逸翁美術館〜小林一三翁を訪ねて

逸翁美術館の外観

逸翁美術館(大阪府池田市)で開催されている開館60周年記念展に行きました。

逸翁美術館は初めてなのですが、山の斜面の閑静な住宅地にあり、周囲の景観と馴染んだ立派な建物、設備に感心しました。さすが、阪急文化財団の運営ですね。

開館60周年記念展チラシ(阪急文化財団)

開催されていたのは「未来につなぐ和の意匠力」。

日本人が共有する美に対する意識、造形感覚がテーマ。絵画や工芸品、陶器、茶道具の文様や意匠を通じて鑑賞しながら、その原点を探る。

「平明」〜 須恵器などはるか昔の姿やシンプルな図柄
「静寂」〜 「あわれ」「わび・さび」余白の静寂を愛おしむ作品
「遊楽」〜  華やか、煌びやか、祭礼の抱く感興

縄文・弥生時代の器と現代の作家の作品が並べられたり、時代を超えて共通にもつ日本人の美的感覚を感じることができた。

小林一三が実際に住んだ家。2階には、書斎、奥様の部屋。

美術館から歩いて約5分のところに小林一三翁が住んだ自宅がある。明治〜昭和にかけての実業家、政治家であることは余りにも有名。今回、その実像を知ることができて感激である。

「雅」は芸術、「俗」は生活。

山梨県韮崎市出身、慶大、三井銀行、証券会社設立のため大阪に移動(恐慌のため消滅)、「箕面有馬電気軌道」設立、阪神急行電鉄(阪急)社名変更、阪急百貨店、宝塚劇団、六甲ホテル、東京宝塚劇場、東宝映画。歴任した会社経営はまだまだたくさん。

日本の近代史に残る大人物。学生時代には小説を書き、その後も文学、美術にも造詣が深く、やがて茶の湯へと趣むく。

茶室「即庵」

茶室「即庵(そくあん)」。
畳上と同じ視点で喫茶、拝見ができるように椅子席がうまく工夫されている。

他にも「人我亭(にんがてい)」、「費隠(ひいん)」という二つの茶室がある。

「和」と「洋」がダイナミックに見事に調和している。

庭から見上げると

手入れされた庭が美しい。植木のすぐ上の建物が、茶室「即庵」になる。とても刺激的な素晴らしい訪問となりました。

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