新作能『田道間守』〜豊岡市民プラザ

田道間守(豊岡市民プラザ公演・資料)

九十年春二月庚子朔、
天皇命田道間守、遺常世國、
令求非時香菓。
香菓、此 云箇倶能未。
今謂橘是也。

九十年の春二月の庚子朔(一日)に、天皇は田道間守に命じられ、
常世の国に派遣して、非時香菓を求めさせられた。
今、橘というのはこれである。

日本書紀 第六巻より

新作・初演は、2014年、この豊岡市民プラザであったが、私は見逃したので、今回の再演を楽しみにしていた。

第一部、仕舞には、梅若実(四世・人間国宝)、観世喜之(三世)、林宗一郎。

第二部、「田道間守」には、観世喜正、田茂井廣道、神美小学校の生徒たち。

なんとも豪華な出演者です。

私にとって「能」の鑑賞体験は少ない。
身体表現としての能には、とても興味がわくが、
楽しかった、良かった、心底思えたことはあまりない。

今回の公演資料には「上演台本」があり、それを頼りに物語と演者の言葉を追いかけながら鑑賞。感情移入の入り口に立ったような気分が味わえた。

これをきっかけに、「能」にも近づければと思う。
何と言っても、日本文化を代表する芸能でもあるのだから。

観客はカジュアルで気軽な雰囲気。子どもたちも鑑賞している。
「能」に対して、もっと身近に接することが大切なのかも知れない。

但馬外の友人が豊岡に来たら、いつも案内する場所、説明するお話。
菓子の神社「中嶋神社」、そして田道間守(たじまもり)の伝説。

豊岡には、パフォーミング・アート(演劇・ダンス)、歌舞伎、音楽祭が根付きつつある。
そこに、菓子の神様「中嶋神社」「田道間守」というコンテンツが加わる。

伝統芸能と現代アートと音楽の共存する「豊岡」の可能性を感じる。

 

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