場者にアンケート用紙が配られ、大衆賞の人気投票も行われている。楽しい作品がいっぱい。選ぶのに困ってしまうほど。

最優秀グランプリ作品「おおやの森の物語より 第1章創世記」

これが今年の最優秀作品。
「おおやの森の物語より 第1章創世記」
作者は、仲間智登志さん(北海道)。

木彫でこの表情を表現。味がありますね。

「温狐知新」

私が選んだのは、こちら。
「温狐知新」。「故」が「狐」になっているところもピポ〜ン。
ちょっと近眼っぽくて、読んでいる姿勢に愛嬌があって気に入った。

「脳トレ」

こちらも捨てがたい。
タイトル「脳トレ」が面白い。

松田一戯さん、富田玲子さん と。

「おおやアート村BIGLABO」に行くと、

「BIG LABO SOKO ギャラリー 2人の木の造形」
(作者:松田一戯・池田丈一)

久しぶりにお会いした松田一戯さんと一緒にパチリ。

松田さんの作品群に大いに魅せられた様子の富田さん。
思えば、象設計集団の建築(特に学校や保育園)に松田さんの作品はよく似合う。

ゆるゆる、ゆったりとした大屋の散策でした。

利賀村(その2)〜演劇の舞台・建築・施設

円形劇場

『世界の果てからこんにちは』の舞台になった「円形劇場」。

設計は建築家・磯崎新氏。

ギリシャ悲劇が演じられたギリシャの円形劇場がモチーフになっているのだろう。観客席から見た舞台の後ろには池。池の向こうには、向こう側の山が背景となっている。ちゃんと利賀村なのである。

新利賀山房

こちらは「新利賀山房」。
こちらも磯崎新氏の設計による。

この会場で行われるイベントの開始を待つ観客。
山に囲まれ、利賀村の茅葺き屋根に合わせた外観は、まるで村の祭りを見物に来た人たちにようだ。

総合案内所。開演を待つ平田オリザ氏、中貝豊岡市長夫妻と妻。

利賀芸術公園の中央にある「総合案内所」。
SCOTのオフィス、休憩所、トイレなどが集中して設置してある。

戸建になっている宿泊施設

ユニークなデザインの宿泊施設。1階部分は駐車場にも、テーブル、ベンチを置いてミーティングもできそう。ドアから中に入って2階に一部屋がある。

ゲストハウス

演劇祭のシーズンには、世界から多くのアーティストや演劇関係者やファンがやってくる。舞台ばかりでなく、長期滞在型の宿泊施設は必須。

地元行政や経済界からの支援の積み重ねか。インフラの整備は一朝一夕でできるのものではない。40年の歳月の重みを感じる。

鈴木忠志トーク(新利賀山房のステージ)

チラシには「毎夏恒例、鈴木忠志が観客の皆さんのどんな質問にも答えます」とある。

出だしから、「はい、質問は?」で始まるのでびっくり。

満員の会場のアチコチから手が上がる。鈴木さんがアトランダムに指を差して質問者を決め、その問いに答える。

「女優の声の低いのはなぜ?」「異なった言語(中国語、マレーシア語、日本語など)で演じる芝居の意図は?」「後継者は?」など具体的でストレートな質問が立て続けにでる。

全ての質問に真摯に答える鈴木氏。
具体的な質問ではあるが、その背景、その奥に潜む本質を語る鈴木氏。

結果として、鈴木忠志の演劇論、日本論、世界観そのものが浮き上がる。

利賀村(その1)〜多くの出会いに感謝する夜

豊岡を出発して、富山県南砺市利賀村に到着したのは翌日の午後。
チェックインして宿泊する「天竺温泉の郷」の部屋から見た夕焼け。

『世界の果てからこんにちは』のシーン。
円形劇場に花火があがる。

右側には、YKK(株)の吉田忠裕氏、その向こうに平田オリザ氏。

超満員の円形劇場。
事前の予約が必要だが、ともかくやって来た熱烈ファンのために数十名の人たちが立見で見学。

手前から田中幹夫氏(南砺市市長)、邑上守正氏(前武蔵野市市長)、村椿 晃氏(魚津市市長)

まだかまだかと開演を待つ観客。

南砺市市長の田中氏は利賀村出身。
鈴木忠志率いる早稲田小劇場が引っ越して来た時は中学生だったそうだ。

『世界の果てからこんにちは』の終演後は、観客全員に樽酒が振る舞われる。

鈴木忠志さん、YKK(株)吉田忠裕氏、1970年代に東京で観た早稲田小劇場時代からの役者蔦森皓祐氏との夢のようなツーショット。

観劇やパーティでご一緒させていただいたYKK(株)取締役の吉田忠裕氏。YKK(株)の2代目社長として世界70ヶ国に進出する大社長。

今年3月に経営の第一戦はバトンタッチされ、現在は富山県の地域振興に力を注いでいらっしゃる。

来年、利賀村と宇奈月温泉を舞台に開催される「シアター・オリンピック2019」の実行委員会の会長。

吉田氏のお考え、実行力、そしてそのお人柄に大きな感銘を受ける。
経営者として、そして人生の先輩として「人間力」の大切さを学び、これからの私の行動に大きな刺激を受けました。

夜公演のあとは、劇団SCOTの関係者、役者さんなどとの交流会。

鈴木忠志さんとの再会、早稲田小劇場で観た芝居との再会、利賀村を支援する地元市長さんたち、平田オリザさんや演劇人の人たちとの会話。

嬉しさと感動の長い1日がやっと終わろうとしている。