神は細部に宿る〜『松泉館』の左官とステンドグラス

暖炉上部の棚部分

まさに『神は細部に宿る』(God is in a details.)。

昨日見学の「松泉館」の感想。
左官の久住章さんの真骨頂。ご本人からその技法、土の種類、その他材料、直接説明を聞きながら見学する。しかし、目の前の現物に圧倒されつつメモすることもできず、記述できないのは残念。(申し訳ございません)

蔵に通じる廊下の壁

かろうじてメモしたのが「切り返し仕上げ」。
中塗りと仕上げ塗りの中間の工法。この頃合い加減がセンスの問題。
まさに細部である。

ステンドグラス

こちらはステンドグラス。
鮮やかな色のガラスの向こうが透けて見える。
ステンドグラスを透かして外を見るのは始めてだ。

画像をクリックして見てください。

今回の修復(改築)で新たに設えたステンドグラス。
厚さ20cm近くある土壁の部屋の開いた直径20cm足らずの小さな窓。
この部屋は子供たちの図書館であったり、ミニコンサートができる落ち着いた空間。

一つひとつの細部が全体を造り上げる。
「松泉館」に現在から未来へ向けて新たな価値が宿されていく。

『松泉館』〜大正〜令和に継なぎ育む美意識

松泉館玄関 (若林純仁理事長)

『松泉館』(神戸市灘区宮山町3丁目)を訪ねる。
7年に渡って修復工事を請け負っている左官の久住章さんから、丹波佐官組合の見学会に便乗する形でお誘いいただいた。

『松泉館』は、造り酒屋「忠勇」創業の若林家が1921年(大正10年)に建てた建物。
現在、敷地内にある「学校法人松泉館 六甲幼稚園」を経営。理事長であり、オーナーの若林純仁氏から建物の説明をしていただく。

華やかさもありながら、落ち着いた趣がある漆喰壁

久住さんの解説が始まる。
玄関前の永源寺石の石畳。滋賀県東近江市を流れる永源寺川の石。京都に運ばれて庭石として使用される。すでに手に入らない貴重な石。

永源寺石は、鉛の鉱石(方鉛鉱)の輝きのある銀白色と緑色が特色。マンガンを含むバラ輝石はピンク色が入り混じる。

『清酒 忠勇』
残っている当時の広告看板が飾ってある。

工事を請け負ったのが長尾 健氏(株式会社いるか設計集団代表)、家具を納めたのは永田 泰資氏(永田良介商店6代目)。縦長のアンティークな窓は、まるでブルーの椅子の背もたれのよう。

画像クリックして見てください。

これだけの表情を見せる土。
それを表現していく匠の技。
まさに久住章さんの真骨頂。ただ圧倒される。

勝手口の床のタイルは建築当時の大正時代のもの。洗面台に使用されているタイルはガラスタイル。

松泉館の裏手にある蔵。こちらの修復も久住さんが手がける。

随所に優れた左官技術が施されている。
見学を終えて久住さんは「50年後にこれらの左官技術を継承していけるか心配だ」とも。
この「土と左官」必ずや継承していかなければならないと強く思う。
久住さんが私に語ってくれた言葉「大切なのは美意識やで」。
我が家の「久住語録」に加えておかなければ。

サギに注意?

散歩がてら、ガンピー(食品スーパー)に江原駅通路を抜けて徒歩で買い出し。いつもは車から見るセメント会社の車庫の上にアンテナが立つ?

そんな訳ない。
よく見ると首をピンと天に伸ばし直立不動の鳥だ。
私を発見してじっとやり過ごそうとしているのか。

エッフェル塔ではあるまいし。

シラサギではないか。

【注】白鷺(シラサギ)= 全身がほぼ白いサギ類の総称。日本では、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギ(冬の白羽)などが該当する。

David Crosby 追悼

David Crosby “CROZ”

「デヴィッド・クロスビー 1月18日 死去、享年81才」のニュースを目にする。
先日のジェフ・ベックに続き「みんな、いつか」なんだけど、また。

1960年代、アメリカ西海岸でスタートしたバーズ(The Byrds)のメンバーとして活躍。脱退後、一世風靡した「クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング」(CSNY)で活動。その後、ソロ活動。

クロスビーのアルバム「CROZ」(2014年)や初期の「If I Could Only Remember My Name」(1971年)など、新旧クロスビーのソロアルバムを聴くのが最近の楽しみだった。クロスビーのミステリアスなメロディと和音がお気に入り。

“Deja-Vu”(音声)や“Long Time Gone”(音声)などクロスビーの曲がなかなかいい。

CROSBY, STILLS, NASH & YOUNG “4 WAY STREET”

バーズ脱退の後の1969年、バッファロー・スプリングフィールド(Buffalo Springfield)のスティーブン・スティルス(Stephen Stills)、イギリスのロックバンドのホリーズ(Hollies)のグラハム・ナッシュ(Graham Nash)とCrosby, Stills, Nash(CSN)を結成、それにニール・ヤングが加わってCSNYとして活動。WoodStockコンサートにも出演する。1970年代を代表するスーパー・バンドとして一世風靡。私の大好きなCSNY(Crosby, Stills, Nash & Young)。
“4 WAY STREET”(音声)は、何十回(何百回?)聴いたことか。

安らかに、デヴィッド。


カラテア・オルナータ “サンデリアーナ”〜強烈な印象

カラテア・オルナータ”サンデリアーナ”(クズウコン科)
葉の裏面は、鮮やかな赤紫色
原産国:ギアナ(熱帯/亜熱帯)
耐陰性(直射日光を嫌う)
高温多湿を好む/葉水(霧吹き)

ドキッとする色と艶。
観葉植物初心者の私としては、買うべきか見合わすべきか。
一瞬、躊躇する強烈な存在感。
調べるにつれて、素性がわかり、どんな風に育つのか興味が湧いてきた。

呼び名は、カラテア・オルナータと言う方が一般的なよう。
カラテアは、個性的な模様が入る葉を持つ植物。原産地には約300種類ある。
オルナータは、ラテン語で美しいと言う意味。

”サンデリアーナ”は、「ドラセナ・サンデリアーナ」と言う植物があり、こちらはリュウゼツラン(キジカクシ)科の仲間。和名「開運竹」「万年竹」「富貴竹」とも言われ、全く別の品種。

カラテア・オルナータ”サンデリアーナ”と言う呼称は、どう理解したらいいのだろう?
(ネットで調べたが、ここまでしかわからない)

遅がけの新年会

若手のアーキテクト・コレクティブ(建築家集団)Garage(ガラージュ)とその仲間たちとで遅がけの新年会。

彼らとは、一昨年よりお付き合いが始まる。ドーモ・キニャーナ(自宅)を案内したり、これまでの建築に関するお互い(施主として、建築家として)の経験やキャリアのお話をしたり聞いたり。

2022年の1月には、空き家をリフォームしてシェアハウスを企画、設計、施工管理のプロジェクトをスタートさせる。2022年7月にオープンした「江原_101」がそれである。これは入居する予定の芸術文化観光専門職大学(CAT)の学生たちの意見も取り入れながら進めるユニークな経緯を辿って完成。地域にこの小さな波紋が広がっていくことを願っています。入居している学生たちも積極的に学び、創作活動を行っている頼もしい若者たち。卒業してからも戻って来られるそんな拠点になれば嬉しい。

年末から「飲みに行こうね」と約束していたのだが、それぞれ予定があってなかなか実現しない。やっとGarageのメンバーとその仲間たちが全員揃ったので実現。活きのいい刺身を前に生ビールで乾杯!

ラセンイ(螺旋藺)〜漢字でわかる素性

ラセンイ

ベランダのリフォーム(未だ工事進行中だが)で広くなった屋内で植物を育てるプロジェクト開始。約20年前にも育てていたのですが、冬の寒さと管理の不味さで一度枯らしてしまった苦い経験がある。再チャレンジなのです。

ラセンイ
風変わりな姿と名前。それだけで衝動的に購入。
原産地はどこだろう?花は咲くのかな?何も知らずに。

本棚にある観葉植物図鑑とインターネットで検索し調べてみる。

漢字で書くと「螺旋藺」。文字通り、クルクルと巻いた茎が「螺旋」。畳表(たたみおもて)に使われる藺草(いぐさ)の「藺」。合わせて「ラセンイ」(最初はフランス語風に「ラ・センイ」かな、と思っていた)。イグサ科の変異種。

ま、こんな風に植物を育てながら調べてみると、知らないことを新しく知る楽しさもあって面白い。

他の観葉植物も調べながら、やがて “KOH’sVIEW 植物図鑑”にしてみたい。

みんな一緒にやる(参加する)建築

この場合「参加する」とは、左官の久住章さんの手ほどきを受けながらモルタルを塗る左官職人、それを見学する建築家、工務店の担当者、設計の応援に駆けつけたスタッフ、ただただどんのになるのかなと期待と不安で見守るオーナー。みんな関わりながら工事は進む。

30年前にも、象設計集団の設計監修の基でドーモ・キニャーナを建築している時も、久住章さんと一緒に囲炉裏の漆喰を手で擦りながら仕上げを手伝ったり、窓ガラスに障子紙を貼る作業、ほんのちょっとした小さな作業だけど、その後、関わったことによる愛着は時間の経過とともに増してくる。当時小学生だった私の息子たちも30年経っても強い愛着を持っているようだ。「一緒にやる」って凄いこと、大切なこと。

ステンレスのメッシュを留める針金を折り曲げる。やらなくてはならない訳ではないけれど、やりたくなってくる。

浴槽に貼るタイルを検討する。濃淡複数の色のタイルの割合とその順列を検討している。まさかタイルをこんな風に決めて行くは。他ではおそらくないこと。それを自然体でやっている。

『但馬夜話蒐集録』〜舞踏 但馬風土記

昔 昔 その昔 も一つ昔のその昔
囲炉裏をかこむ人の影 雪と風が集めた物語
遠坂峠の涙雨 ながいながい冬の夢
但馬百日ぁ雪の下 冬の寒さを寝て忘りょ

大駱駝艦・田村一行舞踏公演が今年もやってくる。

「やってくる」ってのは、まるでサーカス団がやってくるような。
ウキウキもするし、どこかドキドキ感もある非日常の体験を恐る恐る待っている感覚。

豊岡市民プラザは、自主事業として2018年より大駱駝艦の田村一行さんを招いて但馬を主題とした舞踏公演を継続して行っている。私はその第2回目より連続してこの舞踏公演を欠かさず鑑賞。毎年楽しみにしている。(こんな舞踏が豊岡で観られるとは、あっぱれ市民プラザ!)

舞踏は、学生時代(1970年代)に笠井叡の舞踏公演を観たのが初めて。それはどんなアート(パフォーマンス)の初体験よりも衝撃的で、私を虜にした。笠井叡の自宅のアトリエ天使館(東京都国分寺市)での舞踏は忘れられない。自らピンク・フロイドのレコード『原始心母』(Atom Heart Mother)(音声)に針を落としながら舞う。まさに迷宮の空間だった。

話を戻します。

田村一行さんの豊岡市民プラザ公演は、大駱駝艦の舞踏家と市民舞踏団(市民から募集)とで行われる。私は公演の中での学生服姿の田村一行さんが好きだ。(今年はどんな展開になるのか)

今日、市民プラザに行ったついでに、チケットを購入。ちょうど公演前の市民舞踏団との稽古に田村一行さんがいらっしゃると聞いたので、リハーサル室に立ち寄り、公演を楽しみにしていますと伝えました。

舞踏 但馬風土記 『但馬夜話蒐集録』
2023年2月12日(日) 14時開演
豊岡市民プラザ

一般2,000円 大学生1,000円 高校生以下 無料